2011年1月30日日曜日

172.西東京市南町 松の湯

西東京市の松の湯を訪れた。
常湯としている鶴の湯以外の新規で訪れている銭湯としては今年2湯め。

松の湯は西東京市の南町というところにあるのだが、小さな商店街と住宅密集地にある銭湯。車一台が通れるほどの狭い道を進むと突如姿を現す。
銭湯マップには駐車場有と書かれており、向かって左側に建物に横付けする形で1台、建物の脇に1台、合計2台駐車可のようだ。
私は車で訪れたのだが、この駐車場に気づかず、近くのコインパーキングを検索し、500mほど離れたところに駐車する事にした。
駐車後、戻ってきた時に女将さんに駐車場について伺っているお方をお見かけしたので分かった事実である。

以前も訪れた事があるのだが、その時は近所に駐車場を見つけられずに諦めて他の銭湯に行った始末であった。今日は何としても、と思っていたので500m離れていようが1km離れていようが何てことはない。

銭湯の正面に回る前に、煙突を少し離れた位置から眺める。


時刻にして15時半くらい。煙突から煙は出ていないようだ。
松の湯は素朴な千鳥破風屋根を備えた銭湯。トタン屋根に妻飾り(懸魚)も見て取れる。鶴かな・・。


立派な富士が描かれた牛乳石けんの暖簾を潜ると、閉鎖された下足スペース。
赤く塗られた木材のニスがつやつやと輝いている。



靴を預けて一段上がるとセンサーが反応し「いらっしゃいませ」という録音された女性の声。
こういった設備がある銭湯の接客態度には不安があるが・・、と考えながら自動ドアを潜るとすぐ右手にフロントがあり愛想のいい女将さんのいらっしゃいませの声。やはり人の生の声はほっとする。

フロント前には休憩スペース。ソファがあり6人ほどが休める。番台式銭湯をフロントに改装した様子。女湯境の中央部が休憩スペースとなっている。

さて右手の男側脱衣場へ。
休憩スペースがせりだしているせいでやや狭く感じるがそれでももともと横幅が十分にある上、島式ロッカーもなく閉塞感はない。
天井は少しだけ高め。
脱衣場には3名ほど、お客がいらっしゃる。湯客も7人ほど。なかなか繁盛しているご様子である。
ロッカーは松竹錠、竹籠が10個ほど。
体重計はアナログ式でTANAKAである。
さて、パパッと服を脱ぎ浴室へ。
浴室に入るとまず天井はさほど高くないし、奥行きもないほうなのだが、とにもかくにも背景の迫力に引き込まれる。
まず、背景を拝む事にしよう。
こちらの背景は早川氏の伊豆。
もちろん壮大な富士山が描かれており、男女ぶち抜きサイズで浴室全体の中央部分にまるでこの銭湯を取りまとめるマエストロの様にそびえ立っている。
今は亡き早川氏の作品。さすがにペンキの剥がれが目立ってきているが、それはそれ。勢いは決して失われていない。
カランは女湯境より、4―4□4―4□0(ーは通路、□は島)、立ちシャワーは女湯境壁の手前に一基ある。
カランの数が4つということもあり、奥行きは狭いものである。二段式の天井も低め。ビル銭湯というほどではないが、東京銭湯の天井高い二段式と比べてみると、小振りに感じる。
カランを一つ確保するがすぐ隣に湯客がいらっしゃる。3時開店で、まだ30分経過したくらいの時分。沸かしたての湯に浸かりに常連客も続々とやってくるようだ。
身体をしっかりと洗い、浴槽を巡る。
こちらの浴槽は4つ。 
女湯側に座ジェット二基の浴槽、ミクロバイブラの浴槽、外壁側に薬湯(寒椿)、少し手前に水風呂である。外壁の手前にはサウナが設置されており何と無料である(開店15時から夜1時まで)営業は2時までというのも驚きだが、最後の一時間はサウナが利用できないようだ。
まずはミクロバイブラから。
奥の壁には側面からジェット噴出もあるので、ある意味座ジェットとも言えなくもない。熱い湯の噴き出し口もある為、奥の壁にべったり身体を押し付けるのは危険かもしれない。
湯温は41℃ほど。最初はぬるく感じたが、徐々に湯に熱が入ってくるのを感じた。
続いて薬湯へ。
本日の薬湯は「寒椿の湯」との事である。赤ワインのような色をした湯である。香りはバスクリンであるが、肌にしっとり馴染み、心地の良い湯。
次は座ジェットへ。ボタンが壁面についており、押した後に2基のジェットが噴出を始める。勢いは強めであまりやりすぎると痛くなるほどだ。適度に背中を反らしつつ、一週間の疲れを取る。
水風呂に入る前にサウナ室へ。
中は一応2段式に腰掛けられるようにはなっているが3畳ほどのスペースしかないので、1〜2人も入ると窮屈になる。しかしそこは無料。一人でると、また一人、部屋の中に吸い込まれていく状況である。
サウナで汗を流した後は水風呂へ。
浴槽の縁に桶がおいてあるので、まず身体の汗を水をかぶる事で流す。
水温は20℃ほど。こちらから背景を眺めるのもまた全貌がよく見渡せていい案配だ。
さて湯から上がる事にする。
伝統的な寺社建築でもなく、特に趣を感じる事もなく、深みも感じられない銭湯なのだが早川氏の背景がすべてを超越してこの銭湯に説得力を与えている。
痛みも激しいがいつまでも残っていてほしいものである。
この銭湯からこのペンキ絵がなくなってしまう、例えば竹林の壁紙などになってしまった事を考えると・・寒気がしてしまう。


帰りにもう一度煙突が見える場所に移動してみる。
すると期待している煙が見える。自宅の窓から煙突が見えて、しかもこんな煙が出ていたら幸せな気分だろうなと思う。


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