2010年9月26日日曜日

165.杉並区天沼 第一宝湯

今日は日曜日。
昨日は肌寒さを感じた一日だったが今日は一転して過ごしやすい秋の日和である。
荻窪駅北口を降り、四面道交差点を北東へ。回り道になってしまうが、角を一回曲がるだけで到着するはずなのでわかりやすいのである。

今日目指す銭湯は第一宝湯。
なぜ来たかというと今月いっぱいで廃業してしまうという情報をサイトで見かけたからである。
あまり廃業するからといってどやどや押し掛けるというのも気が引けるので、静かに控えめに訪れる事にする。

第一宝湯に近づくと煙突が見えてくる。



近隣は低層住宅街で高層建築物はないが、比較的新しい分譲住宅、低層マンションなど開発は進んでいる地域。銭湯も少し居心地が悪そうである。


中に入ると右手に下足入れ。
靴を預け、中に入ると正面にフロントがある。天井高く、脱衣場とつながっている事からかつては番台形式であった事を伺い知る事ができる。
フロント前右手側にはソファがありテレビもある。ちょっとした休憩スペースになっている。女将さんがフロントにいらっしゃり、お客と会話をしている。廃業に関する事をお話しになっているようである。
湯賃を脇からお渡しし右手の男湯へ。


脱衣場は立派な格天井。しかも折上式である。天井を見上げながら、世界に誇るべき寺社建築の東京銭湯が一つ、廃業してしまう事を考える。
非常に悲しく、寂しい事である。

女湯境の壁に芸能人のサインが飾られている。壁に蛍光灯が仕込まれ間接照明のような演出になっている所にザ・たっち、ココリコ、ダチョウ倶楽部などのサイン色紙。
その他体重計はアナログ式でKEIHOKUのもの。エンジ色である。これは用賀にある「藤の湯」と同じ体重計。藤の湯はよく通っていたので懐かしく感じる。

ロッカーを一つ確保する。鍵はブランドが記されていないもの。下にある貸しロッカーは松竹錠である。
パパッと服を脱ぎ浴室へ。
お客は8人ほど。お年寄りが多いようであるが、お子さんを連れてくるパパもいらっしゃった。

浴室も天井高く二段式。
全体的に白いペンキで塗られ、そしてその大部分が剥げ落ちかけている。昭和の匂いをぷんぷんと漂わせている浴室である。
外壁側にサウナ室。島カランは一列でカランの数は女湯側より6-5□5-4(-は通路、□は島)。立ちシャワーは一基。

カランを確保し、体をしっかりと洗う。
シャワーの温度が低いようであるが、しばらく出していると熱くなってくる。開店が16時で私が訪れたのが16時30分くらいなのでまだ本調子でなかったのだろう。

さて浴槽を巡る。
こちらはペンキの剥げ落ちた雰囲気とは異なり設備が近代的。3つの浴槽があり、立ちジェットが一基、座ジェットが二基ある浴槽と、ミクロバイブラを備えた浴槽、そして水風呂がある。
まずはジェット系から。ボタンを押すとしばらくジェットが噴出されるものだ。立ちジェット(ハイパワージェット)はかなりの水圧。座ジェットも快適だ。湯温は41℃ほど。
ミクロバイブラのある浴槽も底にある水路でつながっている事もあり、水温は同じ。柔らかい湯でぬるめの温度という事もありじっくり長く入る事ができる。

続いて水風呂へ。
水温は20℃くらい。3人は入れるほどの大きさがある水風呂だ。オーバーフローした水が排水口に流れる仕組みも備わっており、きれいな水面だ。
こちらからはペンキ絵の全貌を眺める事ができる。
ペンキは砂浜から仰ぎ見る富士の絵。
富士の大きさは控えめであるがきめ細かく美しい。
おそらく丸山氏の作品。女湯側には岩なども描かれているようだが男湯側の対象物は松、砂浜、ヨット、雲、富士といったあたりである。壁や天井の剥げたペンキと同じように背景も朽ち果てた部分が多く、剥げたペンキの向こう側の絵、そしてそのペンキ絵がさらに剥げてもう一世代前のペンキ絵までもが覗き見える。歴史を感じ、頭がぼうっとなる。

水風呂に長く入ると血がさーっと下の方へ行き、しばしトランス状態となってしまう。
気を取り戻し体をミクロバイブラで温め、休憩。
釜場への扉は木でできている。なかなか釜場への扉まで木でできている所はない。しかしこちらも白いペンキで塗られ、一目で木とは分かりづらい状態。

気づいた事の一つとして天井から浴室に向けて蛍光灯が引き下ろされている。これはなかなか見ない設備だ。あとは島カランの鏡が斜めになっていて、着座した状態でやや見下ろす位置に鏡がある。

さて湯から上がり扇風機でしばしクールダウン。
フロントでお客と会話をされている女将さんの声がよく聞こえてくる。やはり廃業に関するお話のようだ。
やはり寂しい限りである。
ほど近くにある第二宝湯は営業されているようなのでそちらを今後は応援していきたいものである。


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2010年9月23日木曜日

164.新宿区西新宿 梅月湯

新宿区の銭湯、梅月湯を訪れた。

昨日まで30℃を当たり前のように越えていた気温だったが 今日になると急に冷え込み、20℃ほどになった。一日暑くて汗だくになった日の銭湯もいいが、やはり涼しくなると温かい湯に浸かりたくなるものである。

しかしながら今日は涼しい上に雨が激しく降っている。
普通なら家でのんびりと休日(今日は秋分の日である)を過ごすところだが、ふと湯に浸かりたいと思うともう何があっても思いはとどまらない。クルマに乗り、新宿の梅月湯を目指した。
梅月湯は銭湯マップを見ると番台形式ということでこれまで訪れたことのない銭湯だった。一人で行くだけならフロントも番台も気にしないところだが、一緒に行く人がいるとなるとやはり気を使ってフロント形式を選ぶことが多くなるのだ。



梅月湯は西新宿、新宿中央公園のほど近くにある。
目の前の通りにパーキングメーターがあり(1時間300円)、クルマで来るには便利な銭湯といえる。
梅月マンションという11階建てくらいの高層マンションの1階。自動販売機がならび、銭湯の入り口があるのだが下足入れは表側に無く、靴を脱ぎ中に上がると下足入れが左に並んでいる。鍵はカナリア。赤で数字が記載されているので、これは女湯用でひょっとしたらその昔はこの数の倍、下足入れがあったのかなと勝手に憶測してみる。





さて下足スペースにはぶら下がり健康機、3人掛けソファ、新宿区からの表彰状などが飾られている。花の鉢植えなんかもありホッとできるスペースだ。奥にはコインランドリーもある。
驚いたのは今月中に廃業という張り紙がされていること。再開発により燃料置場が確保できない事が理由のようである。14日からは湯賃が300円となっており、廃業間近には無料解放されるようだ。
地元の梅月湯を常湯とされている方々、東京銭湯を愛する私たちにとっては寂しいが現実として受け止めるしかない。


ここから自動ドアが二つ、男湯、女湯の脱衣場に向けて 設置されており、左手の男湯側に入ると番台に親父さんが腰掛けておられる。まだお若くお元気なようであるので今後のご活躍をお祈りしたい。

すでに湯賃は300円の期間である。
番台の目の前についたてがあり、脱衣場の半分ほどは親父さんからはよく見えないようになっている。ロッカーは外壁側にずらっとならび、下の段は同じ大きさの貸しロッカー。島ロッカーも二つある。休憩スペースもありテーブル、3人がけソファがあるので脱衣場は狭く感じる。
天井は低め、しかしビル銭湯にしては高い方である。ほこりが積もっている部分もあり、壁は朽ち果てているところも目につく。長い間多くの湯客を見守って来た銭湯である。おつかれさまと声をかけたくなる。

体重計は家庭用のもの。女湯境の鏡前には漫画雑誌がうずたかく積み上げられている。
さてロッカーを確保しパパッと服を脱ぐ。
脱衣場に3人ほどの湯客、浴室には7人ほど。祝日の夜7時ほど、活気があるように見えるがこのあと1時間滞在しているうちに男湯は私だけになった。

浴室に足を踏み入れると開放感に胸が躍る。天井は高く、脱衣場よりも倍ほどの高さがある。かまぼこ型で抜け落ちたのか張り替えている部分もあったりするが女湯側だ。壁のペンキなど、剥がれているのがいい雰囲気を醸し出している。正に昭和を駆け抜けた、という感じだ。

島カランが一列、外壁より6−5□5−6(−は通路、□は島)、立ちシャワーは女湯境壁に一つ。広々とした浴室で左右カランの幅はゆったりとしているし、通路も広々だ。

カランを確保し体を洗う。
水圧が激しく湯と水をどちらも出して桶に貯めるとほぼ冷水となってしまう。また貯めた湯の中には水道管の鉄さびも見て取れる。ゆっくり水を出せばさびも入ってこないようだ。そもそもそんなに気にすることでもないが。

しっかり体を洗った後、 浴槽へ。
二つの浴槽が奥の壁に並んでいる。外壁側は広く浅い浴槽、女湯境側に深浴槽。
どちらも今日は薬湯である。とくに種類は書かれていないがグリーンの色をしている。
広い浴槽にはミクロバイブラ、そして岩盤泉の効能が貼られている。湯温は41℃ほど。柔らかく肌触りのよい湯だ。
岩盤泉は岩盤が縁に付けられていてそれに体を当てると効能が期待できるというもの。こちらは全く同じ効能(7の秘密)が私の常湯である千駄ヶ谷「鶴の湯」にもある。
バイブラの勢いはなかなか激しく、体をまっすぐに保つのも困難だが楽しく湯に浸かることができる。

続いて深い方へ。こちらも湯温は同じくらい。深い方にジェットが2基。こちらに腰掛け浴室を何気なく見渡す。女湯境の壁には1cm四方のチップタイルの洋風の湖畔。民家などよく銭湯で見るパターンのものだ。
釜場への扉の側に
「太陽建設株式会社
株式会社今井タイル工事店」
と記されている。今井タイル工事店の前にある株式会社はチップタイル一マスの中に小さく記載されているのがかわいらしい。

そしてこちらの銭湯の背景は渓谷のペンキ絵である。
濃淡による遠近感の表現法、木々の描き方などを見ると中島氏のもののようであるがかなり朽ち果てておりペンキが剥げている部分が多い。2年以上は経っているのだろうか。しかしペンキ絵というものは温度や湿度、風通しの良さなどにもより浴場により状態変化が様々なので何年かはよくわからない。いつ書かれたものも書いてない。
剥げた所からは過去に書かれた空や雲などが姿を現している。開業してからいったい何度の背景が塗り重ねられて来たのだろう。創業83年ということなので、2年に1回としても41回・・・、すさまじい歴史の積み重ねである。

女湯側には富士の絵が少し見える。
しっかりと温まった所で湯から上がる。脱衣場にも私一人で悠々と過ごせるが少し寂しい感じもある。しかし脱衣場は台形のような敷地になっていて四角四面の脱衣場を想像しているとかなり違和感があるものだ。

ついたてがあるので銭湯マップで番台とあるからと言って敬遠している女性の方などは気にせず訪れて頂きたい。何よりも今月で廃業となってしまうし、今なら300円、ラストの二日間は無料開放である。

新宿の銭湯が一つ、姿を消してしまうことになるがこちらに梅月湯という銭湯があったことをいつまでも忘れないようにしたい。



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2010年9月20日月曜日

--.福岡県福岡市中央区今泉 本庄湯

用事があり福岡を訪れた。

宿泊先は西鉄グランドホテル。最寄りの銭湯を検索すると「本庄湯」がヒットした。
夜になり9時を回り、湯に浸かる準備を済ますとホテルをでた。
三連休の中日の夜、天神の街は飲み客で賑わっている。ぶらり一人で街を歩いている男など見当たらない。女性が一人で歩いている方が多いような気がした。詳しく統計を取ってみた訳ではないけれど。

西鉄グランドホテルから天神西通りを南へ。
途中アップルストアを通り過ぎ、ちょっとしたホテル街に入る。落ち着いたカフェやバー、マンションなどがある場所に本庄湯はひっそりと佇んでいる。




本庄湯はビル銭湯。4階くらいの高さのコンクリートの建物で2階、3階の窓からは灯りが漏れ、生活感溢れる物たちが窓に立てかけられたり、影を映し込んだりしている。
入り口は男、女で二手に分かれている。
いくつかのお知らせが貼り出され、営業するということに対し、ポジティブな印象を受ける。
すぐに中に入ってみたいという思いを抑えつつ、ぐるりと一周、本庄湯の全体像を捉えてみることにする。ほぼ建物に囲まれその様子はうかがい知ることはできないが真後ろの駐車場の隙間からその様子が見えた。
表向きはビル銭湯ながら裏に回ると一軒家で千鳥屋根も見えて銭湯らしい雰囲気だ。
その中に5mほどの高さしかないかわいい煙突が見える。

さて表に戻り中に入る。
扉を潜るとすぐに下足を脱ぐスペース。幅は2メートルほどしかないし奥行きも数十センチ。下足入れは右手前に設置されていて鍵のブランドは不明。赤字で数字が記されている。番台形式なので靴を脱いで上がるとすぐに女将さんに湯賃をお渡しする。
大人440円。 東京との差はたったの10円である。
女将さんは明るくいらっしゃいませとお声をかけてくださる。自然に短パンが目に留まる。短い髪のおばあさまにはまだほど遠い、元気そうな女将さんである。基本的にはハードカバーの書籍を読みふけっておられる。

さて脱衣場の様子をじっくり観察してみる。
男湯は右手側であり、外壁側には使い古された木のロッカー。鍵はやはりノーブランドか。鍵についたゴムひもがどれもほとんど伸びきっている。木のロッカーは傷も多いが味わいのある深いアメ色をしている。床もそんな色。裸足になると足の裏と木の触れ合いがマイルドで心地よい。

ロッカーは28ほどあるが、手書きの数字は消されて何度も書き直されたりしているので、収納可能な実数と、ロッカー総数とは 食い違っているようだ。鍵がなくなったりしているのだろう。

籠もあり、後に来られたお客さんはそれを自然と使っていた。私は常連客でもないし壁に備え付けられている鍵付きロッカーを使用することにする。
天井は低めで、白く塗り固められている。色落ちもあり見ていて飽きのこない味わいある壁といえる。
体重計はアナログでエンジ色の「IUCHI SCALE」のもの。すぐ隣には輪投げ。輪は少しの木片とロープで作られている。女湯境の壁上には扇風機。羽が四枚あり、年代物の趣だ。静かにその羽を休めているが、ホコリも積もっていないし今にも動き出しそうである。女湯側にもその扇風機があり、間に大きなうちわ。「福満」と大きく江戸勘亭流フォントで記載されている。そしてマッサージチェア。お客が利用している。

外壁側の手前に喫煙席とトイレ。
普通に脱衣場内で喫煙が可能である。これは最近の東京銭湯では考えられない環境だ。さっそく喫煙しているお客がいらっしゃる中、トイレを使用。トイレは新しい木材で改装されており非常に清潔。狭いが快適だ。

さて脱衣場に戻り、服をパパッと脱ぐと浴室へ。
湯客は一人。出入りが激しいので寂しさはない。夜9時30分から1時間滞在で5人ほどの来湯。
浴室は狭い印象。奥の壁にある釜場への扉がミニサイズで一見遠近感というものが狂う。
島カランはなく女湯境壁に3つ、シャワー付き。外壁側には5つ、シャワーなしである。どちらも奥の壁までカランは並んでおらず、左右非対称の構成だ。
浴槽は中央部に小判型のもの、外壁側の奥に畳1枚ほどの浴槽。
そして奥の壁中央部分にミニサイズの扉。高さは110cmほどか。幅は大人の肩幅もないほど。
女湯境壁側には観葉植物がある。あとゴミを拾うトングのようなものがバケツに入れられて置かれている。
東京では味わえない独特の雰囲気。
ここで幸せをかみしめる。
そして今日この銭湯に出会うことを許してくれた湯の神様に対する感謝と、未踏の地への新たな一歩を踏み出した自分の勇気に賛辞を与えておく。

カランはシャワー付きを利用しているお客とは反対側のシャワーなしを一つ確保。
湯を貯め、かぶり、洗いを繰り返す。
カランのレバーに「宝」と書かれている。レバーの仕組みが上から下に押し込む方式でなく、手前から奥に押すことで湯水を噴出できるようになっている。湯と水の間隔が適度で、片手でうまく湯水を調合し桶に汲めるようになっている。使いやすい。

体をひとしきり洗い、浴槽へ。
奥の壁にある小さな浴槽へ。ライオンの口から湯が扇状に放出されている。静かな浴室の中で唯一と言っていいほどの音の出所だ。途中女湯側に学生だろうか若いお客さんが何人か入ってきたようで、途端ににぎやかになるがそれまではライオンのみであった。

静かに湯に浸かる。
浴槽は二段式で深めだが段差の幅が15cmほどしかなく、気を緩めればつるっと最深部までいってしまいそうである。手をつき慎重に行動する。
水色のタイルがいくつも並び、そしてぴっちり並んでいなくて列が乱れていたり、でこぼこしている様子がまた興味深い。
湯温はかなりぬるめで40℃ほど。狭いし段差に腰掛けられもしないので少々ポジションを確定するまでに時間を要する。結局は最深部に腰掛け、ライオンの放出を眺めていることにした。しかしそれだけで時が過ぎるのを忘れてしまうほど楽しい。

湯から上がりしばしクールダウン。
続いて中央に鎮座する小判型浴槽へ。
こちらは広めで3,4人はゆったりと浸かれそうである。深さがかなりあり、120cmほど。大人が腰を付けても顔がでないほどだ。立て膝をついてちょうどいいくらいか。こちらも一段目部分の幅が狭い。嫌がらせかと思うほど腰掛けるには狭い。何パターンかのうちから居心地のよい体制を模索した結果、小判の幅の狭い部分の端と端の段を使用して足、腰を置く。するとちょうど水中に架けられた橋のようになって落ち着いて湯を長く楽しめるのである。

湯温はやはりぬるめ、40℃ほど。ライオンの湯よりはやや温かいような気がする。
小判の真ん中の底にジェット噴出部分がある。泡というほどでなく、水流が強め、といった感じである。それにより若干湯面がうねっている。大海の海面が上下に波打つ(白波は立たないほどに)、そんな雰囲気だ。

湯をじっくり味わいつつ背景を眺める。
1cm四方のチップタイルで描かれた熱帯魚(エンゼルフィッシュ)。女湯側も壁が低めなので見えるがあちらは鶴。リアル志向でなくかわいらしいデザインである。

湯から上がり体を冷ます。
女将さんは静かに読書。女湯側からは若い女子の声。男湯側には私一人。
常連の湯道具が置かれている棚がある。ぼやっとそれを眺めていると、途中湯客が一人訪れそこから道具を取り中に入っていった。今までも今日も明日も、この先ずっと変わらない(でいてほしい)街の銭湯の様子。
写真を一枚、取りたい気にも駆られたがこの情景を指先一つで過去の一枚にしたくない思いもあり、あとただ単に言い出しづらい自分の気の弱さもあり、何ということもなくただ静かに外に出ることにした。

道を進めばすぐに天神の活気ある街の中へ。
また気軽に湯に浸かりに来たい、楽しい街と味わいある銭湯だった。


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