2008年10月11日土曜日

28.戸越 松の湯

金曜日。
しかも今日は10月10日(銭湯の日)だ。

こんな日はやっぱり銭湯へ。
歌舞伎町で開かれている銭湯ナイトにも興味があったけど、う〜ん、銭湯をサブカル的に楽しむのはさておき、自分は単に湯を楽しみたいので今日のところは銭湯ヘ行こう。

いつか行ってみたいイベントではあるんだけど。

奥さんを引き連れ、大井町線中延駅で降りる。
降りるとすぐ右手に第三京浜が走っており、少々長い信号待ちの後200メートルほど直進ですぐ松の湯に着いた。駅近銭湯だ。













到着時刻は9時。
立派な破風造がお出迎えしてくれるが、せり出したコインランドリーと玄関に覆われ、少し控えめな様子。
これがなかったらかなり迫力あっただろうな。

さて、入口から入ろうと下足を脱ぐと右手には立派な坪庭。












これはアートだな。光の当たり具合といいじっくり鑑賞したい庭だ。
ガラスの手前の床も小石が敷き詰められていて演出が素晴らしいのだが、ほうきが倒れていて美観を損ねていた。これを見て少しほっとした。
やはり街の銭湯なのだからなにもそこまで追求することはないのだ。

入口をくぐると右手にフロント。
左右に脱衣場の入口がある。
フロント前にロビー。
世田谷のえのき湯と広さといいそっくりである。

左手が男湯だ。これは日によって変わるみたいだ。幸か不幸か。まぁどちらにしろ新しい発見がある訳だから期待に胸躍らせつつ湯賃をお支払いし、中へ。

脱衣場はきれいな模様。
天井扇風機はなんとおしゃれな洋風型。ゆっくり優雅に回転しておられる。
天井は青空に雲の壁紙でさわやかである。
これは破風造には似つかわしくない光景だなぁ。改装されて破風屋根が奥に行く気持ちもわかる。
境にある時計も今風の普通のもので、たぶん柱時計が昔はあったんだろうけど(かなり強引な憶測)いつの日か止まってしまい長いその歴史の幕を下ろしたんだろう。
そういう想像を膨らまして勝手に懐かしむのも一つの楽しみだ。
しかし、その場にいるとまさに昔の光景が呼び起こされるような気がするのである。
これは歴史のある街やなんかに趣いた時もそう。
当時の人が往来する様子や声や建物やなんかが肌で感じられる。
まぁ答えはないので、ほんとにひとりよがりなものなんだけど。

さてさて服を脱いで浴室へ。
ロッカーの鍵は腕に巻き付けるタイプ。
しかし混んでいる。
お客が7人ほどテレビを見ながらまったりしている。

今日は銭湯の日だからか、金曜の夜だからか、活気がある銭湯なのだからか。
たぶん全部当てはまるだろう。

体重計はHOKUTOWのアナログ。しかしとても新しい。こりゃつい最近ご購入したものだろう。若手だ。

浴室の中へ。
こちらも混んでいる。パッと見て10人ほどが金曜の中延の湯を楽しんでいる。
カランが少ないせいかな、空きを探してしばしうろうろ。
銭湯グッズが置かれたりしているので、少し時間がかかる。

やっと見つけ椅子と桶を置く。
桶は白くて広めの無地のもの。風呂椅子は大型のものと通常サイズのもの二種類。
外壁側は通路になっていて、島のは二つ。5-5-5-4。
境の壁にあるカランはハンドシャワー完備。しかも右端のシャワーは湯温調節機能付きでカランが壁で仕切られている。
水シャワーを出す時に冷たい水がお隣に飛ばないようにとのことだろう。
そして全身シャワーブースが一つ。

ハンドシャワー完備のカランを確保し、シャワーを使うもこちらがかなり良好。
きめの細かい噴射だ。
そして湯も水もばっちり。
冷やさないと熱い程度のお湯と、かなり冷たい水。
なので湯を作るかいがあるってもんだ。慣れてくると湯を作るのも早くなってくる。
しかしどれも新しく工夫を感じるので使い勝手がよい。

体を洗い、浴槽巡りへ。

まず右手から。薬湯があり、次は寝風呂・電気風呂の浴槽。そして深風呂でジェットとボディジェットとなっている。ここから外壁側にサウナ室があり、水風呂を中央に脱衣場側に檜露天だ。

なんとも設備が充実している。

まずは銭湯の日ということでラベンダー湯から。
網にラベンダーの花びらがたくさん入っており、湯はうっすら黄土色だ。
香りもするが、天然のラベンダーがそのままってところがいい。粉だと色がむやみについてしまってなんか作為を感じるんだよな。

湯はぬるめ。41℃といったところだ。
湯温計も新しそうで、なんか信用できるな。

さて、水シャワーでクールダウンしようにもぬるく体があったまってないので、続いて隣の浴槽の寝風呂へ。
こちらも湯温は同じくらい。よく見れば底から3つの浴槽はつながっている。

寝て浸かってみるが、水枕がない。こりゃ首の辺りの座りがあまり良くないので長湯できず。
しかし、正面に脱衣場のテレビが見えるのでなかなかよろしい。
脱衣場との間にあるガラスが曇ってないのもいいな。

さてさてすぐ隣の電気風呂へ。
こちらの電気は弱いような気がするも、座ろうとするとドクンドクン来る。すごいなぁ、ってことで足だけ当ててしばし背景を眺める。
おぉ!(気づくの遅い)
これは立派な富士山。しかも状態がきれいでまるでタイル絵のようだ。
青空に白い雲に波たつ海が絶妙なコントラストを生んでいる。
早川氏かな?
「南伊豆 20.9.22」とある。
なんと書かれてから3週間ではないか!
これはラッキーだ。何の情報もなく飛び込んだ銭湯がペンキ絵書き立てとは。
こりゃ引きの強さを感じる。
そして外壁の方に坂道があり、そこを曲がって上ってくる感じでバスが見えている。うむ、ペンキ絵でバス初めて見た。

あ〜幸せだ。
さて、まだ体は温まらないのでとなりの深風呂へ。
こちらはジェットバスとボディジェット。
ジェットバスはかなり強烈なジェットが主にある。これを背中に当てしばし湯を楽しむ。
続いて、隣のボディジェット。
一人分やっと入れる丸形のボディジェットで、入っているというよりは「はまって」いるという感じ。少々こっぱずかしい。

さすがに少し体もあったまってきたので水風呂ヘ行ってみる。
2人がゆったり入れるくらいのサイズで温度は18℃を指している。
ボコボコ手前に泡が出ている。
水風呂でジェット。これが余計に冷たく感じられていいんだよなぁ。
さて、入ってみるとさすがにこれはいい。
水道水ではないな。
そういえば、この銭湯はすべて温泉を使用しているとのこと。
主浴槽のみならず、この水風呂、さらにはカランの湯・水、シャワーの湯までもが温泉。
井戸水みたいなものなんだろうけどありがたみが100倍だ。

黒湯ではないので少々派手さはないものの、体に染み込んでくる感じはある。

水風呂からサウナ室のテレビを覗き見ることができる。
覗き見るというと悪いことをしてるみたいだが、そういう設計で窓を設置しているようなので正統的な視聴スタイルなんだろうな。

さて、体もクールダウンできたところで、隣の檜露天へ。

引き戸を開けると外気が冷やっと体を舐める。
心地よい。
東京23区の露天ということもあり壁で覆われており、天井のみ抜けているだけなので、開放感はさほどないものの、空が見える・外気を感じるというだけでそれは立派な露天なのである。
今日は曇で時折雨もぱらついている中、気持ちよく湯に浸かる。
湯温は43℃。ぬるいかと思いきや、なかなかいい感じだ。
蛇口がないので誰も埋められないのがいいのだろう。
しかもバイブラのようにボコボコ泡が全体的に噴出している。
じっくり座っていられないくらいだが、できないこともない。
これは快適。
なんどか水風呂と往復。
ちなみにこの露天からもサウナ室のテレビが覗き見できるのは設計の素晴らしさだ。野球でどうしても見逃したくない場面でもここから見ていられる訳だ。

そういえば今日は巨人が優勝を決めた。
阪神と最大13ゲーム離れていたのをひっくり返したのだ。
そういえばフロントのお兄さんも野球を見ていたが、ニヤついていた様子。
G党なのかな。

たっぷり一時間強も楽しみ、湯から上がる。
どこもきれいだし、狭さが心地よく、スーパー銭湯のように無駄に広い中を歩きまわる必要もない。坪庭の用に芸術的な狭さだ(褒めてます)。

金曜の夜で混んでいると言っても10人強。とても過ごしやすかったのだ。

フロントで奥さんの上がりを待つ間にスーパードライ250円。
お兄さんはとても接客がよろしい。
どこぞの番台でNintendo DSをやっていた兄さんとは大違いだなぁ。そういえばあれも屋号が松の湯だったような。

奥さんがしばらくして登場。
女湯には寝風呂でなく浮風呂があったとのこと。なんだそれは。かなり怪しい、奥さんが
(ちなみにうちの奥さんは銭湯ファンではないので確証はない。また今度確認に来てみよう)。
露天は岩風呂で坪庭が拝めるとのこと。それはいいな。
女湯側のペンキ絵には岩礁があり、こちらにはバスがあったというと驚いていたが、確かに自分も驚いた。まぁバスの大きさは小さかったんだけど、存在感はあったな。

さて、家までの帰り道、温泉のおかげで芯まで温まった体は、電車に乗って20分の二子玉川までしっかり持続された。これが地元の湯屋であったなら素晴らしいなと中延住民に激しく嫉妬しながら、寝床につくのであった。

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