2009年1月31日土曜日

77.世田谷区太子堂 清水湯

今日は土曜日である。
仕事は休みで、午前中降っていた雨も昼過ぎには上がり、晴れ間が覗き始めた。
雨模様の中銭湯へ行くのは少しはばかれるものだけれど、天気もよくなってくるとむくむくと湯に浸かりたいという欲望が湧いてくる。

さて、田園都市線に揺られ三軒茶屋で下車。
パティオ口を出て、キャロットタワーのふもとを北上。
釣り堀を左に見ながら、さらに北へ進み、茶沢通りに合流。
目的の清水湯へは徒歩12分ほど。

目の前が幸運なことに駐車場になっており、全景を拝むことができる。左手は道路で薪が積み上げられている。

暖簾をくぐり、男湯は右手。
引戸から中に入ると番台では娘さんだろうか。女性の番台さん。
ゆったりといらっしゃいませとお話しになる。
帰っていくお客にはおやすみなさいと言っている。
まだ4時過ぎだが・・・。

さて、湯賃をお支払いしロッカーへ。
天井やや高く、格天井。
壁には柱時計が立派に今の時間を刻んでいる。
外壁には庭へ出る為の引戸。庭には池があり、縁側には灰皿、イスが設置されている。
引戸の手前には最新型の空気洗浄機が置かれ、タバコの匂いをシャットアウトしてくれている。愛煙家にも嫌煙家に対しても、とても気配りが行き届いている。



ロッカーは竹籠をそのまますっぽり入れることができるクラシカルなものがある。これは四谷の蓬莱湯や、世田谷の第二千歳湯で見たものと同じタイプの物だ。気軽に手に入る物ではないというのはよくわかるので、出会えるだけでうれしくなる。実際利用したことはないのだが・・・。

体重計はKEIHOKU。細く、背が高いものでりりしい出で立ちだ。目盛りがシンプルでデザイン的に完成されたものだなと感じる。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
お客が一人もいない。脱衣場にはお二人いらっしゃるが浴室に関しては実質貸し切り状態だ。

壮大な背景は富士山のペンキ絵。
本栖湖 平成18年5月9日と記されている。
早川氏だろうか。緑を描くその筆致はとてもやさしい。
その下にはチップタイル画。こちらは洋風で、湖畔に経つレンガ造りの建物。どこかの背景に見た気がする。つい最近行った渋谷区の広尾湯だ。あちらは背景なので規模は全く違うが、本当にある建物で、それをモチーフとしているのかもしれない。

体をしっかり洗い浴槽へ。
深さの違う二つの浴槽で、両者は中でつながっている模様。
まずは浅い浴槽へ。

湯温は43℃ほど。
浅い浴槽ではあるが、底が平坦でなく二段型になっており、腰掛けるような感じで湯に浸かることになる。初めはやりづらい気もしたが慣れると快適なものである。
湯も柔らかく優しさのある湯。肌にじんわりと浸透してくるイメージだ。
かといってそれほどぬる湯でもない。

ジェットは二カ所から噴出しているが威力は弱め。
ジェットの音以外は聞こえてこない、静かな浴室である。
この浴室一杯にお客が入っていた時期もあっただろう。そっと目を閉じ、想像の世界でこの浴室を賑やかにしてみる。
そんな中、お客が一人、二人と入って来た。
現実の世界でも少し浴室が賑やかになってきたようだ。

さて、続いて深風呂へ。
湯温は同じ。ここからは女湯境にある立派なタイル画を間近に見ることができる。
「九谷 鈴栄堂 章<仙>画」。仙と書かれているかどうかはかすれていてよく読み取れないが、おそらくは章仙。
俯瞰で川を描いている。
小さな帆船が網の目のように伸びた川を往来している。
壁の端から端まで、立派なタイル絵だ。湯に浸かりながら、その迫力に感動を覚える。
43枚×5枚のタイルなので215枚。
手間がかかっている。
タイルといえば、浴室の床のタイルだが手裏剣のような模様をしていて面白い。所々剥げているのだが、しっかり補修されていて、定期的にメンテナンスされていることが分かる。仕事に対する情熱、銭湯に対する愛情を感じる。

深風呂はでんき風呂になっている。
威力は弱いがかなり近づくと、気持ちのよい電気を感じることができた。

さて湯から上がる。
番台は親父さんに変わっている。
80円のラムネを飲みながら、いろいろお話を聞かせて頂いた。
こちらの銭湯と全く同じ建設業者が大田区山王「第一京浜浴場」もしたといい、写真を色々見せていただいたが、確かに番台や引戸、その他飾りなど似通った物であった。
ぜひ近いうちに行ってみたいと思う。

親父さんが用事で釜場へ消えた時に庭を鑑賞。
すっかり外は真っ暗になっている。もう二時間近くもいるだろうか。
池にはかわいい金魚がゆらゆらと泳いでいる。

現在東京の銭湯は874ほど。
全ての銭湯を巡り終える頃にはいくつほどに減ってしまっているのだろうか。
そして自分はいくつの齢を重ねているのか。
とはいえ焦らず地道に湯を楽しみつつ進んでいこうと思う。
こちらの銭湯もいつまでも元気に心地よい空間を提供し続けていってほしい。
そう願ってやまない1月最後の夜であった。


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2009年1月27日火曜日

76.世田谷区池尻 月の湯

今日は電車での移動。
仕事帰り、池尻大橋で下車する。

目指すは月の湯だ。
南口を出て、246号からささくれの様に伸びる測道を進み、サンクスを越えて左へ。

栄養学校が左に見えると月の湯は右手の緩やかな坂の下にある。ここまで4分。


やや高台から銭湯の全貌が拝める。

千鳥破風の立派な出で立ち。左手には松の木が伸び、その奥には庭があるようだ。男湯はこちら側だろうか。
月の湯オリジナル暖簾が迫力のある書体でお出迎えしてくれる。

改装されフロント形式に生まれ変わった様子。
下足を預け、中へ入ると二人ほどが休めるコンパクトな休憩スペースがあり、正面にフロント。笑顔豊かなメガネの若旦那がお相手してくれる。

スタンプノートを見て、「あと少しですね、がんばってくださいね」
とのお言葉を頂いた。
左手に入り、ロッカーを確保しているとまた旦那さんが登場して、
「庭には池もあり鯉もいますんでどうぞ見ていってください」
ともおっしゃられた。

脱衣場の天井は高く、折り上げ格天井。
床の木の艶も深みがあり落ち着きあるもの。
窓が大きく、わずかに凹凸がある古いガラスだ。一定の平面でないところがまた良い。

その向こうは庭が広がり、池がある。
そこに泳いでいるのは立派な鯉。
全長60cmはあるものもいる。
中には尾びれが長く、ひらひらと優雅に泳いでいる鯉、ヒレ長錦鯉(wikipedia)も見える。
少々窮屈そうではあるが、皆これだけ大きく育っているところを見ると幸せにやっているのだろう。

縁側に出て左手にはお手洗い。
さぞ古めかしいお手洗いかと思いきや、改装され異世界の如くきれいな洋式便所。
また、お手洗いに向かう途中でセンサーに反応し、チャイムが鳴る。そして明かりが点く。何の演出かはわからないが、おそらくお手洗いを利用している人がいるかどうかを把握されたいのが理由だろう。

体重計はHOKUTOW。それほど古くはないようだ。
あと目を引くのはうさぎ薬局と書かれた大きな温度計。

パパッと服を脱ぎ、浴室へ。
大型の浴室だ。島カランは一列で6-5-5-6の構成。立ちシャワーは一基。
お客は6人ほどいらっしゃる。平日の8時台だがなかなか賑わっている様子だ。
しかし女湯の方からは物音がしてこないので、誰もいないのではと思う。

カランを確保し、体を洗う。
湯がぬるいというか冷たいほどで、しばらく放出していてもなかなか熱い湯は出てこない。
シャワーはしっかりとした湯が出てくるのだが。

さて浴槽を攻めよう。
大きく分けて二つの浴槽。広めの浅風呂には打たせ湯、寝風呂、ハイパワージェットである。
鉄の籠があり、備長炭が入っていると記されている。
湯温は42℃ほどで柔らかい心地よい湯だ。

打たせ湯は外壁よりのくぼみにあり、しかしどうやら壊れている模様。
他のお客が打たせ湯のしたに背を付けるが、それはそのくぼみの座り心地が良いというだけで、決して打たせ湯を利用しようとして座る訳ではないようだ。

その隣に備長炭の籠。そしてハイパワージェット。
これは一穴の強力なジェット。深めになっており、自由に体を動かしてジェットを当てることができる。

寝風呂は奥行きがあまりないので、書いてある通り寝るわけにはいかないが体育座り程度なら可能。水枕はあるものの、機能していないのは残念なところ。

設備的に少しメンテナンスが必要なようだ。

湯は素晴らしいので体はしっかり温まっている。ここで立ちシャワーでクールダウン。
立ちシャワースペースには鶴のタイルがある。二羽が寄り添いこちらを見ている。

さて、続いて深風呂へ。
薬湯になっており、マゼンタ色の湯だ。
湯温は44℃。湯温もちょうど良く、柔らかい湯に薬湯。これは最高のコラボレーションである。

背景を仰ぎ見る。
その立派なペンキ絵は女湯境に富士山が位置し、裾野が広がっている。手前には湖。ヨットもたくさん浮かんでおり、松の木も何本か。
字は書かれていないが松の木の描き方、緑を描くハケの使い方などから見て中島盛夫師の作品に思える。

富士を従える青空は浴室天井の青へとつながり、二段式の天井自体が自分を包む大きな空のように思えてくる。

何度か薬湯と立ちシャワーを行き来し、体の芯までしっかり熱を入れる。
気づくとお客は自分一人となっていた。
女湯側から相変わらず物音が聞こえてこないし、どうやら今現在この浴室には自分しかいないようだ。なんと贅沢な空間の使い方であろうか。

設備的に残念な部分もあるが、何よりも池に鯉、熱意を感じる若旦那、富士山に折り上げ格天井、見るべき物は数多くある深みのある銭湯だ。
なぜ月の湯というのだろうか。
そんなことを考えながら、湯から上がり鯉を眺めながら火照った体を夜風にさらす。
答えは見つからなくてもいい。
ああでもないこうでもないと、勝手な憶測をつけて過ごすことが楽しいのだから。

旦那さんに挨拶をして表へ出る。
緩やかな坂道の下に、昭和を越え平成の今日に至るまで、長いこと池尻の街の変遷を見守って来た銭湯。ぜひまた湯に浸かりに来たいと思わせる、名銭湯であった。


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2009年1月25日日曜日

75.三鷹市井口 千代乃湯

日曜日の三時頃、三鷹市の千代乃湯を訪れた。
まずは駐車場の広さに驚かされる。ざっと20台ほど。

全体を仰ぎ見れば千代乃湯はマンション銭湯である。しかし一歩入れば限りなくスーパー銭湯に近いサービスを提供している銭湯であることに気づく。

湯賃は自動券売機で購入。こちらでビールや食べ物などの食券も購入できる。
奥にテーブル席があり、飲食ができるようになっているのだ。

フロントの受け答えのしっかりした女将さんに入浴券をお渡し。

男湯は右手である。
中はまさにスパ銭の様相。しかし敷地の広さは大型銭湯程度か。

島カランが横向きに四列。それぞれホース付シャワー完備で四つなので24。立ちシャワーは一基。

さすがに混んでおり、15人はお客がいらっしゃる。
年齢層は割と高めである。

カランに着座し、体を洗う。
背景は脱衣場側の上壁に鳩の模型など。よくは意味がわからないが平和的である。

さて浴槽へ。
サウナ室が脱衣場寄りにあり、水風呂、L字型の大型浴槽。低温浴槽。露天といった構成である。

まずはL字から。
こちらには電気風呂がある。湯温は42℃ほど。
水の流れが淀んでいる箇所であり、汚れが気になる。まだ三時だというのに。とても人気のある銭湯であるということであろう。
電気は弱め。自分にはちょうどよいレベルだ。
あと、ジェットエステ・フィットエステ・ボディマッサージという三種類のジェットが楽しめる。深風呂になっており、ボディマッサージは丸形にはまりこむ浴槽。深風呂にこれは絶妙な組み合わせである。しばし時の流れを忘れてしまう。

続いて低温浴槽へ。
非常に細かい泡で白い湯になっている。軟水力が強いと書かれた浴槽。
そう、こちらの千代の湯は軟水浴泉と書かれているくらい軟水が売りなのである。
しかしトロみはそこまで強くない。世田谷の塩の湯が今まで訪れた中では一番軟水力が強かった。

続いて露天へ。
庭が広がり、池も広大。女湯の方まで広がっているようだ。
鯉はよく見えないが網が置いてあるのできっといるのだろう。

円形の浴槽と、滝の流れが背中で楽しめる浴槽。
湯温はぬるめで40℃ないほど。庭・池を眺め風を感じて長湯がいくらでもできそうだ。

マンションの手すりが見えるがベランダから見下ろせば容易に覗かれてしまいそうだ。

浴槽の天井はかまぼこ型であり、二階の高さまであった。構造的には浴槽側は三階以上が居住スペースのようだ。

湯から上がり休憩所で一休みも考えたが、満席なので店を出る。高齢者のスパ銭湯といった感じ。
通りに面した位置にある看板にはデイケア銭湯と書かれていた。
これからの時代、銭湯も千代乃湯のように特色を示していく必要があるだろう。しかし昔ながらの銭湯はそれだけで一つの特色とも言えるのでこれからもそのスタンスを崩すことなく突き進んでいってもらいたいものだ。


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--.渋谷区千駄ヶ谷 鶴の湯

千駄ヶ谷の鶴の湯へ。今日で二度目の訪問である。
番台は親父さん。
一番のロッカーキーを受けとり、ロッカーへ。
大型ロッカーである。荷物は少な目だが、ダウンジャケットを着ていたので大型ロッカーになったのだろう。

時間は10時ごろ。お客は二人ほどである。
清潔な浴槽。釜場への扉は木戸であり、覗きレンズが付いている。昔は三助さんがレンズから覗いていたのだろうか。
背景は富士山。
広告スペースには一件も広告がない。しかし入り口の営業時間が書かれている札の下には千駄ヶ谷の竹田医院の文字があった。

湯から上がり、縁側で牛乳(100円)を頂きながらクールダウン。小さめの鯉が三匹ほど時折こちらを伺いながら優雅に泳いでいる。

はめ込まれた窓は自然なたわみのある、クラシカルな窓。機械的な平面でなく、見ているだけでゆとりを感じる心の窓である。

気になったのは庭にあるライフルを構えた人間が描かれている標識。禁止の意味が込められている模様だが、果たしてここでサバイバルゲームをした人がいたのだろうか。

帰り際に番台は女将さんに代わっておられた。
お見送りの笑顔が心地よい。こちらも精一杯の笑顔で旅立つ。

今日もまた心地よいひとときを過ごせた。[感謝感謝]である。


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2009年1月24日土曜日

74.渋谷区広尾 広尾湯

一週間、仕事で疲れた体を癒す。

今日は広尾にある広尾湯だ。
清心女子大のすぐ側、広尾駅からも徒歩30秒ほど。
交通の便は最高だ。

広尾湯はマンション銭湯。
銭湯マップには80余年も営業してあると書いてある。
そんな前からマンション銭湯が存在しているとも思えないし、昔は破風造りの立派な銭湯だったのであろう(勝手な憶測)。

銭湯に入る前に数軒駅寄りにある中華料理屋「太楼」で腹ごしらえ。
名前は仰々しいがとても入りやすいお店。
レバニラ炒めを食した。
味は濃いめなので好みは分かれるところかも。自分は好きな味だ。

さて広尾湯へ。
暖簾は牛乳石鹸。牛の柄だ。

下足入れは松竹錠の木の札の物。
引戸は半自動になっており、中に入るとフロントが正面に。
右手には休憩所とソファ、テレビがあり4人ほどが休憩できるスペースになっている。

右手が男湯。
今日は奥さんも一緒なのでここで別れる。
奥さんは以前、高田馬場の金泉湯で常連客に注意されて以来、銭湯が苦手となっているが今日さらに何か良くないことが起きた場合、一緒に銭湯に行くこともなくなるかもしれない。

どうなることだろう。
男湯は左手。
フロントの親父さんは接客はとてもよろしい。丁寧である。
男湯のみ、ロッカーキーを受け取る形だ。

脱衣場はフロントが食い込んだ形になっている。
容易に過去番台形式であったことが見て取れる脱衣場である。
天井はなかなか高く、格天井ではないが天井扇がなんと二つも付いている。女湯にも二つ。
残念ながら回転はしてないが、スイッチが入ってないだけのように見える。今にも動き出しそうな雰囲気を感じるのだ。

体重計は丈の低いアナログの物。
浴室との境にある窓に裸婦のすりガラスあり。
これは確か幡ヶ谷の仙石湯にもあったんじゃないだろうか。

あと和式のトイレ。スイッチはなぜか通路を挟んで反対側の壁に付いている。
大抵は扉の側の壁面を探してしまう物だが、常識を持って臨むと昭和銭湯では痛い目を見るのである。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
浴室はマンション銭湯とは思えぬ広大な空間。
天井はかまぼこ型で、オレンジと白のストライプである。
そして背景はチップタイルのヨーロッパな湖水地方のもの。建物はくすみが表現されており、湖面に映る建物の影も素晴らしい。まさにアート。

桶には「廣尾湯」と書かれている。
島カランは一列。外壁より7-6-6-4。立ちシャワーはカーテン付きで三基。
カランの配置はゆったりで、広々としている。
お客は一人のみ。
女湯からは仲間同士話をする声が聞こえてくる。10名近くは入っているように思える。

体をしっかり洗い浴槽へ。
二槽式となっており、広い浅風呂は手すりで区切られ座ジェット二基水枕付きと、ミクロバイブラ。深風呂はバイブラが多少ボコボコと泡を噴出し続けている。

まずは座ジェットへ。
湯温は42℃ほど。
ジェットの勢いは強く、手すりに手をやらない場合前に体が押し出されるほどである。
水枕は残念ながら機能しておらず冷たくない。
となりのミクロバイブラの勢いも激しく、最高バイブラ到達点は25cmほど。
真上であぐらをかいて辛抱してみるが、どうにも定位置をキープすることができない。
泡はきめ細かく心地の良い湯だ。
しかしこの浴槽はどこを見ても泡、泡、泡なので、のんびりゆったりというわけにはいかない。常に流れと戦う必要がある。

さて立ちシャワーでクールダウンし、深風呂へ。
こちらは泡の勢いも収まり、そして隅の丸みに背をあて、両手をヘリに載せ極楽の湯を味わうことができる。
釜場への扉がすぐ側にあるが、そちらから薪の香が漂ってくる。
鼻孔からアロマテラピーの如く脳へと癒しの香を運んでくれる。なんと素晴らしい香であろうか。
つい、木の浴槽、木の桶、木のイスを探してしまうほどのはっきりとした香である。

さて十分に温まり湯から上がる。
休憩所には自販機があり、ファンタグレープを飲みながら奥さんを待つ。
しばらくの後、奥さんがやって来た。
お客の数を聞くと、カランはほぼ全て埋まっていたそうだ。
となると20人はお客がいたということか。
広尾湯は女性客が多い銭湯と言うことだろうか。
清心女子大の学生かどうか聞いてみたが、ほとんどがおばあさまであったとのこと。
背景には白鳥が描かれていたそうだ。男湯にはいなかった。

何か嫌なことはなかったかと聞くと、今回はなかったそうだ。
初めに常連客にこんにちはと声をかけたそうだが、優しく空きカランを案内して頂いたりしてもらったとのこと。大切なのは挨拶。それを実感したようである。
男湯ではそこまで気にすることもないのだが、女性はそうも行かないだろう。
女性はよく群れる生き物である・・・。

さて表に出る。
この近くの松の湯はすでに廃業リストに掲載されていた。
広尾駅近く、この町並みの中で銭湯が生き残っていくのも難しいとは思うがこの先何年も存続していってもらえればありがたい。ぜひまた訪れたい銭湯であった。


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2009年1月22日木曜日

73.目黒区碑文谷 鶴の湯


今日は雨模様。
今日もクルマで銭湯へ向かおうと思う。
仕事が終わり、新宿での用事が済んだ後に目黒区の銭湯へ。

今日のターゲットは不動浴場。
番台銭湯である。
到着し、付近にコインパーキングを探したが見つからず今日のところは諦めることにする。
暖簾の先に植木がいくつも見えたが・・また来るときの楽しみにとっておこう。

続いては碑文谷にある鶴の湯へ。
こちらはコインパーキングが銭湯を取り囲むようにいくつもあり、まるで銭湯の為の駐車場である。

暖簾は鶴の湯オリジナルのもの。
書体がとても上品だ。右手が女湯。右手は駐車場なので、珍しく女湯側が開けた空間になっている。


では左手の男湯へ。
下足入れは松竹錠と書かれている。
正面にかさ入れ。
かさ入れと書かれた札の字は手書きのとてもかわいい字である。

引戸を開けると番台には女将さんがお座りになられている。

スタンプと湯賃をお渡しし、寒い中どうもすみませんねぇとのお言葉を頂く。

そしてロッカーで自分の準備の悪さに気づく。
なんと入浴グッズを一切忘れてしまったのだ。銭湯に行こうと準備をしたはずが、肝心の入浴グッズを忘れてしまうとは。

女将さんにお話しすると、タオルを貸してくれるとのこと。シャンプーもリンスも石鹸も貸して頂けるというので、シャンプーとリンスは購入し、石鹸とタオルをお借りすることに。
何から何まで本当に申し訳ないなと思う。

いきなりの大きな忘れ物に脱衣場をゆっくり観察するココロの余裕を失ってしまった。

脱衣場は二段型の天井になっていて、外壁側には縁側への引戸があり、その先に和式トイレ。庭もあって、池が壁づたいにながっぽそく広がっている。
暗いため魚は見えないが、ちょろちょろ水の流れがあるので何か飼っておられるのだろうおそらく。

和式トイレは扉を開けても電灯のスイッチがなく少々焦る。スイッチは脱衣場側の壁にあるので、外に出る前に点けるのが正しい動きのようだ。

体重計はTANAKAのものがある。鶴の湯と書かれているが、そんなに古くもないようだ。あと大きな乾燥機と洗濯機も。

さてパパッと服を脱ぎ浴室へ。
まず感じるのは空間の広さ。
天井はかまぼこ型である。
入口が宮造りであるのに浴室の天井が二段型でないのはなんか変な感じである。
しかも脱衣場は二段型であるのにも関わらずだ。

島カランは一列で、外から6-6-6-7。立ちシャワーは一基。
島カランにはシャワーが付いていた形跡はあるが外されている。

女湯境の壁にはチップタイルが広がっている。
海に面した社がある。あと沖に赤い旗がある。ゼビウスのスペシャルフラッグのようだ。もっともゼビウスの方は黄色だが。

さて浴槽へ。
三槽あり、深風呂、浅風呂、木の浴槽となっている。

まずは中央の浅風呂から。
バイブラが少なからず噴出しており、湯温は44℃ほど。
肌がややヒリヒリする程度。熱すぎず、長湯を楽しむにはとてもいい温度である。
壮大なペンキ絵が眼前に広がっている。
「和歌山 平成17年10月25日 早川」と記されている。
切り立った海沿いの崖が迫力のあるペンキ絵。島には松が一本。反対側には滝。
空が広く、それがこの銭湯の空間の広さにつながっている。

続いて深風呂へ。
湯温はほぼ同じ。
こちらは座ジェットになっている。
威力は強すぎず弱すぎず。
立ちシャワーでクールダウンし、木の浴槽へ。
檜ではないが、木の肌触りが楽しめる浴槽。
湯温は42℃ほど。

湯から上がる頃にはお客は自分のみとなっていた。
平日の夜に訪れる鶴の湯はおすすめである。

タオルと石鹸を番台にお返し。
番台の女将さんはお若い女性に交代されている。
ありがとうございましたと笑顔でお送り頂いた。

銭湯マップ2008が発売されてから、現在までに廃業してしまった銭湯は浴場組合のHP(こちら>>>)に掲載される訳だが、今のところ目黒区の銭湯はどこも廃業していない。
銭湯を愛する街の人と、モチベーションの高い経営者により、いつまでも目黒区の湯が守られていってほしいと願う夜であった。


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2009年1月20日火曜日

72.目黒区大岡山 亀の湯

仕事を終え、帰り道目黒の方までクルマを飛ばす。

目指すは目黒区の亀の湯。
すぐ側にコインパーキングがあり、22時までは一時間300円とのこと。

亀の湯はマンション銭湯。
二階の部屋の位置はやや高めにあるので、銭湯部分の天井は高めに設定されている模様だ。

入口の暖簾は牛乳石鹸のシンプルなもの。
左右に自販機を従えている。

暖簾をくぐると正面に傘立て。
なぜか10本以上の傘が収まったまま。そのまま長い年月を経ているようで、中に入った傘が朽ち果てている。

男湯は左手。
番台形式なのだが、引戸を開けて番台を見ると改装されてフロントのような趣になっている。つまり木の番台ではない。

おばさまがお座りになられており、挨拶の後、湯賃をお渡しする。
控えめな接客であるがとても笑顔が清々しい。
サウナ料金は200円のようだ。今日のところは銭湯のみ利用しよう。

脱衣場は天井高く、格子ではないがマンション銭湯とは感じられないほどの高さ。
デジタル体重計があり、クラシカルなローラー式マッサージ機、外壁側には庭もある。
植木がいくつかあり、そのすぐ側に大きなはしごが横たわっている。

女湯境の壁の上に表彰状が飾られている。
浴場が表彰されたようだ。新宿余丁町の弁天湯にもあった。
少し高さがあるので何で表彰されたのかはよくわからないが。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
中にはお客が一人もいらっしゃらない。

眼前に広がるは大きな風車、洋風のアーチブリッジ。
天井は脱衣場と同じ高さでほほフラット。やや女湯境に向けて下っていっている。逆への字型。かなり剥げかけている天井のペンキである。
それがまたこの浴場のくたびれ感を醸し出しており、そこはかとなく佇んでいて心地よい。

カランは4-4-5-5-5。島カラン二列である。
立ちシャワーは二基。

しっかり体を洗い、さて浴槽を攻めようかという時にお客さんが一人浴室へいらっしゃった。

浴槽は3つあり、外壁に浅風呂、中央に座ジェット。女湯側には深風呂である。
まずは浅風呂から。
湯温は・・・これがまたかなりのアツ湯。
久々に来た。とても価値のあるアツ湯浴場である。
湯温は47℃はあるだろうか。
ガリウム石の檻があり、湯が流れ込んで来ている。
またこの浴槽はタイルが黒色の為、黒湯ではないかと一瞬勘違いしてしまう。
湯はヒリヒリと肌に刺激を加えてくる。
薪で沸かしてはいないのだろう湯の当たりである。しかし、地下水を沸かしているようである。
心地よいアツ湯。
数分で体が熱くなる。
立ちシャワーでクールダウンし、続いて座ジェットへ。
ここでお客が浅風呂に入り、水をドバドバ埋め始める。
確かに埋める気持ちも分からないでもない湯の熱さではあるが、入浴されている5分の間、常に水を埋め続けており、湯守ではないかと思うほど湯の温度に敏感でおられるようだ。

座ジェットも湯温は変わらず。
さらにジェットの勢いで体感温度は上昇している。
超音波も出ているという札があるが、冷静に読んでいられる状態ではない。

立ちシャワーでクールダウン。
水の温度がぬるめで、これがもっと冷たければと少し残念に思う。

さて、深風呂へ。
こちらも湯温は変わらず。
深い部分の湯温はさらに熱く、まさに修行である。
田町の万才湯、御徒町の燕湯の深風呂を思い出させる。

ストイックな気分に浸るも、壁は洋風。
どこへこの気持ちを修めればいいのかとしばし途方に暮れる。

湯から上がりほてった体を縁側でクールダウン。
この縁側は浴場の外にまで広がっている。さすがに奥までは行く気にはならないが、外へ出て先まで続いていると少し「おっ」と思うものである。

アツ湯を楽しめる目黒区のストイックな銭湯。
水風呂があればなお良し。
女々しい自分に喝を入れたくなった時、また生ぬるい自分を鍛え直したい時にまた来ようと思う。


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2009年1月18日日曜日

71.新宿区西早稲田 金泉湯






















高田馬場の金泉湯へ。駐車場ありと銭湯マップには記載されているが、実際行ってみるとそのようなスペースは見当たらない。
どうしても駐車したいなら、電話などして確認するべきだろう。

自分はものぐさなので近くのパーキングへ。1時間300円だ。

入口は立派な唐破風造。龍の飾りがついている。
靴を下足入れに入れ、自動ドアをくぐるとフロントがあり、左に女湯。右に男湯。そして休憩所がひろがっている。
ソファがあり、イスもある。6人ほどは休憩できそうだ。
そして庭もあるが、そこには立派な池がある。
鯉が優雅に泳いでいる。時折体を翻して、踊るように泳いでいる。大きな鯉が多いが、皆元気なようだ。

湯賃をお渡しし、右手の男湯へ。
脱衣場は天井が高く、こげ茶色の格天井。折り上げ格天井だ。
体重計はデジタル。マッサージ器はローラ二つがむき出しのクラシカルタイプのもの。
まだ15時なので太陽の光が射し込んで来ており場内は明るい。
浴室を見ると、お客の数は多く繁盛しているようだ。

パパッと服を脱ぎ、浴室へ。
お客は10人ほど。
島カランは一列で、女湯境の壁には立ちシャワースペースが並んでいる。立ちシャワーとはいえ、蛇口も完備しているので、何人かは風呂イスを持ち込んで腰を据えて利用している。

カランを確保し、体をしっかり洗う。
体を洗いつつ、天井を仰ぎ見るが二段型でかなり高い。

では浴槽へ。
水風呂が外壁側にあり、続いて強めのジェットが一基。
そのお隣は座ジェットが二基。女湯境の壁側には深風呂があり、はまり込む形の丸形ジェットが備え付けられている。

まずは強めのジェットから。
湯温は43℃ほど。背中をピッタリ付けると強力なジェットが背中を刺激する。とても心地よい。この銭湯の背景はタイルで模様が作られているが、その中に鶴のタイルがあったりする。
続いて座ジェットへ。
水枕完備でしっかり冷たい枕。しかし足を伸ばすとへりにぶつかってしまうので少し狭い。湯温は同じく43℃。
深風呂の方も湯温は同じ。はまり込み型の円形ジェットは久々に味わうことができたが、体全体にまんべんなくジェットが照射されて心地よい。しばし慢喫。

さて、こちらの銭湯には露天風呂がある。
外壁の脱衣場寄りに露天へ抜ける道があり、岩風呂が設置されている。
サッシが閉め切られており、外気を感じることができないので露天という感じはないが、庭が臨めるので気分は良い。

庭にはフロントで見えた池とは別に、金魚が泳いでいる池がある。
浴槽に浸かりながらは見えないけども、それでも充分。

岩風呂は薬湯になっており、「有馬の旅・じっこうの湯」と書いてある。
この湯がとてもいい湯。ぬる湯で温度は40℃ほどではあるが、岩のでこぼこが枕にいい高さで、足を伸ばせる広い湯船に浸かり、のんびりと過ごすことができる。有馬に来たとイメージすれば、できなくもないいい雰囲気である。

湯から上がり、フロントで鯉を見ながら休憩。120円でフルーツ牛乳を購入。常連さんだろうか、何名かがテレビの競馬中継を観戦している。フロントの親父さんも馬券を購入しているようで、真剣に観戦している。

地元に密着している銭湯だ。
女湯から出て来た奥さんに聞くと、女湯にはボスがいたそうで、入ってくるお客全てがそのボスに挨拶をするとのこと。
奥さんは知り合いでもないし、挨拶をせずに体を洗ったりしていると、「お湯を使い過ぎでしょう」とシャワーを止められたそうだ。そのボス曰く、「体を洗うのは洗面器一杯で十分だ」そうである。
しかし、シャワーをたくさん使っていた他のお客もいたそうで、ボスと知り合いであればお湯の使用量に関しては特に何も言われないようだ。

銭湯を70件以上回っているが今までお客に怒られたことは一度もない。男湯より女湯の方がしっかりと上下関係が形成されているのかもしれない。
特にそれはディープな商店街のある街に多いような気がする。

奥さんには申し訳ないが、男湯の方はとても快適であった。
銭湯の場合、やはりいらっしゃっているお客にもその銭湯を良いもの、悪いものという評価を左右してしまうほどの重要度があると言えるだろう。


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2009年1月15日木曜日

--.世田谷区玉川台 藤の湯

3度目の来訪、藤の湯。
二子玉川より自転車で国道246号を用賀方面へ。
5分ほどで到着。行きは坂道でなかなか大変。

改めて破風造を仰ぎ見る。唐破風。目の前に建物がありよく見えないが、昔は見通しもよかったんだろう。

フロント形式でメガネのおばさまがにこやかに座っておられた。
ちょうど、大学生だろうか、女の子と男子大学生が二名、おばさまとお話している。

脱衣場は天井高く、一部格子状になっている。
女湯境の壁の上にある親柱がすばらしい。がっちり太く、まっすぐ伸びて趣きあるこげ茶が力強い。

浴室へ。
お客は6人ほど。
入ると迫力あるヒノキの櫓。
ほんの少し香ってくる黴の匂いと、ヒノキの香り。
ヒノキの浴槽には備長炭が入っている。

浴槽は広いものと、ヒノキの浴槽。
広いほうは座ジェット二基、バイブラだ。

先ほど入り口で一緒になった大学生が二名、大声でしゃべりながら体を洗っている。
島カランの一角を確保して二人で話している。
島カランの反対側には男性客三名。
その三名はヒノキ風呂に入りに行く。そして男子大学生は湯につかり、元に戻らず男性客三名のカランに着席。

その間ずっと話をしている。
きっとどのカランに座ったとか、そういう事は何も考えずにいるのだろう。
男子大学生が座っているときに男性客三名がヒノキ風呂から戻ってきたらどうなるだろうかと観察していたが、うまいこと先に男子大学生は脱衣場へと行ってしまった。

湯から上がると、フロントでは女子大学生、男子大学生、フロントのおばさまの4名でお話になられている。
明日は試合で朝が早い、というようなことを話している。

さて、自転車にまたがり246を二子玉川方面へ走らせる。
家までは3分。帰りは坂を下るだけなので楽なのだ。
瀬田温泉山河の湯のそばを駆け下り、まもなく二子玉川。
藤の湯でよく温まった体は、この真冬でもなかなか冷えない。

地元の銭湯。もはや二子玉川近辺では藤の湯だけになってしまった。
これからもお世話になるがいつまでも心地の良い湯を提供していって頂きたいものだ。


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2009年1月11日日曜日

70.大田区鵜の木 第三松の湯(鵜の木天然温泉)



天気のよい日曜日。陽が傾き始めた4時頃、大田区の銭湯へとクルマを走らせる。

来月車検だが、今のクルマは大きめなので、銭湯へ向かう時に小さな路地などで苦労することがある。できれば銭湯用に小さなクルマにしたいところだけど、何人かで乗ることもあるのでそうもいかない。余裕ができたら銭湯用にセカンドカーでも欲しいところだ。
まぁ、しばらくは無理かな。

さて、鵜の木へ到着。
第三松の湯付近はクルマ通りは少ないけど、道幅も狭く、一方通行もあるので移動しづらい。少し離れた位置にクルマを駐車し、徒歩で移動。
すると煙突からもくもくと黒煙を吐き出している光景を見つけた。

煙突を見つけると、ほっとするものである。
湯が今まさに沸かされている最中。

あれだけ黒煙を出しても大丈夫ということはこの辺りに高層マンションなどがないということなんだろう。
あれじゃ洗濯物も干せないだろうし。

松の木が何本か建物の周りに生えている。正面から入口を望む。

控えめな千鳥破風造でやや内側にカーブがかかっている。

暖簾には「天然温泉」の文字。傘立てがあり、左手には下足入れ。下足板はプラスチックの物だ。

入口をくぐるとすぐ正面フロントがあり、上には空間が広がっているので番台形式をフロント形式に改装したことがわかる。

イスに座ってお迎えしてくれたのは5歳くらいの女の子。お孫さんかな。フロント前に実務をこなしている女将さん。とても元気のよい接客をしておられる。

右手には3人が腰掛けられる革張りソファ。テレビもある。
ドリンクケースも見える。

湯賃をお支払いし、左手の男湯へ。
脱衣場は中型。演歌が大ボリュームで流れている。
表に庭が見え、灯篭もある。
イスがあり、喫煙もできるスペースあり。しっかり分煙ができている銭湯のようだ。

女湯境に柱時計。しかし4時10分でぴたっと停止している。
天井はやや高く、白塗りに格天井。
ロッカーの上には常連さんの入浴グッズがずらっと。人気のある銭湯であることが伺える。ほこりも積もっていないし。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
営業開始間もない時間にも関わらず、浴室は多くのお客さんで賑わっている。
10人以上はカランに。
カランは島カラン一列で外壁から5-5-5-6。立ちシャワーが一基。
体をしっかり洗う。
シャワーはかなりぬるく感じたが、次第に熱くなって来た。

さて浴槽へ。
こちらは浴槽が主に3つ。いや水風呂があるので4つ。
女湯側に黒湯の深い浴槽。
隣には座ジェット二基。
外壁側にL字型で広い浴槽。檻に石が入っており、それに湯が当たり流れ込んで来ている。
どこにも「ガリウム石」のような貼り紙はなく、ありがたみはやや薄いか。

まずはこのL字型浴槽から。
湯温は43℃ほどで、バイブラが出そうな穴ぼこはあるが少ししか泡が噴出していない。
柔らかくいい湯だ。
背景はペンキ絵。やはり東京銭湯はこれだ。
「瀬戸内海 平成20年6月25日」と記されている。
ヨットも浮かんでいるのが見える。

続いて座ジェットへ。
深風呂になっており、水枕も完備。最初は冷たさが足りない枕であったが、徐々に冷たくなって来た。
湯温は43℃。少しずつ上昇しているような印象。

立ちシャワーでクールダウンし、黒湯へ。
深風呂で泡がボコボコと湧きだしている。
色は薄めで10センチほど先が透けて見えるほど。それでも銭湯で黒湯に入れるのはやはり感動だ。じっくり温まり、そのまま贅沢にも黒湯の水風呂へ。

こちらの水温は19℃ほど。蛇口をひねると(当然だが)黒湯(黒水?)が出てくる。
オーバーフローして排水溝へ水が流れ出る仕組みで気持ちよく水風呂を楽しむことができる。

立ちシャワーで体を流し、サウナ室へ。
4人が座れるほどの大きさ。室内には演歌が流れ、砂時計がある。
温度は75℃ほど。
おじさんが二名、世間話をしている。
温度が低めなのでなかなか温まらないが、無料ということで満足度も上がる。お金を払っても設備の良いサウナを求める人は別のサウナに行けばいいだろう。

さて、湯から上がり、フロント前の休憩所で一休み。
いい銭湯だった。
「黒湯温泉演歌系銭湯」といったところか。

近くであれば何度もお世話になりたい銭湯の一つだろう。


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2009年1月10日土曜日

69.目黒区目黒本町 冨士の湯

とても寒い1月の夜。
東京では今日の朝、初雪が観測された。
積もるほどではなかったので、物足りない気分だったのだけれど。

今日は武蔵小山駅最寄りの冨士の湯へ。
クルマで向かった。目黒区の銭湯にしては珍しく、こちらは駐車場完備。
到着した時間は23時頃。
狭いが2台は停められるスペースで、着いたときは一台もクルマは停まっていなかった。

入口には立派な迫力ある看板。
屋号が堂々としている。

大体クルマで銭湯に向かうときは、カーナビに銭湯の電話番号を入力して検索するのだけど、冨士の湯を入力した時、「高原浴場」と出た。

会社名だろうか。

看板の左は道路に向かって塀がせり出しており、中から松の木がにゅっと伸びている。
そしてちょろちょろと水の流れる音。池があるのだろう。

下足を預け、中へ。
フロントが正面にあり、休憩所には一人がけソファが4つ。イスが追加で二つある。

フロントに収まっている男性はかなりお若い。息子さんかな。
声が小さいながらも「いらっしゃい」。
スタンプノートを見て小さな声で「69個目ですか」。
反応は薄いながらも何かいろいろ感じておられるようである。
素朴な印象だがとてもまっすぐなものを感じる雰囲気のあるお方である。
フロントから真っ正面の位置に大きめの液晶テレビ。

広くはないけど、10畳ほどの居心地の良い広さだ。

さて男湯は左手。
中は昔ながらの銭湯を彷彿とさせる空間。
番台形式であったことが伺える。フロントへの小窓があり、開けて用を告げることができる。サウナに入る料金や、石鹸の買い物などができる訳だ。

天井は高く、格天井。
柱時計は大体ある浴室寄りにはなく、フロントよりのかべにあって、しっかり稼働中。
浴室よりの壁には打ち出の小槌を持った大黒様の木彫りがある。
これが大きめで立派なもの。

やはり道路側に面した位置に庭があり、縁側もある。
サッシを開けて鑑賞するが、イルミネーションが池の上にかかっていて和の趣はないなぁ。
しかし全体的にきれいによく手入れされている模様。夜なのでよく見えないのが残念である。
魚がいるのかどうかも分からない。

サッシの前には新旧マッサージ機が一台ずつある。旧の方はおなじみのローラー丸出しのやつだ。状態はよくきれいに使用されている感があって、大切にされているのだなぁと思う。
新旧がすぐ側に並んでいるのを見るのは珍しいけど、おじいさんと孫が並んでいるようで眺めていて微笑ましい雰囲気だ。

ロッカー上に小さな液晶テレビもあり、イスもあってフロントじゃなくてもこちらでゆっくり休憩できる。

トイレを利用させていただいたが、和式のもので壁には大切にご利用くださいのような手書きの貼り紙。この字がまた素朴なもの。
勝手な憶測であるがあのフロントのお兄さまが書かれたものだろうと考える。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
入口は外壁のサウナ室寄りと内側に二カ所設置されている。
浴室はとても清潔。
改装されて伝統的銭湯から卒業したようなイメージがある。
目黒区のHP(こちら>>>)には昔の浴室の写真が載っているようだ(2009.1.10現在)。

天井は二段型で高く、所々古くささも感じるのだけど半分より下側のタイルに関してはきれいである。
お客はたった一人。サウナ室に入って温まった後、脱衣場で休憩したりしながら時間を過ごしておられる。なんとここのサウナは100円。次にくるときはぜひ利用させていただくとしよう。

カランの数を数えながら座る位置を探してみる。
女湯境の壁に沿ってずらっとカランが並び、
そのまま奥の壁も全てカラン。
その向かいに4つカランが並んでいるので全部で20。
すべてのカランの上にライトが点灯していて明るい。この雰囲気は世田谷の月見湯温泉や、大田区の照の湯に近いものがある。立ちシャワーは二基で、冷温別のホース付きシャワーが付いているので「シャワーを使おうとしたら冷たい水が出て来て驚いた」ということがない。

立ちシャワーはもう一つミストシャワーにボディシャワーが付いているスペシャル版のものがある。

体をしっかり洗い浴槽へ。
冨士の湯は中央部分に浴槽スペースが形成されている。
二槽あって、奥側は薬湯。5人ほどがゆったり入れる。脱衣場よりはさらに広く、7人は入れるだろうか。
まずは白湯から。
湯温は43℃ほどで全体的にぼこぼこバイブラとなっている。
ジェットが二基並んでいて、二穴と強いジェットのもの。そして打たせ湯もあるけどあまり威力はない。

続いて薬湯ヘ行こう。
「福寿効」と書かれている。
赤みを帯びた色の湯で、やはりこちらの浴槽も全体的にぼこぼこバイブラとなっている。一件血の池地獄のようだ。
さりげなくジェットが三基付いている。
そして壁側に手すりが付いているんだけど、ここに首を預けると居心地が良い。きっとおじいさま向けに設置されているんだろうけど。

湯温は43℃ほど。若干白湯の方が熱めな気がする。
改めて奥の壁を見るが、こちらには残念なことにヴィジュアル的には楽しませてくれるものがない。ペンキ絵などがまったくないのだ。

目黒区のHPには富士山の絵が見えるんだけれども、改装の際にやめてしまったんだろう。
銭湯にはそういった楽しみも欠かせないような気がするんだけど、なにか考えがあり、必要ないと判断したんだろう。

湯から上がり、フロントでしばし休憩。
おばさんがフロントのお兄さまと歓談中。
お兄さまはとてもはっきりと大きな声でしゃべっている。
途中でお客がいらっしゃって「いらっしゃいませ」というが、それは非常に小さな声。
そのギャップが聴いていてとても面白い。
おばさんとは武蔵小山の病院についていろいろ語っている。
あそこはいいとか、お薬を宅配してくれるとか、そういったもの。

金曜の夜にしてはお客は少ないと感じた。
サウナ100円もいいし、全体的に清潔。庭もあるので池を見ながらのんびり火照った体をクールダウンするのもまた良し。
なかなか楽しめる質の高い銭湯であった。
帰りは近くの揚州商人で黒酢チャーハンと野菜ラーメン。
このお店は水道橋にもあり、昔からよく利用していた。
食べながら次はどの銭湯ヘ行こうか。また、どの銭湯の近くに住もうか。また自分が銭湯を経営するとしたらどんな銭湯にしようか。いろいろ思いを巡らせながら金曜の夜が更けていった。


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2009年1月6日火曜日

68.世田谷区太子堂 富士見湯

仕事が終わり、三軒茶屋へ銭湯巡りに向かう。

目指すは駒の湯。しかし、1月5日、6日は休業との貼り紙がされている。
銭湯マップを開き、作戦を練り直して富士見湯へ。
246を渋谷側に進み、99イチバを左手に曲がり5分ほど歩くと坂があり、下ると到着。
途中に立派な桜の木があった。ぜひ春の良い季節に見たいものだ。

富士見湯はマンション銭湯。
煙突は直方体のもの。
階段を少し降り、0.3階くらい地下に入口。2階への階段は少し高い位置にまであるので、浴室は結構な高さまで天井があるんじゃないかと想像してみる。

紺色のオリジナル暖簾で足元には富士見湯と書かれたタイル。
暖簾をくぐると下足入れがあり139まである。あと傘入れ。

自動ドアを入ると右手にフロント。番台を逆さにしたような形だ。
ロビーは落ち着いた照明。
ジャズを聴かせるバーのようだ。好みの音楽を聴きながら、一杯やりたくなる。
フロントにいらっしゃるのは女将さんであって決してバーといった感じではないが。あくまで照明。

テレビがあり、ソファでコの字型にテーブルを取り囲んでいる。
タバコを吸うスペースもあり、そちらにもテーブル。上にはマンガ雑誌が何冊も並んでいる。
テレビの裏はテラスになっていて大型の植木がいくつか。

落ち着いた旦那さん2名がソファに腰掛け、女将さんと談笑中。

湯賃をお支払いし、左手の男湯へ。
脱衣場は天井低いが中央の丸い部分から木材が伸びていて、ちょっと雰囲気があるデザインとなっている。
アナログ体重計はASANOの高さが低いもの。可愛い形だがレトロ。
テレビが一台あり、画面は小さいがロッカーに乗っかっているのでよく見える。

時間は7時くらい。脱衣場には2名ほどのお客だ。広いので天井が低いものの、圧迫感はない。
パパッと服を脱ぎ浴室へ。
ドアは半自動。二カ所ある。

浴室はかまぼこ型。背景は白樺の壁紙が女湯の方まで一面に貼られている。
島カランは一列なんだけど、かなりゆったりした浴室だ。
お客はこちらにも2名ほど。贅沢にこの空間が利用できそうだ。

カランは外壁から3-7-7-2-2。2-2は奥の壁、女湯境の壁にある。
立ちシャワーブースが4基もあり、女湯境の壁にずらっと半個室で並んでいる。

カランに座り体を洗う。タイルや壁、天井など、使い古された雰囲気であるが清潔。明るく気分がいい。
さて浴槽ヘ行こう。
L字型に展開されている浴槽からはバイブラの音がとにかくよく聞こえてくる。
バイブラはぼこぼこと噴出して高さは30センチほどに達している。これはかなりの迫力。しかもその波が浴槽全体に広がっていき、たっぷんたっぷんとオーバーフローせんばかりに波打っている。

浴槽は深風呂、浅風呂に分かれていて、小さめの水風呂が立ちシャワーと脱衣場の間にある。
まずは浅風呂から。座ジェットが二基、そして赤外線が二つある前にミクロバイブラが二カ所から激しく噴出。湯温は42℃ほど。
バイブラは水枕も設置されているけど全く冷たくない。
バイブラの上にあぐらをかいても体が浮くほどではないので、新宿余丁町の弁天湯よりは劣る感じ。それでもかなりのハイレベルだ。

続いて深風呂へ。
こちらは脱衣場に書かれていたけど、「ローズマリー&マジョラム」の湯。
しかし普通のバスクリンな感じだ。湯温はやはり42℃くらい。
ここから脱衣場境の壁の上を見ると、洋風のタイル絵が見える。
民家何軒かと車一台のタイル絵。煙突からは煙が出ているので北欧だろうか。

富士見湯という割に富士山はまったくどこにもない。

しっかり湯で温まった後、水風呂へ。
水温は20℃ほど。
やはり水風呂があると銭湯もかなり違う。

湯から上がり、ロビーでしばし休憩。
ドリンクは自販機と、ビールなどが入ったドリンクケースがある。
ビン入りコーヒー牛乳が自販機に並んでいる。
自販機にビンがあるのも珍しいな。その隣は缶入り牛乳。これまた珍しい。
しかしビン入りの方は売り切れ。残念である。
無難にエネルゲンをチョイス。

それにしてもいい雰囲気のスペース。
富士山は拝めなかったが、落ち着いた雰囲気のいいロビーに出会えた。もちろん浴室もいい。またぜひ来たいと思う渋い照明が印象的な銭湯である。


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2009年1月4日日曜日

67.杉並区高円寺北 なみの湯

1月4日日曜日、朝湯を実施している銭湯を杉並浴場HPでチェック。
本当に便利なHPだ。

以前、小杉湯に行く途中で通り過ぎたなみの湯へ行くことにした。こちらは年始だからというわけでなく、毎週日曜日は朝湯を実施している模様。

到着すると駐車場を探すが、すぐなみの湯右手にある駐車場には特に専用駐車場とは書かれておらず、よくわからない。なので目の前にあるコインパーキングへ。

なみの湯はマンション銭湯。
入口で靴を下足入れに預け、中に入る。
左手にフロントがあり、右手は休憩所スペース。物が色々あり、楽しめそう。その分すっきり感が失われているので、好みは分かれそうだ。

親父さんはマスクをしておられる。たまに咳をしている。風邪をひいているのだろうか。ケータイをいじっていながらも元気な接客。

湯賃をお渡しし、左手男湯の脱衣場へ。
アナログ体重計がありYAMATOのもの。奥にぶらさがり健康器がある。
お客がかなり多い。日曜の朝湯が浸透している証拠だろう。

天井は低い。性器に塗りつけないでくださいと書かれているクリーム、地下水が出ると書かれている蛇口がある。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
とにかくお客が多い。空きカランを探しつつチェック。

島カランが二列。女湯よりから4-2-5-4-4-5、最後の5の浴槽寄りはシャワーなし。立ちシャワー二基。
なんとプールがあり、ご主人がヘルニア治療に役立った経験からとある。
女湯境にあるプールは男女の浴室から入れるようになっているが、今は男湯側のみ開いている。利用料金は別。水風呂としては利用できないので、少々残念。
プールで水中歩行をしに来てるのに水風呂として裸で入ってくる人がいたらそれは嫌な気分だろう。

カランを一つ確保。
通常鏡の下に入浴グッズを置くよう段があるはずが、こちらはフラットになっているため、カランとカランの間に網棚がある。

ケロリンの桶に湯を貯め、体をしっかりと洗う。
浴槽へ。

背景は赤富士。
一応ペンキ絵だがこれがかなりシンプル。大きな舟が二艘。

プールの他に座ジェット二基、深風呂、浅風呂といった構成だ。どれもが浴槽の中でつながっている。
まずは座ジェットから。湯温は43℃ほど。
片方は左足裏のジェットが出ていない。でもとても心地よい湯。
地下水を汲み上げて沸かしているそうだ。
窓から差し込む明かりに照らされた浴場。朝湯というのはいいもの。
御徒町の燕湯以来だ。

脱衣場よりの天井はwwと波打っている。浴槽よりの天井は高く、奥の壁に窓が付いており換気扇で湯気抜きされている。
マンション部分の天井がwwとなっている形。

浴槽奥のへりに背を付けて湯を楽しんでいると天井より3秒おきに冷えた滴が垂れ落ちてくる。
ちょうど上がフラットになっている為だ。

続いて浅い風呂へ。
こちらも湯温は同じ。他に深風呂がある。
壁に広告を掲示するスペースがあるがそこがカーテンレールになっていて、パウチされた新聞記事が吊られている。入浴中に読めるようになっているのだ。

広告は女湯境の壁にある。背景広告社の電話番号もしっかりある。

湯から上がりフロントで一休み。
ハーブティを自由に飲めるコーナー、パソコンがある。マンガ雑誌がずらっと並ぶ。
おにぎりもあるようだ。
それにしても親父さんは相変わらずケータイをいじっておられる。

日曜に朝湯に入る。そんな習慣もいいかもしれない。
そう感じた1月4日の朝だった。


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2009年1月3日土曜日

66.杉並区宮前 第二石原浴場


杉並区浴場組合のHPを見て、年始に営業している銭湯を調べた。
その中から、第二石原浴場(ニュー石原湯)へ。

駐車場付きということで車で向かうと浴場隣にコインランドリーがあり、その前に二台分の駐車スペースがある。一台も停まっておらず、難なく駐車。

下足入れに靴を預け、自動ドアを中へ。
フロントが右手にあるが誰もいない。左手の広いロビーの掃除をしている女将さんがこちらを見ていらっしゃいと声をかけて下さる。

入浴券をお渡しし、左手の男湯へ。
脱衣場は広く、天井は低め。

脱衣場にはテレビもなく、人もいないのでひっそり静かである。アナログ体重計はKEIHOKUのもの。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。

浴室はかなり広い。
島カランが二列。
奥の壁、外壁に沿ってL字型に浴槽が連続している。

カランは5-5-5-5-6。6のうち3つが高齢者・障害者優先カランとなっており、シャワーがホース付き。立ちシャワーは二基。
脱衣場にせり出す形であるのはラドン浴槽。有料になっており、森林浴と書かれてある。フィトンチッドの香が洩れてくる。

体を洗い、浴槽へ。
まず女湯境から座風呂二基。高温浴槽があり、露天への通路を挟んで寝風呂、広めの浴槽にはミクロバイブラ、電気風呂、床に網が張られている浴槽、入口には掛け湯もあるが湯は溜まっていない。

座風呂へ。湯温はかなりぬるく40℃ほど。高温浴槽があるから差別化を図ってぬるくしているのだろう。
背景はなぜか外壁沿いにあり、ランダムチップタイルで抽象的な絵。黄色や、赤、オレンジ、金色などで波のような絵が描かれている。

続いてミクロバイブラ。やはり湯温は40℃ほど。バイブラの威力はそれほどではないものの、心地の良い湯を楽しめた。
寝ジェットは水枕も完備。しかし残念ながらまったく冷えていない。
また電気風呂の電極は三カ所にあるものの、電気力はほとんどないと言っていいほどの弱さ。電気初心者の自分でさえ、ぺったり電極に体を貼付けても若干ピリピリする程度で平気なのである。これはこの地域の電気風呂ファンを満足させることはできないのではないだろうか。

続いて床に網の貼った浴槽。
これは謎である。足ツボに刺激のある浴槽だろうか。それともバイブラを発生させるつもりが故障してしまった浴槽であろうか。

続いて露天スペースへ。
こちらは天窓が開くようになっており、露天というか外気を感じることができる程度の露天。
水風呂と軟水風呂、サウナ室がある。

軟水風呂は5人はゆったり入れる大きさ。湯温はこれまたぬるく40℃ほど。
肝心の軟水だがさほど感じることができない。少し優しさのある湯だろうか。
天窓からは空も見えず、露天の良さはほとんどない。
水風呂は22℃ほどか。

中に戻り、高温浴槽へ。
3人ほどが入れる浴槽で、湯温は43℃ほど。決して高温ではないが、他に比べると確かに高い。やっとまともな湯に浸かることができたように思う。
お客は4人ほどだが皆高温浴槽がお気に入りのようだ。交互に入っている。

湯から上がり、広めのロビーで休憩。
ソファ、テレビ、ドリンク自販機もあり、ドリンクケース、アイスも販売している。
なぜかスニーカー型のイスがあるのが不思議。しかも3つ。
あとはクジャクの立派な剥製も。

住宅街の中にある銭湯。昭和のモダンな銭湯。
伝統的銭湯を求める人には不満も多いかもしれないが、広めの浴室、ロビーでのんびりするにはいいかもしれない。


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65.葛飾区宝町 末広湯

一月二日、今年初めの銭湯である。
葛飾区の末広湯を目指した。
なぜ葛飾区かというと奥さんの実家へ行く途中にある銭湯であるからだった。

駐車場は右手に8台あり、かなり余裕がある。
駐車して下足入れに靴を預ける。番台裏の傘置きがよく置いてあるスペースにはシクラメンの鉢植えがある。他にも鉢植えがある。
引戸を開け、番台の女将さんに新年のご挨拶をする。
到着したのが1時だったのだが、女将さんは1時までなのよ〜とおっしゃられたが、片付けをさせてもらうけど、入っていっていいわよとのこと。

笑顔で優しい声をかけて下さる。
ご好意に甘えて、入ることにする。

脱衣場の天井は高い。格天井ではないものの、木のいい色が出ている。
島ロッカーの置いてある跡がついているが、今はない。大掃除でもする予定なのだろうか。それとも廃棄してしまったのか。どうだろう。

壁には「大入」と書かれたものや、女湯境の壁に「千客万来」の彫刻がある。古いものなのだろう、とても趣を感じるものだ。
境の壁は鏡が続いており。柱時計も立派なもの。この銭湯の懐の深さ、歴史を感じることができる。
庭もあり、植木もいくつか飾られている。

パパッと服を脱ぎ、浴室へ。
お客は一人。営業は1時までなので、実際は一人もいないはずなのだが、きっとぎりぎりに入ったのだろう。

桶と風呂イスを取り全体を把握する。
今となっては貴重な木の桶。手に取るだけで幸せな気分に浸ることができる。

島カランは一列。7-6-6-7。島カランにはシャワーが設置されていない。女湯境の壁にはタイル画が三種類描かれている。「麿」との表記がある。背景は立派な富士山。中腹にある宝永山も描かれている。背景で小富士を見たのは始めて。平成16年12月8日美保の松原 早川と書かれている。
舟二艘が接岸されていて、女湯境には一本の立派な松。
素晴らしい背景だ。

しっかり体を洗い、浴槽へ。
浅風呂、深風呂の二槽で今日はハーブ湯の日だ。香からしてラベンダーの湯。
お客はお一人がお帰りになられて既に自分一人。
浅風呂から攻めることにしよう。
湯はかなりぬるい状態。閉店なのでもう湯を沸かしていないのだろう。背景をじっくり眺めながら柔らかく、心地の良いハーブ湯を楽しむ。
途中、釜場の扉からブリーフ一丁の親父さんが登場し、湯に浸かる。どうやら掃除の前に温まる模様。
女湯側に入り始めている子供達が騒ぐ度に「静かにしなさーい」と声を投げかけている。身内のお子さんのようだ。

次は深風呂。
湯温はやはりぬるい。どちらも40℃に満たないほど。まぁもう店じまいなのでぬるいのも仕方がない。
天井は二段型で高く、銭湯の雰囲気を体一杯に感じることができる。
今年もまだ見ぬ銭湯との出会いを多く楽しみたいと思う。

湯から上がり、女将さんに干支石鹸を頂く。
笑顔で優しさを感じる接客。
銭湯マップでは地味な紹介文しか記されていなかったものの、実際訪れてみるとその温もりにひたすら感動を覚えるばかりだ。

浴室にも脱衣場にも注意書きが少ないことにまず心打たれる。浴室には「染髪を洗い流すのはやめましょう」という浴場組合のものだけ。後は何もない。
浅風呂には檻があり、石に湯が当たりそれが浴槽に流れ込んでいるのだが、その説明書きもない。
注意書きがないのはお客を信用しているという思いがあるのだろう。〜するなという宣告はお客にストレスを少なからず与えてしまう。
もちろん、マナーのないお客がいるからこそそういった注意書きが必要なのだが、お客側にとってみたら信用されていると感じるからこそ、マナーを意識して銭湯を利用しようという気にもなるのである。

おかげでストレスを感じることなく、ゆっくりと湯を楽しむことができた。
最高の湯。

暖簾をくぐり、外へ出る。
今年はいい一年になりそうだ。今日、末広湯に訪れたおかげでそう感じることができた。来てよかったと思える銭湯。近くに住みたいと思う銭湯であった。
これからクルマに乗り、親戚の家へ。
気持ちよく新年のご挨拶ができそうだ。末広湯に感謝しつつ、また来たいという思いを胸にクルマを走らせた。


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64.新宿区市谷台町 大星湯

2008年大晦日、一年の労をねぎらう意味で銭湯へ。
クルマで新宿区にある大星湯へ向かう。

銭湯マップには駐車場ありと書かれているものの、到着してからフロントの親父さんに確認すると、「駐車場はないです」とのこと。
親父さんは天井近くにあるテレビで格闘技を観戦中。
フロントにあるテレビとはいえ、3人ほど座れるソファの頭上にあるので、お客からはテレビが見えづらい。

クルマを近くのコインパーキングに駐車。22:00までは15分100円。

大星湯はビル銭湯である。
さて、下足入れに靴を預け、半自動ドアをくぐる。自動とあるので勝手に開くのかと思いきや、半自動ドアなので自分で開ける必要がある。
フロントがあり、右手が男湯。

脱衣場は島ロッカーが一つあり、天井近くにテレビが一台。
お客は3人ほどが服を着たり脱いだり。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
背景は巨大なヨットのランダムチップタイル。
これはどこかでまったく同じものを見かけたことがある。

浴室も天井が低く、フラット。湯煙が充満しておりポカポカと暖かい。

カランを確保し、体を洗う。
シャワーの湯が少し熱いかな。ちょうどいいくらいだろうか。

さて浴槽へ。
三槽あり、外壁寄りから電気風呂、ジェット風呂、水風呂、そして男女境にサウナ室。
まずはジェット風呂から。
ジェットは二基あり、威力はなかなか。
腰掛けると脱衣場のテレビをなんとか見ることができ、長湯も居心地がよい。
湯温は43℃ほど。

隣の電気風呂へ湯がオーバーフローしている。
次は電気風呂へ。
やはり湯温は変わらない。
左右の幅が広いので中央に座っても電気力は弱め。今日は神宮外苑のバッティングドームで遊んで来たので少々筋肉痛。ここでじっくり筋肉を癒す。

さて、一基ある立ちシャワーでクールダウン。
この立ちシャワーには注意書きがあり、水を使う場合は後で湯を使う人が冷たくてびっくりするので、最後に湯を出すようにとある。
冷たかったと文句を言ったお客がいるのだろうか。
とてもあまのじゃくである。大体立ちシャワーを使うときは水が出ることを予期しているものである。
まぁ書かれているものはしょうがないので、クールダウンした後に湯を出しておく。

何度か湯を楽しみ、水風呂にも入る。
湯温は22℃ほど。少しぬるめだがないよりはいいだろう。

途中、サウナ室から墨の入ったお客が出て来て水風呂へ。
水風呂の中で手鼻をかんだりしておられる。

他のお客に嫌がられると思わないのだろうか。
不思議に思いつつも湯から上がる。

フロントでは牛乳120円を頂くも親父さんはいない。
若めの跡継ぎであろうか。お兄さんがあっちへいったり、サウナタオルを持って来たり、またコインランドリーへ行ったりしている。
お金をフロントに置き、牛乳を頂く。

なにかコインランドリーでお客と長話をしているようだ。
牛乳を飲み干し、帰ることにする。

昭和の雰囲気はない銭湯だが、地元住民は頻繁に利用している模様。
また利用しに来ようと思う。今度はサウナに入るとしよう。


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