2011年7月18日月曜日

--.新宿区四谷 蓬莱湯

新宿区四谷の銭湯、蓬莱湯を訪れた。

連日30℃を超す猛暑。暑いのになかなか蝉の鳴き声が聴こえてこないので、何か悪い事でも起きるのでは・・という噂もあったようだが、今日は渋谷でも新宿でも蝉の鳴き声がしていた。

ただ街に出ているだけで体中から汗が出てくる。こんな日は夜に銭湯に行き、汗を流し、アイスでも食べながらのんびり帰るに限る。

四谷の銭湯、蓬莱湯に来るのは2年8ヶ月ぶりの2回目(前回の記事はこちら>>)であるが、印象的な銭湯だったので記憶はいまでも鮮明に残っている。番台のお兄さん(親父さんというにはお若い)がいい印象である事や、湯客の外人さんが湯と向き合っている姿などが思い出される・・。



表向きは何も変わっておらず、下足入れの木札の少なさもそのまま。
引き戸は常に開いている状態になっていたが、これは風通しをよくするためだろう。
脱衣場は壁に設置されている扇風機が稼働しているのみ。エアコンは動いていなかったがとくに暑いという事もない。

天井扇風機はやはり羽がもがれた状態になっている。
夏になれば羽を付けて動かす、というわけでもなかったらしい。

外壁側の趣ある焦茶色の木のロッカーもそのまま。使いたい衝動にかられるが、ぐっとこらえた。また次の機会、いやいつか四谷に住む事があってこちらを常湯として利用する事になったら、その時に使う事にしよう。

天井は折り上げ式格天井。しかもつやつやとアメ色に輝いている。所々たわんでおり大丈夫かなという場所もある。なんとかしぶとく耐えてほしいものだ。

さて、ロッカーを確保しパパッと服を脱ぐ。
浴室には湯客が10人ほど。その中に少年が6人ほど。引率のおじさんがいるので何かのイベントでもあったのだろうか。ひょっとしたら学校の先生かもしれない。
少年たちはその後10分ほどで上がってしまった。まだじっくり湯を楽しむという年齢には達していないようだ。

カランはやはり以前と変わらず8-6-6-8。浴槽は半円形である。天井は高く、蛍光灯が2メートルの高さにしかないので天井に近づくに従い暗さを増し、明かりのグラデーションが空間に重厚感を生み出している。あと壁のペンキの剥げ具合も良い感じに鄙びていて昭和を醸し出す。

女湯境の壁際にあるカランを確保し、体をしっかりと洗う。両サイドのカランにはシャワーが設置されている。湯温はぬるめ。水で薄める必要のない程である。
カランも今にも壊れそうにグラグラとしているが、そこがまたいい。壊れてしまいそうなものは優しく扱いたくなる。そういう心の持ち主がこちらの銭湯を大切に育んできているのである。

さて浴槽を巡る。
本日は新宿区の銭湯はラベンダー湯の日。もちろん浴場組合に加盟している銭湯の話である。ラベンダーの香りが浴室に漂い、癒しの空間が完成されている。
こちらの銭湯は半円の浴槽を二つに割った感じで浅風呂、深風呂の浴槽に区切られているが、底の部分でつながっているので湯温はほぼどちらも変わらず41℃ほど。
やわらかくいい湯だ。

ジェットは相変わらず弱いが、壁に「超音波浴泉」と情緒たっぷりの和文フォントで書かれている。バイブラとかジェットとかの表現よりも「超音波浴泉」の方がインパクトがあるので身体に良さそうである。
深風呂に浸かりながら背景をじっくりと鑑賞する。
以前は平成20年6月20日に描かれた赤富士。
今回は平成22年6月25日石川県見附島、中島師作であった。ほぼ一年前に書き換えられたものだが状態はとてもいい。5カ所ほどペンキが剥がれているだけだ。
見附島を見ると何となく小泉首相(878889代)を思い出す。
女湯側は富士の絵。以前男湯だったので今回は女湯側に富士を持ってきたのだろう。

しっかりと温まり湯から上がる。
番頭さんの接客も相変わらず良好、外壁側のクラシカルなロッカーも健在。どこもかしこも以前と変わらなかった。私が2年8ヶ月ぶりに訪れたくらいでは何も変わらないほど、こちらの銭湯は長い間経営を続けてこられたのである。

また近いうちに訪れるだろう。とてもいい銭湯であった。

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