金曜の夜、めっきり寒くなった11月の終わり。
こんな夜はやはり銭湯。
一週間ぼちぼちがんばって働いた体をじっくり温かい湯で癒すとしよう。
時間は9時くらい。もう遅いので地元世田谷辺りでまだ行ってないところを探す。
まず目星をつけて向かったところは千歳烏山の「松の湯」。
松の湯という屋号を語る銭湯にはハズレはないなと勝手に感じているので、ちょっと期待を膨らませつつも車を走らせる。
コインパーキングに駐車し、目的地を目指す。
京王線の線路のすぐ側に煙突がにょきっと生えている。
コインランドリーがあり、煌々と灯りがともっているが、肝心の松の湯からは灯りは洩れていない。
ちょっと不安に思いつつも、線路を渡り、正面へ。
案の定。
「当分の間休業致します」の張り紙。
遅かったか・・・。
しかし、当分の間っていうのはかなり長いようなイメージである。
先が見えないんだな。でも廃業を決断されなかっただけよかったかもしれない。
いつか復活する日を心待ちにするとしよう。
それでも左右に設置されているコインランドリーは元気に営業中。
というわけで、次は近くの増穂湯へ行こうかと思ったけど、こちらはフロントなのでまた今度。最寄りの番台銭湯というと給田湯があり、そちらへ向かう事にした。
コインパーキングはちょっと離れたところにしかなく、車で行くには向いてないかも。
20分100円。まぁまぁ安い。
給田湯はわかりやすく世田谷区給田にある。
給田という地名も珍しいし、ググってみても給田湯は世田谷区のみ。オンリーワンだ。
給田湯はマンションの一階。
マンションというよりもアパートか。アパ銭?
上には2フロアしかない。
電気は全くついてないので誰も住んでないのだろう。
部屋に行ってみたい気持ちがあるが我慢しよう。
しかし、一階の銭湯部分はかなり天井が高そうだ。2階部分までの高さを銭湯が占めているといってもいいだろう。
「ゆ ゆ」と書かれた暖簾。とても素直で心に響いてくる。
もう一枚撮ってしまった。
下足を預け、傘置きがよく置いてある番台裏スペースをみると立派なタイル絵。
こうして宝船に守られているかと思うと安心するだろうな。
引戸はからからと軽く開く。
番台であるが、誰も座っていない。
4人ほどのお客に混じって会話をされている中の一人がご主人のようだ。
湯賃を手渡しすると、親父さんは番台の扉を開けお金をしまう。
そしてまたお客との会話をし始める。
そういえば「いらっしゃい」と言われてないな。
脱衣場は天井高く、とてもこの上に部屋があるとは思えない。
格天井のような天井。しかし、正方形の格子ではないので正統派ではない感じ。
それにしても全体的に流れるこの昭和の雰囲気はたまらない。
アナログの体重計はTANAKA製。
庭も見える。広くはないけど、なかなかいいではないか。
それにしても親父さんはよくしゃべっている。
常連さんが来ているからだろうが、お客と時事ネタで盛り上がっている。
さてパパッと服を脱ぎ浴室へ。
こじんまりとしている浴室。しかし天井は高い。本当にこの上に部屋があるのかと思う。
島カランは一つ。5-5-5-5で20。立ちシャワーが一つあり、なんとサウナが無料。
あとでじっくり楽しむとしよう。
奥行きもさほどなく、幅も広くないのだが、とても開放感がある浴室。
天井が高いことの効果はかなりあると思う。
それと、この湯煙。
全体に白く湯煙が広がりぽかぽかとしているのがいい。
カランの一つを確保し、体を洗い始める。
たまたまだがそこのカランはお湯も水もどちらも水色の印がついている。
赤い印がなくなり、水色を付けたのだろうか。
お湯は熱めでちょうどいい。
水を混ぜなくてもなんとかなるが、少し入れるとちょうどいい感じ。
女湯境の壁にはギリシャのパルテノン宮殿のようなタイル絵。
宮殿。給田。
考え過ぎかもしれないが給田と宮殿で掛けているのかもしれない。
さて浴槽へ。
深・浅の二槽式。浅風呂へ。
広い浴槽で片側はバイブラになっている。反対側は檻があり中に石。ガリウム鉱石だろうか。でもどこにも張り紙はなく、ただ湯が石に当たり、それが浴槽に流れ込んできている。
深風呂との境は壁がほとんどないので湯温は同じくらいだろう。43℃ほど。
湯が柔らかくとても心地よい湯だ。
首を浴槽の縁にもたげ、背景を仰ぎ見る。
おお、富士山。ペンキ絵だ。
控えめな大きさであるが立派。手前には湖だろうか。松の木も見える。
女湯との境には島。
剥げ落ちてる部分もなく、状態はかなりいい。しばし湯を楽しみながらペンキ絵の中に自分を投影する。
すっかり体も温まり、立ちシャワーでクールダウン。
そして深風呂へ。
こちらは座ジェットになっていて、二基ある。
水枕があると完全に寝た状態になりたいとこだが、深風呂なので座るのにいいようになっている。こちらはポジショニングが少々難しいか。
さて次はサウナだ。
湿式サウナで温度は50℃の表示。
3人ほどが座れるほどの大きさ。ベンチの後ろにチューブが通っていて、時折そこから水が出てくる。ベンチの汗を流す為のものだろう。
砂時計も何もないが、無料なのは何よりも嬉しい。
何度か立ちシャワーとの往復を繰り返す。最高ではないか。
湯から上がり、火照った体を冷ましていると、やはり親父さんはまた違う常連さんとお話をしている。まだ一度も番台に腰掛けている親父さんを見ていない。
ずっと男湯側の脱衣場に立っており、新聞を見たりテレビを見たり、常連さんとお話を楽しんでいる。まるで友のように会話をしている。
スタンプをもらうチャンスを伺っていたが、話が一段落ついたとこでお願いする。
いろいろ行ってるんだねとのお言葉をちょうだいした。
ドリンクはコーヒー牛乳110円をいただいた。「ありがとうございます」の言葉はなく「うむ」とおっしゃる。帰る時も何もなし。
接客という概念はなさそうであるけれども、とても親しみはわく。お客として扱うのでなく、親父さんが沸かした湯に入りにきた近所の人といったような温かいコミュニティーに加わっている感覚を覚えた。
すぐにお仲間に入れてもらえそうだ。
しかし外へ出てこの建物を眺めるが・・上にある部屋が気になる。
銭湯の上に住むとやはり湿気に困るのであろうか。
床暖房のように床は温かいのだろうか。
一度、住んでみたいなと思う今日この頃である。
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