仕事の帰り、三軒茶屋 千代の湯へ。
田園都市線三軒茶屋駅を降り、世田谷通り出口から外へ。
そのまま246沿いを歩くと右手に開けた土地が。駐車場の向こうにぼんやり煙突の陰が見える。
お、銭湯だ。
時間は19時で夜なわけだがそれにしてもこの土地は暗い。
恐る恐る中に入り、前に進む。
小さな子が夜中に歩いたら軽くトラウマになりそうだ。
さて手探りで駐車場を進み、手すりとポールが立つ幅一メートル半ほどの隙間を抜ける。
するとパレードコーヒーという化石化している自販機が立ちはだかっている。
その脇を抜けるとどうやら銭湯入り口にやってきたようだ。
そこで機械的な女性の声で『いらっしゃいませ』もう後にはひけない。
とにかくトタンに囲まれ、さながら秘密基地のようである。
右手が女湯。左手が男湯。傘入れがよく鎮座している番台の真裏のポジションには自販機。こちらは現役の自販機だ。
さて、入り口をくぐる。
番台。女将さんがいらっしゃる。
脱衣場はいろいろ物があり窮屈に感じるが中くらいの大きさ。元気に天井扇風機が男女両方回転している。立派な柱時計が境にあり、すぐ側にある大きな熊手はとても華やかだ。
テレビも境にあり、音も出ているが、なにかここは静かな気がする。
女将さんはたまに女湯側のお客と世間話をしたり、天井扇風機も回っているが、どことなく静かだ。
すぐそばを246が走っているのに、この静かさ。やはりトタンで覆われているせいだろうか。
単なる静けさと違う、何かうさぎの穴にいるような、深いビーカーの底に沈殿した物体になった気分だ。
KEIHOKUの体重計に、旧型マッサージ機が一つ、比較的新しいマッサージ機が二つある。
さて、服を脱ぎ浴室へ。
お客は他に3人。
うち若手(40代以内)が二人だ。
浴室は広さはなかなかあると思うが、閉塞感を感じる。
それは壁際奥にサウナ室がこしらえられ、浴槽スペースが随分はしょられてしまっているからだろう。
しかも壁際に全身シャワースペースが一基あり、個室のようにしっかり区切られている。
余った壁際スペースの手前側はなにやら用具入れのようになっており入れない。
過去はここら一体がすべて開けていたかと思えば広い浴室であると想像できる。
カランは壁際が4。しかしいきなり一つの蛇口が引っこ抜かれており使えない。
4-5-5-7なので、カランは少なめ。やはり、過去の改装で縮小されたんだろうな。
さて、体を洗い浴槽へ。
浴槽は狭いながらも2層あり、浅いものと深いもの。
浅い方は少し広めでジェットが3基。
熱そうな湯がこんこんと湧き出ている。
ガリウム石が檻の向こうに鎮座しており、例の如く石和田教授のお名前で注意書きがある。ほんとよくみるなぁこれ。
湯温計があり温度はなんと「53℃」!
まさかなぁと片足を恐る恐る突っ込むけど、やはりそこまではいかない。
44℃くらいかな。
沸き出してる部分に温度計があるのでそこら辺はそれくらいあるのかもしれない。
さて、あったまってから全身シャワーでクールダウン。
ここはご丁寧にも湯のひねりがもぎ取られており、水しか出すことができない。
さて、次は深風呂。
こちらの方が熱いのかと思いきや、こちらはややぬるめで43℃。
自然と正面の注意書きに目がいく。
「節水 あつ好きの方のために水をうめたら止めてください」
ふむふむ、これは気の利いたお達しだ。
無神経にどばどば水を埋める人がいるからなぁ。
少しはこれで遠慮してくれるってもんだろう。
それから背景を仰ぎ見る。
こちらは渓流の流れを手前に松が2本見え、女湯との境に大きな富士山。
麓からの眺めか富士山は随分遠くに見えるようだ。
なかなか新しそうなペンキ絵。ただ日付等は書かれていない。
さて、再びクールダウンの後、サウナへ。
こちらのサウナは無料。
こりゃラッキーだ。
スチームサウナと書かれたサウナ室へ。
中は3人ほどが入れる大きさ。
入口の温度計は55℃を指していたが、いやこれはもっとあるぞ。
鼻に高熱が入り息ができない。
苦しいが、小窓から背景を眺めつつ、修行開始。
う〜む、さすがに気持ちよい。汗がドバドバ出る。
そんな中、注意書きが目に留まる。
「お○っこをしている方を見かけたら番台まで」
なぬ、そんな輩が過去にいたのか。
そう感じると、このサウナ室がそのような匂いで充満しているような気分に包まれる。
う〜む、落ち着かなくなってしまいすぐ外へ。
お客は既に他に一人になってしまっている。
しかしあの若者、私が浴室に入ってからずっと体を洗っているな。
さて、湯から上がりテレビを見ながら天井扇風機の下で涼む。
1010のNO.94が出ている。いただき。
そういえば間もなく銭湯の日だな。
その日は飲み会があり、銭湯に行けないかもしれないが、銭湯好きになって初めての銭湯の日なので抜け出してでもいきたい。
先着でスピードくじだのあるとこもあるし、ちょっと気になる。
仕事が休みならなぁ。
女将さんにあいさつをし、暖簾をくぐり外へ。
いや、トタンにまだ囲まれているので外に出たという感じではない。
トタンを抜け、路地に出ると飲み屋が集中しているとこだ。
246の反対側。かなり渋い裏路地。
こういった場所にこのトタン銭湯は合っているかもしれない。
いつまでもしっかり千代の湯をトタンには守っていただきたいものだ。
そういえば、あの女将さんは千代さんって名前だったのかな。
女将さんでないにしても誰かから取った屋号なんだろうな。
そんな勝手な憶測を楽しみつつ、駅へ向かうのであった。
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