2010年10月22日金曜日

167.渋谷区東 さかえ湯

秋も深まり今年もあと2ヶ月ちょっと。キンモクセイの開花も終わってしまった。街から甘い香りがなくなって少し寂しい気分もするが、年末に向けて今度は次第に街や人が賑わいを見せてくるだろう。そうなってくるとだんだん気分も盛り上がってくるものだ。

仕事が終わり、いったん家に帰り自転車にまたがる。
明治通りを南下して並木橋に向かう。ライフが見えてくると並木橋だ。

渋谷区銭湯、さかえ湯は並木橋を代官山方面に向かう橋の麓に存在する。
ビル銭湯であり、1階にそれはある。
2階には美容室「READY STEADY GO」。高校生くらいの頃、雑誌を読んでからこの美容室の前まで来て入ろうかどうしようか迷った事がある。もう20年も前の話だ。
結局その時はそのまま代官山の方まで歩いてそのまま美容室には行かなかったっけ。

それはさておき、さかえ湯の表向きは非常に地味。

銭湯の入り口でなければ駐車場にでも使われていそうな広さの間口に暖簾がかかっている。牛乳石けんの紅葉バージョン。まさに今の季節に合致している。季節感があっていいものだ。

暖簾を潜るとパイプ椅子がいくつかあり、腰掛けている方が二人ほど。
コインランドリーがあるので洗濯が終わるのを待っておられるようだ。銭湯の入り口はその左。下足入れが左右にあり、SAKURAGの錠前。靴を預け、木札を手に取る。
下足入れの上に注意書きがあり、「木札を持ち帰る方がいらっしゃるが刑罰に処せられます」といった内容。ただ木札が欲しくて持って帰る人もいるだろうが、帰りしな靴を手に取り扉を閉め、何も考えずにまた木札を取って持って帰ってしまう人もいるだろう。

引き戸から中に入ると番台にお兄様がお座りになられている。天井の低いビル銭湯一階に、さらに番台というのは窮屈そうである。
脱衣場は狭めである。寮の浴場といった感じであるが、ローラーむき出しのクラシカルなマッサージ機がある事でここが銭湯である事を改めて認識する事ができる。体重計はTANITAのデジタル式。床の木材や壁、天井もそれぞれが昭和を駆け抜けて来たといった存在感のある趣。くたびれてはいるが不潔ではない。

さて服をパパッと脱ぎ浴室へ。
天井はやはり低く、波打っている部分があるので落ちてきやしないかとふと不安にもなる。右手に浴槽があり、左手と奥の壁にカラン、島カランは一列。壁に10のカランと島に4-4、合わせて18の構成だ。島にはシャワーがないので何度も湯を汲み体に掛ける必要があるだろう。

立ちシャワーも一基、あるにはあるがホース付きのハンドシャワーなのでそれを持って立ちながら体に浴びる格好になる。

体をしっかりと洗い、浴槽へ。
ビル銭湯ということで湯の感じにはあまり深く期待も抱いていなかったのだが、感動的な柔らかさのある心地の良い湯。深浅2浴槽のうち、浅い方から楽しむ事にした。
湯温は42℃ほど。壁から一穴式のジェットが二カ所から噴出している。狭めの浴室の割には奥行きのある浴槽で寝湯(湯面に体を浮かべる入浴法)を楽しんでも縁に届いてしまう心配がない。
湯の柔らかさは備長炭であることが明らかである。30cmくらいの幅のある檻の中に数多くの備長炭が入り、湯につけられている。ぬるめの温度設定のせいもあり長めに入浴を楽しむ事ができる。

湯から上がりクールダウン。
カランの水がぬるいので冷たい水で体を冷やす事ができないのが少々残念かもしれないが、湯の良さが全てを圧倒している。

続いて深い浴槽へ。
こちらにはミクロバイブラが設置されている。きめの細かい泡が体を包み込み、湯はさらにマイルドさを増している。

湯客はしばらく私のみであったが最も多い時で3人ほどになった。利用者視点からするとありがたい数である。経営的視点からすると少なすぎる気もするが・・・。

湯から上がりしばし体を冷ます。
ビル銭湯で窮屈感は否めないが、浴槽の広さ、湯の質は何よりも高水準。
ぜひまた訪れたい銭湯である。


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2010年10月12日火曜日

166.渋谷区代々木 奥の湯

渋谷区銭湯、奥の湯を訪れた。

家から近いので自転車で向かう。南新宿駅は静かな駅前。夜中は特に静かでいくつかの飲み屋があるくらい。

駅の目の前に銭湯がある。改札を出て、路地に入り数メートル。10秒くらいだ。
今日は自転車で来ているのでそんなありがたみはないが、仕事帰りに寄ったりするのにはうってつけの銭湯だろう。


銭湯の目の前は駐車場。この通りには住宅が多く、夜は静か。
奥の湯の突き出し看板が渋く灯っている。


街灯と銭湯のマッチングが素晴らしい。
暖簾は垂れが短く、奥の傘入れが覗いている。


下足入れはSAKURAGのもの。
左手が男湯になっている。引き戸は自動扉で勢いよく開く。番台形式で女将さんがお座りになられている。
湯賃をお渡しするも控えめな接客。しかしその瞳の奥には優しさを感じる。
天井は高く、格子天井・・ではないが木枠の天井。
全体的に古い建築だ。
女湯境壁の上にある親柱は立派なもの。
親柱といえば清瀬市にある清の湯の女将さんが「この親柱はお父さんが木を切り倒して運んで来た」というお話を思い出す。その清の湯も寂しい事に廃業してしまったが。

島ロッカーが一つ。
鍵はSAKURAIII。入り口側のスペースが外にせり出す形になっていて、洗濯機と椅子が三つある。ドリンクケースにはパックのドリンクが充実している。
体重計はTANITA。腰までの高さのデジタル式だ。
女湯境の壁向こうには観葉植物の葉が見える。

ロッカーを一つ確保しパパッと服を脱ぐ。
浴室には湯客が5人ほど。3連休の最終日、夜9時頃である。
天井は高く二段式。白ペンキで綺麗に塗られている。塗り直して長い年月は経っていないようだ。床のタイルやカラン、壁なども清潔。開放感もあるしとても心地が良い空間だ。

カランは外壁側から7-5□5-6(-は通路、□は島)。
立ちシャワーが一基、女湯境側に備え付けられている。
カランの数は多いけど、横幅、背面の空間も十分にとられているので窮屈ではない。
カランを確保ししっかり体を洗う。

カランの湯はいいけど、水は少しぬるすぎるような気がする。
火照った体をクールダウンするのに時間がかかるかもしれない。

さて浴槽へ。
広く浅い浴槽と深い浴槽、二つの構成だが底の穴で両者は連結している。
まずは浅風呂から。
こちらには赤外線ライトとミクロバイブラ、そして座ジェット2基が設置されている。
湯温は43℃ほど。湯が固めなので少し熱く感じる。
ミクロバイブラの勢いはなかなか激しい。赤い赤外線の光と、勢いのあるミクロバイブラに包まれているとしばし時の流れを忘れさせてくれる。

座ジェットも楽しむ事にする。
浅い浴槽にある座ジェットなので足は前に伸ばす形になる。2センチほどの着座スペースがあるので少し座り心地はよい。

続いて深風呂へ。
湯温は変わらないが、ジェットなど全くなく、静かな湯面なので浅風呂よりむしろぬるいような気もする。しかし誰かが埋めたのかもしれないので確かな事はわからない。銭湯の湯温は常に変化しているのだ。

こちらから背景を拝む事にする。
奥の湯の背景はチップタイル。紫色から白に変化する何枚かのタイルがランダムに配置されている。
釜場への扉は木戸。
木戸であると浴室の雰囲気もいっそう高まるというものである。

さて湯から上がり脱衣場で牛乳パック(110円)を頂きながら一休み。
そんな中、親父さんが掃除機を掛け始める。
もう仕舞いの準備だろうか。
ややこちらも慌てた感じで銭湯を後にする。
脱衣場は掃除機で少々騒がしくなっているが表の通りは相変わらず静かである。
裏手に回り、煙突を見上げる事にする。


湯のマークのあたりですっぱり切り落とされた煙突。その昔は23mほどの高さまで延びていたのだろうか。燃料を変えながら、現代社会に対応するべく煙突の形を変えながら奥の湯は静かに息をし続けている。


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2010年10月11日月曜日

--.渋谷区千駄ヶ谷 鶴の湯

今日は銭湯の日。
地元の鶴の湯へ赴く事にする。

夜8時頃、秋も深まり過ごしやすい季節になったが、少し肌寒くもある。
温かい湯が恋しくなる。

鶴の湯は千鳥破風の表向き。商店街沿いに建てられているけれど、グリーンモール商店街は人もクルマもあまり通らない、店の数も少ない静かな商店街なので、存在感は控えめながらもこの商店街において圧倒的である。

10月10日、今日はラベンダー湯である。
親父さんに湯賃をお渡し。
湯客は6人ほど。タトゥーが背に入った外人さんもいらっしゃる。
ちょうどよい43℃ほどの柔らかい湯。さらに今日は香り豊かなラベンダー湯だ。
じっくりと温まり湯から上がるとウーロン茶のビンを頂く(120円)。
番台は若女将にチェンジとなっている。
先ほどの親父さんはインディージョーンズ魔宮の伝説を観ておられたが、若女将はバラエティー番組をにこやかに観ておられる。

ウーロン茶のビンを片手に庭のベンチに腰掛け、池を眺める。金魚たちは元気にこの猛暑を乗り越えられたようだ。しばらくして岩の上からちょろちょろと水(滝)が流れ始める。自動スイッチか、女将さんの手動か。聞けばすぐ解決するんだろうけど、ここはやはり永遠の謎として楽しく保管しておく。


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