今日は日曜日。
昨日は肌寒さを感じた一日だったが今日は一転して過ごしやすい秋の日和である。
荻窪駅北口を降り、四面道交差点を北東へ。回り道になってしまうが、角を一回曲がるだけで到着するはずなのでわかりやすいのである。
今日目指す銭湯は第一宝湯。
なぜ来たかというと今月いっぱいで廃業してしまうという情報をサイトで見かけたからである。
あまり廃業するからといってどやどや押し掛けるというのも気が引けるので、静かに控えめに訪れる事にする。
第一宝湯に近づくと煙突が見えてくる。
近隣は低層住宅街で高層建築物はないが、比較的新しい分譲住宅、低層マンションなど開発は進んでいる地域。銭湯も少し居心地が悪そうである。
中に入ると右手に下足入れ。
靴を預け、中に入ると正面にフロントがある。天井高く、脱衣場とつながっている事からかつては番台形式であった事を伺い知る事ができる。
フロント前右手側にはソファがありテレビもある。ちょっとした休憩スペースになっている。女将さんがフロントにいらっしゃり、お客と会話をしている。廃業に関する事をお話しになっているようである。
湯賃を脇からお渡しし右手の男湯へ。
脱衣場は立派な格天井。しかも折上式である。天井を見上げながら、世界に誇るべき寺社建築の東京銭湯が一つ、廃業してしまう事を考える。
非常に悲しく、寂しい事である。
女湯境の壁に芸能人のサインが飾られている。壁に蛍光灯が仕込まれ間接照明のような演出になっている所にザ・たっち、ココリコ、ダチョウ倶楽部などのサイン色紙。
その他体重計はアナログ式でKEIHOKUのもの。エンジ色である。これは用賀にある「藤の湯」と同じ体重計。藤の湯はよく通っていたので懐かしく感じる。
ロッカーを一つ確保する。鍵はブランドが記されていないもの。下にある貸しロッカーは松竹錠である。
パパッと服を脱ぎ浴室へ。
お客は8人ほど。お年寄りが多いようであるが、お子さんを連れてくるパパもいらっしゃった。
浴室も天井高く二段式。
全体的に白いペンキで塗られ、そしてその大部分が剥げ落ちかけている。昭和の匂いをぷんぷんと漂わせている浴室である。
外壁側にサウナ室。島カランは一列でカランの数は女湯側より6-5□5-4(-は通路、□は島)。立ちシャワーは一基。
カランを確保し、体をしっかりと洗う。
シャワーの温度が低いようであるが、しばらく出していると熱くなってくる。開店が16時で私が訪れたのが16時30分くらいなのでまだ本調子でなかったのだろう。
さて浴槽を巡る。
こちらはペンキの剥げ落ちた雰囲気とは異なり設備が近代的。3つの浴槽があり、立ちジェットが一基、座ジェットが二基ある浴槽と、ミクロバイブラを備えた浴槽、そして水風呂がある。
まずはジェット系から。ボタンを押すとしばらくジェットが噴出されるものだ。立ちジェット(ハイパワージェット)はかなりの水圧。座ジェットも快適だ。湯温は41℃ほど。
ミクロバイブラのある浴槽も底にある水路でつながっている事もあり、水温は同じ。柔らかい湯でぬるめの温度という事もありじっくり長く入る事ができる。
続いて水風呂へ。
水温は20℃くらい。3人は入れるほどの大きさがある水風呂だ。オーバーフローした水が排水口に流れる仕組みも備わっており、きれいな水面だ。
こちらからはペンキ絵の全貌を眺める事ができる。
ペンキは砂浜から仰ぎ見る富士の絵。
富士の大きさは控えめであるがきめ細かく美しい。
おそらく丸山氏の作品。女湯側には岩なども描かれているようだが男湯側の対象物は松、砂浜、ヨット、雲、富士といったあたりである。壁や天井の剥げたペンキと同じように背景も朽ち果てた部分が多く、剥げたペンキの向こう側の絵、そしてそのペンキ絵がさらに剥げてもう一世代前のペンキ絵までもが覗き見える。歴史を感じ、頭がぼうっとなる。
水風呂に長く入ると血がさーっと下の方へ行き、しばしトランス状態となってしまう。
気を取り戻し体をミクロバイブラで温め、休憩。
釜場への扉は木でできている。なかなか釜場への扉まで木でできている所はない。しかしこちらも白いペンキで塗られ、一目で木とは分かりづらい状態。
気づいた事の一つとして天井から浴室に向けて蛍光灯が引き下ろされている。これはなかなか見ない設備だ。あとは島カランの鏡が斜めになっていて、着座した状態でやや見下ろす位置に鏡がある。
さて湯から上がり扇風機でしばしクールダウン。
フロントでお客と会話をされている女将さんの声がよく聞こえてくる。やはり廃業に関するお話のようだ。
やはり寂しい限りである。
ほど近くにある第二宝湯は営業されているようなのでそちらを今後は応援していきたいものである。
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