2010年4月3日土曜日

155.新宿区高田馬場 世界湯

新宿の銭湯、世界湯を訪れた。

高田馬場から少し車で離れるとすぐに住宅街になり、車で通り抜けるには狭すぎる道となる。今日は金曜の夜、ただでさえ狭いというのにほろ酔い気分の通行人や学生などが思いのままにふらふらと歩いている。車で来るには全く向いていない地域である。

世界湯はそんな住宅街の中、新築のマンションの一階にある。こちらのマンションはまだ一年も経っていないようだ。世界湯はそれと同時にリニューアルオープンされ、この4月で10ヶ月ほどになる。


夜の11時頃、さすがに街は静まりかえっている。世界湯の屋号は見事に明るく光を放っている。自動ドアから中に入ると透明なプラスチックの蓋の下足入れ。メーカーは書いていない。入口は段差が全くなく、お年寄りにも優しい設計。
中に入ると広いロビースペース。液晶テレビもとにかく巨大。50インチ以上はあるのではないだろうか。10人以上、座ってのんびりできる。壁も白く綺麗で居心地が良さそうだ。

奥まったところにフロントスペース。女将さんが疲れた表情を時折覗かせつつ、お仕事をされている。下足入れのキーを預け、ロッカーのキーと交換してもらう形式だ。

右手が男湯。
中はやはり新しい。白い天井と壁、床はゴザの模様。体重計はデジタルで「AND」。
趣はないけど、昭和を忘れて今の銭湯の形というものを楽しんでもいいのではないだろうか。

パパっと服を脱ぎ浴室へ。
中は照明が抑え気味で落ち着いた雰囲気を演出している。やはりどこをとっても清潔。天井は外壁に向け徐々に低くなっていく切妻屋根であり、そんなに高くはないが閉塞感は感じない。女湯境がどちらなのか、よくわからなくなってしまったけどおそらく浴槽側だろうと思う。浴槽群が壁に並び、カランはその向かい側の壁三方とぐるりと回って配置されている。島カランは一列。全部で19ある。立ちシャワーはないが、ハンドシャワー付きのカランもあるので立ちシャワーを利用したいのであれば、そこを使う必要がある。

お客は7〜8人ほどで、ほとんどが学生か。ご年配の比率は時間帯からしてかあまりいらっしゃらない。学生たちは鼻歌や口笛や、おしゃべりをしながらゆうゆうと湯を楽しんでいる。

体をしっかりと洗い浴槽巡りへ。
まず女湯境に並ぶ浴槽は大きい物が一つ。そこに円形のボディジェット、座ジェット、電気風呂といった設備がある。扉を抜け、奥に向かうとそこはサウナ室と水風呂と岩風呂もある。

まずは広い浴槽の円形ボディジェットから。ボタンを押すと3分ほど体にジェットが噴出する。勢いはなかなか。湯温は41℃ほど。かなりぬるいのでじっくり温める必要がある。

続いて座ジェットへ。
足の裏もジェットが出ており、快適だ。しかしこちらの湯は全体的に塩素の匂いがする。湯触りには少し不満は残るがまぁ衛生第一という事で目をつむる。

続いて電気風呂へ。
若者が多いからか電気力はかなり弱い。得意分野ではない私でさえびったりと背中を押し当てても平気である。二段式になっている浴槽の高い部分に電極板が取り付けられているので、座るとちょうど腰に電気を当てる事が出来る。これは座り仕事である自分には快適であった。こちらでしばし電気と湯を楽しみつつ、背景を仰ぎ見る事にする。

タイトルは「イグアスの滝」。ご丁寧にもプレートでそう書かれている。
チップタイル画でやや抽象的な描写。遊び心のある色使いであるが、全体的にはリアル志向である。天井も低めなので壁の面積が狭く、しかも隅までタイル画となっていないことから少し迫力には欠ける感は否めない。

体も温まり、続いて岩風呂へ。
御影石が浴槽の縁に使われている。ごつごつした岩ではなく、上品な切り出し面の岩を使った岩風呂。照明はさらに暗めで雰囲気は良い。温泉地の岩風呂、とまではいかないが高田馬場でこれだけの岩風呂に浸かる事が出来れば文句はない。

水風呂は水温22℃ほど。4人くらいは入れる大きさ。サウナを利用している方はいらっしゃらないが中をのぞくと広さもあり、テレビもあり清潔で、入りたくなってしまった。また来る時に利用する事にしよう。

湯から上がる。
ロビーで奥さんを待ち、お話を聞く。
女湯側の背景はマッターホルンであったとの事。それよりもなによりもお客さんに一人ベビーパウダーを脱衣所でまき散らしつつ体に振りかけているおばあさんがいたとの事。おかげで女湯の脱衣場は真っ白だそうだ。
しかもその方は水埋めをしまくるお客だったとの事で、浴槽はとにかくぬるくなってしまっていたらしい。
その他にもギャル二名が全く体を洗わず、掛け湯もせずに浴槽に入っていったりしてとにかくマナーは最悪であるとの事。内風呂が一般的となってしまい、マナーをさほど重要視していないスーパー銭湯が普及し、さらには銭湯でも番台が激減しフロント形式が主流となっている中、どうにも銭湯でのマナーというのを教える、学ぶ場所はほとんどないと言える。

銭湯が新しくなってお客が増えるのはいいが、あまりに綺麗になりすぎてスーパー銭湯に片足を突っ込んでしまうと、長く日本の湯事情を支えて来た昭和の銭湯というシンボルは失ってしまうと言えそうだ。やはり番台であり、宮造りであり、深いのと浅い、たった二つの浴槽しかなかったとしても、そこにはそれ以上もそれ以下も必要がない充分に満ち足りた空間を生むことができるのである。


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2 件のコメント:

  1. あらかわせん2011年7月16日 22:37

    こんばんは。

    改装前の世界湯には結局行けなかったのですが、改装後には何度か行きました。
    もう少し天井が高いといいなぁ、と行ったビル銭湯ですね。
    トイレは洋式で、しかもきれいで嬉しいです。

    ところで、マナーの問題ですが、偏見かもしれませんが、年齢が高い人の方がヨロシクナイ場面も見られます。
    タオルを湯船に入れてそれで顔を拭う、かけ湯せずにいきなり湯船に入るなど。

    シャワー出しっぱなし、身体が濡れたまま脱衣所にあがる、桶や椅子を片付けないなどは、年齢関係ないようにも思います。

    さすがに、洗濯している人はまだ見たことがありませんが(笑)。

    銭湯って、私にとってはちょっとした小旅行を味わうようなもので、家よりもゆったり入ることができるのが嬉しいですね。

    近所に銭湯がある人は、是非行って欲しい場所です。

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  2. 世界湯はきれいな銭湯ですね。

    マナーに関しては私も年齢は関係ないように思います。男湯側ではさほど嫌な思いをした覚えはないのですが、女湯ではいろいろあるようです。湯に浸かりながらマンガを読んだり、バスタオルをまいたまま湯船まで移動したり(さすがに入浴する時は外したそうです)。

    それはそれで人間観察と思って楽しめればいいと思います。日々の疲れを癒す場所ですのでいらいらしたくはありませんからね・・。

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