2008年12月30日火曜日

63.世田谷区若林 鶴の湯

今日は2008年の仕事納めである。
今日はぜひ銭湯に行きたいと思うので、納会が終わるとクルマで銭湯へ。

世田谷区の松陰神社の近く、鶴の湯へ向かった。
近場のコインパーキングに駐車し、商店街を鶴の湯方面へ向かう。
鶴の湯という屋号には少なからず期待を膨らませてしまう。

鶴の湯と書かれた看板が破風造りのすぐ側で煌煌と輝いている。
しっかり営業しているようだ。

千鳥破風。
全体的に朽ちている様子。

暖簾には赤い字で「ゆ」と書かれている。

下足入れに靴を預ける。入口は自動ドア。素早く開く感度のいい自動ドアだ。

番台形式で、親父さんが座っていらっしゃる。湯賃をお渡しし、ロッカーへ。
島ロッカーが一つあり、その上にはとんかつ屋のマッチがたくさん。あとうちわと1010が置かれている。

壁際にもロッカーがあり、お手洗いへの扉には「しずかにしめること」と書かれている。
このお手洗いを利用したが、板張りの床に窓は端が割れておりすきま風が吹き込んでいる。

倒壊しないだろうか。少し心配になる。

天井は高く格天井。しかし白い天井であるので安い造りなのだろうか。
女湯境にテレビ、そして新しい時計がある。
時計の後ろに縦長の板が貼付けてある。
おそらく昔は柱時計が備え付けられていたのであろう。

体重計はYAMATOのデジタル。
デジタルとはいえ、液晶はレトロ調の色をして、全体的に渋い雰囲気。いつかデジタルもレトロであると言われる時代が来るのであろうか。

シャンプーなど、入浴グッズもいくつかケースに入り売られているものの、ドリンク類は置いていない模様。外にある自販機を利用する他なさそうだ。

あとは洗濯機が二基、旧型の乾燥機もある。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
とても広い浴室だ。天井高く、ん?天井に赤い大きなマル印。あれは日の丸だろうか。

不思議に思いつつもカランを観察。
島カランが二列あり、外壁から6-5-5-5-5-7。
外壁の6のシャワーはホース付きである。
外壁よりの島カランにはシャワーがなく、それに両端のカランの両端のシャワーヘッドは外されている。
おそらく、入浴するお客、脱衣場へ行くお客・入ってくるお客に対してシャワーが当たらないようにする為の配慮、だと思われるがひょっとしたらたまたまそれらが壊れただけなのかもしれない。

一つのカランを目指して歩き出す。
その途中でなにか突起物を踏んでしまう。
どうやらタイルが剥げて転がっているようだ。中には鋭利なものもあるので注意して歩く必要がある。
剥げ落ちている床タイルの場所は決まっているので、お客が座っている場所付近は剥げている床が見当たらないことから、常連さん達はそれを知って行動しているものと思われる。

体を洗いつつも女湯境のチップタイル画に目が止まる。
白鳥5羽に風車小屋が並んでいる。
洋風なデザイン。銭湯の「和」とのギャップが面白い。

体を洗い終わり、浴槽へ。
三槽あり、外壁側が「エッキス」湯、中央が浅風呂、女湯寄りに深風呂である。
エッキスが気になりつつも浅風呂へ。

「超音波気泡マッサージ器」と書かれ、その下に現代人の疲れを癒すための・・ようなことが書かれている。
ミクロバイブラにジェット二基が元気に噴出され、浴槽全体に湯が流れ踊っている。
赤外線ライトも設置されているようだが灯りは付いていない。
湯が柔らかく、とてもマイルド。心地よい。
湯温は42℃ほど。

次に深風呂へ。
湯温がやや高くなり43℃。しかし中央の浴槽とは中でつながっている。
この深風呂から見える位置にタイルの施工が葛西タイル工業であると書かれているのが見える。深風呂のタイル一つをとってみてもとても素晴らしい造り。
壁の部分のタイルは水色、そして下にいくにしたがって濃い水色となり、青となる。
それも単なる青でなく、いくつかのタイルの組み合わせで色を表現している。
まさにその表現するものは海のようである。

ここで背景を仰ぎ見ると、男湯側に富士山があり、女湯側は見える範囲では何が描かれているのかよくわからない。
手前には海があり、浴槽とまさにつながっているようである。
浴槽のタイルが一つ剥がれており、ヘリの部分に置かれていたがその水色のタイルも一色でなくぼかしの技法を使って作成されている。

体も充分温まり、一旦カランに戻り水をかぶってクールダウン。
立ちシャワーがないので何度か水をかぶる。

続いてエッキスの湯へ。
こちらはにごり湯である。透明度は7センチほど。
壁に能書きがあり、昭和なイラストと共に効能が書かれている。
天然の鉱石から作られている入浴剤のようだ。カリウムやナトリウム、カルシウムなど様々な鉱物の栄養分が記されている。
気持ちのよい湯である。湯温はややぬるめで42℃ほど。
さらさらと体に馴染み、芯まで作用しているようである。隣の浴槽とのへりにかき混ぜ板が置かれており、年季を感じるものであった。

さて湯から上がり、脱衣場で着替えているとお客はもう誰もいないようで、親父さんが女湯境の扉を開けっ放しで行ったり来たり、閉店準備を進めている。
テレビでは自動車による事故を放送中。親父さんは「車に乗るならしっかりやれっていうんだ」と私に聞こえるようにお話しになられている。

隙を見てスタンプを頂こうとすると、「仕事が増えるから初めにいっぺんに出してくれ」とのこと。入店時に出せということらしい。

確かにそうかもしれない。
初めはそうしていたのだが、一見さんと思われることに不満があり、最近は帰り際に頂くことにしていた。そのおかげで湯の感想など、お話をするチャンスにも恵まれるようになったのだがこちらの親父さんにはそうもいかなかったらしい。

少し考えて今後どうするか決定しようかと思った。
その後、親父さんは売上金をしっかり向きを揃えて管理しているとお話し。
今までお金を貸しても名前を聞いたりしない、それでも皆しっかり返してくれるともお話しになられた。
売上金を千円札で何百枚もお見せいただいた時は少々面食らったものの、親父さんはとても曲がったことが大嫌いなちゃきちゃきの江戸っ子であった。


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