2009年3月29日日曜日

90.中野区南台 雷湯


中野区の雷湯を訪れた。

最寄りのコインパーキングから100m、土曜日の夜、11時頃なので商店街とはいえ人影はまばらだ。入口はしゃれた雰囲気。「かみなりゆ」と記されている。屋号は浴場組合のHPや銭湯マップだと雷湯と漢字で書かれている。ひらがなで書かれている方が親しみやすい感じだ。

下足を預け、自動ドアから中へ。
左手にフロントがあり、正面には休憩所が落ち着いた照明の中広がっている。4人ほど座れるソファが置かれていて、テレビでは韓国のドラマ。それを食い入るように見ているフロントの親父さん。

うちは45分までで閉めてしまいますよというお言葉を頂きつつ、それに了承して湯賃をお支払い。フロントを挟んで左手が男湯だ。
あまりやる気を感じない接客であったが、おそらく疲れているんだろう。それかドラマに集中していたいかのどちらかだ。

脱衣場に入ると玄関のオシャレな雰囲気とは違い、普通の趣。奥に個室があり喫煙所になっている。脱衣場にせり出す形で立ちシャワーブース、サウナ室がある。
体重計は珍しく家庭にあるような平面のもの。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
こちらは玄関の雰囲気に近くニュー銭湯型。天井は伝統的二段型で高く、浴槽は外壁側に並び、カランは女湯境にずらっと10並んでいる。島カランが一列で中央に通路があるので変則的な形をしている。

体をしっかり洗い、浴槽へ。
広大な浅い浴槽が一つ。その中には打たせ湯、寝風呂(バイブラ)、座ジェット、電気風呂と並んでいる。湯温は42℃ほど。球形の湯の吹き出し口が浴槽中央にあり、打たせ湯の音と相まってこの浴室を賑やかに演出している。渋谷区の観音湯にも同じような球形の吹き出し口があった。他でも見たようなよくあるタイプのものだ。

寝風呂は残念ながら泡は出ておらず、打たせ湯へ。
3mほどの高さから湯が落ちてくる。勢いは中々で、湯に打たれるのも少々恥ずかしいがお客が3人ほどしかいないのでのんびりと湯に打たれる。
続いて座風呂へ。水枕も完備でしっかりと冷えており気持ちよい。
背景は特になく、ヨットのタイルがちらほらあるくらい。ニュー銭湯なのでペンキ絵も期待できない所だけど、見て楽しむものがないのも少し寂しいところ。

続いて電気風呂へ。
幅が広めにとってあり、中央部分に腰掛けても電気が伝わってくるのは腕だけ。腰や首に電気を当てたいんだけど、そうなると無理にでも押し付ける必要がある。まれに体勢を無理矢理持っていってるお方を見かけるが、自分はまだしたことがない。

こちらの銭湯には露天風呂もある。
外壁側に扉があり、そこを抜けると岩風呂がある。
外からは見られないよう高い竹の壁があり、空は少し見えるほど。
湯温はやはり42℃ほどで、4人はゆったり入れるほどのスペースがある。かなりの閉塞感があるがいい湯である。

さて湯から上がりもう閉店準備が始まっているロビースペースで一休み。フロント内にはお孫さんだろうか小学校低学年ほどの女の子がDSをやりながら店番をしている。
帰り際、小さな声だがありがとうございますのお言葉。
将来はこちらの銭湯を継いで女将さんになるのだろうか。そうなるとこちらのご主人も喜ばしいことかもしれない。
将来、また来るときは寝風呂がしっかり機能していてくれるとありがたい。そのときはサウナも利用することにしよう。


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2009年3月28日土曜日

89.中野区弥生町 清春湯























































今日は中野区の清春湯を訪れた。

弥生町は中野の南寄り、住宅街である。
清春湯の近くにはお寿司屋「鮨忠」や珍味のお店があったりする。到着したのは夜の11時頃なので既に閉店はしているが、この辺りは単なる住宅街という訳でなく、ちょっとした商店街のミニ版になっているようだ。

50m位離れたコインパーキングに車を停め、いざ清春湯へ。
隣がコインランドリーになっている。
おしどり錠と松竹錠が真ん中よりやや上あたりで二分している。混合型って珍しいんじゃないのだろうか。
下足入れスペースは狭く、靴を入れたりしていると自動ドアが開いてしまう。
フロント形式で4人ほど座れるソファにテレビ、その他入浴グッズが販売されている。
フロントの親父さんに湯賃をお渡しし、右手の男湯へ。

脱衣場は天井やや高め。
一応格子になっている天井だが、白い壁紙。
デジタルの体重計や、なぜか個室のようになっている小部屋にマッサージチェアが設置されている。

パパっと服を脱ぎ浴室へ。
天井は二段型なのだが、かなり一段目の低い部分が中央まで絞り込んできている。
島カランは一列。中央から7-5-5-3。立ちシャワーは二基。
あと、小さなちゃぶ台のような島カランがある。シャワーはなく、4つのカランが設置されている。誰も使っていないが、さすがに好んで使いたいとは思わないだろう。
外壁よりの3つのカランはホース付きのシャワー。
設備はなかなか整っている様子だ。
それにしてもお客が多い。金曜夜の11時頃。15人ほどのお客がいらっしゃっている。

体をしっかり洗い浴槽へ。
こちらは広い浴槽に電気風呂、ミクロバイブラ、深い浴槽にはジェットが強弱一基ずつ。
あとサウナ室があり、目の前に水風呂。そしてサッシの向こうにはゲルマニウム風呂がある。

まずは空いている電気風呂。
湯温は42℃ほど。柔らかい湯ではないが、バイブラの細かい泡が優しく肌をなでる。
電気風呂だが、電気の力は幅が広いせいか普通くらい。電気のプレートに押し付けない限りは心地よく入浴できる。
しばらくしていったん出てクールダウン。
続いてミクロバイブラへ。
ぼこぼこと体を泡が包み込む。快適である。
続いて座ジェットへ。
深湯なので足下に気をつける必要がある。湯温は変わらず42℃ほど。

続いてゲルマニウム風呂をのぞいてみるが3人ほどが中におり、話しながら楽しんでいるようなので長引きそうだ。

水風呂に入ろう。
水温は18℃。ここから背景全体を拝む事ができる。
ランダムチップタイルの壮大な赤富士である。白鳥が3羽。
積雪量がかなりあるので冬か。それにしてもかなりの迫力である。

ゲルマニウム風呂を覗くがまだ入浴中。その後もチェックを続けるが45分間一度たりとも人がいなくなる事はなかった。今日のところはあきらめるとしよう。

さて湯から上がる。
休憩所にはたけし軍団の誰かのサインと、朝青龍と白鳳の手形などが飾られている。
コーヒー牛乳120円をいただきながらしばし休憩。

外に出て建物をじっくりと見上げるが、屋根は伝統的千鳥破風の名残がある。改築されてよく見えなくなってしまっているが、向かいのアパートの階段上から清春湯の全体を見るとよくわかる。改築されその趣は影を潜めてしまっているが、確かに歴史を感じる事ができる銭湯だ。
今後どのような形に変化していくのだろう。楽しみにしつつ、今日のところは家に帰りビールを飲んでぐっすりと眠る事にしよう。


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2009年3月22日日曜日

88.文京区白山 光楽湯

一週間ぶりの銭湯、今日は残念ながら今月限りで廃業が決定してしまっている文京区の光楽湯へ。

車で白山通りを進む。
夜、10時頃の到着。路地に数メートル、すぐ光楽湯に到着。
体育館のような建物の銭湯。裏側に煙突がそびえ立っているのが見える。
建物の正面は更地になっている。この銭湯が廃業した後は、やはりマンションにでもなってしまうのだろうか。
すぐ隣には高層マンション。コンクリートの狭間でとても窮屈そうだ。
暖簾をくぐり、下足入れに靴を預ける。
自動ドアの先にはフロント。広い休憩所が広がっているが、番台形式でいう脱衣場の女湯境に広く場所がとられている形。とても横幅が広い銭湯だ。

フロントの手前の壁に今月いっぱいで廃業する旨の貼り紙がされている。サウナは一足先の2月中に閉鎖となっているようだ。

フロントには丁寧な接客をされている女将さん。
88個目のスタンプをいただくと、次のスタンプノートをくれた。印刷する手間が省けた。感謝である。
今月いっぱいで閉めてしまうんですよとのこと。
知ってはいたけど、初めて訪れる分際で残念ですというのもおこがましいので、敢えてそうですかと一言お返しした。

右手が男湯。
休憩所の巨大さから脱衣場が狭いのだろうかと思いきやそうでもない。
天井は高いが白壁。
TANAKAのアナログ体重計があり、そして外壁側には庭がある。
サッシを開いてみると、そこにはカラの池が。立派な灯籠もあり、木も大きく育っている。こちらに満々と水が張られていた頃はさぞ美しかっただろう。鯉なども優雅に泳いでいた時期があったのかもしれない。時代の末端を垣間みてしまった瞬間である。少々切なくなった。
























パパっと服を脱ぎ浴室へ。
女湯境にサウナ室があるが電気は暗く、ひっそりしている。
島カランは一列で、6-6-8。立ちシャワーは一基だ。
お客は3人で、土曜の夜中にしては少し寂しいか。
天井はかまぼこ型。しかし外壁側1.5mほどはやや傾斜したフラットな天井。
面白い事に庭が浴槽から望めるように大きめな窓がついている。窓は汚れで透明度が低いが、その昔はニュー銭湯と言った形でリニューアルされた銭湯なんだろう。

カランを確保し、体を洗う。
それにしても静かな銭湯だ。女湯側からも音は聴こえて来ない。
今日は奥さんも一緒であるので、静かという事はうちの奥さんしか入浴していないのかもしれない。

では浴槽へ。
サウナ室に隣り合うように水風呂があり、あとは広く浅い浴槽と、深い浴槽の二つ。
まずは広い方だ。
こちらは静かな水面で、バイブラはなく、赤外線がぼぅっと赤い光を水中の壁から放っている。湯温は42℃ほど。いい湯である。肌触りが柔らかいので薪だろうか。地下水だろうか。すぐそばにマンションなので、薪ではないのかもしれない。

広い浴槽にはジェットも二基設置されている。
十分暖まったところで、立ちシャワーでクールダウン。
続いて、深い浴槽の方だ。
こちらには湯温が熱く設定されているので水を埋めないようにと書かれている。
湯温は43℃ほど。熱いと感じるほどの湯温ではない。
細かなジェットが噴出しており、壁には超音波水泡座風呂と書かれている。
実に細かい泡の湯。肌触りがさらさらと入浴感は最高。
浅い浴槽と水深が中程のところでつながっているものの、深さを利用して双方の湯温に変化をつけているようだ。

続いて水風呂でクールダウン。
湯温は20℃ほど。5人は入れそうなほどの広い水風呂だ。
何度か水風呂と浴槽を往復。サウナはないが、楽しめる浴槽群だ。
時計は学校の教室にあるようなものが、浴室の奥壁に設置されている。大体銭湯の浴室にある時計は脱衣場側の壁に備え付けられているものだが、こちらの銭湯は違う。

湯から上がり、フロントでフルーツ牛乳(120円)を頂く。
テレビもあり、ソファも6人ほどが腰掛けられるほどに広い。
なぜかピアノも壁際に置かれている。昔はこのピアノを弾く事もあったのだろうか。

「女湯側の脱衣場に掲げられている絵画」

奥さんが出てきて、女湯側の事を訪ねるが、お客は始めに1人いたが、その後その人がいなくなるとずっと一人だけだったとの事。
この辺にお住まいの住人たちは内風呂の利用が浸透しているようだ。
大きな浴槽で素晴らしいペンキ絵を眺めながら薪でわかした上質な湯を楽しむ、ということは自宅では実現できないはず。
なるべく新しい人たちに銭湯を楽しんでもらいたいと願う。

今月で光楽湯の営業は停止するが、心にはいつまでも残っている。
訪れてよかった感じる、素晴らしい銭湯だった。今月限りの廃業がとても残念でならない。




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2009年3月14日土曜日

87.品川区東中延 富士見湯

今日は品川の富士見湯へ。
三軒茶屋の富士見湯では富士を見る事ができなかったが、こちらでは富士を見る事ができるだろうか。

























50mほど離れた位置にあるコインパーキングに車を停め、マンション銭湯である富士見湯の正面へ回る。
とてもモダンな建物。3階建てだろうか。一階が銭湯とはなんと素晴らしい環境であろうか。
落ち着いた照明に照らされた暖簾をくぐり、自動ドアから中へ入る。
下足を預け、フロントへ。
フロントは正面よりやや左寄りにあるが、右手に男湯、左手に女湯、それらに挟まれた形になっている。
フロント前は休憩所になっているが、全体的に木を使った構成。壁には小窓が等間隔に配置されていたり、小屋根が設置されていたりと実に和モダンな建築。間接照明や落ち着いた照明のレベルにより居心地が非常にいい。

湯賃をお渡しし右手の男湯へ。

脱衣場は狭め。両壁にロッカーが配置され、YAMATOの新しいアナログ体重計、女湯境の壁上には洋風の柱時計が悠然と時を刻んでいる。
天井には扇風機があるが、回転はしてない。新しいので壊れている訳ではないようだけど、混雑していないと動かしてくれないのかもしれない。
清潔な銭湯だ。トイレも洋式で清潔。洗面台は二つ。ドライヤーのコインを入れる機械が古びていて錆び付いているのが少しこちらをほっとさせてくれる。

パパっと服を脱ぎ浴室へ。
こちらもこじんまりとした浴室だが、照明が洋風のランプの様でしゃれている。単なる蛍光灯が並んでいるというわけではないのだ。
奥の壁には背景がないが、レンガ風の造りで、ぬくもりがある。
湯船を照らす灯りもスポットライトが照らされ、その水面に反射した灯りは天井に反射しゆらゆらと美しくうごめいている。

中央に浴槽が二つあり、両壁にカラン。8-9。立ちシャワーは二基あるけど、一つの前には風呂桶、イスが積み重ねられている上に仕切りもないため実質稼働していない模様。
お客は4人ほどなので、ゆったりと利用する事ができる。
しっかり体を洗い、浴槽へ。

ひとつは奥の壁にジェット二基。
湯温は43℃ほど。細長い浴槽で、ジェットだけでなく湯を純粋に楽しむ人も入る事ができるスペースがある。柔らかく心地の良い湯。空間が上質だ。銭湯という下町の情緒とはかけ離れたまた違うアプローチの演出がここにはある。

壁には水枕が設置されているが、位置がやや高くキンキンに冷えているというほどではないので少しもったいない。

さてもう一つの浴槽。なんとこちらは檜風呂だ。
4人はゆったり浸かる事ができる大きな浴槽に、どぼどぼと循環された湯が流れ落ちてくる。
照らされた照明の中、流れ落ちた湯によってできた水泡がパチパチとはじけ水粒が湯にとけ込んでいく様子が手に取るように見える。
湯温は41℃ほど。
檜風呂の縁が優しく丸みを帯び、寄りかかるのに都合が良い造り。
のんびりと湯を楽しみながら和モダンな癒しの空間に身を委ねる事ができた。

フロントでコーヒー牛乳(120円)を購入し、ほてった体をクールダウンする。
こちらの上にお住まいの方々は銭湯の利用料金はどうなるのだろうか。利用料が家賃に含まれているとかのサービスがあれば非常にうらやましい環境といえる。
富士は拝めなかったがまた来たいと思う、実にいい銭湯であった。


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86.杉並区和泉 大黒湯

杉並の大黒湯を訪れた。
入口にはコインランドリーがあり、屋根は普通の建築。













開いたままの引戸を潜り、下足に靴を預ける。
下足入れは皆赤字の数字。反対側には黒字で書かれた数字の下足入れがあったのかもしれない。

反対側にはなぜか台所がある。
フロント前の休憩スペースには3人ほどが休める木製のベンチ。
テレビもあり、コインランドリーの防犯カメラを映しているモニターもある。
番台を裏返した形の、一人が収まるので精一杯の窮屈なフロントが正面に。左手が男湯だ。
女将さんに湯賃をお渡しし、脱衣場へ。

天井は低めで、洋風。ぐにゃぐにゃした輪郭のアメーバみたいな天井が二段式になって貼り付いている。
全体的に狭い脱衣場。ロッカーも外壁側にしかなく、窮屈だ。
休憩スペースはこちらにもあり、フロントに行かずとものんびりできる。

さてパパッと服を脱ぎ、浴室へ。
外壁側の一畳半くらいのスペースにサウナ室がある。入口に50円と書かれている。安いが、それだけに狭いサウナだ。今度来た時に利用してみよう。

天井は二段式で高い。浴室自体の面積は狭いものの、開放感は十分にある。脱衣場の天井が低く心配したが、こちらにきてほっとした。
島カランは一列で外壁側から2-5-5-6。立ちシャワーは一基。カランも20いかないと少ない感じだ。お客は5人ほどなので空きカランを探すのも容易。さっそく体を洗い始める。
ケロリン桶が20個くらいある。これだけあればカランが満杯になっても余裕だろう。

浴槽は二つ。
浅い浴槽と深い座ジェットの浴槽。
浅い方には赤外線ライトが一基発光している。そしてミクロバイブラも。単なる四角の浴槽でなく、浅い浴槽の方は洗い場の方に丸くせり出す形になっており広々としている。
湯温は43℃弱。柔らかく心地の良い湯。
背景を眺めてみると(西伊豆)19年9月5日とある。
松の木の詳細に描かれている所や富士の繊細な画風が丸山氏か早川氏を思わせる。富士の高さが控えめである。

座ジェットの方も湯温は同じほど。
水枕も完備されているけど、やや冷たい程度。しかも位置が少し高いので居心地が良くない。

湯から上がると時間は23時半。表の電気は消され、女将さんは何やら台所で洗いものをはじめている。一体何を洗っているんだろう。
壁には太極拳を3月15日(日)に開催すると書かれている。15名は太極拳の後100円で入浴できるとのこと。なかなかいいサービス。行ってみたいがそんな勇気は今の所ない。10年か20年ほどしたら湧いてくるだろうか。

全体的に物寂しさが漂う銭湯。そして目の前の商店街。昼間来たらまた雰囲気も違うだろう。今日は雨であるし、風も強い金曜の夜なのだ。家路を急ぎ、ビールでも飲んだ後ぐっすり眠ろうと月も隠す分厚い雨雲に誓うのであった。


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2009年3月10日火曜日

--.世田谷区玉川台 藤の湯

WBC東京ラウンドで韓国に負けた後、家から近くの藤の湯へ。

パラパラと雨が降っているが、この分なら問題ないだろう。
10時30分に到着。
お客は5〜6人といったところであった。
いつものようにこちらを利用している浅野忠信のような御仁がいらっしゃる。
今日はいつもより湯煙が多いと感じる。
そのせいもあってよく天井から水滴が滴り落ちてくる。そんな時、こちらの檜風呂には屋根がある分、のんびりと水滴を恐れず湯に浸かれるというものだ。
湯煙、瓦屋根、落ち着いた照明に檜風呂。そこだけをピックアップしてみるとまるで箱根湯本の旅館のようである。

しっかりと芯まで温まり、表へ出ると雨が激しくなっていた。
フード付きのジャケットを着て来てよかった。
家に帰り、ビールを飲みながらWBCでの日本二連覇を願うのであった。


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2009年3月8日日曜日

85.新宿区白銀町 第三玉の湯

一週間ぶりの銭湯、体が湯を欲し始めている。

目指すは新宿区白銀町の玉の湯。
近くのコインパーキングにクルマを停め、徒歩にて玉の湯を目指す。











































裏路地から近づいていくと銭湯の横っ腹から正面に出る事ができる。唐破風造の立派な面構えであるようだが、残念ながら後付けの屋根で覆い隠されてしまって麓からは仰ぎ見る事ができない。

自動ドアをくぐり松竹錠の下足入れに靴を預ける。
フロントは左手に。白髪の女将さんが笑顔でお出迎えしてくれた。
休憩所は正面にこしらえてあり、右手が男湯である。
番台形式をフロントに改装した模様。天井は立派な格天井である。しかも折り上げ式になっており、飴色に見事な輝き。格子の中は木材でなく模様入りの壁紙が貼られている。

脱衣場はお客が5人ほどがいらっしゃっており、浴室を覗いてみてもあと15人はいる。土曜の夜23時頃、喜ばしい事にとても繁盛している銭湯である。

パパっと服を脱ぎ浴室へ。
見事な二段式天井で、島カランが一列。女湯境から5-6-6-4、立ちシャワーは二基の構成。
空きカランを見つけて体を洗う。
年齢層はじい様やら学生やらと、その幅は広い。
カランの上はステンレス製の棚、ゴミを入れるプラ製の小さなカゴもあり、座ったままゴミを捨てられる。便利である。
途中、学生が隣のカランに来たが、プッシュ式であるのに何度も回転させて湯を出そうとしている。壊れていると思ったのか、それ以降はシャワーのみを使って体を洗ったりしている。

さて浴槽へ。
サウナ室が外壁側の脱衣場寄りにあり、その隣には水風呂。
奥の壁に長寿湯と書かれた漢方系の薬湯。それに電気風呂、ジェット風呂、立って入る深底のエステバスがある。
まずは電気風呂から。湯温は43℃ほどでとても柔らかい湯。注意書きがあったが井戸水を利用しているようである。電気風呂は人気がないようでいつも空いている。電気力は強く感じるが、自分でも問題ないほどなので一般的には弱めかも知れない。
続いて長寿湯へ。湯温はぬる目で40℃ほど。15分ほど連続で入浴している御仁がいらっしゃった。奥に広がる長っ細い浴槽なのだが手前の位置で足を伸ばしているので他のお客が突入できずにいる。しかしあるじい様が何も考えず突入。それ以降は足を伸ばさず控えめに入浴しておられる。

続いて水風呂でクールダウン。水温は20℃ほど。広めで4人はゆったり入れそうである。
続いてエステバスへ。二穴式で手すりにつかまりながら背景を拝む。
こちらの背景はかなり特殊なもので、そのモチーフは富士山に白波と一般的なものなのだが、これがかなり抽象的。シンプルなラインで色使いは原色に近いものなのである。
女湯境にある木の様なものはピンクの枝振りでますます訳が分からない。
長い時間の鑑賞には堪えられそうにない。周りのお客たちもほとんどはこの背景を無視している。

続いてジェット風呂へ。
水枕がキンキンに冷えており、心地よい43℃の湯に身を任せながら首を冷やしてのぼせる事もない。素晴らしいものである。

さて湯から上がり休憩所で一休み。表彰状がいくつか飾られている。フロントは若旦那に代わっておられた。帰るお客がみな「おやすみなさい」と言って帰っているので、自分も真似して「おやすみなさい」とお声をかける。
目をしっかりみて「おやすみなさい」と返していただいた。
目の前には巨大なマンション。あちらから見下ろせば立派な唐破風造を眼下に見下ろす事が
できるだろう。





















帰りにすぐ側のラーメン屋にて餃子の持ち帰りを頼んだ。350円。小龍包のように肉汁がたっぷり湧き出てくるニンニク強めのおいしい餃子。また食べたくなるおいしさであった。


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2009年3月1日日曜日

--.埼玉県越谷市登戸町 登龍湯






















普段は東京の銭湯を巡っているが、今日は埼玉の登龍湯を訪れた。
建物自体は普通だが、正面の「ゆ」マークがかなり迫力がある。
駐車場も広く、建物横に数十台置けるスペースがあるようだ。

下足を預け、広大なロビースペースへ。
天井は高いが、和の趣は微塵もない。フロントには若いお嬢さんがお座りになっていて、はっきりとした声で元気に接客をしている。
白く清潔で肉厚なソファがいくつも。大型液晶テレビを前にして何人もの子供達やお客樣方がのんびり過ごしている。かなり繁盛している模様。

湯賃をお渡し。
埼玉の銭湯料金は410円なのだろうか。得した気分である。
脱衣場への暖簾を潜り、右手の男湯に入る。
これがまた広大。
天井は高いが白く洋風。
屋号とは裏腹にスーパー銭湯のように広大でこぎれいである。
スパ銭というよりは巨大銭湯といった感じ。
トイレが並んで二つある。土地があるからこそできるわけだが、とにかく便利であることには変わりない。
時計も普通のものだったり、ロッカーも普通だし、便利ではあるけれど昭和を感じるアイテムは見つからない。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
これがまた広大。東京銭湯では到底出会うことのできない規模の銭湯である。
島カランは一列ではあるけれど、11-11-11-4。しかも外壁側に引戸があり、その先に露天風呂スペースがあるのだがそこにも7のカランがある。
となると合計44。お客もけっこう入っているため、隣り合って使用しているお客もいる。20人はいるだろう。

小学校の体育館ほどはあろうかという空間。ペンキ絵などはないので湯につかるだけではあるけれど、まずはその規模に驚かされる。

カランを確保し体を洗い始める。シャワーがボタン式で、ワンプッシュで3分は出るので困る。なのでシャワーはなるべく使わずに済ませる。
ぬるぬるした湯で、軟水である模様。しかもかなり軟水度は高し。世田谷の塩の湯が個人的には軟水度ナンバー1なのだが、それに次ぐほどの軟水度。軟水のありがたさがわからない人はこのぬるぬる感が気になるだろう。

さて浴槽へ。
これがまた充実している浴槽群。奥の壁にずらっと並ぶジェット形の浴槽。ショルダーマッサージやエステ、ボディジェット、ジェット、などなど。湯温はぬるく40℃ほど。体を刺激しながらゆったり楽しむことができる。
脱衣場寄りにはジッコウの湯。そして水風呂。
半身浴の部屋があり、ここはつまりサウナ室なのだが半身浴ができる湯船がある。マンガ雑誌を読みながらいつまでも入っているお客もいる。

そして外壁の中央寄りに五右衛門風呂。「高温」と書かれているが湯温は43℃ほどで、これが普通の湯温か。
バイブラも程々に丸形の浴槽が背中にフィットし心地よい入浴感。他のお客も高温という注意書きに恐れをなしてかなかなか入ってこないので独占できる。

露天風呂は岩風呂で、たっぷり10人は浸かれるほどの大きさ。湯温は40℃。カランが外側にあるし、壁もあるので景色は楽しめないが、外気に身をさらしながら快適なひとときである。

さて湯から上がる。
五右衛門風呂のおかげでしっかり体は温まっているが、これだけの充実した設備の中で立ちシャワーがないのが不思議である。なくてもさほど困らないが、東京銭湯では9割型設置されている立ちシャワーであるから、この規模の銭湯にして、それがないのは実に謎である。埼玉に立ちシャワーがないのは常識なのであろうか。まだ一つしか訪れていない段階で結論を出すのは早いだろうが気になるところである。

この付近にはイオンレイクタウン店がオープンし、いずれスーパー銭湯も完成するとのこと。そうなるとこちらの営業も厳しくなるかもしれないが、お手軽料金でこれだけの軟水、これだけの浴槽を楽しめるのはかなりお得。
ぜひまた訪れてみたい銭湯である。
ただ、昭和の伝統銭湯が好きな自分にとってはどこかしら虚しさの残る入浴時間であった。やはり和の趣というのは銭湯にとって重要なファクターのようである。ただ湯に浸かるというのであれば充分内風呂で事足りる訳なのだから。