2010年3月20日土曜日

154.新宿区三栄町 塩湯



新宿の銭湯、塩湯へ。

今日は風が強く春の訪れを強く感じさせる一日だった。
気温も20℃近くまで上がり、セーターを着てると汗ばむほど。

このところは地元の銭湯ばかりで新しい湯に浸かっていなかったので久々である。
車で新宿通りから路地に入る。コインパーキングに駐車。この辺りは20分300円とかなり高めの設定である。


塩湯は正面に江戸勘亭流書体で書かれた看板。
暖簾の向こうには立派な坪庭も見える。
ビル銭湯で上は住居になっている。マンションではないようである。
中に入ると左右に下足入れスペース。
右が男湯だ。
下足を預け、自動ドアから中へ。
塩湯は番台銭湯。
番台といっても床の高さの番台。目張りがしてあるので脱衣場の全てを見渡せるというほどの視界の広さはない模様。

番台には女将さんがおすわりになっており、親しみある笑顔で対応されている。
とても話しやすい感じだ。

島ロッカーは一つ。
後は外壁側にロッカーが並ぶ。一つを確保しパパっと服を脱ぐ。

土曜の8時頃に訪れたが脱衣場に小学校低学年の子供が3人。
その後浴室に入って体を洗っていると増殖しだしてピーク時には10人ほど。
みんな銭湯での入浴に慣れているようではなく、女将さんが何度も入って来て注意をしている。
その他、成人男性は3人ほど。今日は近くで何かイベントがあったのか、小人の入浴料が無料の日なのか。特に深く気にする事もなく湯に集中する。

天井は高く二段式。住居が上にあるとは思えない。脱衣場の天井も高かったし、銭湯ありきの建物である事が伺える。
とにかく開放的で心地よい浴室だ。

こちらの銭湯は島カランが一列。女湯側より4-5□5-3(□は島、-は通路)。
外壁側の脱衣場よりにはサウナ室があるため、外壁側のカランの数は少なくなっている。
サウナ室は1000円と書かれている。途中、小学生が突入していたが女将さんに子供が入ってはいけないと怒られていた。番台銭湯はこういった時に威力を発揮するものである。

しっかりと体を洗い、浴槽へ。
子供たちが騒ぎながらあちらこちらに入っている上、水で埋めまくっているので湯温などはかなりぬる湯になってしまっているようだ。
女湯境側から深風呂。続いて座ジェット二基の浴槽、その隣は一人分の肩幅くらいしかないミクロバイブラ浴槽。そして外壁沿いに水風呂だ。狭いながらも設備は完璧である。

まずは女湯境側にある深風呂から。湯温は42℃ほど。広さは他の浴槽を抑えて一番広い。基本的に浅風呂が広いものだが、深風呂が一番広いというのも珍しい。薬湯浴槽も兼ねており「しょうが湯」となっている。香りはないが柔らかく良く温まる湯になっている。やや黄みがかっているイメージだ。

続いて座ジェットへ。湯温は42℃ほど。ぬるめられている湯がぐんぐん上がっていくのが分かるので43℃ほどか。
ジェットの威力は申し分ない。水枕も完備でしっかり冷たい。ただ位置が高めなので姿勢を正して座ってやっと首に当てる事が出来る。足を伸ばし寝浴をすると水枕の底の部分を使って頭の天頂を冷やす事も可能。

しっかり温まり、ここで水風呂へ。水温は22℃ほど。一人が入れるほどの大きさだが長く入る事もないので十分。数分でクールダウンし、続いてミクロバイブラへ。
こちらも広さは水風呂ほど。
浅風呂なので足を伸ばし、縁に首をもたげる。極楽のひとときだ。まぶたを閉じ、しばし無の境地へ。

まぶたをゆっくり開けると眼前に見事なタイル画が広がっている。
アルプスの山々に手前は湖。砂浜が道のように伸びている。ペンキ絵もいいが、タイル画の手間を考えると(色付け→焼き→運搬→貼付け)、その労苦に乾杯したい気分になる。どれかを落として割ってしまったりした場合なんかを思えば殊更である。

ペンキ絵は描いているのを見ていると失敗しても重ねてカバーできる訳であるし、その場の乗りで手を替え品を替え、ライブ感がある作品になる。その辺りはタイル画と違う。タイル画は一度作ってしまえば長く保存できるのがいいだろう。

しっかりと温まり湯から上がる。
今日は女湯に奥さんも来ている。
番台なので出る時間を入る時にあらかじめ一時間に設定している。大体の頃合いで下足スペースに出ると既に奥さんは出て待っていた。5分待ったとの事。
こちらは最初、小学生が多く見ていて飽きなかったので出足で時間経過の感覚を失ってしまっていたかもしれない。

コインパーキングまで数分、四ッ谷の街並を楽しみながら歩く。寿司屋や料亭、ラーメン屋に居酒屋。歩くだけで楽しい街だ。若者が少なく、落ち着いているのがまたいい。

駐車料金は1500円。非常に高い。地価の高い地域で駐車場にする訳だから高い料金も仕方ないか。そんな中で銭湯を経営していくというのも苦しいだろう。
四ッ谷の銭湯、塩湯。
塩の風呂ではないがその昔は塩を入れていた事もあったそうだ。
新宿通りの喧噪から一歩路地に入ると静かな街並。そして柔らかく心地の良い湯と女将さんの笑顔が待っている。ぜひ一度行っていただきたい銭湯の一つだ。


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