2008年11月21日金曜日

45.仲六郷 照の湯

金曜日の夜である。
一週間仕事をしてきた自分を湯に浸かり癒してやりたいと思う。

今日は大田区の温泉銭湯へ。
多摩川沿いの仲六郷にある照の湯に行った。
銭湯マップによると黒湯に露天と至れり尽くせり。銭湯天国の大田区だけに、とても楽しみである。

車で向かったが照の湯には駐車場がないので近くのコインパーキングへ。30分100円。なかなか安いコインパーキングだ。

今日は奥さんも側にいる。腹が減ったと近くの食事処を捜索。
商店街の外れのため、お店も見当たらないなと思いつつ「華かがり」というお店を発見。
飲み屋のようであるが、メニューにラーメンの文字も見えるので入店。
中はカウンターのみで8席ほど。ご主人がお一人でやられているようだ。
みそラーメン(600円)、正油ラーメン(550円)、餃子(300円)を賞味。
とてもおいしくいただけた。
割り箸のはいった袋に書かれた「華かがり」の文字が手書きであり、何かぬくもりを感じた。カウンター内側に一枚飾られたお子さんの写真にも胸を打たれた。
こんなお店が近くにあるといいなと思う。
しかし、あまり地元にあるこじんまりとしたお店には今さら行きづらいんだよな。

さてお腹もふくれたところで「照の湯」へ。

こちらはマンションの一階にあるいわゆるマン銭。
暖簾をくぐると天井のパトランプがいくつもついたような回転灯がぐるぐると回る。一応お出迎えしてくれているようだが・・・。
下足入れがあり、壁は一面ディズニーチックな可愛い絵。しかし決してディズニーではない。
おもてなしされている感はギンギンに伝わってくるなぁ。

中に入るとフロント。
休憩所が奥にあり、天井は高い。
つまり番台型をフロント型に改装した感じだ。
となると昔は破風造りの銭湯であり、そして時代の流れでマンション銭湯として生まれ変わったというのだろうか。

女将さんに湯賃二人分をお渡し。
むすっとした感じの女将さんかなと思いきや、お声は優しくほっとする。
休憩所にはテレビあり。
ソファは3人がけ。一人がけのイスが3つほど。
そして奥に大きな大きな花の絵だ。タタミ3枚分ほどはあろうかという巨大ピクチャーだ。
スタンプを押してもらい、奥さんとはここでお別れ。

男湯は左手。
さてここはどんな銭湯であろうか。

脱衣場に入ると女将さんがお客とお話ししている声が聞こえてくる。
フロントの話し声は脱衣場にダダ漏れだ。
「スタンプって何?」とお客が女将さんに聞いているようだ。

脱衣場はマン銭とは思えないほど天井が高い。
伝統的破風造の天井の高さに比べれば、少し劣る訳だけれどもマン銭としたらとにかく高い。
銭湯の良さというものを保ちつつ、マンションにしたんだろう。銭湯への愛を感じる。

まぁとにもかくにもパパッと服を脱ぐ。
浴室へ入ると、いきなり眼前には浴槽が飛び込んでくる。
ここは中央に浴槽があり、周りをカランが囲む形。

桶とイスをとり、カランへ向かう。まずは体を洗うのだ。
おや、ここはイスが備え付けだ。石のイスでそれぞれのカラン前に設置されている。
なのになぜ風呂イスが入口にあったんだろうか。
その理由は石のイスが設置されていないカランがあるからのようだ。
石のイスをどうしても好んで使う事ができない人のためだろうか。

せっかくなので自分はこの珍しい石のイスを試す事にする。
高さは30センチほどでしっかりとした四角のイスだ。
風呂イスに慣れている自分からしてみると少々高いような気もするが、シャワー位置などこの石のイスに合わせた作りになっているようで、使い勝手は良い。

さて浴槽はどこから攻めようか。
中央に集中している浴槽だが、まず高い位置に檜の浴槽がある。そこの湯がオーバーフローし、下の浴槽に流れ込む形になっている。
ここはかなりの優越感に浸れそうだ。後回しにしよう。

低い位置には普通の入浴スペースと、電気風呂、ジェットがある。
ジェットは強烈。体が流されるのでしっかり固定して臨む。
幅が狭く、両手をヘリに乗せてのんびり浸かれる。
湯に浸かる時に手のひらも湯につけていると指がふやけてしまうのでなるべく避けたいところ。
なので快適にジェットと湯を楽しむ事ができた。
湯温は41℃ほど。ややぬるいか。

次は電気風呂へ。
しゃがもうとするが、ピリピリと腰に電気が来る。
むぅ、これは無理だ。やめておこう。
しばらく電気風呂から離れていたせいかすっかり初心者に戻ってしまった。
また次の機会にチャレンジしよう。

次は黒湯。
浴室に入るとすぐ黒湯の浴槽であるのだが後回しにしていたのだ。
3人ほど入れるスペースに黒湯が溢れている。
ちょろちょろ湯が流れ込んでいるが、浸かるとどばっとオーバーフローする。これがとても気持ちよい。
どの浴槽も溢れ出る湯を見るのがいいのである。

湯にアカが浮かんでいるのは見るに耐えないが、溢れ出る湯が排水溝に流れ込んで行くため、湯アカが溜まりづらい。とても清潔なのである。しかも溢れ出る湯を見るのはなんかいいもんである。

ここの黒湯は煮豆の煮汁のようだ。もっとオイリーな感じでつやつやしている黒湯もあれば、薄いところもあった。黒湯にも様々なタイプがある。
こちらは濃いめ。しかしオイリーでなくさらっとしている。
湯温は42℃ほど。
じっくりつかり、芯までポカポカだ。
そうそう、ペンキ絵がこの黒湯槽から見るととても良い眺めなのだ。
ここのペンキ絵はなんと立派な富士であろうか。
女湯ぶち抜きの巨大富士山。
ペンキ絵でここまで巨大な富士山は見た事がない。素晴らしい。
早川氏の作品で西伊豆と書かれている。
ハゲた部分もなく、かなり状態がいいのでつい最近に描かれたものと思われる。日付がないのでいつかは分からないけど。

中央に松が一本。乙である。
それと女湯境の壁の中央当たりにツボが置かれているがあれは何だろうか。
落ちてきやしないか?
そのすぐ側にパイプみたいなものが天井に向かって伸びていて、天井には何やら四角い空気孔のようなものもある。
何だろうかあのツボ。

さて黒湯の源泉へ行ってみよう。
入口の側にあるのだが、温度は18℃。
これまた素晴らしい。
オーバーフローして行く黒湯を眺めるのは心地よく、ペンキ絵も拝める位置。なんと贅沢な金曜夜の過ごし方であろうか。

クールダウンできたところで露天へ。
ここがまたスゴい。
5人はゆったり浸かれそうなスペースに岩を配した露天。しかも黒湯だ。さらにこちらにもオーバーフローの演出あり。
竹(残念ながら偽の竹)壁には小さな穴があいており風も吹き込んでくる。
その穴の外に赤いイルミネーションも見える。和ではないが、内風呂とは雰囲気が違い、またいい感じではないか。
岩には黒湯がしっかり染み込んで黒い岩になっている。これが黒湯の湯の花か?
これだけ染み込むとなると檜に黒湯を注ぎ込む訳には行かないと思う。確かに内風呂の檜の湯には白湯が使われていた。檜に黒湯はなんかイメージ違うもんなぁ。

端に狸の置物あり。なぜかゴルフクラブを振りかぶっている。
極楽。とにかく極楽の湯だ。

中に戻り、源泉でクールダウン。
さらにサウナだ。
まだまだ照の湯は終わらない。サウナがなんと無料。
大田区恐るべし。ここまできてさらにサウナまで提供してくれるとは。
そういえば久が原湯もサウナが無料だった。あそこも良かった。サウナが湿式と乾式あったし。

こちら照の湯のサウナは乾式サウナ。2人も入ると苦しいが、最高は8人ほど入れそう。
温度は80℃くらい。12分計がありそれを眺めながらひたすら汗を流せる。
すこしサウナにしてはぬるい気がするけど、まぁ無料なので文句なしだ。

外に出て水風呂。
そして、サウナ。たまに露天。
そんな循環を繰り返す。いつのまにやら体が一週間の疲れをすっかり忘れてしまっている。

立ちシャワーが二基あるので黒湯を洗い流し、次は檜風呂へ行ってみよう。
ちなみにここの立ちシャワーはセラミックを通して柔らかい水に変化するらしい。
たしかに柔らかい。シャワーの穴が細かいせいもあるだろうが・・。あとこの能書きの影響も大いにあるだろう。

檜風呂はなかなか人気があり、お客は常に7、8人いたがいつも一人か二人は檜風呂に入っていた。
さてどんな感じだろう。
ヘリに手をつけると木の肌触りが心地よい。
そして足が浴槽の底に触れた時に覚える安らぎ。
ふんわりした気持ちになる。白湯なので心が澄み渡る感じがするな。
檜にはやはり透き通った湯がいいだろう。
中央に浴槽があるとカランの人間と目を合わせる事もなく、落ち着いて湯を楽しむ事ができる。お客もみなマナーがしっかりしており、ひたすら湯に専念できた。
素晴らしい。

さて少々時間をオーバーしてしまった。
慌てて休憩所へ。
奥さんと合流し、女湯側の情報を聞き出す。
女湯側の鏡はなんとすべてハート型だったとの事。
男湯は普通に四角なので、ずいぶん可愛い演出である。
あと露天にはガラスがあり、その奥にバイキンマンなどの置き物があったとの事。
そのガラスには上から水が伝って流れ落ちる演出もあったそうで、見てみない事にはよくわからないが見る事もできないので想像でなんとか我慢する。

ドリンクはラムネをいただく(110円)。
休憩所には灰皿があり、タバコが自由に吸えてしまう。
湯上がりにタバコの煙を浴びるのは嫌だな。ここはマイナスだが、大田区の桜館も休憩スペースでタバコはOKだった。
そんなに大田区銭湯に数多く行った訳ではないが、これが大田区銭湯の社会通念なのかもしれない。なので我慢。

華かがりのラーメン、餃子、雰囲気も良かったし、照の湯も最高だった。
近辺に住みたいと本気で思う銭湯だ。
またぜひ、黒湯と早川氏のペンキ絵を味わいにやってきたいと思う。
心も体も心からあったまった11月の寒風吹きすさぶ大田区の夜だった。

1 件のコメント:

  1. 私も銭湯大好き派。スタンプ集めて26箇所の認定証も頂きました。照の湯が26箇所めでした。ほんと ゆったりくつろげて きれいで 気持ちのいいお風呂でした。私は西蒲田から行ったので東急バスの六郷土手行で行って、西六郷小学校で降りて、左にまっすぐ行くと足の悪い私で10分くらいでした。

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