2008年12月23日火曜日

60.世田谷区世田谷 天狗湯

12月23日、明日はクリスマスイブである。
しかし銭湯にクリスマスは関係ない。
寒い日はただ温かい湯に浸かりたくなる。
いつか一生付き合いたくなる銭湯に出会うことができるだろうか。

今日は世田谷駅近くの天狗湯へ。
国道246号の駒沢辺りを世田谷駅方面へ進むと10分ほどで付近に到着。
クルマなのでコインパーキングへ。
30分200円。やや高め。

入口にはベンチ。
やや離れたところ右手にコインランドリーがあるが同じ人が経営しているのだろうか。
コインランドリーと銭湯は本当に切っても切れない深い縁がある。
だいたいどの銭湯に行っても当たり前のように鎮座している。
神社の狛犬のようだ。




暖簾は牛乳石鹸。
「そとはさむいネ ぬくぬくあったまろ ぬくぬくネ」
季節に合った癒される文章である。

下足入れが左右に配置され、中央には鏡。
扉のような枠なので番台への入口かなと思いきや、扉ではない。

靴を入れ、引戸から中へ。
左手が男湯だ。
番台にはメガネのお姉さん。文科系である。
最近文科系の番台さんによくお会いするような気がする。

脱衣場の天井は高いが白天井。
二段型の天井で外壁側の天井は低い。
ロッカーの鍵にはメーカーの名前がなく、一周させると鍵が開く。
閉めるときも一周。
ロッカーの扉の内側に「下駄箱の鍵などをお入れください」とビニールのポケットがついている。銭湯を利用していると下足入れの鍵をなくしたというお客によく出会う。それだけにこういうサービスも出てくるんだろう。

トイレをお借りしたが、扉の薄さに反比例してかなり重厚な開き方をする。
ずっしり重いのだ。
しかも鍵が閉まらない。
ガチャガチャやるのもあれなので、早めに用を済ませ出ることにする。
さて、パパッと服を脱ぎ浴室へ。

浴室は広め。
湯煙が濃いめで雰囲気は抜群だ。
7~8人のお客の入り。
島カランが二列で、6-6-6-6-6-5でなんと35もカランがある。
しかも全てステンレス製でキラキラ輝いている。
立ちシャワーが左右壁の脱衣場寄りに二基。
さらに外壁の浴槽寄りに立ちシャワーコーナーがあり、ここに三基の立ちシャワー。
カランだけを見ると大型銭湯と言えるけど、床スペースはそれほどでもない。

まずは体を洗おう。
島カランの上にはステンレスの棚があり、物を置ける。
混み合った時にはここに入浴グッズを移動させて、ゆっくり湯に浸かることができる。
サウナがあれば余計に便利な棚だろうけど、ここにはサウナ室はなし。

目につくのは注意書き。
なぜか雑貨屋のポップのように注意書きのメモがカランの上の棚に貼付けられている。
「シャワーの水を出しっぱなしにしないこと」
「軽石、シャンプーなどを使用しているときは水を止めること」など。
基本的に無駄に水を使うなという内容。
番台形式だと入浴中のお客のマナーにはよく気がつくのだろう。

体を洗う。
シャワーは使い初めに「シュパパパ」と音がする。
次第に普通の水圧になる。

浴槽ヘ行くとしよう。
こちらは浅風呂と深風呂の二つ。
浅い方には「ぬるめ」と書かれ、深い方には「あつめ」と書かれている。
ではまず浅い方から。
ぬるいのかと思いながら浸かると43℃ほどの湯温。決してぬるくはないような気がする。
ジェットは二基で、端の方はミクロバイブラ。
ミクロというほどではない泡だからバイブラ、かな。

天井を仰ぎ見て、とても高い二段型であることを確認する。
背景は白樺のタイル。
今日はスカイミントの湯だ。とても心地よい。
深風呂の方に「スカイミント」と書かれているが、下で浴槽はつながっているのでどちらも同じ湯の色。
となると「あつめ」とはいえ、そんなに熱さは変わらないだろう。
と思っていると、浴室へ10人ほどの高校生くらいの学生が入って来た。
皆太めの体つき。相撲部といったところだろうか。
次々とカランを埋めていき、直ちに自分のカランスペースのすぐ側にまで相撲部に占拠されてしまった。
彼らが浴槽にみんな浸かったら湯がなくなってしまうぞ。
そんな危機感を覚えつつ、深い方の浴槽へ。

やはりさほど湯温は変わらず。
相撲部の動きを眺めていると、カランのボタンをくるくる回したりしている。
確かにここの押しボタンはひねるカランのような溝付きの形をしているのだ。
しかし何度も回している。銭湯に来たことがないのだろうか。

しゃべっている言葉も東北の訛りが激しく、おそらく東京に試合かなんかで来ている感じだ。
すると相撲部連中が皆一斉に湯に浸かりに来た。
そそくさと湯から上がる。
相撲部連中が次から次へと入っても浴槽の湯は溢れたりはしていない。
うまく浴槽の湯量は調整されているんだろう。ほっとした。

さて脱衣場では残り一本のフルーツ牛乳110円を頂く。
女湯境の壁の上にはテレビが設置されている。
ペンキ絵がないだけで、実用的な銭湯といった趣になってしまう気がした。
ただ湯に浸かりに来たんですよといった感じだ。
今日湯に浸かりに来た相撲部連中にぜひ立派な東京銭湯のペンキ絵を拝ませてやりたかった。
それだけで彼らの今後の人生に少なからず影響を与えたかもしれないのだ。

天狗湯という屋号に期待を膨らませていたが、現代にしっかりと息づく銭湯だった。
昭和の香りはかなり薄い。
今の時代は平成なのだ。無理もない。
コインパーキングまでの帰り道、たこ焼き屋が一件。
妙にそそられるものの、奥さんの待つ家への道を急ぐことにした。


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