2011年2月13日日曜日

173.練馬区石神井町 豊宏湯

練馬区の銭湯、豊宏湯を訪れた。
最寄り駅は石神井公園。南口を出て交番の前を通り、商店街を進む。スーパー、パン屋、小さなゲームセンターに玩具屋さん等々。地味さはあるけど、親しみ深い商店街だ。

豊宏湯はそんな商店街を4分ほど進んだ交差点から飛び石が設置されている道の向こうにある。お総菜の香りにまざってほのかに湯の香り。コインランドリーも側にあり、生活感が漂っている。

まず銭湯の周りを歩いてみる。商店街の端に位置している為、周囲はほぼ住宅に囲まれている。裏には薪がストックされ、釜場からはゴロッという薪を釜にくべる音が聞こえてくる。
煙突はさほど高さがないように思えるけど、高層建築もないので問題はなさそうだ。





さて正面に戻りシンプルな破風を臨みながら牛乳石鹸の暖簾を潜る。



正面に一本も預かられていない傘立てがあり、男湯は右側。
下足入れに靴を預ける。
錠前はSAKURA-G。大理石のプリントシールが蓋に貼られている。

自動ドアが開くと番台。中には笑顔のお優しい大女将。湯賃をお渡しして脱衣スペースへ。
天井は高く折り上げ式の格天井。表向きに比べると豪勢な天井。
島式ロッカーが二つ。一つは背が高いもので番台から着替えが見えないように設置されている。椅子四脚、テーブルもあるので床スペースが少なくやや閉塞感がある。

天井に近い壁には大入と書かれた額や、原辰徳のサイン、村山〜と書かれたものも見てとれるけどこちらにも「88」と書かれているので原さんのものかな。
アナログ体重計はHOKUTOW。ローラーむき出しのクラシカルなマッサージチェアもある。ロッカーを確保し、錠前がSAKURA-IIIである事を確認しながらパパッと服を脱ぎ浴室へ。

浴室は奥行に比べ横幅の圧倒的な広さを印象づけさせられる。それは男女ぶち抜きの富士山の背景のせいかもしれないし、二段式天井の一段目の幅が狭く、天井部分の面積が広いからかもしれない。

カランは女湯境から6―6□5―6□5―5(□は島、―は通路)。立ちシャワーは外壁側に一基、設置されている。
さて背景を拝みやすい位置にあるカランを確保する。日曜の夕方午後5時頃。湯客は5人ほど。
しっかり身体を洗いながらも、浴室内に唯一貼り出されている注意書きを眺める。そこには「浴槽内の洗濯禁止」と書かれている。確かにそれは絶対にしてはいけない事ではあるけれども、浴室に唯一貼り出す内容にしては当たり前すぎる事のようにも思える。過去によほど良くない状況になられた事があるのだろう。

さて浴槽へ。
3つの浴槽があり、女湯境側から座ジェット、真ん中に広く浅い浴槽、外壁側に水風呂である。
まずは浅風呂から。
湯温は42℃ほど。まずはとにかくその肌触りの柔らかさに驚かされる。薬湯でもないのにマイルドな心地の良い湯だ。奥行きも十分な浴槽なので足をぴんと伸ばす事ができる。
背景の下には広告スペースがあり、唯一掲示されているのは「同和事業促進協会」のもの。差別をなくすという主旨の広告ではあるけど、これが銭湯に貼り出されているという事に意味があるのだろう。
あと左端に広告料金が書き出されている。背景広告社が存在していた頃のものだろうけど、その社名部分は黒マジックで塗りつぶされていて、一ヶ月500円とだけ書かれている。
500円で広告・・男湯だけかな。でも安い値段ではあると思う。地元の商店街のお店など、ぜひご利用頂きたいところだけど、地元民は地元のお店の事を知っているわけだし、わざわざ広告を打つ必要もないか・・。


続いて座ジェットへ。
一つの浴槽内に2基設置されており、勢いもなかなかのもの。湯温はやはり42℃くらい。しっかり温まったところで水風呂でクールダウンする。
こちらの銭湯はサウナが設置されていないにもかかわらず水風呂があるのである。水風呂があるのとないのとではかなり湯の楽しみ方の範囲が広がる。シャワーやカランの水をかぶるのもいいけれど、やはり水風呂は一気に全身を水に浸す事ができるのでクールダウンの効率が増す。
水風呂は二人が入る事ができるくらいの狭いものであるけど、そんなに長い時間浸かっているものでもないし十分なサイズ。そっと身を浸すと水温は20℃ほど。肩まで沈めると神経が張りつめた感じになる。浴室内の音に敏感になるようだ。

浴槽から上がると背景を拝む。
こちらの背景は先ほども書いたように男女ぶち抜きの荘厳な富士山。手前には湖。中島氏の作品だろうか。
剥げ落ちている部分も何カ所かあるけどまだまだ持ちそうな様子だ。
女湯境壁にはチップタイル画もある。
鳥形の足こぎボートがあるので湖か。おそらく琵琶湖。浮御堂のようなものがあるのだけど、少し形が違うので架空のものかもしれない。銭湯の楽しみは合っている合っていないに関わらず、そんな憶測を自分の中で楽しむ事にも存在している。
(足こぎボートとはいえ、普通に水鳥かもしれない)。

さて帰宅することにする。
銭湯を出ると商店街を進み駅に向かう。人の数は多すぎず、車の通りも少ない。ただ大型の西武バスは通る道だ。いろいろなお店を眺めながらこの街は公園もあるし住みやすい街だろうなと考える。商店街もそうだが、何より心地の良い湯を沸かす素晴らしい銭湯があるのがいい。
番台式銭湯ではあるけれども、ロッカーで脱衣スペースは見づらくなっているし、番台を敬遠されている女性の方々もぜひ訪れていただきたい。


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