2008年10月12日日曜日

29.御徒町 燕湯<登録有形文化財>

今日は休日である。
昼から銭湯に行こうと思う。

向かう破東京メトロ銀座線上野広小路駅 徒歩4分の燕湯。

登録有形文化財に指定されている銭湯だ。

上野広小路を降り、松坂屋を左に見ながら、4分歩くと建物の前に到着。













松の木が建物の左右に生え延びている。松にしてはまっすぐ天に向かっている。暖簾をくぐり、下足入れが左右にある。
正面、番台の裏には傘入れでなく植木がある。
右手が男湯だ。




















シンフォリカルポス(雪晃木)が傘入れのあったであろう番台裏に飾ってある。

脱衣場へは意外にも自動ドア。

女将さんのが元気に「いらっしゃいませ」と声をかけてくれる。
この燕湯の番台の女将さんはとにかく最高である。よく動き、左右に目を配り、世間話をしながら機敏に湯賃を受け取っている。
時おり、脱衣場に来ては床をモップで磨いている。
素晴らしい。

外に見えた松は洗面所へ行く扉の向こうに生えている。しっかり地面はコンクリに覆われているが元気なようだ。

脱衣場の天井は高い。飴色に鈍く輝いている。
天井扇風機の後があるが取り外されており、代わりに壁に大型扇風機、中型の背が高い扇風機が一台ある。

お客はかなり多い。
脱衣場に7人ほどいる。

テレビもないので女将さんとお客の話す声がよく聞こえてくる。昔のままの銭湯の姿がここにあるような気がする。

体重計はデジタル、柱時計もなく普通の学校の教室にあるような時計だ。
趣はないものの、体重計や時計が役割を果たし終えた為に新しくなったんだろう。

服を脱ぎ、浴室へ。
中型の大きさで奥行きは感じられないが天井はかなり高い。
三階まで空間が広がっている。
三階の窓から明かりが取り込まれているが一階外壁にある窓の外はすぐ建物なので明かりが入ってこない。
少々暗く感じるが、壁は青く塗られておりきれいで清々しい。

まだ昼12時だが蛍光灯が点いている。

島カランはひとつ。
お客は10人ほど。
シャワーのあるカランは左右の島カラン以外だが、混んでいるので島カランへ。体を洗い、浴槽へ。

外壁側には高い岩壁。三メートルはある岩壁だ。
武蔵野虎の湯の岩壁のようである。あそこまで全面岩に囲まれていないが、似たような形の岩でごつごつしている。

湯が岩の高い部分から湯が流れ落ちていた形跡があるが、今は流れていない。一番下の部分からちょろちょろ流れ出している程度。

浴槽は二つ。右は広めで浅い。ジェットが出ていないので水面は流れ出す湯でわずかに揺れる程度。

湯温は熱めで45℃。
泡など出ていないので水面は湯口から出ている湯によって少しゆれる程度。
静かに長湯ができる。

立ちシャワーがないのでカランの水を何度も浴びる。
さて深風呂へ。

こちらはバイブラがかなり激しく噴出している。湯温は45℃。しかしブクブクわきだす泡のおかげで体感温度は上回る。

蛇口が取り去られているので水を埋められることはない。
ぐっと湯温をこらえていると、みるみるうちに湯温が上がり46℃になった。

では壁を見上げて背景を拝んでみよう。

背景は富士山。
背景に岩が溶け込む形になっている。
20.3.19と書かれている。

お客を見てみると、地べたに直接座っている客や、墨を入れたお客、なかなかディープな湯客が多そうである。

外国人もいるかなと思ったが自分のいる間には遭遇しなかった。

さて、帰るとするか。
どうもと女将さんに声をかけると元気よくありがとうございましたとお返事をいただいた。
毎日会いに来たくなる、そんな気持ちのよい女将さんだ。

建物は長い間、国に守ってもらえることができるので安心だ。
できれば銭湯全体が有形文化財に登録されれば喜ばしい。
もっと多くを願うならば、世界遺産に銭湯が登録されればいいなと思う。

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