2014年12月31日水曜日

182.中央区日本橋小伝馬町 十思湯

12月30日17時頃、小伝馬町の銭湯を訪れた。

小伝馬町駅 4番出口を出て右に20mほど歩くと着く銭湯。
車の場合はコインパーキングが至近にある。60分300円。
小伝馬町の銭湯という事とその深みのある屋号で歴史があるのかなと思いきや今年7月の新規開業の銭湯。


十思スクエア別館の2階にその銭湯はある。
表向きは区民会館、スポーツセンターといった区の施設そのものなので浴場があるようには思えない。その為か所々に貼り紙がしてあり、2階への誘導がなされている。


エレベーターを使い2階へ。



すると暖簾があり、潜ると正面に下足スペース。靴を預けると左手にカウンターがあり、親父さんがいらっしゃる。入浴券をお渡しして男湯の青色の暖簾を潜る。
建物自体が新しい事もあり、どこも清潔。ちょっとしたスポーツジムの大浴場といった趣。
脱衣場はスーツがすっぽり収まるほどの大きさのコインロッカー。100円のリターン式のもの。つまり入浴券だけ手に握りしめてこちらを訪れてもコインロッカーが使えずに途方に暮れる事になる。

脱衣場には腰の高さまでのデジタル式の体重計、最新式のオムツ替えの台。給水器などが設置されている。天井は低めだが明るいので開放感がある。

ぱぱっと服を脱ぎ浴室へ。
天井は低めだが、床は滑り止めのタイルでふみ心地は良好、カランは壁で仕切られており隣から石けんの湯が流れ込んでくる心配もない。
女湯境の壁手前にサウナ室、水風呂、奥の壁に浅風呂(ジェット2基付き)、湯温高めの浅風呂と浴槽は全部で3つある。

湯客は5人ほどと少ないがカラン数が女湯境の壁からー□5ー7(ーは通路、□は島)と少ないので混み合っている感じはある。
シャワーの性能が良く、水圧が申し分ない上に手元に調節ダイヤルがあるので出しやすい。こういった新しめのスーパー銭湯然としたところでは時限式のシャワーもあったりするのだがそういった意味では想定を裏切って快適である。

さて浴槽を巡る。
まずは浅風呂(といっても水風呂以外の浴槽はどちらも浅い)の湯温が低い方。湯温計は39.5℃を指している。浴槽は広く、2段式になっている。ここのタイルはつるつるしているため2段目に腰掛けてのんびりしようにも滑ってしまう。慣れるのに少し時間を要する。
ジェットの水流は良好。凝りをほぐすほどではないが心地よい。
そして湯温の高い方へ。こちらは41℃ほど。高いと言ってもアツ湯ではないが湯温の違いがあるのは重要。サウナ(別料金400円)を利用すればしっかりと温まる事ができるだろうが毎回860円も支払うのは少し割高なので湯温高めの浴槽は重宝するだろう。

背景は佐野喜(佐野屋喜兵衛)と書かれている富士をバックに印刷されたもの。
銭湯の背景では珍しいがしばし眺めながら湯を楽しむ。


開業したばかりなので当然ではあるが清潔で居心地がよい。
サウナ料金は高めだが次に訪れた時はぜひ利用したい。






2014年12月6日土曜日

--.埼玉県吉川市平沼 松乃湯

越谷に行く用事があり、すぐお隣の吉川市にある松乃湯へ。

吉川駅から徒歩7分ほど。
吉川中央総合病院の増築工事を横目にうなぎ屋や薬局を通り過ぎてあいさつ通りを進むとある。お寺の側、駐車スペースは道沿いに砂利が敷かれている2台ほどの大きさ。

窓から漏れる明かりを見てほっとする
過去にも何度か訪れた事はあるのだけれどその度に営業時間外だったり、休業日だったりで中に入る事ができなかった。
窓から漏れる明かりをみて安堵のためいき。寒さもあるのでここで湯につかれないとなると厳しいものがある。

暖簾を潜ると右手が女湯、左手が男湯。
下足入れスペースは男女それぞれ28と少なめ。
男湯の扉(開き戸)は少々力を必要とする。開くとみしっと音が立つ。
中の親父さんにご挨拶して湯賃(430円)をお渡しする。

中は地方の小銭湯といった趣で、こじんまりとしているがクラシカルなマッサージチェア、女湯境の壁に大きな一面鏡、籐籠などのアイテムが揃っている。

窓際にあるロッカーは10位と数が少ないが湯客は5名ほどであり、その殆どが脱衣かごをご利用という事で余裕がある。
ぱぱっと服を脱ぐと浴室へ。

浴室は2段式の天井で水色に塗られ清々しい。天井の一番高い部分はかまぼこ型になっている。カランは外壁側から5−2−6なのだが、この2というのが脱衣場を背にする人と窯場側を背にする形で2人が向かい合うカラン。ここを向かい合って使うのは同性同士だと気まずさが漂うはず。鏡で仕切られてもいないので。

風呂椅子は20センチほどの高さの小さめの椅子。白い桶は無地だが一つだけケロリン。外壁側のカランに腰掛けると窓の前に鉢植えが10個ほど。ランや竹などが目を楽しませてくれる。

ペンキ絵は中島氏の富士。女湯境壁にも3つのペンキ絵があり、これらも中島氏。
身体をしっかりと洗うが、このカランのレバーが絶妙に軟らかく押しやすい。また金具の隙間から湯が溢れ出ているのも親しみが湧く。

さて浴槽を巡る。
奥の壁に浅風呂と深風呂の二つの構成。
浅風呂にはバイブラもあるので浴室にはボコボコといったお決まりのSEが流れている。
まずは浅風呂から。
湯温計は45℃を指し示しているが実際は湯は軟らかく42.5℃ほど。肩までしっかりとつかりしばらくつかっていても苦ではない。
そこで壁の注意書きが目に留まる。

あたたまりすぎ、長湯はしないでください。
「守れない人はお断りします」

あたたまりすぎる、長湯、というのは言われなくてもしなさそうではあるが、この湯の心地よさを考えると身にしみてよくわかる注意書きである。

そしてこの浅風呂の外壁側には水槽があり、メダカ(赤・白)がこれまた心地良さそうに30匹ほど泳いでいる。これを眺めつつ湯を楽しむと時間の経過を忘れてしまう。

続いて深風呂へ。
こちらも湯温計は45℃。実際はそこまでないがしっかりと温まる湯。
2段の高さがあり、一段目に腰掛け湯を楽しみ慣れると、さらに一つ深い二段目で肩に近いところまで。そして浴槽の底(までつけると溺れるので)、肩まで使って歳の数を目を閉じ数える。
時折女湯境の松島の風景を見ながらいくらでも湯につかっていられる。

湯から上がると脱衣場で親父さんや常湯とされているお客の会話を聞きながらクールダウン。女湯側からは一度も音は聞こえてこなかったが、親父さんたちは「女は安売りに弱い」「男は女に弱い」「おれおれ詐欺はいつまでもなくならないなぁ」など話されている。

今季一番の寒波が襲来しているという今日という日ではあるものの、しっかりと温まっているおかげで一枚着ている服を鞄に納めて帰る。なので鞄はパンパンになってしまうがそれも仕方ない。
振り返ってみて浴室のあの注意書き、
「あたたまりすぎ、長湯はしないでください」
というのを思い出し微笑んでしまう。

趣のある銭湯である上にしっかりと温まる湯、水槽に鉢植えにペンキ絵、プチ島カラン。どれも興味深いエンターテイメント性に優れた銭湯。
また近くに来たらぜひ立ち寄りたいものである。