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2015年3月23日月曜日

184.北区豊島 宝泉湯

北区の銭湯、宝泉湯を訪れた。

日曜日の22時頃、UR都市機構のマンションが立ち並ぶ側にファミリーマートが一軒。
その隣にコインパーキング(21時以降一時間100円)があるので車を停める。
ここから宝泉湯までは歩いて3分ほど。東京成徳大学高校の裏にある。


3階建てマンションの一階。窓の奥に女将さんがフロントにお座りになられているのが見える。右手の下足入れに靴を預けると自動ドアから中へ。
女将さんにご挨拶し、右手の男湯の暖簾を潜る。
女将さんは丁寧な物腰で接客をされている。
フロント前にはテレビとドリンクケースが二つ。湯上りにのんびりできるスペースとなっている。

脱衣場は島ロッカーが一つ。クラシカルではないが、最新式でもない中期マッサージチェア一基。体重計はANDの腰までの高さのデジタル式。
壁側にもロッカーが並んでいるが、高さ160cmほどのもの。銭湯のロッカー上といえば忘れ物や埃などで汚いところもたまにあるものの、こちらのロッカー上はとても清潔。忘れ物など一つもないし、目に見える埃もない。
ロッカーのうち鍵が壊れたのか注意書きが貼られているだけの箇所がある。丁寧な字で「身体を洗ってから入ってください」というような内容が記載されている。
おそらく女将さんの字であろうと推測の域は出ないが、そう思う。

ロッカーを一つ確保し、パパッと服を脱ぐと浴室へ。
浴室は天井はマンション銭湯だけに低いが、奥の壁が少し高くなっている。
島カランが2つ。女湯境壁より3ー6□6ー4(ーは通路、□はは島)で合計19。立ちシャワーは二基。椅子と「宝泉湯」と書かれた黄桶を手に取るとカランを確保する。
湯客はこの時点で4人ほど。
カランで湯を作り、全身に浴びる。天井を仰ぎ見るとツタのようなものが窓の外から内部に入り込んできている。程よい遺跡感が醸し出されている。

さて、湯を巡る。
こちらの銭湯は奥の壁に広い浅風呂(ミクロバイブラ)の浴槽が一つ、女湯境壁側に電気風呂、座風呂の浴槽、脱衣場に寄ったところに水風呂、そしてサウナ室がある。

それともう一つ、露天風呂もありミクロバイブラの浴槽の脇にある扉から行くことができる。

まずは座風呂へ。
湯温は40.5度ほど。ぬるすぎず、長く入るとしっかりと温まる。水枕が適度に冷えており位置もちょうど良いため心地よい。
隣の電気風呂も浴槽が同じなので湯温はほぼ同じだが、若干ぬるめ。電極は両脇についているが壁を背にして左側は完全にオフになっている。右手のみビリビリと感じるが威力は弱め。恐れることなくじっくり浸かることができる。

続いてミクロバイブラ湯へ。
広い浴槽であるので両手両足を存分に伸ばして楽しむことができる。バイブラの勢いは噴出口の真上にあぐらをかいても安定して座っていられる程度。
ここで背景を探すが見当たらず。しかしながら座風呂の背後の壁に鷺が描かれたタイルがある。

続いて露天風呂へ。
湯温はぐっとぬるくなり39度ほど。
打たせ湯もあって落ちる湯の音が響く。壁は板で閉ざされて視界はゼロだが時折涼しい風が吹き抜ける。
打たせ湯は肩幅のサイズで2つ湯が注ぎ落ちてくる。しばし湯に打たれていると勢いが弱まったり、強まったりする。強くなってくるとさらにどばっと湯が落ちてきそうで少しわくわくする。しかし湯の勢いは弱まる。

気づくと体は温まっており湯から上がることにする。
時刻は23時を過ぎており湯客も皆帰られている。日曜の静かな夜に一人でゆっくり湯を楽しむことができた。賑やかさはなかったがバラエティー豊かな浴槽があり、近くに寄った際はまた訪れたい銭湯。背景がないのは少々寂しいものの、露天風呂に浸かり外気を感じながら至福のひと時を過ごすことができる。

2015年1月23日金曜日

183.北区王子本町 加賀浴場


木曜日の夜、北区にある銭湯、加賀浴場を訪れる。
屋号の由来は家主のお名前か、さもなくば石川県の加賀国か。





とにもかくにも加賀浴場は一階にコンビニ、コインランドリー、二階が銭湯になっている。
コインランドリーの前に2台ほどの駐車スペースがあるが、狭いので向かいにあるコインパーキングに駐車。夜10時以降は一時間100円であるのでリーズナブルである。

階段を上がり、牛乳石鹸の暖簾を潜ると傘立てと下足入れスペース。



靴を預けプラスチックの札を手に中へ。

ロビースペースとなり10人ほどのソファがあるが、静かである。
お客もいないがフロントも無人。フロントに札が置かれており「番台は中にあります」と書かれている。
YAMATOの腰の高さまでのデジタル体重計が置かれている他は、ヒートポンプの説明書きが掲出されたりしている。

さてもう一つ男湯側の牛乳石鹸暖簾を潜り脱衣場へ。
番台はフロントのちょうど裏側にある。女将さんがお座りになられており、いらっしゃいとお声かけ頂く。入浴券をお渡しすると仕舞の時間は23時30分ですよとのお話。
あと一時間。それだけあれば十分である。

脱衣場は島ロッカー二つ。外壁側には一面ガラスブロック。
そしてクラシカルなマッサージチェア一台、やや新しいマッサージチェアが一台、並んで浴室を背にする形でレイアウトされている。
体重計はアナログ式のものが置かれている。メーカーはHOKUTOW。
ロッカーを一つ確保すると、ぱぱっと服を脱ぐ。
天井は低めだが横幅が広く窮屈さはない。

浴室に入るとこちらも天井は低いのだが広さがあるので開放感がある。
カラン数が多く全部で33。立ちシャワーが一基。
床のタイルは10cm角で白い。滑りやすいのでしっかりと踏みしめて歩く必要がある。

風呂椅子と桶が少ないと感じるが、見渡すと3カ所ほどにばらけて置かれている。
カランを一つ確保するとしっかりと身体を洗う。

湯客は7人ほどで常連客同士で会話している光景もある。女湯側からも数人の利用者が存在する気配を感じる。

浴槽は全部で3つ。
女湯境の壁側にはミクロバイブラ。赤外線ライトが設置され赤いランプなので独特の雰囲気がある。
その右手には広めの浅風呂。座ジェットが2基設置されている。そして外壁側に深風呂。

浅風呂から湯を楽しむ事にする。
湯温は40.5℃ほど。
ぬるめなので浴槽にのんびりつかっているお客が多い。座ジェットの勢いはさほどではないが脚を伸ばし天井を見上げながらしばし温まる。

続いてミクロバイブラ。
赤い赤外線ライトを背に受けつつ、ジェットを全身に浴びる。
赤外線ライトははっきりとした効果はよくわからないが身体の芯まで浸透しているような気分はある。
湯温は変わらず。

深風呂の方も湯温は同じ。
ヒートポンプのおかげか湯にマイルドさがある。
少し塩素の香りがある。

背景がないので目のやり場に困るが、しかたなく女湯境の壁にある貴婦人の既製タイルを眺める。
そうこうしているうちに仕舞の時間が近づいているようで親父さんが風呂桶と椅子をまとめて一カ所に集めたりされている。

それを目にすると意を決して湯から上がる事にする。
ロビースペースではソファに腰掛け一休み。
1シーターのカフェソファの座り心地が気に入り、ゆったり過ごす。

フロントスペースが利用されている過去があったとすればもう少し活気もあったかもしれない。
そういった情景を思い起こしつつ帰宅する事にする。
近くに来た際はまた立ち寄ってみようと思う。

2014年12月31日水曜日

182.中央区日本橋小伝馬町 十思湯

12月30日17時頃、小伝馬町の銭湯を訪れた。

小伝馬町駅 4番出口を出て右に20mほど歩くと着く銭湯。
車の場合はコインパーキングが至近にある。60分300円。
小伝馬町の銭湯という事とその深みのある屋号で歴史があるのかなと思いきや今年7月の新規開業の銭湯。


十思スクエア別館の2階にその銭湯はある。
表向きは区民会館、スポーツセンターといった区の施設そのものなので浴場があるようには思えない。その為か所々に貼り紙がしてあり、2階への誘導がなされている。


エレベーターを使い2階へ。



すると暖簾があり、潜ると正面に下足スペース。靴を預けると左手にカウンターがあり、親父さんがいらっしゃる。入浴券をお渡しして男湯の青色の暖簾を潜る。
建物自体が新しい事もあり、どこも清潔。ちょっとしたスポーツジムの大浴場といった趣。
脱衣場はスーツがすっぽり収まるほどの大きさのコインロッカー。100円のリターン式のもの。つまり入浴券だけ手に握りしめてこちらを訪れてもコインロッカーが使えずに途方に暮れる事になる。

脱衣場には腰の高さまでのデジタル式の体重計、最新式のオムツ替えの台。給水器などが設置されている。天井は低めだが明るいので開放感がある。

ぱぱっと服を脱ぎ浴室へ。
天井は低めだが、床は滑り止めのタイルでふみ心地は良好、カランは壁で仕切られており隣から石けんの湯が流れ込んでくる心配もない。
女湯境の壁手前にサウナ室、水風呂、奥の壁に浅風呂(ジェット2基付き)、湯温高めの浅風呂と浴槽は全部で3つある。

湯客は5人ほどと少ないがカラン数が女湯境の壁からー□5ー7(ーは通路、□は島)と少ないので混み合っている感じはある。
シャワーの性能が良く、水圧が申し分ない上に手元に調節ダイヤルがあるので出しやすい。こういった新しめのスーパー銭湯然としたところでは時限式のシャワーもあったりするのだがそういった意味では想定を裏切って快適である。

さて浴槽を巡る。
まずは浅風呂(といっても水風呂以外の浴槽はどちらも浅い)の湯温が低い方。湯温計は39.5℃を指している。浴槽は広く、2段式になっている。ここのタイルはつるつるしているため2段目に腰掛けてのんびりしようにも滑ってしまう。慣れるのに少し時間を要する。
ジェットの水流は良好。凝りをほぐすほどではないが心地よい。
そして湯温の高い方へ。こちらは41℃ほど。高いと言ってもアツ湯ではないが湯温の違いがあるのは重要。サウナ(別料金400円)を利用すればしっかりと温まる事ができるだろうが毎回860円も支払うのは少し割高なので湯温高めの浴槽は重宝するだろう。

背景は佐野喜(佐野屋喜兵衛)と書かれている富士をバックに印刷されたもの。
銭湯の背景では珍しいがしばし眺めながら湯を楽しむ。


開業したばかりなので当然ではあるが清潔で居心地がよい。
サウナ料金は高めだが次に訪れた時はぜひ利用したい。






2014年11月23日日曜日

181.三鷹市下連雀 春の湯

三連休の初日。
三鷹の銭湯、春の湯を訪れた。

ビル銭湯だがすぐ隣の敷地がコインパーキングとなっており、車で訪れるのに絶好のロケーションとなっている。
「春の湯」の屋号入り看板が一方通行の4m道路を通る人や車に向けて眩しく光っている。
階段を数段降りたとこに入口がある。

ビルの半地下にある銭湯。ブロックガラスの向こうはロビースペース。

春の湯の看板。季節の春なのか、人の名前か。


まず下足入れに靴を預け、油絵(風景画)を眺める。自動ドアの入口から中に入るとロビースペース。
大型の液晶テレビがあり、つい先ほど発生した長野の地震について伝えている。その内容に対してロビーのソファに腰掛けた湯客と女将さんとで何やら会話している。

女将さんに入浴券をお渡しし、下足入れの鉄鍵をお渡しすると、ロッカーキーを貰えるシステム。ロッカーキーを持ち帰り私物化する湯客に対する対策(ただ忘れて持ち帰る人もいるだろうけど)の一つ。番台であれば鍵の持ち帰りの見張りも可能だろうが、フロント形式の弊害と言えなくもない。

右手の男湯の暖簾を潜ると、近代的なマッサージチェア、kubotaの腰までの高さのデジタル体重計、自販機等が目に入る。ビル銭湯だけに天井は低く、寮の大浴場然としている。
しかしながら湿布を貼ったまま風呂に入るななどの注意書きがある事でやはり銭湯なのだなとほっとする。

与えられたロッカー前でぱぱっと服を脱ぎ浴室へ。
浴槽がバラエティーに富んでおり島カランが八角形で2つ。女湯境の壁側にずらっとカランが並んでいる。無地の浅く広めの桶と風呂椅子を手に取りカランを確保。湯を作り頭からかぶる。しっかりと身体を洗うと浴槽巡りを始める。

浴槽は奥の壁から外壁側へL字型に連続しており、脱衣場脇にサウナ室(有料)がある。
まずは端の薬湯から。本日は「柚子」。柚子といっても入浴剤の柚子。ほのかに香りもする。湯温は40℃弱でぬるめ。長めにつかって仕事の疲れを落とす。

続いてお隣は座ジェット2機。勢いはそれほどでもないが水枕が設置されており、しっかり冷たい。湯温はやはりぬるめ。次は「ミクロンバイブラ」。ミクロンとはいってもボコボコと大きな泡が浴槽の底から連続して噴出している。その上に胡座をかいて修行僧のように静かにしていようと思うが、勢いがすごいので中々同じ体勢をキープする事が出来ない。

続いて滝湯もある。タイミングが合わず滝に打たれる事は出来なかったが、また次に来た時に取っておこう。

続いて「高温湯」。高温というと身体に悪そうなネーミングだが、恐れる事はない。つかってみると43℃ほどで高温という大げさな湯温ではなかった。やや熱めといった所かな。この浴槽のおかげでしっかりと温まる事ができた。サウナもあるので身体に熱を入れたいお方に取ってはこの銭湯はいいかもしれない。

サウナ室の目の前には水風呂もある。今回はここは入らず高温湯でしっかりと温まり湯から上がる。

表に出ると晩秋の夜風に吹かれながらクールダウン。
春の湯のネーミングには合致しない季節だが熱めの浴槽があるおかげで芯まで温まりたいこの季節にも対応している銭湯。近くに来た時はまた寄りたいところである。

2014年11月16日日曜日

180.東大和市新堀 神明湯

秋も深まり夜もだいぶ肌寒くなってきた土曜日の夜。

愛車を走らせ東大和の銭湯を目指す。ホームページ(▶︎こちら)を見る限りはなかなか力が入っている。ドメイン名を取得している銭湯というのはそんなにないはず。露天風呂もあるし、駐車場も完備、という事で規模が大きいスーパー銭湯然としたものを思い浮かべていたが、近くまで来ると住宅街の中の狭い道に突入し銭湯のあるべきナビ上の場所には道が狭く近付けない。

裏手の道を進むと「神明湯」と明かりの入った小さな看板があり、「駐車場」とプレートが壁に貼られている。銭湯の入口側でなく裏側に駐車場があるので注意である。

駐車場の看板。地味ながらも屋号を強烈に主張している

表側に回ると壁は茶色のモルタルで波模様が付けられ今風の趣。ネオン看板にもいろいろな浴槽の種類が書かれ、サウナもあり気分は高まる。

おしゃれな表向き

暖簾を潜り下足入れに靴を預けフロントスペースへ。
マウス片手にPCを眺めている親父さんがすぐに接客モードに入る。お若い親父さんだ。前例もあるので念のため駐車場利用の確認を済ませ(ご自由にご利用くださいとの事)、入浴券をお渡しすると脱衣場へ向かう。
フロントスペースには大型液晶テレビがあり。6人ほどがゆったり休憩できるスペースとなっている。

男湯、女湯は日替わりで交代するようだが本日は右手が男湯。渚の湯と言うらしく露天風呂がある。

脱衣場には既に湯客が5人ほど。年齢層は50代以上と比較的高めか。
ぱぱっと服を脱ぐと浴室へ。
湯煙が充満している。カランを確保すると身体を洗い流す。
湯客は浴室だけでも7人ほど。繁盛している。

浴槽を巡るとジェットバス、電気風呂、薬湯、寝ジェット、水風呂、露天風呂、サウナ(200円)といったところ。

どれも湯温はぬるめだが柔らかめのいい湯である。
露天は岩風呂で渚に生えているような木(パームツリー?)の葉が大きく上に広がっている。空は高い壁に囲まれ狭いながらも仰ぎ見る事が出来る。
薬湯で温まり、ジェットで身体を解し、電気風呂でさらに凝りを解きほぐす。

しっかりと温まると湯客はさらに増えだしている。
フロントは女将さんにチェンジとなっている。丁寧なおじぎをしてくださりお見送りされる。心地よい。

車で来ると駐車するのに慣れがいるが風呂の種類で楽しめる銭湯だ。
次に来る時はサウナを利用してみよう。

銭湯前の商店街。車は踏み込めない領域








2014年10月19日日曜日

179.足立区竹の塚 泉湯

土曜日の夜。
一週間の仕事の疲れを湯に流す為に足立区の銭湯へ。

竹の塚彫刻の道と書かれている道の中程に泉湯の明かりが見える。
建物の左側には駐車場スペース。
車を停めて建物を見上げる。
コインランドリーとロビースペースが前にせり出しているが、その向こう側に破風屋根の頭が覗いている。
暖簾を潜る。下足入れに靴を預けプラスチックの木札を手に取る。

フロント形式のロビースペースにはタバコを吸っているお客一名。
女将さんに入浴券をお渡ししロッカーキーを受け取ると急ぎ右手の脱衣場へ。

中に入ると和の趣は体重計やマッサージチェアといったところ。
所々に太めのマジックで注意書きが貼られている。

ぱぱっと服を脱ぎ浴室へ。
天井は高く2段になっており、最上部はやや中央に向かって落ち込んでいるがほぼフラット。サウナが外壁側に設置されている。その前には水風呂。

湯客は4人ほど。
カランを一つ確保するとしっかりと身体を洗う。

浴槽へ。
浅い浴槽には赤外線ライトと外壁側に檻があり中には三つくらいの大きめの石。
赤外線ライトに腰を付け、バイブラに身を任せる。
全体的に湯はジェットやバイブラの泡に包まれている。

しばし温まると壁のタイルを眺める。
既製のタイルでヨットや波がシンプルな線で描かれている。
女湯境の壁には貴婦人のタイル。

深風呂は座ジェット。
水枕に頭を預け湯を楽しんでいると女将さんが入室して何やらお客に話しかけている。
どうやら駐車場で一台車が出られなくなって困っているらしい。
自分には関係ないかと思っていたが、車を停める時に後ろに軽自動車が停まっていた事を思い出す。

女将さんに声を掛け急ぎ車のキーを渡す。
その後はあまり湯を楽しむ余裕もなく湯から上がる。

ISHIDAの腰の高さくらいまでのアナログ体重計とクラシカルな焦げ茶色のマッサージチェアを横目で眺めながら身支度。
ロビーに行き女将さんにお話を伺う。
こちらは基本的には駐車スペースは1台だがもう1台停める時はキーを預かっているとの事。今後は気をつけてくださいと優しくフォローされた。

ロビーのソファでジュースでも飲みながら一息つこうかと思ったが小銭がないので帰宅する事にする。
常湯としている銭湯で慣れ親しんでいるシステムと、初めて訪れる銭湯のシステムは必ずしも一致しない。銭湯一つ一つでやや違うものである。

サウナに入らなかったのでまた来る時は利用しようと思う。
あと車で来る場合はキーを預けるのを忘れないようにしよう。




2014年10月11日土曜日

--.杉並区上荻 GOKURAKUYA

10月10日。
銭湯好きにおいては一年のうちで特別な一日である。
ぜひ湯につかりたいものだが、残業のせいで帰宅したのは23時を回っている。

湯めぐりマップから24時まで営業している銭湯に電話を掛けてみる。
「23時で営業終了なんですよ。申し訳ありません」
他に26時までとなっている銭湯を目指すも看板は書き換えられ「0時まで」となっている。

そうして二つの銭湯を諦め、杉並区のGOKURAKUYAという銭湯に行き着く。
近くのコインパーキングに駐車。0時以降は一時間100円。ぐるっと周り裏手のマンションへ。GOKURAKUYAは三階建てマンションの一階(アパートと表現するのは憚られるほどの大型の建物)。
屋号は英字でGOKURAKUYA。字体はロック調だが中身はどうだろう。
3つ程階段を下りたところに入口。正面にフロントがあり、若めの親父さんがお座りになられている。
下足入れに靴を預け親父さんに入浴券をお渡しすると、「本日は銭湯祭りなので」とタオルを頂く。

左に見えるのはコインランドリー
左手の女湯に進もうとして親父さんに「男湯は右手です」とたしなめられる。初めて訪れる銭湯のお約束となりつつあるやり取りである。
脱衣場は寮の大浴場といった感じで畳8畳ほど。天井も低い。
女湯側の脱衣場から会話がすぐ近くに聞こえてくる。これは天井が低いためか。
テレビもある。デジアナ変換は来年3月までとテロップが流れている。
銭湯はやはりアナログテレビが似合っている。
来年3月以降もぜひデジアナ変換は継続してほしい。

30あるロッカーは松竹錠。最下の一段は常連用のロッカー。しかしロッカー上のスペースが勝手か知らないが入浴グッズの物置と化している。
体重計はTANITAの体組成計。ノスタルジックなアイテムは何一つ見当たらない。

ぱぱっと服を脱ぎ浴室へ。
やはり天井は低い。右半分に浴槽。しかしながら手前に二つのみカラン。
左側は女湯境壁となっており、壁沿いにカランが10並んでいる。湯煙に包まれ、女湯から会話が聞こえてくるし、男湯側も会話が活発だ。金曜の夜という事もあるのか活気がある。年齢層も20代前半と見えて若い。

風呂桶、風呂椅子を手に取りカランを一つ確保する。
風呂桶というには似つかわしくないまるでフランフランで買ってきたかのようなサーモンピンクや紫などの色の桶。しゃれたトラットリアに行けばこんなパスタ皿がある。風呂椅子も雑貨屋にあるようなもの。
カランを確保し身体をしっかりと洗う。
雰囲気がとにかく寮の大浴場然としているので気分は一回り若返る。

さて浴槽を巡る。
手前から電気風呂、シルク風呂(抱擁と書かれている)、座風呂、水風呂の構成。奥にはサウナ室がある。
まずは座風呂から。
湯温は41℃ほど。
水枕もあるが、冷たくないし高さも高すぎて落ち着かず。高さがいまいちなのは水枕設置の大半がそうなので別に苛立もしない。
ジェットは背中に当てると幅が広すぎて個別に当てるのがいい。勢いは強めで心地よい。
湯の方はややカルキ臭がする。

続いてシルク風呂へ。
こちらは湯温が41.5℃ほど。 
きめ細かい泡なので肌に優しい感じはある。浴槽も広めで湯客も主にシルク風呂につかっている。
そして隣の電気風呂へ。
この電気は強力。久々の電気風呂という事もあるが、電極からかなり離れているところにもビリビリが到達している。しかも手前に電極が設置されており入湯と同時にビリビリ来る。知らずに入るとそのまま筋肉が電気で硬直し脱出不可能になるのではないだろうか。

慣れると腰に電極がうまく当たるように調整してしばし至極のひと時となる。

サウナ室は今回はパスし湯から上がる。
深夜までやっている銭湯として貴重な存在。
0時を回ってどうしても湯につかりたい時はまた利用したい。
せっかくの10月10日なのでラベンダー湯につかりたかったという思いもあったが、またの機会という事にしよう。

2013年9月23日月曜日

178.杉並区下井草 井草湯

三連休の最終日。ふと思い立ち杉並区の井草湯へ。
数年前に訪れた時は休業日で外から見るだけだった。
印象的なのは四角い煙突と住宅街の中に茂る木々。

町の公民館のような表向き

手前に駐輪場と駐車場スペース。車は5台ほどは停められそうだが、自転車の数との兼ね合いもあるので3台くらいが妥当か。コインランドリーのスペースと自動販売機が3台。
引き戸を開け暖簾を潜るとすぐ正面にフロント。左右に下足入れがあり、右が男湯、左が女湯だ。
フロントには1〜2歳の赤ん坊を抱えておられるお方。おそらくご主人なのではないだろうかと思う。抱っこしている赤ん坊は将来の若旦那となるのであろうか。

ご挨拶をし、ロッカーキーを受け取る。
脱衣場に入ると広々としており中央にベンチ、テーブルなど。床はアメ色に輝く木板。外壁側と手前壁側にロッカーが並んでいる(総計55ある)。
天井はやや高いが宮作りではないのでそれほどでもない。
印象としてはとにかく清潔だ。清掃が行き届いている。ロッカーの上もピカピカである。
こうなるとトイレも気になるので行ってみるが、やはりきれいだった。新しくはないのだがよく手入れされている。気分がいい。

体重計はアナログ式のクラシカルなものでYAMATOのもの。
さて、パパッと服を脱ぎ浴室へ。

湯客は4人程。
天井は少し高いが一階建ての高さ。かまぼこ型で白ペンキは塗られてから数年も経っていないようである。
島カランが一列。外壁側からカランは6ー5□5ー5(□は島、ーは通路)。立ちシャワーが1基ある。横幅が広い銭湯である。外壁から島カランまでの通路幅が2メートル程はある。
外壁側の窓ガラスが少し開いているので外を覗くと灯籠がある。庭の痕跡か。今の建物の前は宮作り銭湯だった歴史もあるのかもしれない。

身体をしっかりと洗うと浴槽へ。
こちらの浴槽は外壁側に浅く広い浴槽、女湯境壁側に深風呂がある。
まずは浅風呂から。
こちらにはバイブラとジェットが備え付けられている。バイブラの付近には赤外線ライトもある。湯温は41℃程。ジェットは一穴式だが強さはまずまず。心地よい。
ジェットの付近の壁に穴が開いており湯が噴き出してくる演出もある。浴室にはジェットの音やバイブラの音などが響き渡り耳を飽きさせない。

さらには壁に浴場主から効能について記載された注意書きが記載されている。
所々字が読みづらい場所があるが、どうやら赤字で描かれた部分でその赤色が剥げ落ちてきているようだ。なんとか読み取ると「超音波」「気泡」といった文字のようだ。
とにかく身体には良い湯のようである。

浅風呂の外壁側にガラスのブロックタイルがはめ込まれているが、縦長の形をしておりなかなか珍しい。

しっかりと温まり、少しクールダウンした後で深風呂へ。
湯温は少し高めで42℃程。
深さはあるが一段目のせり出し部分が30cmくらいあるので腰掛けるのも楽であり踏み外しにくく安全。
さらにはバイブラもある。おかげでゆったり湯を楽しみながら背景を仰ぎ見る。
「本栖湖 25.8.2」と記載されている。
澄み渡る青空に雄大な富士。岩の書き方や全体的な丁寧な筆致を見ると早川氏の作だろう。
湖に浮かぶヨットの帆のグラデーションもしっかりと描かれている。

女湯からは子供と一緒に入る若い奥さんの声。子供が言う事を聞かず世話が大変な様子だ。
湯から上がるとベンチに腰掛け一休み。マンガ雑誌も豊富で火照った体を冷やす時間も楽しく過ごすことができる。

ご主人にロッカーキーを返却し、表へ出る。
自動販売機でチェリオを購入し帰路につく。静かな住宅街に清潔な銭湯。湯も柔らかく上質。車でも気軽に訪れる事ができる。雰囲気も良い。また訪れたい銭湯の一つとなった。


2012年2月4日土曜日

177.足立区千住緑町 緑湯

今日は足立区へ。

タカラ湯に行こうかなと思っていたのだけど、300m離れた駐車場が満車になっていた為、今日はやめたと適当に道を走っていると出会った銭湯、緑湯。

唐破風屋根が左右の大木の間から見える。昭和の香りがすでに漂ってくる。
近くのコインパーキングに車を停め、裏手から緑湯に向かって歩く。

ロケット型の煙突が2月に澄み渡った青空に一直線に伸びている。


近くには新しい大型マンションも建っているけど、この銭湯の周りだけは昭和の香りが今もなお漂っている。煙突の付け根の当たりに廃材の山があって、やけに小さな木片なんかもばらばらと無造作に置かれている。
季節的に乾燥しているから火の元には気をつけて欲しいところだ。

正面に周り、竹が描かれた垂れの短い紺色の暖簾を潜る。
正面に傘たて。 右手が男湯になっている。
松竹錠の下足入れに靴を預け、木札を手に取る。
湯客はさほどでもないはずだが、差し込まれている木札は残り少ない。

引き戸を開き中に入ると番台には親父さん。
一本くゆらせていたようで少々煙たい。
湯賃をお渡しすると明るく「はい、いらっしゃい」。
接客は良さそうである。

脱衣場の天井は高く、格天井。折り上げ式でかなり急な折り上げになっている。
色は焦茶色でくたびれた感じを出している。これは白壁も同様でさびれた雰囲気をよりいっそう盛り上げている。

島ロッカーが二つ置かれている割に広々とした床スペース。幅広な銭湯である事が伺える。脱衣場に湯客は1人。これからお入りになられるようである。
私もロッカーを一つ確保しパパッと服を脱ぐ。

体重計は小豆色のアナログ式で、KEIHOKUのもの。
用賀の藤の湯にも同じタイプのものがある。
その他広告や区のちらしなどまったく貼られていない渋い壁面。シンプルであり、なおかつ鄙びている。一つ、朝日新聞のブリキ看板はあった。

浴室に入るとさらに空気がずっしり重たくなっている。
女湯境壁上と外壁側、脱衣場側に2本ずつある蛍光灯だけの灯りに照らされた浴室は、その高い二段式天井の天頂部分まで十分に届かずに、天井が思っている以上高い位置にあるように見える。

遺跡に一歩足を一歩踏み入れたかのようだ。

カランは女湯境の壁側から7ー6□6ー7(ーは通路、□は島)。島カランにはシャワーなし。
一つを確保ししっかり身体を洗う。
シャワーの取っ手がゲームセンターの筐体についている操作レバーのようなもの。手にしっくりなじみ扱いやすい。
カランの湯もシャワーの湯もぬるめ。

床のタイルが楽しい。
おむすび型や丸形のランダムなサイズのタイルに加え、カニの形、あさり、しじみ、はまぐりといったタイルもまざっている。低い位置でのこういった演出は小さな子供に大変ウケる事だろう。

女湯境壁にはよく見る西洋の湖畔風景、レンガ建築の民家がいくつか立ち並ぶチップタイルだ。

さて浴槽を巡る。
こちらは三槽式で外壁側から広めの浅風呂、深風呂があって、釜場への扉、そして端に畳一畳分の狭い深い薬湯槽がある。
広めの浴槽は湯温が41℃ほど。肌触りの良い湯で全身が気持ちよさに身震いをする。特に最初に浸かった時の感覚は忘れられない。
ジェットが二カ所から噴出しているが一穴式で勢いも弱め。浴室内にジェット水流の音が漏れ出す事もなく、静かで重厚な雰囲気を邪魔する事なくひかえめでいい感じだ。

続いて深風呂へ。
底で浅風呂とつながっているのでさほど湯温は変わらず。
一般的な銭湯にある深風呂を超越した深さなので気軽に足を入れると驚くはずだ。へりに手を付け慎重に入る必要がある。

こちらから背景をじっくり眺める事にする。
荒々しい筆致、女湯ぶち抜きの広大な富士の絵は故早川氏のもの。西伊豆である。
所々剥がれかけているが、壁の白ペンキがそれ以上に剥がれて黒ずんでいるので全く問題はない。最高だ。

外壁側の磨りガラスにはいくつもの楓の葉っぱが刻まれている。ただの磨りガラスに終わっていない所がいい。そういうデザインに気がついた時も気持ちがいいものである。

最後に薬湯槽へ。
こちらはバスフレンド森林浴の板が貼ってある。
香りはあまりしないが、何よりも湯温が熱め。45℃はある。
気づくと浴室には10人程の湯客で溢れていたが、どなたも入ろうとしない。
確かに熱めだが気合いを入れて湯に浸かる。子供には入れない熱めの湯である。

男湯はお客も増えてきているようだけど、終始女風呂は静か。
時間帯のせいかもしれない(17時頃)。
さて、カランの水を浴びてクールダウンした後、湯から上がる事にする。

番台には女将さんがお座りになられている。
お客とニュースについてお話しされている。私はお手洗いへ。縁側の木が抜け落ちそうになり冷やっとする。畳半分ほどのスペースに和便器が押し込まれている離れにあるお手洗い。電灯も暗くてよく見えない。夜中に来るときっと怖い。

女将さんにどうもと声を掛け家路に着く。
足立区の銭湯はまだまだ訪れていないところが多く、今後が楽しみである。


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2011年11月13日日曜日

176.世田谷区池尻 第二淡島湯

以前一度訪れた事があるのだが、駐車場がよくわからず諦めた銭湯。
今日は近くの北沢川緑道側にあるコインパーキングに車を停め、歩いて向かう。

入口のすぐ側におじさんが立っており、目の前の通りを行き交う人や車等を眺めたりなどしている。一枚銭湯の写真を撮ろうかなと思うのだけれど、なかなか行ってくれないので諦めて帰りに撮る事にする。

「淡島湯温泉」と書かれた小豆色の暖簾を潜る。
下足入れは珍しく横向きに木札を差し込むタイプ。松竹錠だ。
いくつも並んでいるのに、なぜか右半分が男性専用、左側が女性専用の下足入れになっていて、数字の色も黒と赤に塗り分けられている。番台形式で入口から左右に分かれているのならまだしも、フロント形式なのに分かれているのは変な感じだ。もし女性専用の下足入れに入れたらどうなるのだろうかと思ったけど、多分何も言われないのだろうから試すまでもない。

フロントへの自動扉を抜けると自動音声で「いらっしゃいませ」の声。
3人ほどが座って休めるこじんまりとしたロビースペースがあり、フロントには誰もいない。すると後ろからついてくる人がいる。
さきほど入口で街を眺めていたおじさんである。どうやら銭湯の親父さんだったようである。

湯賃をお渡しすると、下足入れの木札を求められる。
木札を預けると、ロッカーキーを渡される。下足入れの番号と、ロッカーキーの番号が同じであった(たまたまかもしれない)ので、こちらの銭湯に慣れてくれば下足入れを見た時点でどの位置のロッカーが埋まっているかどうかを判断する事ができ、脱衣場で混み合った位置で着替えをしたりする事を避ける事ができるのだろう。
そうなると、下足入れが男湯、女湯で分けられているという事に説明がつく。

駐車場の事をお伺いすると、右手奥の道を進んだ所に一台停められる(もちろん空いていれば)、との事である。

右手の男湯の暖簾を潜る。なぜか男湯も女湯も暖簾の垂れが片方あげてある。
脱衣場はさほど広くはなく、ロッカーが30(こちらも松竹錠)、YAMATOの腰までの高さのデジタル体重計。マッサージチェアなどがある。天井は低めで板張り。特に昔ながらの、といった雰囲気はない。しかし全体的な鄙びた感が昭和を醸し出しており、古い友人の家に遊びにきたような感覚がある。

パパッと服を脱ぎ、浴室へ。
中に入ると感じる静けさ、あと肌寒さ。
湯煙が少なめで、湯客も少ないからだろうか。

天井は二段式になっているが、二段目が狭く、低い屋根部分の面積が多い。
ほぼ白く塗られており、一部分の柱は水色に塗られたりもしている。
カランは女湯境側から7ー5□5ー4(ーは通路、□は島)。立ちシャワーが2基、外壁側に設置されている。

湯客は3人。カランは問題なく確保でき、身体をしっかりと洗い流す。シャワーの出しっ鼻も最初冷やっとする。使っていけば温まるのかと思いきや、止めて、出すたびに冷やっとした。

さて浴槽を巡る。
3つの槽に分かれていて、女湯境側から座ジェット2基、浅風呂、最後に「あつゆ」と書かれた浅風呂である。
座ジェットと浅風呂に湯客がいらっしゃった為、望ましくはないけど最初から「あつゆ」に入る事にした。

淡島湯温泉と謳うだけありこちらの銭湯は黒湯を用いている。3つの浴槽とも黒湯。
あつゆの浴槽は湯温43℃ほど。カランがないので水を足す事ができず、熱めの湯を楽しむにはうってつけである。
黒湯はやや薄い感じで、浴槽の底がぎりぎり見えないくらいであるが、30センチ〜40センチ先までは見通す事が可能である。

「あつゆ」浴槽は壁に湯の吹き出し口があり、こんこんと熱い湯がわき出してくる。
バイブラなどはないが、循環される湯が奥の壁から手前に向かって流れており、壁に当たり跳ね返りの湯にまた流れが当たる事で幾重もの波の模様が連続して美しい。
単なる透明な湯でなく、黒湯であるという事も要因としてあげられる。

さて続いて座ジェットの浴槽へ。
こちらの銭湯で静けさを感じる要素の一つにはジェットの音がしない、という事があげられる。座ジェット浴槽にはボタンが備え付けられており、これを押す事でしばらくはジェット音が浴室に満たされるが、普段は桶の音、カランの音、シャワーの音、くらいなものである。

座ジェットは深めの浴槽になっており、黒湯なので底がよく見えないため注意する必要がある。湯温は41℃ほど、じっくりと黒湯を肌で楽しむ。

さて浅風呂に入る。
こちらも湯温は41℃ほど。3人はゆったり入れる広めの浴槽でのんびり黒湯に浸かる。
背景を眺めると男女ぶち抜きの富士山。やや遠目に描かれた富士の手前側には湖がありヨットが何艇も浮かぶ。中島氏の作品である。所々ペンキは剥げかけてきており、そろそろ新たなペンキ絵を見たくなってきているお方も多いのでは、と考える。

しっかりと黒湯を楽しみ、湯から上がる。
シャワーで水をかけクールダウンするが、内側からぽかぽかと火照った体はなかなか収まってくれない。
源泉の水風呂があれば、とないものねだりをしてしまう。

さて着替えを終え、フロントへ行くと女将さんにお代わりになられており、常連さんとお話をされたりしている。
親父さんがさきほど店先にお立ちになられていたのは、ひょっとしたらお出かけになられていた女将さんがフロント交代の時間になっても帰って来ず、見たいテレビもしくは空腹のため、いらいらしつつ店先で女将さんの帰りを、今か今かと待っていたのかもしれない。

自動ドアを抜けると女性の自動音声で「ありがとうございました」。さほど離れていない三軒茶屋の千代の湯をふと思い出す。

帰りしな一枚。左手にはコインロッカーがある。

池尻の静かな住宅街。
北沢川緑道の道も歩くと楽しい。火照った体は11月の夜の散歩でもなかなか冷える事はない。
さて帰っておいしいビールでも飲む事にしようと決意を固め、家路を急ぐ。



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2011年9月4日日曜日

175.新宿区大久保 万年湯

日曜日の昼過ぎ。
9月になりまだ日中はかなり暑いが、日差しは優しくなって来ている。

自転車にまたがり、明治通りを北上して大久保に向かう。
靖国通りを過ぎ、大久保駅寄りに小道に入って行くとブティックホテル街になる。
台風が近づいていたせいか街にはあまり人が見当たらないが、そこそこ集客のある韓流アイドルのショップやシロフクロウ入荷しましたと張り紙がされているペットショップを過ぎると、大久保通りの定食屋「福しん」の脇の道の奥に万年湯が見える。

通りの奥、右手に万年湯がある。

螺旋階段を上るとコインランドリーがある。

万年湯から大久保通り方面を見るとこんな感じ。

万年湯はビル銭湯。2階にはコインランドリーがあり、他はマンションになっているようである。入口を潜ると左右に下足入れ、傘立てもあるがこちらには玄関マットが干されている。
下足入れは100あり、松竹錠の鉄札。靴を預けてフロントの女将さんに湯賃をお渡しすると、下足入れの札を出すように言われる。こちらでロッカーの札と交換する形式である。やや朴訥とした話しぶりである。丁寧さはないが、しっかりとした接客をされている。

フロント前スペースは4人が休めるほどのソファ、ローラーむき出しのクラシカルなマッサージチェアが一つ。ドリンクケースもある。

左手にある男湯の暖簾を潜り脱衣場へ。
天井はマンション銭湯にしては高めの3.8メートルほど。天井には蛍光灯がXに配置されていて、少々不思議に思う。ロッカーは45あり、あと竹籠もいくつか。それにしても人が多い。
15時開店で15時半くらいに訪れているせいもあるが、浴室を覗いても混み合っているのがわかる。この時間帯はずいぶんと活気がある。
さてフロントで手渡されたロッカーキーを見つつ、ロッカーを探すが該当のロッカーの周りには人が多いのでしばし女湯境の壁際に置かれている液晶テレビで広島ー中日戦を観戦する。液晶テレビのリモコンにはひもが付けられていて持ち出される事がないようになっている。他に面白いのは脱衣場側に立ちシャワーボックスが一人分、せり出す形で設置されている。体重計はANDの腰までの高さのデジタル。他に今月の臨時休業情報(9月12日は組合研修に参加の為休業、とある)。

5分ほど待ってロッカーの周りに人がいなくなったので、パパッと服を脱ぎ浴室へ。
ロッカーキーを渡される形式は下足札を持って行かれるリスクを軽減する事ができるのだろうが、反面自分の使いたいロッカーを選んですぐに使えないというストレスも上昇する。湯客の気持ちというものはそういうものである。

浴室はこちらも天井高め。完全にフラットになっている。
混み合っている浴室には湯客は12人ほど。
カランは外壁から3ー3□3ー6□6ー8(ーは通路、□は島)。外壁の3はホース付きのハンドシャワー完備で半個室状態になっている。共用の立ちシャワーは脱衣場にせり出す形で一つ。
カランの数も多いので混み合っているにしても難なく確保する事ができる。
しっかりと身体を洗い流して浴槽を巡る。

こちらの銭湯は奥の浴槽に設備が並ぶ形。
女湯境壁側に座ジェットと電気風呂の深型浴槽。中央にミクロバイブラ(停止中)、外壁側に円形浴槽。そして少し手前の外壁側に岩水風呂がある。
まずは座ジェットから。
湯温は42℃ほど。まだ湯がこなれていないのと水質もあって硬い印象。ハードな湯だ。
しばらく浸かっているとそんな湯にも慣れて来て心地よくなってくる。
続いて電気風呂。おなじみの注意書きもしっかりと貼られている。
深い浴槽の水面部分に電極板が設置されているので、しっかりと底に腰掛けた状態だと肩の位置になる。威力は結構強力でぴったり張り付けると全身びくんびくん状態となるので注意が必要だ。

続いてミクロバイブラ浴槽だが、残念ながら停止中。
こちらに腰掛け背景を確認する。タイルが並び、赤い複数の花びらを付けた花が描かれている。シンプルであり、キーワードも一つのみの為、あまり創造力をかき立ててはくれない。
こちらの銭湯は外壁側の外に高層建築がなく(駐車場がある)ので、明かりがふんだんに取り込まれている。それが浴槽のパール仕上げのタイルに反射し、水面を輝かせていて美しい。岩風呂の雰囲気もまたこれにあいまって心地よくしてくれる。雑多な大久保の街並を思うと、ふと別の場所に瞬間移動した気分となる。

続いて円形の浴槽へ。
円形というと人間洗濯機を思い起こすが、そういう流れはなく壁面8カ所から中央に向かってジェットが噴出されているのみとなる。

さて水風呂へ。
こちらの水温は25℃ほど。水風呂にしてはぬるめとなるが、長く浸かっていても顔面真っ青になることもなく、静かにクールダウンできる。岩風呂の浴槽も良く、こちらの銭湯のハイライトと言えるだろう。

最後に立ちシャワーを利用するが、レバー式になっていてアーケード筐体の 操作レバーのようだ。あまりレトロを感じる事のできない銭湯ではあるけれども、フロントスペースのマッサージチェアと、立ちシャワーのレバーに関してはそういった楽しみ方もできるアイテムとなっている。

さて湯からあがる。
街は夜に向けてやや賑わいを増しているようだ。
日常的に通うと設備も充実しており便利な銭湯と言える。また機会があれば、訪れたいと思う。

帰り際、トラ猫が近寄って来た。かわいい。



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2011年8月13日土曜日

174.西東京市谷戸町 ゆパウザひばり


ニュースでは帰省ラッシュを報じていた今日、西東京市の銭湯、ゆパウザひばりを訪れた。

このところ幾分涼しくなる夜中に銭湯を訪れて、後は家に帰って寝るだけという感じの生活が続いていたけれど、日中の暑いさなかに湯に浸かるのもいい。
車で新青梅街道からひばりが丘方面へ。ゆパウザひばりの駐車場は5台分だ。
夕方5時くらいだったけど空きが1台。


こちらの銭湯はマンション銭湯。銭湯のあるマンションに住むのは一つの憧れである。
左手にはコインランドリーもあり、駐輪場には自転車が20台以上。この全てのお客が湯に浸かっているのだろうか。それだけを見ても繁盛している事がわかる。

扉を一つ潜ると下足入れと傘立てがある。松竹錠の下足入れはその数、158。煩悩の数を遥かに超えている。158人の湯客がもし同時に浴室にいたらすごい事だろう。
以前F1観戦で訪れた鈴鹿のとある温泉に行った時をふと思い出す。浴室はカランの空き待ち、浴槽の空き待ちで所狭しと立ちっ放しの人、人、人。排水が間に合わず床に湯が数センチ、浴槽の湯は・・やめておこう。

二つ目の自動扉を潜ると目の前にフロント。椅子にはかわいらしい2歳半くらいのお子さんがお座りになられている。その側に若女将だろうか、フロント業務をこなしている。左手には券売機が2台。
ロビーにはテーブルと椅子が10組ほどあり、大型の液晶テレビも備え付けられている、

券売機が2台という事でもはやスーパー銭湯に片足を突っ込んでいる状態。
1枚購入してお子さんにお渡しするが、実際の業務はやられていないようなので受け取っては貰えない。

さて左側にある男湯の脱衣場へ。
中は天井低く、広さもさほどではないが清潔。エアコンに小型冷風機に扇風機もあり、快適な温度が保たれている。体重計はkubotaの腰までの高さのデジタル。あと大塚製薬の自販機。

69あるロッカーのうち一つを確保しパパッと服を脱ぐ。
水質検査の紙もある。平成13年に採水された地下水の検査結果。
さて浴室へ。

こちらは天井の高さが1.5階ほどあり開放的。天井に近い部分の窓から明かりも入り、奥の壁、ペンキ絵が飾られる部分は一面の窓。その窓から露天風呂が見える。
銭湯ありきで作られたマンションなのだなぁと感動。
天井は限りなくフラットに近いM字型をしている。
湯客は10人以上、出されたままの風呂椅子に桶もあるので、どこまで利用中なのか、そうでないかは一目ではよくわからない。

カランは外壁側から9ー7□7(ーは通路、□は島)。女湯境壁側に立ちシャワーブースが二つ。立ちシャワーは側壁についているので通路側にシャワーの水が飛んで歩いているお客さんに掛かってしまうリスクを回避できるよう考えられている。
さてカランを一つ確保して身体をしっかりと洗う。

浴槽を巡る事にする。
設備は豊富。L字型に広がる広大な一つの浴槽と奥の壁には薬湯槽。脱衣場側には水風呂、サウナ室もある。そして何といっても露天風呂。ご丁寧にも露天に出るには扉が2枚。冬であれば外の冷たい風が中に吹き込んでくるという状況でも安心だ。

まずは広大な浴槽から。

湯温はぬるめで41℃。
端から座風呂2基、リラックス風呂、電気風呂、ジェットの構成。
ちなみに浴室は1週間おきで入れ替えになるそうで、反対側には檜風呂があるようだ。
(ゆパウザひばりのHPはこちら>>>

電気風呂の効き目はなかなか。
座る時は電極部分がちょうど心臓部分になるので要注意。個人的には腰の高さにあると嬉しいが、人それぞれに電極板の高さを好きに変えられるようなシステムがあればいいなとふと思う。
電気風呂の場合は板に合わせる為に身体をもぞもぞ動かす、というのもまた一つの銭湯の光景であり面白いものである。

続いて薬湯を試す。
本日は甘草の湯となっている。日替わりで変わるようですぐ側に1ヶ月分のスケジュールが貼り出されている。
ロゼワインのような色をした湯は香りはさほど漂って来ないが、気持ちマイルドな肌触り。ぬるめで長く浸かる事ができる。

水風呂でクールダウンした後、露天へ。
岩風呂で5人はゆったり疲れるほどの大きさ。浅めの浴槽で2段式になっている部分と1段式の部分がある。2段式の1段目に腰掛けると半身浴を楽しめる。湯温は低く、本を読みながら長く浸かる方も何人か。しかし広いので混雑する事もない。
浴槽の側にはベンチもあり、外気に触れてまったりすることができる。
岩風呂は座り心地の良い岩を探すのも楽しい。常連となれば自然と座る位置も固定されてくるだろう。
目を閉じれば聴こえてくるセミの鳴き声、優しく風が吹き、湯の流れる音が耳をくすぐり心地よい。いつまでもいられそうだ。

さて湯から上がる。
ロビースペースでコーヒー牛乳を買い(120円)甲子園を見ながら一服。
喫煙しているお方もいらっしゃる。嫌煙家にとっては悲しいロビーだ。私は・・超が付くほどの嫌煙家。というわけでゆっくりすることなくコーヒー牛乳を一気飲みして退散する事にする。
牛乳の空き瓶は自販機下の引き出しの中へ。
フロントはいつの間にかかなりお若い女性にチェンジしている。無愛想ながらも美人。学生だろうか。銭湯に関わる女性は美人が多いと言うけど確かにそう思う。個人的には上野毛錦湯の女将さんが一番気に入っている(余談)。

さて表に出ると日が落ちてきたせいもあり、また温かい湯に浸かったせいもあり、涼しく感じる。
レトロの雰囲気はないけど活気があるいい銭湯。
次に訪れる時にはサウナを利用する事にしよう。


2011年7月18日月曜日

--.新宿区四谷 蓬莱湯

新宿区四谷の銭湯、蓬莱湯を訪れた。

連日30℃を超す猛暑。暑いのになかなか蝉の鳴き声が聴こえてこないので、何か悪い事でも起きるのでは・・という噂もあったようだが、今日は渋谷でも新宿でも蝉の鳴き声がしていた。

ただ街に出ているだけで体中から汗が出てくる。こんな日は夜に銭湯に行き、汗を流し、アイスでも食べながらのんびり帰るに限る。

四谷の銭湯、蓬莱湯に来るのは2年8ヶ月ぶりの2回目(前回の記事はこちら>>)であるが、印象的な銭湯だったので記憶はいまでも鮮明に残っている。番台のお兄さん(親父さんというにはお若い)がいい印象である事や、湯客の外人さんが湯と向き合っている姿などが思い出される・・。



表向きは何も変わっておらず、下足入れの木札の少なさもそのまま。
引き戸は常に開いている状態になっていたが、これは風通しをよくするためだろう。
脱衣場は壁に設置されている扇風機が稼働しているのみ。エアコンは動いていなかったがとくに暑いという事もない。

天井扇風機はやはり羽がもがれた状態になっている。
夏になれば羽を付けて動かす、というわけでもなかったらしい。

外壁側の趣ある焦茶色の木のロッカーもそのまま。使いたい衝動にかられるが、ぐっとこらえた。また次の機会、いやいつか四谷に住む事があってこちらを常湯として利用する事になったら、その時に使う事にしよう。

天井は折り上げ式格天井。しかもつやつやとアメ色に輝いている。所々たわんでおり大丈夫かなという場所もある。なんとかしぶとく耐えてほしいものだ。

さて、ロッカーを確保しパパッと服を脱ぐ。
浴室には湯客が10人ほど。その中に少年が6人ほど。引率のおじさんがいるので何かのイベントでもあったのだろうか。ひょっとしたら学校の先生かもしれない。
少年たちはその後10分ほどで上がってしまった。まだじっくり湯を楽しむという年齢には達していないようだ。

カランはやはり以前と変わらず8-6-6-8。浴槽は半円形である。天井は高く、蛍光灯が2メートルの高さにしかないので天井に近づくに従い暗さを増し、明かりのグラデーションが空間に重厚感を生み出している。あと壁のペンキの剥げ具合も良い感じに鄙びていて昭和を醸し出す。

女湯境の壁際にあるカランを確保し、体をしっかりと洗う。両サイドのカランにはシャワーが設置されている。湯温はぬるめ。水で薄める必要のない程である。
カランも今にも壊れそうにグラグラとしているが、そこがまたいい。壊れてしまいそうなものは優しく扱いたくなる。そういう心の持ち主がこちらの銭湯を大切に育んできているのである。

さて浴槽を巡る。
本日は新宿区の銭湯はラベンダー湯の日。もちろん浴場組合に加盟している銭湯の話である。ラベンダーの香りが浴室に漂い、癒しの空間が完成されている。
こちらの銭湯は半円の浴槽を二つに割った感じで浅風呂、深風呂の浴槽に区切られているが、底の部分でつながっているので湯温はほぼどちらも変わらず41℃ほど。
やわらかくいい湯だ。

ジェットは相変わらず弱いが、壁に「超音波浴泉」と情緒たっぷりの和文フォントで書かれている。バイブラとかジェットとかの表現よりも「超音波浴泉」の方がインパクトがあるので身体に良さそうである。
深風呂に浸かりながら背景をじっくりと鑑賞する。
以前は平成20年6月20日に描かれた赤富士。
今回は平成22年6月25日石川県見附島、中島師作であった。ほぼ一年前に書き換えられたものだが状態はとてもいい。5カ所ほどペンキが剥がれているだけだ。
見附島を見ると何となく小泉首相(878889代)を思い出す。
女湯側は富士の絵。以前男湯だったので今回は女湯側に富士を持ってきたのだろう。

しっかりと温まり湯から上がる。
番頭さんの接客も相変わらず良好、外壁側のクラシカルなロッカーも健在。どこもかしこも以前と変わらなかった。私が2年8ヶ月ぶりに訪れたくらいでは何も変わらないほど、こちらの銭湯は長い間経営を続けてこられたのである。

また近いうちに訪れるだろう。とてもいい銭湯であった。

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2011年4月16日土曜日

--.港区南青山 清水湯


港区銭湯、清水湯を訪れた。

約2年ぶり、2度目である。
前回来た時は改装が完了し、再オープンしたての清水湯であったが今日はどうだろうか。
(前回の記事は>>こちら

自宅より自転車にまたがり、9時頃到着。
マンション銭湯である清水湯は半地下に専用駐車場と駐輪場、コインランドリーを備えている。都心の銭湯でありながらもクルマで訪れる事も可能なのである。
ここで自転車の鍵を忘れた事に気づく。今更鍵の為に帰宅するのも面倒くさいのでそのまま駐輪。もし盗まれてしまったらどうしようかと湯を楽しむ前に負の思考に陥りそうになる。
湯を楽しむ前にそれは良くないので、もし自転車を盗まれたなら「もっと性能のいい自転車を買おう」と前向きに考えつつ・・入店する。

入浴チケットを購入し、下足入れのキーを預ける代わりにロッカーキーを受け取る。
ロビースペースには10人ほどのお客がドリンクを飲んだり、テレビを見たりしながら火照った体をクールダウンさせている。

暖簾を潜り脱衣場へ。
こちらにもお客は多い。2年前よりも知名度も上がりなかなか繁盛している様子である。
パパッと服を脱ぎ中へ。

カランは石壁により完全に隔離され、ぱっと見たところでは何人お客がいらっしゃるのかは把握できない。おそらく10人ほど。浴室内には静かにイージーリスニング調のBGMが流れている。
身体をしっかりと洗いながらこちらの銭湯が軟水であった事を思い出す。
泡立ちが良いが、調子に乗っていると流した泡が通路に溢れ、お隣のカランスペースにまで広がってしまう。ご迷惑をおかけしないように気をつける必要がある。

さて浴槽を巡るが湯温は40℃前後。ぬる湯である。
時間をかけてゆっくりと身体を温める。柔らかい湯のおかげで肌触りは非常にマイルド。
途中、タオルを持ったまま入浴する客あり。さながらスーパー銭湯である。

柔らかな光が湯面に明かりを優しく落とす。そしてミクロバイブラのジェット音。癒される空間だ。湯客が多く、なかなか2年前のようにはのんびりとはできないが。

そして途中、タトゥーをいれた湯客も入ってくる。入口の扉に「入れ墨(タトゥー含む)お断り」の文字があったはずだが恥も外聞もなしといったところか。

銭湯は湯を楽しみながら自分と向き合うところと考えている。
一日の振り返り、一週間の反省、明日からの振る舞いを思い描きながら、身体を温める。温めながら考える事は何かと前向きに気持ちが働くのでいい方向に進みやすい。
できれば地元の銭湯に行く時は近所の人々とコミュニケーションを図る、といった事をしたいものだがそこまで自分は社交的でないので、これは今後の課題である。

それはさておき、なかなか身体が温まらないなと思いながらも湯から上がる。
しかしそれは気のせいで、実は芯から温まっており、なかなか湯冷めをしない事が後で実感できる。

駐輪場に行くと、自転車の鍵をかけていないことを思い出した。そういった細かい事を忘れてしまうほどにこちらの銭湯を楽しむ事ができたという事だ。


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2011年4月3日日曜日

--.港区芝 万才湯

田町での会議の後、2年半ぶりに万才湯を訪れた。


田町駅の北西側にある西口を出て飲屋街へ通じる細い道(慶応仲通り)に入る。感じの良い飲み屋がいくつも並ぶ雰囲気のある通り。さすがに日曜日なので人通りは少なく、節電の影響もあり灯りも控えめ。








しばらく進むと「ゆ」のマーク。こちらの看板は電気が点っている。
万才湯オリジナルの垂れの長い暖簾を潜り、引き戸から中へ。
左手に下足入れがあり、親父さんがフロントにお座りになられている。
以前来た時と同じ光景である。
湯賃をお渡しし、中へ。


脱衣場には5人ほどのお客。
そして女湯側脱衣場への壁は磨りガラス。KEIHOKUの体重計、そしてクラシカルなローラー付きマッサージ機。はだか泥棒参上の注意書き。まさに寸分違わぬ位置に、そのままの情景と空気感。落ち着くものである。


女湯側脱衣場の体重計も透けて少しその姿が見えるのだが、男湯側にある体重計よりも背の低い体重計である。腰の位置の高さくらい。


パパッと服を脱ぎ中へ。
少し狭めの浴室には湯客が7人ほど。
常連のお客が多いようだがお互い無駄口を叩く事なく静かに湯を楽しんでおられる。
ケロリン桶を手に取り、端のカランを確保してしっかり身体を洗う。


こちらの銭湯はとにかく湯が熱く、そしてそのシビアな状況にも関わらず背景はレインボーブリッジ。
さてまず浅い方の湯船へ。
湯温は44℃ほど。さすがに熱く感じるが湯の質が肌に突き刺さるようである。以前来た時よりは様々な湯を経験し、長く楽しめるようになった。また多くの人が水を埋めているのでぬるくなっているというのもある。


さて続いて薬湯へ。
本日は「ゆず」である。湯がぬるめの浴槽なのでこちらには常に浸かっている湯客がおり、なかなか入る事ができなかった。ゆずの香りはさほど感じられないが背景を楽しみながらしばし湯を味わう。
佐怒賀次男師のレインボーブリッジ。湯煙でよく見えないのだが、それがまた幻想的な情景となって演出されている。


さて、水をかぶり深風呂へ。
30分ほど観察していてもどなたもお入りにならない浴槽である。とにかくアツ湯。そして湯が突き刺さってくるのである。
30秒ほど何とか耐えるも次々と熱い湯が注ぎ込まれてくるようで厳しさはさらに増してくる。正に苦行。そんな中、照明が落ちてミストシャワーが浴室に降り注ぐ。
修行は今終了を迎えたのだ。湯から上がると肌がピリピリと悲鳴を上げている。
2年半前は全く浸かる事もできなかったので、少しは上達したと言えるだろうか。


こちらの立ちシャワーは水がしっかりと冷たく、クールダウンするにはもってこいである。しばし悲鳴を上げていたお肌に休息を与える。


田町の万才湯。こちらに来る時は魅力的な飲み屋に立ち寄った後来る等して、少々お酒が入った状態である可能性もあるかもしれないが、くれぐれもアツ湯にはご注意ください。


湯から上がると暖簾の裏側から写真を一枚。




さて家に帰り明日からの仕事に備えよう。
今日もまたいい湯に浸かり疲れを取る事ができた。
またぜひ訪れたい素晴らしい銭湯である、


2011年2月13日日曜日

173.練馬区石神井町 豊宏湯

練馬区の銭湯、豊宏湯を訪れた。
最寄り駅は石神井公園。南口を出て交番の前を通り、商店街を進む。スーパー、パン屋、小さなゲームセンターに玩具屋さん等々。地味さはあるけど、親しみ深い商店街だ。

豊宏湯はそんな商店街を4分ほど進んだ交差点から飛び石が設置されている道の向こうにある。お総菜の香りにまざってほのかに湯の香り。コインランドリーも側にあり、生活感が漂っている。

まず銭湯の周りを歩いてみる。商店街の端に位置している為、周囲はほぼ住宅に囲まれている。裏には薪がストックされ、釜場からはゴロッという薪を釜にくべる音が聞こえてくる。
煙突はさほど高さがないように思えるけど、高層建築もないので問題はなさそうだ。





さて正面に戻りシンプルな破風を臨みながら牛乳石鹸の暖簾を潜る。



正面に一本も預かられていない傘立てがあり、男湯は右側。
下足入れに靴を預ける。
錠前はSAKURA-G。大理石のプリントシールが蓋に貼られている。

自動ドアが開くと番台。中には笑顔のお優しい大女将。湯賃をお渡しして脱衣スペースへ。
天井は高く折り上げ式の格天井。表向きに比べると豪勢な天井。
島式ロッカーが二つ。一つは背が高いもので番台から着替えが見えないように設置されている。椅子四脚、テーブルもあるので床スペースが少なくやや閉塞感がある。

天井に近い壁には大入と書かれた額や、原辰徳のサイン、村山〜と書かれたものも見てとれるけどこちらにも「88」と書かれているので原さんのものかな。
アナログ体重計はHOKUTOW。ローラーむき出しのクラシカルなマッサージチェアもある。ロッカーを確保し、錠前がSAKURA-IIIである事を確認しながらパパッと服を脱ぎ浴室へ。

浴室は奥行に比べ横幅の圧倒的な広さを印象づけさせられる。それは男女ぶち抜きの富士山の背景のせいかもしれないし、二段式天井の一段目の幅が狭く、天井部分の面積が広いからかもしれない。

カランは女湯境から6―6□5―6□5―5(□は島、―は通路)。立ちシャワーは外壁側に一基、設置されている。
さて背景を拝みやすい位置にあるカランを確保する。日曜の夕方午後5時頃。湯客は5人ほど。
しっかり身体を洗いながらも、浴室内に唯一貼り出されている注意書きを眺める。そこには「浴槽内の洗濯禁止」と書かれている。確かにそれは絶対にしてはいけない事ではあるけれども、浴室に唯一貼り出す内容にしては当たり前すぎる事のようにも思える。過去によほど良くない状況になられた事があるのだろう。

さて浴槽へ。
3つの浴槽があり、女湯境側から座ジェット、真ん中に広く浅い浴槽、外壁側に水風呂である。
まずは浅風呂から。
湯温は42℃ほど。まずはとにかくその肌触りの柔らかさに驚かされる。薬湯でもないのにマイルドな心地の良い湯だ。奥行きも十分な浴槽なので足をぴんと伸ばす事ができる。
背景の下には広告スペースがあり、唯一掲示されているのは「同和事業促進協会」のもの。差別をなくすという主旨の広告ではあるけど、これが銭湯に貼り出されているという事に意味があるのだろう。
あと左端に広告料金が書き出されている。背景広告社が存在していた頃のものだろうけど、その社名部分は黒マジックで塗りつぶされていて、一ヶ月500円とだけ書かれている。
500円で広告・・男湯だけかな。でも安い値段ではあると思う。地元の商店街のお店など、ぜひご利用頂きたいところだけど、地元民は地元のお店の事を知っているわけだし、わざわざ広告を打つ必要もないか・・。


続いて座ジェットへ。
一つの浴槽内に2基設置されており、勢いもなかなかのもの。湯温はやはり42℃くらい。しっかり温まったところで水風呂でクールダウンする。
こちらの銭湯はサウナが設置されていないにもかかわらず水風呂があるのである。水風呂があるのとないのとではかなり湯の楽しみ方の範囲が広がる。シャワーやカランの水をかぶるのもいいけれど、やはり水風呂は一気に全身を水に浸す事ができるのでクールダウンの効率が増す。
水風呂は二人が入る事ができるくらいの狭いものであるけど、そんなに長い時間浸かっているものでもないし十分なサイズ。そっと身を浸すと水温は20℃ほど。肩まで沈めると神経が張りつめた感じになる。浴室内の音に敏感になるようだ。

浴槽から上がると背景を拝む。
こちらの背景は先ほども書いたように男女ぶち抜きの荘厳な富士山。手前には湖。中島氏の作品だろうか。
剥げ落ちている部分も何カ所かあるけどまだまだ持ちそうな様子だ。
女湯境壁にはチップタイル画もある。
鳥形の足こぎボートがあるので湖か。おそらく琵琶湖。浮御堂のようなものがあるのだけど、少し形が違うので架空のものかもしれない。銭湯の楽しみは合っている合っていないに関わらず、そんな憶測を自分の中で楽しむ事にも存在している。
(足こぎボートとはいえ、普通に水鳥かもしれない)。

さて帰宅することにする。
銭湯を出ると商店街を進み駅に向かう。人の数は多すぎず、車の通りも少ない。ただ大型の西武バスは通る道だ。いろいろなお店を眺めながらこの街は公園もあるし住みやすい街だろうなと考える。商店街もそうだが、何より心地の良い湯を沸かす素晴らしい銭湯があるのがいい。
番台式銭湯ではあるけれども、ロッカーで脱衣スペースは見づらくなっているし、番台を敬遠されている女性の方々もぜひ訪れていただきたい。


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2011年1月30日日曜日

172.西東京市南町 松の湯

西東京市の松の湯を訪れた。
常湯としている鶴の湯以外の新規で訪れている銭湯としては今年2湯め。

松の湯は西東京市の南町というところにあるのだが、小さな商店街と住宅密集地にある銭湯。車一台が通れるほどの狭い道を進むと突如姿を現す。
銭湯マップには駐車場有と書かれており、向かって左側に建物に横付けする形で1台、建物の脇に1台、合計2台駐車可のようだ。
私は車で訪れたのだが、この駐車場に気づかず、近くのコインパーキングを検索し、500mほど離れたところに駐車する事にした。
駐車後、戻ってきた時に女将さんに駐車場について伺っているお方をお見かけしたので分かった事実である。

以前も訪れた事があるのだが、その時は近所に駐車場を見つけられずに諦めて他の銭湯に行った始末であった。今日は何としても、と思っていたので500m離れていようが1km離れていようが何てことはない。

銭湯の正面に回る前に、煙突を少し離れた位置から眺める。


時刻にして15時半くらい。煙突から煙は出ていないようだ。
松の湯は素朴な千鳥破風屋根を備えた銭湯。トタン屋根に妻飾り(懸魚)も見て取れる。鶴かな・・。


立派な富士が描かれた牛乳石けんの暖簾を潜ると、閉鎖された下足スペース。
赤く塗られた木材のニスがつやつやと輝いている。



靴を預けて一段上がるとセンサーが反応し「いらっしゃいませ」という録音された女性の声。
こういった設備がある銭湯の接客態度には不安があるが・・、と考えながら自動ドアを潜るとすぐ右手にフロントがあり愛想のいい女将さんのいらっしゃいませの声。やはり人の生の声はほっとする。

フロント前には休憩スペース。ソファがあり6人ほどが休める。番台式銭湯をフロントに改装した様子。女湯境の中央部が休憩スペースとなっている。

さて右手の男側脱衣場へ。
休憩スペースがせりだしているせいでやや狭く感じるがそれでももともと横幅が十分にある上、島式ロッカーもなく閉塞感はない。
天井は少しだけ高め。
脱衣場には3名ほど、お客がいらっしゃる。湯客も7人ほど。なかなか繁盛しているご様子である。
ロッカーは松竹錠、竹籠が10個ほど。
体重計はアナログ式でTANAKAである。
さて、パパッと服を脱ぎ浴室へ。
浴室に入るとまず天井はさほど高くないし、奥行きもないほうなのだが、とにもかくにも背景の迫力に引き込まれる。
まず、背景を拝む事にしよう。
こちらの背景は早川氏の伊豆。
もちろん壮大な富士山が描かれており、男女ぶち抜きサイズで浴室全体の中央部分にまるでこの銭湯を取りまとめるマエストロの様にそびえ立っている。
今は亡き早川氏の作品。さすがにペンキの剥がれが目立ってきているが、それはそれ。勢いは決して失われていない。
カランは女湯境より、4―4□4―4□0(ーは通路、□は島)、立ちシャワーは女湯境壁の手前に一基ある。
カランの数が4つということもあり、奥行きは狭いものである。二段式の天井も低め。ビル銭湯というほどではないが、東京銭湯の天井高い二段式と比べてみると、小振りに感じる。
カランを一つ確保するがすぐ隣に湯客がいらっしゃる。3時開店で、まだ30分経過したくらいの時分。沸かしたての湯に浸かりに常連客も続々とやってくるようだ。
身体をしっかりと洗い、浴槽を巡る。
こちらの浴槽は4つ。 
女湯側に座ジェット二基の浴槽、ミクロバイブラの浴槽、外壁側に薬湯(寒椿)、少し手前に水風呂である。外壁の手前にはサウナが設置されており何と無料である(開店15時から夜1時まで)営業は2時までというのも驚きだが、最後の一時間はサウナが利用できないようだ。
まずはミクロバイブラから。
奥の壁には側面からジェット噴出もあるので、ある意味座ジェットとも言えなくもない。熱い湯の噴き出し口もある為、奥の壁にべったり身体を押し付けるのは危険かもしれない。
湯温は41℃ほど。最初はぬるく感じたが、徐々に湯に熱が入ってくるのを感じた。
続いて薬湯へ。
本日の薬湯は「寒椿の湯」との事である。赤ワインのような色をした湯である。香りはバスクリンであるが、肌にしっとり馴染み、心地の良い湯。
次は座ジェットへ。ボタンが壁面についており、押した後に2基のジェットが噴出を始める。勢いは強めであまりやりすぎると痛くなるほどだ。適度に背中を反らしつつ、一週間の疲れを取る。
水風呂に入る前にサウナ室へ。
中は一応2段式に腰掛けられるようにはなっているが3畳ほどのスペースしかないので、1〜2人も入ると窮屈になる。しかしそこは無料。一人でると、また一人、部屋の中に吸い込まれていく状況である。
サウナで汗を流した後は水風呂へ。
浴槽の縁に桶がおいてあるので、まず身体の汗を水をかぶる事で流す。
水温は20℃ほど。こちらから背景を眺めるのもまた全貌がよく見渡せていい案配だ。
さて湯から上がる事にする。
伝統的な寺社建築でもなく、特に趣を感じる事もなく、深みも感じられない銭湯なのだが早川氏の背景がすべてを超越してこの銭湯に説得力を与えている。
痛みも激しいがいつまでも残っていてほしいものである。
この銭湯からこのペンキ絵がなくなってしまう、例えば竹林の壁紙などになってしまった事を考えると・・寒気がしてしまう。


帰りにもう一度煙突が見える場所に移動してみる。
すると期待している煙が見える。自宅の窓から煙突が見えて、しかもこんな煙が出ていたら幸せな気分だろうなと思う。


2011年1月3日月曜日

171.杉並区井草 ゆたか湯

新年を迎え、今年も朝湯を目指して銭湯へ赴く。
井草のゆたか湯へ。
杉並の銭湯に向かうのは干支石鹸が頂けるという情報をサイトから得たからであるけど、実際にゆたか湯に着いた時間は12時45分、朝湯の仕舞いが13時ということもありすでに石鹸の配布は終わっていた。


ゆたか湯はマンション銭湯の一階部分。下足入れに靴を預けプラスチックの札を手に取る。

奥に進むとフロントと休憩スペースがあり、ローラーむき出しの茶色のクラシカルなマッサージチェアが見える
しかし全体的には近代的な設備優先の銭湯。
フロントの女将さんは13時で終わりですが構いませんか、と仰る。今さら他に行くわけにも行かないので了承するが、話しぶりから類推するにのんびりと浸かってくれるなというお気持ちのようである、と感じた。

しかし新年早々時間になってすぐに出ていけと言われるとも思わないので心にゆとりを勝手に抱きつつ脱衣場へ。

天井は低めで、外壁に沿ってロッカーがある。錠前はSAKURAIII。
3人ほどのお客。これから入る方は1名。急いで服を脱ぐ。

浴室はやはり天井低め。天井はヤマ形になっている。外壁に窓があり光が差し込んでいるので閉塞感はさほどない。

湯客は3人ほど。カランを一つ確保し体をしっかりと洗う。
浴槽は三つ。女湯境壁側に座ジェット、浅い中央浴槽にはミクロバイブラ、そして水風呂である。

まずは座ジェット。二基完備されており、広さもジェットの勢いも心地いい。湯温は41℃ほど。
続いてミクロバイブラへ。このバイブラの噴出量はなかなかのもの。水面15センチ程の高さに達している。あぐらをかき、その勢いに体を揺り動かされるも倒れないように保つ修行が可能である。

その時、浴室の電気が一部消された。時計を見ると朝湯が終わる時間、13時である。ほぼ時を同じくして今度はミクロバイブラ、座ジェットの動きも停止。賑やかなはずの浴室に違和感のある静寂が訪れる。

静かな浴室、家の風呂であればそれは快適な空間かもしれない、山奥の一人きりで浸かる温泉であればそれは楽しめるものであるかもしれない、しかしやはり銭湯では静寂ほど居心地の悪いものはない。

浴室の明かりが消え、ジェット設備の動きが止まり、追い出されようとしている。私は今まさにこの場所に不要な客とされているのだった。新年を迎え、初めての湯。昨年の葛飾区で味わわせて頂いた湯とは大違いの処遇だ。


銭湯であるからと言ってもちろんそれはボランティアではない。
私も仕舞いの時間寸前に行っているので偉そうな事は言えない。
しかしサービスの本質はその規定の範囲を超えたときに、真の姿を現すように思う。
何にせよ酷く扱われた時の失望は何にも代えがたい。寂しいものである。

干支石鹸がもらえなかった悔しさも関係しているだろう。いい銭湯に出会えるかどうかはタイミングによるところも大きい。自分の精神状態、幸福感、天気や温度、もちろん現場の親父さんや女将さんの気分にもよる。
今年もいくつもの銭湯を巡る旅が続くが、この銭湯の側に住みたいと思える一つに出会えるかどうか。真に楽しみである。