2009年1月3日土曜日

65.葛飾区宝町 末広湯

一月二日、今年初めの銭湯である。
葛飾区の末広湯を目指した。
なぜ葛飾区かというと奥さんの実家へ行く途中にある銭湯であるからだった。

駐車場は右手に8台あり、かなり余裕がある。
駐車して下足入れに靴を預ける。番台裏の傘置きがよく置いてあるスペースにはシクラメンの鉢植えがある。他にも鉢植えがある。
引戸を開け、番台の女将さんに新年のご挨拶をする。
到着したのが1時だったのだが、女将さんは1時までなのよ〜とおっしゃられたが、片付けをさせてもらうけど、入っていっていいわよとのこと。

笑顔で優しい声をかけて下さる。
ご好意に甘えて、入ることにする。

脱衣場の天井は高い。格天井ではないものの、木のいい色が出ている。
島ロッカーの置いてある跡がついているが、今はない。大掃除でもする予定なのだろうか。それとも廃棄してしまったのか。どうだろう。

壁には「大入」と書かれたものや、女湯境の壁に「千客万来」の彫刻がある。古いものなのだろう、とても趣を感じるものだ。
境の壁は鏡が続いており。柱時計も立派なもの。この銭湯の懐の深さ、歴史を感じることができる。
庭もあり、植木もいくつか飾られている。

パパッと服を脱ぎ、浴室へ。
お客は一人。営業は1時までなので、実際は一人もいないはずなのだが、きっとぎりぎりに入ったのだろう。

桶と風呂イスを取り全体を把握する。
今となっては貴重な木の桶。手に取るだけで幸せな気分に浸ることができる。

島カランは一列。7-6-6-7。島カランにはシャワーが設置されていない。女湯境の壁にはタイル画が三種類描かれている。「麿」との表記がある。背景は立派な富士山。中腹にある宝永山も描かれている。背景で小富士を見たのは始めて。平成16年12月8日美保の松原 早川と書かれている。
舟二艘が接岸されていて、女湯境には一本の立派な松。
素晴らしい背景だ。

しっかり体を洗い、浴槽へ。
浅風呂、深風呂の二槽で今日はハーブ湯の日だ。香からしてラベンダーの湯。
お客はお一人がお帰りになられて既に自分一人。
浅風呂から攻めることにしよう。
湯はかなりぬるい状態。閉店なのでもう湯を沸かしていないのだろう。背景をじっくり眺めながら柔らかく、心地の良いハーブ湯を楽しむ。
途中、釜場の扉からブリーフ一丁の親父さんが登場し、湯に浸かる。どうやら掃除の前に温まる模様。
女湯側に入り始めている子供達が騒ぐ度に「静かにしなさーい」と声を投げかけている。身内のお子さんのようだ。

次は深風呂。
湯温はやはりぬるい。どちらも40℃に満たないほど。まぁもう店じまいなのでぬるいのも仕方がない。
天井は二段型で高く、銭湯の雰囲気を体一杯に感じることができる。
今年もまだ見ぬ銭湯との出会いを多く楽しみたいと思う。

湯から上がり、女将さんに干支石鹸を頂く。
笑顔で優しさを感じる接客。
銭湯マップでは地味な紹介文しか記されていなかったものの、実際訪れてみるとその温もりにひたすら感動を覚えるばかりだ。

浴室にも脱衣場にも注意書きが少ないことにまず心打たれる。浴室には「染髪を洗い流すのはやめましょう」という浴場組合のものだけ。後は何もない。
浅風呂には檻があり、石に湯が当たりそれが浴槽に流れ込んでいるのだが、その説明書きもない。
注意書きがないのはお客を信用しているという思いがあるのだろう。〜するなという宣告はお客にストレスを少なからず与えてしまう。
もちろん、マナーのないお客がいるからこそそういった注意書きが必要なのだが、お客側にとってみたら信用されていると感じるからこそ、マナーを意識して銭湯を利用しようという気にもなるのである。

おかげでストレスを感じることなく、ゆっくりと湯を楽しむことができた。
最高の湯。

暖簾をくぐり、外へ出る。
今年はいい一年になりそうだ。今日、末広湯に訪れたおかげでそう感じることができた。来てよかったと思える銭湯。近くに住みたいと思う銭湯であった。
これからクルマに乗り、親戚の家へ。
気持ちよく新年のご挨拶ができそうだ。末広湯に感謝しつつ、また来たいという思いを胸にクルマを走らせた。


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1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いいですねぇ。 私もいってみたいなぁ。