世田谷の銭湯、山崎湯を訪れた。
山崎湯は世田谷区役所の近くにあり、静かな住宅街の中にある。
マンションの一階にある銭湯だ。
100mほど離れたコインパーキングに車を停め、煙突を探す。低層住宅地なのですぐに煙突を発見する事ができる。
どんよりとした空模様、雨がぱらついては気づくと止んでいる。地面は常に湿っている一日だった。そんな中途半端な天気に微塵の迷いも感じさせないほど、まっすぐに屹立した煙突が天に伸びている。
所々黒く筋が走っている。荘厳な石柱のようだ。
入り口は明るく光を放っている。
湯の香りもかすかに漂い、僕の疲れた体を引き寄せている。
屋号は壁に手書きで書かれている。山崎さんだから山崎湯だろうか。
傘立てがいくつも並んでいる。
下足入れに靴を預け、プラスチックの札を手に取る。
中に入ると休憩スペースが広がっている。通りに面している細長い15畳ほどの広さ。ソファがあり、6人ほどはゆったりと過ごせそうだ。
ご主人がフロントにお座りになられている。威厳があり厳粛な父、といった感じだ。しかし接客は至極丁寧、ほっとする。
湯賃をお渡しし、右手の男湯へ。
中に入るとマンション銭湯にしてはやや天井は高く感じる。白塗りで特に趣は感じられないが、手前側の天井寄りの側壁に湖畔の風景画。
その他、体重計はアナログでYAMATOのもの。
厠を拝借したが、和式でかなり部屋が細長い。畳1.5畳の面積が長方形に広がる感じだ。
脱衣場に戻りパパッと服を脱ぐ。
中央部分にゴザ敷きのベンチがある。よく出会うベンチだが、どこで売ってるのだろうか。大工さんがその場でこしらえてくれるのかもしれない。
さて浴室へ。
浴室への入り口は二カ所。中に入ると湯客は4人。平日の夜中はこんなものだろうか。時間は23時ほど。
天井は逆への字型である。1.5階分の高さまで銭湯部分は占めている。
一階が銭湯のマンションに住むと、入浴料金は安くなったりするのだろうか。入り放題だったらかなりのメリットがあると言える。もちろん銭湯好きでなくては大してメリットはないかもしれないが。
空いている事もあり難なくカランを確保。
体をしっかり洗うと浴槽に向かう。
こちらの浴槽は奥の壁に配置された一つの大きな浴槽のみ。
座ジェットが二基、ミクロバイブラ、赤外線、ガリウム石(断定できないが)といったところだ。
まずは座ジェットから。
湯温は42℃ほど。
水枕も完備されているが、冷たさはあまり感じられない。といっても冷え過ぎもよくないので温度調整は難しいところだ。
湯は柔らかく心地よい。43℃に近い温度だ。お客が頻繁に水を埋めている。
続いてミクロバイブラへ。
こちらには赤い赤外線ライトも側壁についており、バイブラを浴びつつ、赤外線を体に当てる事ができる。浴室にある唯一の張り紙はこちらについている赤外線浴についてのもの。三協鉄工所という大田区にある会社が提供している赤外線ライトのようだ。今もあるのだろうか。
背景は基本的に何もないが、線形で女湯境部分に向かって上がっていく。そして中央部分で女湯の線と接合している。モダンな描写だ。
よく温まったところで立ちシャワーでクールダウン。
続いて浴槽の隅にある檻の中に石が入っているところへ。そこに湯が当たり浴槽に流れ込んできている。これは一般的にガリウム石というのが東京銭湯によくあるパターンなのだが、こちらにはどこにもこれに関して張り紙などがない。単なるその辺にある石なのかもしれない。しかしその湯が石に当たり、浴槽に流れ込んでくるという絵を楽しむだけでも入浴のひとときが楽しいものとなる。
しっかりと温まったところで湯から上がる。
脱衣場は音楽もテレビもなく静か。住宅街の静けさはこちらにも連鎖している。
休憩所はテレビがあり、少し音があるが、全体的に静かで落ち着いた雰囲気だ。
外に出てもやはり静か。
一日仕事で疲れた後、銭湯で静かなひとときを過ごし頭を整理するのにちょうど良い。
明日への活力を注入したところで帰宅する事にする。
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