清瀬市銭湯、宝湯を訪れた。
ここには以前間近まで来たことがあるのだが、駐車場有りと謳いながら(銭湯マップにそう書かれている)どこにも見当たらないため諦め他に行くことにしたという経緯がある。
その後どこかのサイトで市役所の駐車場が利用可能と言うことを知ったので、再度来訪。
到着すれば確かに宝湯の目の前は広大な市役所の駐車場。昔から市役所と共にこの街の発展を見守って来たと言うことで駐車場も共同なのだろう。
時間は15時半過ぎ。
駐車場からは宝湯の煙突も望める。周りに高層建築が皆無なので煙突も我が物顔で居心地がよさそうだ。
ぐるりと一周巡ってみると廃材置き場があり、ペンキ絵のお試し?のような板も置かれたりしている。
そして広告板もある。
釣り宿・舟、とあるが柳瀬川で釣りでもしたのだろうか。
いや、隣の川島交通というタクシー会社は市外局番が04992である。長いなと思い検索を掛けてみるとこれが伊豆大島。なぜここに伊豆大島の看板が・・・。ご主人は伊豆のご出身だろうか。
煙突には郵便受けがくくりつけられている。清瀬の宝湯と書くだけで簡単に郵便が届けられるだろう。こんなに分かりやすいランドマークは他にない。
宝湯を囲むようにクリーニング屋、魚屋など銭湯街が小規模に展開されている。ひなびた感は拭えないがその昭和の埃っぽさが肌にビシビシ感じられてたまらない。
そしてネコも何匹かひなたぼっこをしている。警戒心が強いのでそこまでいい思いばかりをしている訳でもないらしい。なので離れた位置から写真を撮らせていただく。
さて銭湯へ。
千鳥破風がちらちらと壁上に見えるが基本的には改装され隠れてしまっている。改装といっても最近ではないようでそこかしこに朽ち始めが見てとれる。
中に入ろうかとしていると、ご主人だろうか、中に駆け込みながら「4時からだけど中に入って待っていていいから」とのこと。
今は15時40分くらい。
下足入れに靴を預け、鉄の札を手に取る。中は寂れた街のスナックのような、そんな内装。椅子が丸く腰当ての部分が少し高くなっているまさにスナックの椅子で、それと床や壁のカーペットや壁紙の暗い感じがそれなのである。
テレビを付けていただいたので眺めながらしばし開店までの時を待つ。
天井は低く、銭湯のフロントという感じはあまりない。ドリンクケースが二つ。1010の4月号が置かれているけど2月号まであるので地元の方々にはあまり銭湯情報を吸収しようという積極的なお方は少ないようだ。
ご主人は男湯に入り、女湯に入り、どたばたと開店準備をされている。そんな中、湯客(皆女性)が何人か訪れ、吸い込まれるように脱衣場に入っていく。時間はちょうど16時。ご主人もぴたりと準備を終えたようでその方々から湯賃を回収していく。
私も続いて脱衣場へ。
男湯は左手だ。男側では一番乗りで中に入る。
入ると同時にご主人が駆け込んでいきサウナ室に消えていく。床にはぞうきんがあったりする。とにかくどたばたしているご主人である。
男湯側はまだ開店準備が万全でないようだが 、気にせずロッカーを確保。
パパッと服を脱ぎ、脱衣場の観察をする。
天井は高い。しかし白い天井で味わいはない。体重計はアナログでTANAKA製。レトロ感というよりガムテープなどで補修されてボロボロ感がある。相当酷使されてきたようだ。
庭が壁までの1mほど、横に数メートル広がっている。苔むしているしそんなに見所はないけど明るいので若干気分も清々しい。
女湯境の壁上にテレビがおかれているが電源は入ってない。まだ開店したてなのだ。いろいろと電源は入ってなくてもおかしくはない。サウナ室やカランなど、まだ十分に熱くなっていないんじゃないだろうか。
さて浴室へ。
青い壁に天井に、そして富士のペンキ絵。まずこれは印象的だ。丸山氏の富士。湯につかるのも忘れて鑑賞気分となる。
天井は高く二段式。外壁側にはサウナ室があり、カランが4つ。島カランは一列なので外壁側から4-6□6-5(-は通路、□は島)。立ちシャワーは女湯境の壁に一基ある。
一番乗りなので余裕でカランを確保。案の定、湯はでない。まだ温まりが足りないようだ。しばし出し続けるもずっとぬる湯なので諦めてシャワーを出す。シャワーは適温である。
体をしっかりと洗い、浴槽へ。
こちらは奥の壁にずらっと浴槽が並ぶ形だ。外壁側に水風呂、中央にミクロバイブラと座ジェット二基、女湯境の壁際に森林浴ルームがある。
まずはミクロバイブラから。ここは半円型に洗い場側に浴槽の縁がせり出している。そちらに背を当てると背景をじっくり拝める。残念なのは森林浴の個室があるせいで座った状態では富士を見ることができないということ。
それはさておき、湯温は42℃ほど。ミクロバイブラ浴槽は座ジェットなども同じ広い浴槽なので 湯温はいずれも同じ。
壁に檻があり中に岩が二つ、ゴロンと置かれている。それに湯が当たり湯船に流れ込んでくる。ガリウム石などの張り紙はされていない。その湯が流れ込んでくる所のすぐ下に袋があり、中に備長炭が入っている模様。その張り紙はされており、備長炭風呂によりアルカリ性となった湯は心地よい、というようなことが書かれている。
湯は柔らかいが塩素臭が漂う。水風呂からだろうか、徐々に薄らいでいくようなので開店したてだからかもしれない。
丸山氏の背景は「西伊豆 22.2.9」と書かれている。今年に書き換えられたものでまだ状態はいい。岩の淵の優しい筆致がすっと瞼に入り込んでくる。心地よいひと時だ。
続いて座ジェットへ。二基あるが浅い座ジェットと深い座ジェットの二通りとなっている。水枕は共通でしっかりと冷たいが、残念なことに少し位置が高い。
十分温まったところで水風呂でクールダウン。水温は19℃ほど。キンキンに冷えている。
水風呂の栓を抜かないこと、という注意書きがあったが、そんなことをする方がいらっしゃったということか。
続いて森林浴の個室へ。
引き戸から中に入るとミストが噴出されていて、正方形の浴室は2人が入れるほど。湯温は同じ42℃ほど。フィトンチッドの香りは感じられないが、マイナスイオンが充満した個室で疲れを取ることができる。
丸山氏の背景を最後にまた眺め、湯から上がる。
気づくと湯客が増えて7人ほどになっている。
清瀬の市役所前にある銭湯。
昭和の香りを今でもほのかに残している銭湯だ。
帰りに清瀬駅前を過ぎ、清の湯の前を通り過ぎる。廃業となってしまったようだ。お気に入りの銭湯だったのでなくなってしまうのは寂しい。しかし時の流れはどうにも止められない。記憶の中にいつまでも残る銭湯であり、そこに銭湯がなくなる映像を見ないように、特にマンションなどになってしまったら悲しいのでいつまでもそこにあるのだと思い込んで過ごしていくことにしよう。
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2010年4月24日土曜日
2010年4月11日日曜日
156.新宿区神楽坂 熱海湯
新宿区神楽坂にある銭湯、熱海湯を訪れた。
今日の気温は20℃ほど。
街の桜の木も、花びらが舞い落ちて、葉の緑が濃くなってきている。
休日の今日は池袋で買い物をした後にぶらぶら湯を求めてさまよい歩いていると、なんとなく江戸川橋公園を過ぎ、 なんとなく神楽坂まできてしまった。
春は何ということもなくただ街を歩きたくなってしまう季節なのかもしれない。
神楽坂上から早稲田通りを下って途中の路地裏へ。細くてくねくねと魅力あふれる小道が多い街だ。自転車も車もバイクも自由に出入りできない道が多いのは歩いている人間にとっては非常にうれしい。
そして熱海湯の入り口の前にきた。
手入れされた盆栽が飾られている。花をつけているものもあり美しい。
のれんはたれが短く、ほぼ中は丸見えと言っていい。けど、中は別に見えていいものだし(番台裏の壁)、たれの長さは京都など中が見えると困る地域と比べて短いものとなる。
靴を脱ぎ、下足入れに靴を入れる。錠前はカナリア。番台の女将さんの背中が窓から見えている。番台の窓を開け放っている。男湯は右側。引き戸を開け脱衣場に入る。
天井は高く、格天井。隅は折上げられてはいないけど、丸くなっていて白く塗り固められている。
女将さんに湯賃をお渡しし、ロッカーを確保。
常連さんが脱衣場に4人ほど。競馬の話や、野球の話で盛り上がっている。女将さんもそれらの話にうまく合わせており、会話がキャッチボールとなり途切れそうにもない。
島ロッカーが一つあり、外壁側にもずらっと並んでいる。膝の高さに月極ロッカー。
女湯側にはコインロッカーがあったが、男湯の手前壁側には池がある。あと木彫りの観音様が二体。池は二段式になっていて、金魚の池と鯉の池。水もきれいで音も楽しい。狭いが長く見ていても飽きない。
隣に厠があり、広さは畳半畳ほど。よく手入れされていてきれいで、小さな窓から池の音が聞こえてくる。
女湯境の壁上は地デジ対応の液晶テレビ。
このごろの銭湯も地デジ対応が進んできているようだ。
ロッカーの錠前は松竹錠。
パパッと服を脱ぐ。脱ぎながらもロッカーの上を何となく見ると、大きな戦艦の模型。詳しくないのでよくはわからないが大和か紀伊だろうか。特に名前は書かれていない。ご主人のご趣味なのかもしれない。
浴室へ入る前に体重計に。
アナログ体重計でメーカーはHOKUTOWのもの。
だいたい銭湯の体重計は浴室に向かって立つように設置されているものだけど、こちらの銭湯は番台の方に向かって立つようになっている。
引き戸を開けて浴室へ。
手動なのでしっかり閉める必要がある。
天井は二段式で開放感がある。最上部の天井はやや狭い気もするが、まだ時間は16時くらいで明るく、光が存分に差し込んでいて気持ちがいい。
島カランは一列。女湯境より6-6□6-6(□は島、-は通路)。島にはシャワーも鏡もなくカランのみ。鏡がないと言っても端の鏡も狭くよく映った自分を確認できないものなので、こちらの銭湯は入浴中にさほど鏡を必要としないスタンスである必要がある。
立ちシャワーは女湯境の壁、脱衣場寄りに一基。湯しかでないシャワーである。
湯客は5人ほど。終盤は私以外では一人となった。夕方の時分なのでもう少し遅くなるとまたピークがくるのかもしれない。
カランで体をしっかりと洗い浴槽へ。
浴槽は浅深二浴槽。
浅い方には赤い赤外線ライト一基と座ジェットが二基ある。
湯温は43℃ほどで、しっかり温まる。
他の湯客が浸かるたびによく水埋めされており、実際のところはもう少し高めになりそうだ。
カランで水を浴びクールダウンした後に深い方へ。
こちらは備長炭風呂になっていて、奥の壁にびっしり備長炭が並んでいる。それを見ているだけでも圧倒されるけど、湯にそれが染み込んでいると思うとありがたい気持ちになる。
香りはそれほどしないが、湯は柔らかく感じる。
深い方の湯温は44℃ほど。
こちらから背景を仰ぎ見るが、富士山の壮大なペンキ絵。
やや剥がれている部分が目立ってきている。今は亡き早川氏の作品であるので剥がれてもいいからいつまでもあり続けていただきたい。
「富士川 早川氏 平成19年6月2日」。と記されている。
川だけに早川氏ならではの波しぶきは見えないが、静かながらも迫力のある筆致だ。
ペンキ絵の下にはタイル画があり、鯉と金魚が泳いでいる。湯を楽しみながらも数を数えてみた。鯉8、金魚7だった。章仙だろうか、画銘は書かれていないようだ。
女湯境にもタイル画があり、繊細な描き方である鯉や金魚と違い、女湯境側のタイル画は壮大なアルプス・針葉樹林・浅く広い河川の迫力のある描写。
湯から上がり、最後に煙突を見てから帰宅することにした。
マンションの非常階段のすぐ前に煙突。階段から煙突を見てみたいと思った が、憶測にとどめておくことにして帰ることにした。
備長炭の湯も楽しめるし、ペンキ絵も貴重、狭いながらも印象的な庭の池(男湯だけだと思われるが)、それに合わせて銭湯を取り巻く街の雰囲気もいい。近くに住んで毎日のように通いたい銭湯に出会った一日だった。
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今日の気温は20℃ほど。
街の桜の木も、花びらが舞い落ちて、葉の緑が濃くなってきている。
休日の今日は池袋で買い物をした後にぶらぶら湯を求めてさまよい歩いていると、なんとなく江戸川橋公園を過ぎ、 なんとなく神楽坂まできてしまった。
春は何ということもなくただ街を歩きたくなってしまう季節なのかもしれない。
神楽坂上から早稲田通りを下って途中の路地裏へ。細くてくねくねと魅力あふれる小道が多い街だ。自転車も車もバイクも自由に出入りできない道が多いのは歩いている人間にとっては非常にうれしい。
そして熱海湯の入り口の前にきた。
手入れされた盆栽が飾られている。花をつけているものもあり美しい。
のれんはたれが短く、ほぼ中は丸見えと言っていい。けど、中は別に見えていいものだし(番台裏の壁)、たれの長さは京都など中が見えると困る地域と比べて短いものとなる。
靴を脱ぎ、下足入れに靴を入れる。錠前はカナリア。番台の女将さんの背中が窓から見えている。番台の窓を開け放っている。男湯は右側。引き戸を開け脱衣場に入る。
天井は高く、格天井。隅は折上げられてはいないけど、丸くなっていて白く塗り固められている。
女将さんに湯賃をお渡しし、ロッカーを確保。
常連さんが脱衣場に4人ほど。競馬の話や、野球の話で盛り上がっている。女将さんもそれらの話にうまく合わせており、会話がキャッチボールとなり途切れそうにもない。
島ロッカーが一つあり、外壁側にもずらっと並んでいる。膝の高さに月極ロッカー。
女湯側にはコインロッカーがあったが、男湯の手前壁側には池がある。あと木彫りの観音様が二体。池は二段式になっていて、金魚の池と鯉の池。水もきれいで音も楽しい。狭いが長く見ていても飽きない。
隣に厠があり、広さは畳半畳ほど。よく手入れされていてきれいで、小さな窓から池の音が聞こえてくる。
女湯境の壁上は地デジ対応の液晶テレビ。
このごろの銭湯も地デジ対応が進んできているようだ。
ロッカーの錠前は松竹錠。
パパッと服を脱ぐ。脱ぎながらもロッカーの上を何となく見ると、大きな戦艦の模型。詳しくないのでよくはわからないが大和か紀伊だろうか。特に名前は書かれていない。ご主人のご趣味なのかもしれない。
浴室へ入る前に体重計に。
アナログ体重計でメーカーはHOKUTOWのもの。
だいたい銭湯の体重計は浴室に向かって立つように設置されているものだけど、こちらの銭湯は番台の方に向かって立つようになっている。
引き戸を開けて浴室へ。
手動なのでしっかり閉める必要がある。
天井は二段式で開放感がある。最上部の天井はやや狭い気もするが、まだ時間は16時くらいで明るく、光が存分に差し込んでいて気持ちがいい。
島カランは一列。女湯境より6-6□6-6(□は島、-は通路)。島にはシャワーも鏡もなくカランのみ。鏡がないと言っても端の鏡も狭くよく映った自分を確認できないものなので、こちらの銭湯は入浴中にさほど鏡を必要としないスタンスである必要がある。
立ちシャワーは女湯境の壁、脱衣場寄りに一基。湯しかでないシャワーである。
湯客は5人ほど。終盤は私以外では一人となった。夕方の時分なのでもう少し遅くなるとまたピークがくるのかもしれない。
カランで体をしっかりと洗い浴槽へ。
浴槽は浅深二浴槽。
浅い方には赤い赤外線ライト一基と座ジェットが二基ある。
湯温は43℃ほどで、しっかり温まる。
他の湯客が浸かるたびによく水埋めされており、実際のところはもう少し高めになりそうだ。
カランで水を浴びクールダウンした後に深い方へ。
こちらは備長炭風呂になっていて、奥の壁にびっしり備長炭が並んでいる。それを見ているだけでも圧倒されるけど、湯にそれが染み込んでいると思うとありがたい気持ちになる。
香りはそれほどしないが、湯は柔らかく感じる。
深い方の湯温は44℃ほど。
こちらから背景を仰ぎ見るが、富士山の壮大なペンキ絵。
やや剥がれている部分が目立ってきている。今は亡き早川氏の作品であるので剥がれてもいいからいつまでもあり続けていただきたい。
「富士川 早川氏 平成19年6月2日」。と記されている。
川だけに早川氏ならではの波しぶきは見えないが、静かながらも迫力のある筆致だ。
ペンキ絵の下にはタイル画があり、鯉と金魚が泳いでいる。湯を楽しみながらも数を数えてみた。鯉8、金魚7だった。章仙だろうか、画銘は書かれていないようだ。
女湯境にもタイル画があり、繊細な描き方である鯉や金魚と違い、女湯境側のタイル画は壮大なアルプス・針葉樹林・浅く広い河川の迫力のある描写。
湯から上がり、最後に煙突を見てから帰宅することにした。
マンションの非常階段のすぐ前に煙突。階段から煙突を見てみたいと思った が、憶測にとどめておくことにして帰ることにした。
備長炭の湯も楽しめるし、ペンキ絵も貴重、狭いながらも印象的な庭の池(男湯だけだと思われるが)、それに合わせて銭湯を取り巻く街の雰囲気もいい。近くに住んで毎日のように通いたい銭湯に出会った一日だった。
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2010年4月3日土曜日
155.新宿区高田馬場 世界湯
新宿の銭湯、世界湯を訪れた。
高田馬場から少し車で離れるとすぐに住宅街になり、車で通り抜けるには狭すぎる道となる。今日は金曜の夜、ただでさえ狭いというのにほろ酔い気分の通行人や学生などが思いのままにふらふらと歩いている。車で来るには全く向いていない地域である。
世界湯はそんな住宅街の中、新築のマンションの一階にある。こちらのマンションはまだ一年も経っていないようだ。世界湯はそれと同時にリニューアルオープンされ、この4月で10ヶ月ほどになる。
夜の11時頃、さすがに街は静まりかえっている。世界湯の屋号は見事に明るく光を放っている。自動ドアから中に入ると透明なプラスチックの蓋の下足入れ。メーカーは書いていない。入口は段差が全くなく、お年寄りにも優しい設計。
中に入ると広いロビースペース。液晶テレビもとにかく巨大。50インチ以上はあるのではないだろうか。10人以上、座ってのんびりできる。壁も白く綺麗で居心地が良さそうだ。
奥まったところにフロントスペース。女将さんが疲れた表情を時折覗かせつつ、お仕事をされている。下足入れのキーを預け、ロッカーのキーと交換してもらう形式だ。
右手が男湯。
中はやはり新しい。白い天井と壁、床はゴザの模様。体重計はデジタルで「AND」。
趣はないけど、昭和を忘れて今の銭湯の形というものを楽しんでもいいのではないだろうか。
パパっと服を脱ぎ浴室へ。
中は照明が抑え気味で落ち着いた雰囲気を演出している。やはりどこをとっても清潔。天井は外壁に向け徐々に低くなっていく切妻屋根であり、そんなに高くはないが閉塞感は感じない。女湯境がどちらなのか、よくわからなくなってしまったけどおそらく浴槽側だろうと思う。浴槽群が壁に並び、カランはその向かい側の壁三方とぐるりと回って配置されている。島カランは一列。全部で19ある。立ちシャワーはないが、ハンドシャワー付きのカランもあるので立ちシャワーを利用したいのであれば、そこを使う必要がある。
お客は7〜8人ほどで、ほとんどが学生か。ご年配の比率は時間帯からしてかあまりいらっしゃらない。学生たちは鼻歌や口笛や、おしゃべりをしながらゆうゆうと湯を楽しんでいる。
体をしっかりと洗い浴槽巡りへ。
まず女湯境に並ぶ浴槽は大きい物が一つ。そこに円形のボディジェット、座ジェット、電気風呂といった設備がある。扉を抜け、奥に向かうとそこはサウナ室と水風呂と岩風呂もある。
まずは広い浴槽の円形ボディジェットから。ボタンを押すと3分ほど体にジェットが噴出する。勢いはなかなか。湯温は41℃ほど。かなりぬるいのでじっくり温める必要がある。
続いて座ジェットへ。
足の裏もジェットが出ており、快適だ。しかしこちらの湯は全体的に塩素の匂いがする。湯触りには少し不満は残るがまぁ衛生第一という事で目をつむる。
続いて電気風呂へ。
若者が多いからか電気力はかなり弱い。得意分野ではない私でさえびったりと背中を押し当てても平気である。二段式になっている浴槽の高い部分に電極板が取り付けられているので、座るとちょうど腰に電気を当てる事が出来る。これは座り仕事である自分には快適であった。こちらでしばし電気と湯を楽しみつつ、背景を仰ぎ見る事にする。
タイトルは「イグアスの滝」。ご丁寧にもプレートでそう書かれている。
チップタイル画でやや抽象的な描写。遊び心のある色使いであるが、全体的にはリアル志向である。天井も低めなので壁の面積が狭く、しかも隅までタイル画となっていないことから少し迫力には欠ける感は否めない。
体も温まり、続いて岩風呂へ。
御影石が浴槽の縁に使われている。ごつごつした岩ではなく、上品な切り出し面の岩を使った岩風呂。照明はさらに暗めで雰囲気は良い。温泉地の岩風呂、とまではいかないが高田馬場でこれだけの岩風呂に浸かる事が出来れば文句はない。
水風呂は水温22℃ほど。4人くらいは入れる大きさ。サウナを利用している方はいらっしゃらないが中をのぞくと広さもあり、テレビもあり清潔で、入りたくなってしまった。また来る時に利用する事にしよう。
湯から上がる。
ロビーで奥さんを待ち、お話を聞く。
女湯側の背景はマッターホルンであったとの事。それよりもなによりもお客さんに一人ベビーパウダーを脱衣所でまき散らしつつ体に振りかけているおばあさんがいたとの事。おかげで女湯の脱衣場は真っ白だそうだ。
しかもその方は水埋めをしまくるお客だったとの事で、浴槽はとにかくぬるくなってしまっていたらしい。
その他にもギャル二名が全く体を洗わず、掛け湯もせずに浴槽に入っていったりしてとにかくマナーは最悪であるとの事。内風呂が一般的となってしまい、マナーをさほど重要視していないスーパー銭湯が普及し、さらには銭湯でも番台が激減しフロント形式が主流となっている中、どうにも銭湯でのマナーというのを教える、学ぶ場所はほとんどないと言える。
銭湯が新しくなってお客が増えるのはいいが、あまりに綺麗になりすぎてスーパー銭湯に片足を突っ込んでしまうと、長く日本の湯事情を支えて来た昭和の銭湯というシンボルは失ってしまうと言えそうだ。やはり番台であり、宮造りであり、深いのと浅い、たった二つの浴槽しかなかったとしても、そこにはそれ以上もそれ以下も必要がない充分に満ち足りた空間を生むことができるのである。
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高田馬場から少し車で離れるとすぐに住宅街になり、車で通り抜けるには狭すぎる道となる。今日は金曜の夜、ただでさえ狭いというのにほろ酔い気分の通行人や学生などが思いのままにふらふらと歩いている。車で来るには全く向いていない地域である。
世界湯はそんな住宅街の中、新築のマンションの一階にある。こちらのマンションはまだ一年も経っていないようだ。世界湯はそれと同時にリニューアルオープンされ、この4月で10ヶ月ほどになる。
夜の11時頃、さすがに街は静まりかえっている。世界湯の屋号は見事に明るく光を放っている。自動ドアから中に入ると透明なプラスチックの蓋の下足入れ。メーカーは書いていない。入口は段差が全くなく、お年寄りにも優しい設計。
中に入ると広いロビースペース。液晶テレビもとにかく巨大。50インチ以上はあるのではないだろうか。10人以上、座ってのんびりできる。壁も白く綺麗で居心地が良さそうだ。
奥まったところにフロントスペース。女将さんが疲れた表情を時折覗かせつつ、お仕事をされている。下足入れのキーを預け、ロッカーのキーと交換してもらう形式だ。
右手が男湯。
中はやはり新しい。白い天井と壁、床はゴザの模様。体重計はデジタルで「AND」。
趣はないけど、昭和を忘れて今の銭湯の形というものを楽しんでもいいのではないだろうか。
パパっと服を脱ぎ浴室へ。
中は照明が抑え気味で落ち着いた雰囲気を演出している。やはりどこをとっても清潔。天井は外壁に向け徐々に低くなっていく切妻屋根であり、そんなに高くはないが閉塞感は感じない。女湯境がどちらなのか、よくわからなくなってしまったけどおそらく浴槽側だろうと思う。浴槽群が壁に並び、カランはその向かい側の壁三方とぐるりと回って配置されている。島カランは一列。全部で19ある。立ちシャワーはないが、ハンドシャワー付きのカランもあるので立ちシャワーを利用したいのであれば、そこを使う必要がある。
お客は7〜8人ほどで、ほとんどが学生か。ご年配の比率は時間帯からしてかあまりいらっしゃらない。学生たちは鼻歌や口笛や、おしゃべりをしながらゆうゆうと湯を楽しんでいる。
体をしっかりと洗い浴槽巡りへ。
まず女湯境に並ぶ浴槽は大きい物が一つ。そこに円形のボディジェット、座ジェット、電気風呂といった設備がある。扉を抜け、奥に向かうとそこはサウナ室と水風呂と岩風呂もある。
まずは広い浴槽の円形ボディジェットから。ボタンを押すと3分ほど体にジェットが噴出する。勢いはなかなか。湯温は41℃ほど。かなりぬるいのでじっくり温める必要がある。
続いて座ジェットへ。
足の裏もジェットが出ており、快適だ。しかしこちらの湯は全体的に塩素の匂いがする。湯触りには少し不満は残るがまぁ衛生第一という事で目をつむる。
続いて電気風呂へ。
若者が多いからか電気力はかなり弱い。得意分野ではない私でさえびったりと背中を押し当てても平気である。二段式になっている浴槽の高い部分に電極板が取り付けられているので、座るとちょうど腰に電気を当てる事が出来る。これは座り仕事である自分には快適であった。こちらでしばし電気と湯を楽しみつつ、背景を仰ぎ見る事にする。
タイトルは「イグアスの滝」。ご丁寧にもプレートでそう書かれている。
チップタイル画でやや抽象的な描写。遊び心のある色使いであるが、全体的にはリアル志向である。天井も低めなので壁の面積が狭く、しかも隅までタイル画となっていないことから少し迫力には欠ける感は否めない。
体も温まり、続いて岩風呂へ。
御影石が浴槽の縁に使われている。ごつごつした岩ではなく、上品な切り出し面の岩を使った岩風呂。照明はさらに暗めで雰囲気は良い。温泉地の岩風呂、とまではいかないが高田馬場でこれだけの岩風呂に浸かる事が出来れば文句はない。
水風呂は水温22℃ほど。4人くらいは入れる大きさ。サウナを利用している方はいらっしゃらないが中をのぞくと広さもあり、テレビもあり清潔で、入りたくなってしまった。また来る時に利用する事にしよう。
湯から上がる。
ロビーで奥さんを待ち、お話を聞く。
女湯側の背景はマッターホルンであったとの事。それよりもなによりもお客さんに一人ベビーパウダーを脱衣所でまき散らしつつ体に振りかけているおばあさんがいたとの事。おかげで女湯の脱衣場は真っ白だそうだ。
しかもその方は水埋めをしまくるお客だったとの事で、浴槽はとにかくぬるくなってしまっていたらしい。
その他にもギャル二名が全く体を洗わず、掛け湯もせずに浴槽に入っていったりしてとにかくマナーは最悪であるとの事。内風呂が一般的となってしまい、マナーをさほど重要視していないスーパー銭湯が普及し、さらには銭湯でも番台が激減しフロント形式が主流となっている中、どうにも銭湯でのマナーというのを教える、学ぶ場所はほとんどないと言える。
銭湯が新しくなってお客が増えるのはいいが、あまりに綺麗になりすぎてスーパー銭湯に片足を突っ込んでしまうと、長く日本の湯事情を支えて来た昭和の銭湯というシンボルは失ってしまうと言えそうだ。やはり番台であり、宮造りであり、深いのと浅い、たった二つの浴槽しかなかったとしても、そこにはそれ以上もそれ以下も必要がない充分に満ち足りた空間を生むことができるのである。
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