2009年9月21日月曜日

123.大田区南蒲田 末広湯

今日は敬老の日。
だからというわけではないけれど、シルバーウィークと名付けられている5連休の真ん中だ。ゴールデンウィークに対してのシルバーだろう。

テレビではUターンラッシュが始まっているというニュースが流れていたが、そんな中自分は大田区の銭湯、末広湯を訪れた。

200m離れたコインパーキングは一時間400円。蒲田総合病院という近代的な建物と夕食の支度をしているのか煮物の匂いが漂う住宅街を抜け、末広湯へ。
隣は駐車場、向かいはマンションの駐車場になっており、付近の空間は開けていて閉塞感はない。



この銭湯は唐破風造りの伝統的建築。やや小さめな印象。女湯側だろうか右手側には厳重に目張りがしてある。



入口は自動販売機が両脇を固めている。オリジナルの暖簾を潜り、左手が男湯である事を確認する。正面にはかさ入れ。番台背中の窓には扇子が飾られている模様。
下足入れに靴を預け、木札を手に取る。
脱衣場からは常連様と親父さんの話し声が聞こえてくる。
番台式銭湯は地域に根ざしている感が強いので、引戸を開けるのに部外者としては若干気構えと勇気が必要である。

そんな事を考えているとちょうど話し声が落ち着き、お客が出て来た所で中に入る。
番台は低めで女湯側が見えてしまう。意識してみないようにまず何歩か脱衣場に入り、振り返って親父さんを視認。湯賃をお渡しする。

目を閉じた状態でお受け取りになる。どうやら番台内側の下に設置されているテレビをご覧になっているご様子。

脱衣場は天井はやや低め。しかしながら折上式格天井。木はわずかにたわんでいる部分がある。坪庭があり、その前には公園にあるような洋風木製ベンチ。窓には冷房中と貼り紙がされている。窓を開け放たないようにしなくては。

ロッカーは外壁側に45。赤札がキーについており、「南蒲田 末広湯」と記されている。少々大きめの札なので持ち運びづらい。
体重計が珍しく、アナログ式なのだが「年令別身長別体重表」と文字盤にあり、その通りの表が書かれている。年令に対して体重がいくつかが分かると、ウェルター級やヘビー級等の階級が分かる。表の下には「取引証明以外用」と書かれているのだが何だろうこれは。
ちなみにメーカー等は書かれていない。

女湯境側には座り心地の良さそうな背もたれ付きのイスがいくつも並んでいる。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
こちらは天井高く…と思いきや二段式の天井でなくかまぼこ型。これは意外である。
お客は5名ほどで皆女湯境側の壁のカランを利用されている。
島カランは一列でこちらにはシャワーなし。
外壁側から8-8-6-8。
島カランの脱衣場より一基は鏡も途切れてしまっており、ない。

誰もいない外壁寄りにカランを確保。
女湯寄りにいらっしゃるのはみな常連さんの様で時折雑談を交わしたり、背中を流し合ったりしている。うらやましい限りだ。
しかも境の壁にはタイル絵があり、それらを間近で眺める事もできる。

体をしっかり洗い浴槽へ。二槽式で浅いものと深いもの。
浅い方は湯温が43℃ほど。しかし柔らかめの湯なので熱さはマイルドに体に浸透してくる。
ジェットが二基あり、勢いは程よい強さ。

水をかぶり、クールダウンの後深風呂へ。こちらには電気も流れている。電極板はよくある白いものでなく、電気がいかにも流れているような金属板。ビリビリと強めの電気が湯に伝わって体に響いてくる。腰掛けてちょうど腰の位置に来る高さなので腰痛持ちの方にはオススメである。

さて背景を眺めてみる。
こちらは昨日に続き早川氏の作品。
「19年5月24日、西伊豆、早川氏」と記載され、荒々しい波と、広大な富士山が男女浴室ぶち抜きで描かれている。やはり晩年の早川氏の作品だけに松や波、雲の描き方等が迫力のある荒々しいタッチ。所々ペンキも剥げて来ており、この先どれだけこちらに残されるものだろうか。できればこの作品も長い期間残されていてほしいものだ。

湯から上がると番台は女将さんにお変わりになられている。
親父さんよりは幾分愛想がいい。挨拶を交わし表に出る。空は闇が広がって来ている時間。6時過ぎ。各家庭の夕食の準備もさらに進んでいる事だろう。
お腹もすいて来たので早く帰宅しご飯を食べようかと思う。



伝統的銭湯であるものの、意外なかまぼこ型天井と荒々しい早川氏のペンキ絵が印象的な銭湯。近所に来たときはぜひ訪れて頂きたい番台銭湯だ。


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