2010年1月31日日曜日

150.渋谷区笹塚 栄湯

渋谷区の銭湯、栄湯を訪れた。

京王線笹塚駅、学生の頃笹塚で一人暮らしをしていたので少しは詳しいつもりだったが栄湯の存在は知らなかった。暮らしていたのは笹塚一丁目で、栄湯のある二丁目は甲州街道を挟んで反対側にあるためあまり来ることもなかった、という理由もある。

栄湯は笹塚小学校のすぐ側、住宅街の中程にあるマンション銭湯。
看板が夜の町にまぶしく光っている。







入口をくぐると下足入れ。左右に分かれているが中に入ってもまだ休憩スペース。その先に進むと脱衣場である。こちらの銭湯は番台。フロントのような入口の造りではあるが、何か思うところがあって番台形式にこだわったのかもしれない。

右手の男湯へ。
番台は低いもので目線より座っている女将さんの位置の方が低い。
間口がかなり狭く、表情を伺うのも一苦労。お若いようだがよく顔が認識できなかった。しかしながらはっきりとしたお声で、明るく接客されていることは確か。

脱衣場は天井低め。明るい照明のおかげで閉塞感はない。モダンな造りだなと思ってお手洗いに入ると和式。そのギャップは面白い。

パパっと服を脱ぎ浴室へ。
湯煙で視界が悪いものの、雰囲気は最高。島カランは一列で女湯境より、8-7□7-(□は島、-は通路)。奥の壁に3つ、手前の壁にシャワー無しのカランが2つ。合計20のカランである。奥に長細く広がる浴室である。湯客は5人程。土曜の夜11:30位だが学生と思われるお客が多いようである。
立ちシャワーは二基。こちらも一面丸タイル。シャワーブース自体も丸くなっていてその空間デザインは一見の価値がある。

カランを一つ確保し体をしっかりと洗う。
床のタイル、壁のタイルも500円玉サイズの丸タイル。床の丸タイルは水色でほのかに色も異なり美しい。壁の丸タイルは色が統一されていて紺色、白、そして所々に金色という構成だ。丸タイルは趣があって優しさもあるし見ていて飽きない。和のモダンを感じるタイルだ。

さて浴槽へ。
こちらの銭湯は外壁側に浴槽が並んでいる。広い浴槽が一つと深い薬湯層、そして極端に狭い水風呂だ。外壁より外にせり出す形でサウナ室も別料金で存在している。

まずは浅く広めの浴槽へ。
座ジェットが二基と、ミクロバイブラが設置されている。湯温は41℃程。
普通の銭湯の雰囲気ながらこちらの湯は立派な温泉と認められている。無色の湯なのでありがたみは薄いが、柔らかさも感じるし、温まりも良いような肌触りの湯だ。黒湯やにごった湯と違いインパクトがないためもあって、それほど大々的に温泉を売りにしている訳でもない。脱衣場に温泉証明書が掲げられているくらいである。

せめて暖簾や突き出し看板に温泉とでも書いてしまっていいような気もするが。

座ジェットは勢いが弱めながらも水枕完備でしっかりと冷えている。位置が低めで、座った位置で水枕に頭を当てようとすると背中に当たってしまう。特に私の体が大きいから、という訳ではない。

続いてミクロバイブラへ。
久々にこれぞミクロバイブラという感じを味わえる湯。
プチプチと肌にあたり、そしてしばらく肌に泡が名残惜しそうに張り付いている。マイルドな肌触りで音も感触も二度楽しめる快適な入浴感。

外壁の外は40cm程の奥行きで建物に沿う形で玉砂利が敷かれ、木が植えられていてちょっとした庭になっている。窓が激しく曇っている(もしくは汚れている)ので美しさを楽しむ訳にもいかないのが残念なところだが趣は十分に感じる。

続いて薬湯の浴槽へ。
あつめの湯であり、湯温を保つためにご協力をお願いしますと注意書きがある。
カランの当たりは岩になっていてどこかの温泉宿に来た心地だ。今日はワイン風呂。紫に薄く染まった湯でワインの香りは感じるか感じないかほどのささいな物だが心地は良い。熱めの湯と言っても43℃ほどで飛び上がる程熱い訳でもないので長く楽しめる。

十分に温まったところで水風呂でクールダウン。
すぐ側にサウナ室があるのでこれらの往復が楽しめる。本日は別料金を払ってないので浴槽と水風呂の往復を何度か実行してみる。水風呂の水温は18℃程。こちらも温泉のようだ。つまりは井戸水と言ったところだろうが非常に冷たく感じる。
一人のみ楽しめる広さなので長く入る訳にもいかず早めに出ることにする。

湯から上がると番台の一つ外、休憩スペースのソファで一休み。
休憩スペースにはテレビやマッサージチェア(二基)、それにぶら下がり健康機もある。車の通る音もなく、静かな空間でのんびりとほてった体を冷ますことが出来る。

丸タイルの渋い浴室の空間美、そして基本を抑えた設備と湯煙が充満する温泉旅館のような雰囲気、そして渋谷で楽しめる天然温泉の湯。これらが銭湯料金で利用できるというのは実に贅沢。次回はサウナも利用することにしよう。

2010年1月28日木曜日

149.大田区西糀谷 観音湯

仕事の帰り、大田区銭湯の観音湯を訪れた。

西糀谷という住所だが、糀谷駅の東側にあり、糀谷駅よりもむしろ近くには大鳥居駅がある。
今日は車で訪れたので銭湯近くのコインパーキングに駐車。

観音湯の側には建物に沿う形で駐車場があるが、銭湯マップには駐車場のマークはついていないしどうやら月極駐車場のようだ。

正面は破風屋根が若干見えるが、そのほとんどはモダンな塀に遮られている。
煙突は細いもので鉄骨に支えられて夜空に向かって伸びている。
突き出し看板が正面を覆う壁に付けられているが、バイブラやスチームサウナ等、設備が書かれている中に人間洗濯機とも書かれている。
人間椅子みたいで少し不気味な雰囲気。



入口には暖簾がなく、アーチ上になっている。そこを抜けると番台銭湯ならではの下足入れスペース。番台裏には観葉植物が置いてあり、左右におしどり錠の下足入れ。靴を預け右手の男湯の方へ、自動ドアから中に入る。





番台は脱衣場にせり出す形でなく、玄関側にせり出す形で設置されている。親父さんは色付きメガネをかけ、上品な感じでお静かながらもしっかりと接客をされている。銭湯全体に流れるモダンな雰囲気とよく合っている。

天井は高く二段式に端から30cmくらいの辺りから少しせり上がっている。
ぶら下がるつるに実がなるかのようにつり下げ式の照明が4つ、電球色で渋い色を放っている。それが男湯に一つ、女湯に一つある。

そうかと思えば外壁側にぶら下がり健康機、アナログ体重計はYAMATOのもので、やはりどこかしら本来のレトロな宮造り銭湯の雰囲気も醸し出している。

ロッカーを確保しパパッと服を脱ぐ。
脱衣場に食い込む形でサウナ室があり、窓まであって中がよく見える。脱衣場から見えてしまうのは少し恥ずかしくもある訳だが、サウナ室で何かあった場合には番台からよく見える訳だし安全対策の一つだろう。

浴室へ。
こちらも天井高く、二段式で水色に塗られた天井は清々しい気分にさせてくれる。時間は8時頃。湯客は5人ほどだ。

島カランは二列でありながら通路はゆったりしている。
女湯境より5-6□5-6□5-5(□は島、-は通路)。島のカランは向かい合って同じ位置にならないようずらして設置されている。カランすぐ上の入浴グッズを置く棚が向かい側と共有する形になっているのでずらして設置するのは重要と言えるだろう。
立ちシャワーは二基。

しっかり体を洗い浴槽へ。
3つの浴槽で構成されており、外壁側に円形、中央に広めの浅い浴槽(バイブラ、座ジェット)、女湯境側には深風呂で「あつめ」と書かれている。

まずは円形から。これがつまりは人間洗濯機だろう。体が洗われるほどには水流は回転していないのでまぁいわれればそうかなという程度。
それよりもこちらの背景である宇宙空間の惑星や、星雲などのサークル型に対してのこの浴槽の形、といった方がしっくりと来る。

宇宙空間はランダムチップタイルで、女湯側には赤く大きな惑星、火星か太陽か、そして女湯境部分に土星。男湯側には星雲が二つあって、その間に赤いガスの光。今まさに新星が誕生しようとしている瞬間かと思われる。

湯はぬるめで41℃ほど。
続いてバイブラ浴槽へ。こちらも湯温は変わらず。柔らかくいい湯である。ぬるめなのは少し物足りない所だが、深風呂はあつめの設定のようなので問題はないだろう。
バイブラ側に緑の赤外線ライトが一基、座ジェット側に赤い赤外線ライトが設置されている。

同じ浴槽には座ジェットも二基ある。
勢いはさほどではないものの快適。温まった所でしばしカランの水でクールダウン。

続いて深風呂へ。熱めの設定だが42℃ほど。深風呂にはガリウム石がある。つまり石和田章三教授のガリウム石だ。檻があり、なかにガリウム石。そこに湯があたり浴槽に流れ込んで来ている。

続いてサウナ室に入る。
無料だけに利用されるお客が多い。その理由はまさに快適だからだ。スチームサウナで中は高い湿度が保たれている。温度は50℃となっており、砂時計は3つ。3人も入ると一杯となってしまう狭さではあるが、無料でありながら居心地の良いサウナだ。テレビや音楽はないが脱衣場を見晴らせるので退屈しのぎにはなる。サウナ室は照明も落とされ、暗いイメージがあるものだが、こちらはその脱衣場から射し込む光のおかげで非常に明るい。

しっかりと温まった所で水シャワーを浴びてクールダウン。何度かこれを繰り返したい所だが、サウナ利用者も多いという事で浴槽巡りを楽しむ事にする。

しばらくして湯から上がる。
宮造り銭湯は影を潜め、モダンな塀に覆われてしまっている銭湯だが中に入ればモダンと和風の中域に位置するような雰囲気で調和が保たれている。
番台とモダン、というのはあまり結びつかないような気もするがこちらの銭湯ではそれが不思議としっくりくるのである。

サウナ無料もいいし、宇宙のタイル画も楽しめる。円形浴槽やガリウム石、どれをとってもエンターテイメント性は充分。何度も訪れたい銭湯である。


大きな地図で見る

2010年1月24日日曜日

148.大田区中央 朝日湯

大田区の銭湯、朝日湯へ。
朝日湯は銭湯マップの大田区ページに二件記載されているが、そのうちの大田区千鳥町にある朝日湯はすでに廃業している。最初、間違えてこちらに向かってしまったが、該当する住所には真新しいマンションがある。住まう人が増えても銭湯がなくなってしまえばそこは私にとって寂しい街並となってしまう。

気を取り直し大田区中央にある朝日湯を目指す。
最寄り駅はどこになるだろうか。東海道本線の大森と蒲田のちょうど中央に位置している。車で訪れたが路地は狭くたどり着くのも一苦労。両手を広げた位の幅しかない路地裏が多くある地域である。

朝日湯の場合、すぐ裏手にコインパーキングがある。
車を駐車し、銭湯があると思われる方を向くと夜空に煙突が伸びている。



路地裏を歩いていくと煙突の根元からその全貌を仰ぎ見る事ができる。



銭湯裏が住宅になっていて、昭和の香りを感じる事ができる建築。
住宅密集地にある銭湯だが、それらの住宅は近代的なデザインの建築が多くなっており、こちらの銭湯の昭和の趣が少し鄙びた感を醸し出している。



切妻屋根で朝日湯の屋号が記されている。湯の音や湯客の話し声等は一切漏れ聴こえてこない。近くに来るまでは営業しているのかどうかも疑わしかった。



花王の銭湯浪漫暖簾。東京でよく見る暖簾よりもタレがやや長いと言える。
潜ると右手も左手も下足入れが側面に並ぶタイプでなく4mほど下足入れが手前側に並んでいる。カナリア錠で42番目の木札が抜き取られ、その他は1〜15あたりまではほとんど木札がない状態。42はひょっとしたら気を利かせて初めから抜いてしまっているのかもしれない。

番台裏のスペースには傘入れ。
こちらはTOKYOと書かれた錠前。



扉の向こう側では番台とお客の会話が聴こえてくる。
自動ドアと手書きの貼り紙が貼られた扉を抜け、番台にお座りになっている女将さんに湯賃をお渡し。お客との会話は楽しそうに続けられている。いろいろな銭湯を巡るのも楽しいが、常連客となって番頭さんと会話を楽しむのも憧れるものだ。早くそういった温もりを感じる銭湯に出会い、そこを定住の地としたい。

天井はさすがに高い。一面白い天井だ。女湯境の浴室側壁の上には柱時計が時を刻み、アナログの体重計もある(HOKUTOW)。こちらは残念ながら故障中の貼り紙。
外壁側には引戸から縁側に出る事ができる。厠は和式で清潔。田舎に帰った気分である。
庭は広く、建物から幅3mほどの空間をとりつつ、沿った形で植物等が植えられている。狭いながらも池がある。鯉等は見受けられないが暗いので正確な事はわからない。

さてロッカーへ。
島ロッカーが二つ。パパッと服を脱ぎ浴室へ。
こちらも当然天井が高い。二段式でペンキが剥げ落ちている部分が目立つ。青いペンキだが剥げている部分が多いと、つい塗り立ての頃の情景を自然と思い浮かべてしまう。

島カランは一列で女湯境側より7-4□4-5(□は島、-は通路)。立ちシャワーは一基ある。
湯客はお一人で、女湯側からは湯の音や桶の音も聴こえてこない。土曜の夜にしてはやや寂しいが、これが番台銭湯の現実かもしれない。
床のタイルが台形を四つ組み合わせたもので、それらが手裏剣のような模様を作り出している。全体的に古さは否めないが清潔。ペンキの剥げ落ち度と清潔さは必ずしも比例しない。
窓は閉まっているのだけれどすきま風が多いのか、浴室は寒さが厳しい。湯煙も少ないので早く湯船に浸かりたいところ。

しかしながら体をしっかりと洗い、湯へのたぎる思いをもったいぶるように心に押し込めてひたすら耐える。

さて浴槽へ。
こちらは深浅二浴槽型。
どちらも薬湯となっており、「ジッコウの湯」とヘルスケミカルの掲示がある。
まず広い方から。
外壁側に位置しており二穴ジェットが二カ所から噴出している。三カ所あるがうち一つは故障中。二カ所ある赤外線ライトはどちらも消灯。
湯温は43℃ほどでさすがにジッコウの湯は心地よい。香はほのかで色はうすめ。肌触りは若干固く感じるがジッコウのおかげでマイルド感はある。

続いて深い方へ。
こちらも湯温は変わらず。途中浅い浴槽で水を埋めるお客がいらっしゃった為、深い浴槽もつられて湯温が下がっている。こちらはバイブラもありボコボコと景気の良い状態。
背景を見るとペンキ絵があるが、天井に負けず劣らず激しく剥げ落ちている。早川氏の富士川で、女湯境にはぶち抜きの富士。
「平成十五年 三月十二日」と記載されている。ちなみにこの日付は私の誕生日である。誰にもこの喜びは伝わらないが、一人静かに人生における物事の連鎖を噛み締める。

湯から上がり、しばしクールダウン。
女将さんは女湯側の常連さんと番台を降りてじっくりお話しになられている。
時間は23:30頃。24時までの営業なのでまもなく店仕舞だ。
先ほどと同じように路地裏を抜けてコインパーキングを目指す。来るまでの冷えきった体、心にぽっかりと何か穴の空いた寂しい感じはどこへやら、火照った体と充実した気持ちに満たされて帰宅する事ができた。
鄙びてはいるが昭和の陰と陽、いい意味でわびしさを感じる事ができる銭湯。そういえば脱衣場にはぶら下がり健康機もあった。近くに住んだら毎日のように顔を出したい、そんな銭湯である。


大きな地図で見る

2010年1月22日金曜日

147.大田区矢口 富久湯

大田区の銭湯、富久湯(ふくゆ)を訪れた。

一週間の仕事の疲れを癒す為に、車で多摩堤通りを南下して下丸子駅を過ぎ、矢口渡駅あたりに向かう。富久湯には駐車場はないようだが、目の前に月極駐車場があり、その一角の3台分がコインパーキングになっている。



富久湯はマンション銭湯。グレイス多摩川というマンションの一階部分だが、入口が通りに面しておらず地味な印象。看板が一つ、「ふれあい銭湯」の文字を人通りの少ない通りに向けて照らし出している。あまりふれあいというのを前面に押し出されると、こちらとしては中に入りづらくなってしまう所だが気にせず入る。





下足入れはSAKURA-Gの錠前。
靴を預け、引戸から中に入る。すぐにフロントがあり女将さんが静かにお座りになっている。前は休憩所になっていてソファスペース。6人ほどが座れるがテレビを見ようと思ったら場所は限られ二人分くらいしかない。
女将さんに湯賃をお支払いしようとするがぴくりとも動かず静かにしている。しばらくすみませんと声をかけ続けるものの動かない。どうやら居眠りをされているようだ。

おばあさん、と声をかけるとようやっと気づいて頂けた。
湯賃をお支払いし右手の男湯へ。その際、ロッカーキーを一つ受け取る。今日は奥さんも一緒だが男性のみこういった形式のようだ。

脱衣場はビル銭湯だけに天井低め。
外壁側になぜかベッド。それと家庭用の平型体重計がある。ベッドは高さが少しあるのでマッサージを施す為にあるのかもしれない。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
こちらはやや少し天井が高い。1.3階分といったところか。防水の天井材は新しくピカピカと輝いている。その他床のタイルや壁等、全体的にきれいで心地よい。設置されている鏡は横に長く、島カランの鏡は長さが2m以上もある。もし割れてしまった場合は費用が高くついてしまうだろうが開放感があり、天井が低くてもそれを補って余りある演出になっている。

島カランは一列で女湯側から5-4□4-5(□は島、-は通路)。
立ちシャワーは一基。
湯客はお一人。金曜の夜、10時にしては少し寂しいだろうか。しかしそのおかげでカランを難なく確保し、しっかりと洗う。

浴槽は奥の壁に浅く広い浴槽と深い浴槽の二つ。サウナ室は外壁の脱衣場寄りに設置されている。
まずは広い外壁側にある浴槽から。3穴ジェットが二基あり、勢いはやや強め。しかし背もたれ等なくただの垂直な浴槽壁面なので座り心地はいまいち。首を預ける縁も少ししかなく落ち着いて座っていられない。しかし広い浴槽なのでジェットがある場所でなく、それ以外の所で寝湯を楽しむ。湯温は42℃ほど。快適な湯である。湯に薪で湯を沸かしたのか香が感じられる。

続いて深風呂へ。
こちらも湯温は変わらない。ボコボコと泡が噴出している。こちらで極楽気分を味わいながら背景等を仰ぎ見る。しかしながらこちらには背景はなし。色味の違う赤レンガ風の奥の壁。所々靴底のようなレンガをはめ込み、象形的な模様としている。
女湯境の天井近くには半円の大きな台があり、その上にはガス灯をイメージしたとも言える照明が一つ。しかし灯りは点いていない。

奥の壁とその照明に限って言えば、渋谷の第二かねき湯を思い起こさせてくれる。
銭湯巡りを繰り返す事で、こういった記憶の中の連鎖が起こる回数も増えてくる。

立ちシャワーでクールダウンした後、サウナ室へ。こちらのサウナはさすがに大田区銭湯、無料である。90℃と温度計が示しているサウナ室は二段の座面があるが、タオルが敷かれている訳でないので熱く腰掛ける事ができない。扉の側で立ち、ひたすら高温と戦ってみるが、こうしていると他の利用者も入りづらいだろうからやめて出る事にする。

湯客は5人ほど。皆一人でいらっしゃっているようでそれぞれが最適な間隔を開けてカランを確保し、お互いに干渉しないように体を洗ったりしている。途中、釜場への扉から旦那さんと思しきお方と、そのお子さんかと思われる方が出て来て体を洗い、湯船にも入らずまた釜場へと戻っていった。居眠りをしていた女将さんの家族だろうか。

湯から上がりフロント前で奥さんを待つ。
フロントは黒斑メガネの若いお兄さんに変わっている。接客は若いのに明るく丁寧。これだけでこの銭湯の良さが全てわかってしまうものである。
奥さんが出て来て話を聞くと、10時からの一時間、湯客は自分のみだったとの事。また、女湯には体重計があり、籠が載せられていたそうだ。


女湯の体重計


女湯のロデオボーイ


誰もいない女湯

そしてロッカーの半分ほどには鍵を持ち帰らないで下さいと書かれているものの、既に鍵は持っていかれてしまっているらしい。もしくは鍵を外して裏で確保しているのかもしれないが、本当の所はどうかわからない。


女湯の鍵なしロッカー

大田区の富久湯、小さいながらも近くにあれば通いたくなる温かみのある銭湯だ。銭湯はただ体を洗い、湯船に浸かれればいいというものではない。女将さんしかり、息子さんしかり、湯を取り巻く人々の温かさも伝わって初めていい湯だったなと感じる事ができるのである。
そういった意味では最高の銭湯ではないだろうか。
奥さんの評価もかなり高いようである。

屋号は富久湯ながらもマンションの名前はグレイス多摩川。そのギャップを不思議に思いつつも家路へとつく。


大きな地図で見る

2010年1月19日火曜日

146.中野区南台 平和浴泉

中野区の南側に位置する銭湯、平和浴泉を訪れた。

サミットの近くにコインパーキングがあり、車を駐車して歩く。区立南中野中学校というのがありぐるっとまわって銭湯を目指す。時間は21時過ぎ、この辺りはひっそりとしている住宅街だ。ミニバイクが後ろから近づいてくると少し緊張してしまう。

川が学校の側を流れている。この川は神田川。中野にも神田川があるのだ。銭湯といえば昔から神田川。何となく覚えているそのフレーズを口ずさみながら平和浴泉を目指す。

曲がりくねっている道を進み、商店街と思しき街並をひたすら進む。
平和浴泉は表向きは宮造り銭湯でなく、一軒家のようである。



入口をくぐるとSAKURA-Gの下足入れ。118ある。
プラスチックの札を手に取り自動ドアから中へ。
そこはフロントスペースで、ロビーにはソファが置かれており、テレビや雑誌なども見える。フロントは番台を裏にしたような位置に置かれ、脱衣場から用を聞く小窓がある。

フロントには女将さん。丁寧で明るい、さらには親しみ深い接客。常連さんのお母さんがお二人、女将さんより包み紙を受け取っている。何かのお土産だろうか。
湯賃をお渡しし、私が右手に進もうとすると「そっちは女湯ですよ」と女将さんに笑顔で注意される。そして常連さんお二人が大声で笑ってくれる。一気に場は和やかになる。

湯賃は確か420円だった。今日は奥さんも一緒なので二人で840円。都で決められている湯賃よりお安く設定していただいているようだ。ありがたい。

左手の男湯に入ると天井高く、格天井ではないが大型の天井扇がぶらさがっている。
体重計はデジタルで「エーアンドディ」の腰の高さまでのもの。

洗濯機やマッサージチェアなど、定番のアイテムもあり、全体的に昭和の匂いがぷんぷんと漂っている。格式の高さは感じないが、そのおかげで居心地のよさを生んでいる。

パパっと服を脱ぎ浴室へ。
浴室への扉にはいくつか注意書きがある。中に入っても奥の壁に注意書きが目につく。特に気になったのは「お尻を流してから浴槽に入ってください」との文字。しかも筆書きでやけに達筆。確かにお尻は流すべきだが、改めて書かれると笑ってしまう。
他にも「軽石を浴槽に入れないでください」や「イス・オケを浴槽に入れないでください」などなど。直接注意すると気まずくなるので張り紙をするのだろうけど、これだけいくつもあるとこちらの銭湯に訪れるお客の個性の強さを感じずにはいられない。

島カランは二列。外壁側は立ちシャワー二基、それにサウナ室があるだけ。その前は通路になっている。カランは外壁側から0-0-5-6-6-7。湯客は5人程。皆さん静かに湯を楽しんでいる。

浴室内には湯煙がほとんどなく、温度も低い。おまけにシャワーがぬるく、湯船に入るまでは寒くて仕方がなかった。そうはいってもしっかり体を洗い、浴槽へ。
こちらは二槽式である。広い浴槽にはバイブラ、赤外線ライト、座風呂、それに狭く深い浴槽
があるのみだ。シンプルな銭湯である。

サウナが無料であるが、掘建て小屋のようにとってつけたようなサウナ室。本当に機能しているのかどうか、入るのにしばし悩んでしまう。

まずは広い浴槽から。湯温は41℃程。柔らかく心地の良い湯だ。バイブラは控えめな程度であまりありがたみはない。赤外線ライトは二基あるので効いているのかどうかわからないが体をつけてしばし目を閉じる。

目を閉じて耳を澄ますとどこからかBGMが聞こえてくる。クラシックでなく、演歌でなく、何かの歌謡曲という訳でもないような音楽。かすかに聞こえてくるが近隣の建物からでなく、確かに浴室の中に流れている音楽のようだ。

こちらの広い浴槽には水枕があるのだが、これが5mにも及ぶ長さ。しかも適度に冷たい。残念ながら高さがありすぎるので首の座り心地はよくないが、長さだけでも一見の価値がある。座風呂にもつながっているので座風呂で水枕を試してみるが、こちらのほうが高さは合っているだろう。それでも少し高いように感じるが。

一旦シャワーでクールダウン。しかしまだまだ体は温まっていない。続いて深風呂へ。
浴槽の中で広い浴槽とつながっているので湯温はさほど変わらず42℃程。

こちらから背景を仰ぎ見るが、残念なことに真っ白な壁である。
過去には描かれたこともあっただろうが今は純白だ。背景はなくても浴室の壁には数カ所、お花のタイルが使われているので、それを見たりして時間を過ごす。
それと浴槽のタイルは古くひなびているが趣がある。湯によって鉄の色に変色しているのだ。飴色というか銅色と言っていいのか、もとのタイルの色からは想像できない程に変色してしまっている。井戸の鉄分に反応しているのだろうか。その深い色のおかげで湯にも威厳があるようだ。

天井は高く二段式。湯煙もないので広い空間がひたすら広がっている。

続いてサウナ室へ。
こちらは超低温サウナだ。赤外線と書いてあるが、夏の東京にいるよりもぬるい。
10分ほどいてもさほど汗をかかない。無料なのはいいが、二人入るのが精一杯のサウナだし、浴槽で手足を伸ばしてのんびり温まる方が数倍楽しめるように感じた。

湯から上がると休憩所で牛乳(110円)を頂く。
テレビの上に称名滝(富山県)のポスター。こちらの経営者の方は富山出身だろうか。銭湯経営者には富山の方が多いと聞くが、称名滝のポスターがあるからといって富山出身と結びつけるのはやや短絡か。

奥さんがあがって来たので女湯側の様子を聞くとマッサージチェアが4つあったとのこと。横になって使うマッサージ機もあるそうだ。見てみたいものだがそうもいかず。休憩所にもマッサージチェアが二基、こちらの銭湯はマッサージに力を入れているのかもしれない。

女将さんのおやすみなさいというお声とともに店を出る。そんな一瞬に平和を感じずにはいられない銭湯であった。


2010年1月17日日曜日

145.新宿区新宿 金沢浴場

昼は学芸大学の千代の湯で湯フェスを楽しみ、夜は新宿銭湯「金沢浴場」を訪れた。

高層マンションがいくつか建ち並ぶ脇を抜け、住宅街地域の中に金沢浴場はひっそりとたたずんでいる。

金沢浴場という看板が高い位置にあり、電気が点いている。





こちらの銭湯は上がマンションになっている。
下足入れは79あり、カナリアのもの。いくつか新しいものに付け替えられている。

中に入ると正面にフロントスペース。休憩所はその向かいに3人程が座れるソファと、テレビに雑誌や漫画が何冊か置かれている。こじんまりとしているが過ごしやすそうだ。
フロントのお兄さんに湯賃をお渡しする。男湯のみフロントでロッカーキーを受け取る形式だ。適度に明るく丁寧な接客。気分も自然と良くなる。

右手が男湯。
脱衣場は天井低く、体重計はアナログでKEIHOKUのもの。
その他洗濯機はよく見る昭和を感じるコイン洗濯機だが、全体的には平均的マンション銭湯といった感じだ。

パパっと服を脱ぎ浴室へ。
こちらはマンション銭湯ながら天井が高く、一気に開放感を増す。太い円柱が脱衣場と浴室の間に据えられ、濃いめの湯煙の中に重厚感を醸し出している。

島カランは一列で女湯側より5-3-3-3。立ちシャワーは一基。入った時点では湯客は0人であったが、その後5人程になった。

両外側のカランはそれぞれ仕切りが付いたゆったりめのカラン。シャワーはややぬるめだが、カランは適温。体をしっかりと洗い浴槽に向かう。

三槽式で、外壁側にプラスチックの竹で組まれた囲いの浴槽、中央部分にバイブラ、女湯寄りには座風呂がある。

まずは座風呂から。こちらには高温風呂とも書かれているが、湯温は42℃程。足を伸ばすとへりにつっかえてしまう程なのでやや狭く感じるが、問題とする程ではない。

浴室内は湯煙が非常に濃く天井もはっきり見えないほど。天井は山型になっている。

続いてバイブラへ。泡の量はそれほどでもなく、細かさもないが湯は心地よい。こちらの浴槽にはバイブラの他に浴槽床に凹凸があり、足の裏に適度な刺激を与えることが出来る。背景はランダムチップタイルで虹に囲まれたモスク。背の高いアラビアの石造りの建築物などなど。端の方には欧州の湖畔のヨットや民家等々。大田区の太陽泉で見た絵だ。

続いて個室の中へ。
ミストが噴出されるようだが機能はしていない模様。湯煙が濃いのでマイナスイオンはもともと充満しているので不満はない。湯温はぬるめで41℃程。長湯が楽しめる。水枕もあるがやや冷えた程度。浴槽の中に設置されたライトが水面に光を映し、黒い石壁と竹の壁に囲まれ雰囲気も上質だ。

湯から上がり休憩所で一休み。
ドリンクケースも充実しており、ビールも250円で販売している。
不定期でお休みを取られる銭湯で、以前来た時はお休みだった。あまりやる気のない銭湯なのかなとたかをくくっていたが、実際に訪れてみると発見もいろいろあるものだ。
また近くに来た時は訪れてみたいと思う。

--.目黒区鷹番 千代の湯

学芸大学の千代の湯が改装され、営業を開始するにあたり「湯フェス」が開催された(1/16)。



背景は丸山清人氏と中島盛夫氏が描くのをライブで見ることが出来、他には沖縄カフェの出店や、フラダンスが見られるとのこと。

司会は町田忍さんが担当、時折銭湯のうんちくも織り交ぜつつ、進行されていた。





男湯は中島氏で赤富士、女湯は丸山氏で青い空に富士を描いている。





どちらにも水が書かれておらず、さらにどちらも富士ということで少し不思議な感じがした。
丸山氏の岩や松の木を緻密な筆致で描く様を生で見られるかと思ったけど、モチーフが決まってしまっている時点で仕方がないかもしれない。

17時ほどに退散したが、また近いうちに訪れて完成版を楽しみながら湯につかりたいと思う。


大きな地図で見る

2010年1月16日土曜日

144.杉並区永福 湯あみランド永福

杉並区銭湯、湯あみランド永福を訪れた。

こちらの銭湯は井の頭通りから少し入った所にある。永福町駅からは歩いて一分、近くにコインパーキングもいくつかある。



煙突はコンクリートむき出しのもの。一見、電柱のようである。通りより眼前にその迫力ある姿を仰ぎ見る事ができる。



煙突の側を歩き、正面入口へと回り込む。
すると看板が夜の街に煌々と輝いている。



窓ガラスには「浴場閉店のお知らせ」が貼り出されている。そう、こちらの銭湯は1月15日、つまり今日をもち廃業なのである。理由としては従業員の高齢化、設備の老朽化があげられている。



設備が入口横に書かれている。露天にミスト風呂、設備が非常に充実している。廃業してしまうような銭湯ではないように見えるが、経営者にしかわからない事情というものがあるのだろう。



入口からしてモダン。円柱もあり、さながら宮殿のようである。湯あみランド、という言い方からして銭湯のくくりでは語れないような、そんな雰囲気を感じる。

入口は開け放たれており、すぐに松竹錠の下足入れ。
靴を預け、左手の自動ドアから中へ。
広めの休憩所にはソファと丸いすがあり、10人は座れそうである。テレビもあるがアナログ。壁は鏡張りとガラスが基本で、少し落ち着かない。通りを歩く人々の表情もよく見えるし、逆によく見られもする。

フロントの親父さんは浮かない表情。いらっしゃいのお声も頂けないが、湯賃をお渡しし、右手の男湯へ。
廃業当日ともなるとこちらの想像もつかないような想いがこみ上げているだろう。接客を求めるのは間違いであるかもしれない。

脱衣場は混み合っている。こちらもモダンな作りだが、天井は高く、改装される前の浴場の姿はどんなだっただろう。今となっては知る由もないが想像を駆け巡らせるだけで楽しむ事ができる。

体重計は腰までの高さのデジタルでKUBOTAのもの。
和風を感じるものはないが、縁側があり、でると庭と池がある。鯉などは泳いでいないし、木も中途よりスパっと切り落とされているのが少々物悲しい。庭の横には一段高くなって露天風呂がある。浴槽の中に設置されている照明が湯の中から美しく光を放っている。

最終日だけに次々と湯客が入ってくる。
20代から50代くらいまでと幅は広い。お子さんをお連れのパパもいらっしゃる。
外壁側のロッカーを確保する。ロッカーの上側は窓になっており向こう側はカランスペース。その壁はランダムチップタイルで天使が描かれている。どこのランダムチップタイルで描かれた絵よりも芸術的な描写である。天使は黒と灰色と白を使い描かれている。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
中もまたモダン。女湯境がサウナ室になっていて、そこ全体が女湯側を含めて円柱のようになっている。サウナ室の入口の向かいに水風呂、サウナ室の外側にカランがぐるっと並び、奥の壁もカラン、浴槽群は外壁側に配置され、脱衣場の外壁側裏にカランが並んでいる所を抜けると、露天に出る事ができる。他で出会う事ができないような特徴的な銭湯である。

混んでいるとはいえカランも多く、訳なく確保する事ができた。湯客は10人以上。サウナ室を利用されているお方が多く、端で床に座り込み火照った体を冷ましている。浴槽の縁に座っているお方もいる。

体をしっかりと洗い浴槽へ。
広めの浴槽が一つ、そして個室があり森林浴風呂(ミスト風呂)だ、そして露天と水風呂の構成である。
まずは広い浴槽から。こちらにはミクロバイブラがあるが、残念ながら停止状態。湯温は41℃ほど。湯客はみなさん女湯境の壁を見ている。こちらの銭湯にはテレビが境の壁上に設置されているのである。ご丁寧な事に外部スピーカーまで設置してあり、音もよく聴こえる。

広い浴槽には座ジェットもある。水枕もあるが少し高い位置過ぎる。背の高いお方か、座高の高い方にはちょうどいいかもしれない。

続いて森林浴へ。
個室に入ると二人が入れるほどの浴槽があり、天井からはミストが終始降り注いでいる。特にフィトンチッドの香、というものはないがマイナスイオンをたっぷり浴びながらぬるめの湯に浸かるのは至極快適である。

続いて露天の岩風呂へ。
湯温は42℃ほど。天井はほとんど屋根で覆われているが外気も入ってくる。浴槽内の灯りが渋く温泉旅館に来ているような雰囲気がある。本日限りというのはもったいない限りだ。

湯から上がり、ロビーで一休み。ドリンクケースにはほとんど在庫もなく、相変わらずご主人は沈み込んでいる。お客がいらっしゃるたびに「お疲れさま」や、「とうとう最後だな」などと声をかけているがご主人は基本的に無口である。花束をお渡ししているお客さんもいらっしゃった。

駅前の良質銭湯、浴室のタイルが剥げ落ちて来ている部分もあったが、全体的にはモダンでまだまだいけそうな銭湯であった。こちらより鄙びた銭湯はたくさんある。それでもしっかり営業されているのであるが、湯あみランド永福はやんごとなき事情があり本日で廃業である。それは受け止めざるを得ない事実である。

通りを歩くと湯の香、シャンプーや石けんの香が街に漂っている。この香もこの街から消える事になる。そんな些細な日常の幸せが、どれだけ大切なことであったかに人々が気づく時、既に湯あみランド永福は存在しない。手遅れなのである。

2010年1月10日日曜日

143.豊島区上池袋 ゆラックス

池袋東口を出て明治通りをひたすら北へ。
首都高の下を過ぎ、堀之内橋を過ぎる。先に稲荷湯を下見。今の時間は15時なのでまだ開店になっていない。15時40分が開店時間である。マンション銭湯。近いうちにまた訪れるとしよう。





方向転換し、今日は豊島区銭湯のゆラックスを目指す。
天気もよく清々しい連休だ。夜になると寒さも厳しくなるが、午後は暖かく過ごしやすい。



距離が違うが、奥の大きな煙突は清掃局のもの。



ゆラックスの入口はどこかと探すが、コンビニ(というか売店)になっている。

日曜日は15時から営業しているというゆラックス(HPはこちら。JPドメインまでしっかり取得されている…しかし料金が400円と記載されていたり430円と書かれていたりするので更新はしていないようだ)創業50年ということで歴史が積み重ねられて来た結果、現在はマンション銭湯として営業されている。



レジにて銭湯に入る事を告げ、ロッカーキーを受け取る。女将さん、と呼べない雰囲気ではあるがつまりはそういうことなのだろう。
奥に下足入れがあり靴を預け木札を取る。
男湯は右手で脱衣場に入ると天井は低いが光が射し込み開放感がある。ロッカーは工場にあるようなネズミ色のロッカー。趣は感じないが実用的だ。体重計は腰までの高さのデジタル。KUBOTAのものだ。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
こちらもマンション銭湯だけに天井は低め。しかしながら全体的に清潔で明るいので閉塞感はない。天井の色も明るいグリーンできれいだ。

カランは島カランが一列。女湯境より7-5-5-2。立ちシャワーは一基。
湯客は10人ほど。お爺さまから若者まで幅広い構成だ。カランを確保し体をしっかりと洗う。

浴槽は3つ。外壁側から奥の壁にL字につながっている。脱衣場寄りにサウナ室があり、その目の前に水風呂。それから薬湯槽、奥の壁には広めの浴槽が広がる。
まずはこの主浴槽から。

ボディジェットとローリングバスという設備がありその部分は深くなっている。湯温は41℃ほど。少し塩素の匂いが漂う。ボディジェットはつまりジェット風呂なんだけど少し狭くなっていて威力も強め。快適である。
隣のローリングバスはつまりやや寝る形の座ジェットなんだけど、そんなにジェットは出ていない。横になる、という意味でローリングなのだろうか。水枕完備でしっかりと冷えている。

続いて電気風呂へ。こちらも主浴槽につながっているがくぼみの部分にL字型に配置された電極。これがまた非常に威力が弱い。ぴったりと電極に近づいても平気なほどだ。物足りなさも感じるお客はいるのではないかと思うが、そこまで電気に強くない自分としてはまあちょうどいいかもしれない。

続いて薬湯槽へ。
こちらはみかんの湯となっている。香りはほとんどなく、柔らかさは少し感じる程度。泡がボコボコと吹き出す中、しばし湯を楽しむ。湯温はやはり41℃ほど。二人入ると狭さを感じるほどの浴槽である。この浴槽のあたりの床は薬湯のせいで変色している。

火照った体を水風呂でクールダウン。水温は20℃ほど。こちらは広めで3,4人は同時に利用できそうだ。サウナを使われている方も何人かいらっしゃるが、そういえばレジで90分までのご利用です、といわれたのでのんびりサウナを何時間もかけて利用するのを避けているのかもしれない。それだけ居心地のよいサウナなのかもしれない。今度訪れた時は利用することにしよう。

背景はチップタイルでヨーロッパ湖畔の民家や教会。
ゆラックスという屋号からして富士山だったりするよりもこちらの方が合っているだろう。
湯から上がり帰宅する事にする。

湯客も多く、設備も整い売店も同時に利用できる実用的な銭湯。
趣はないが地元には愛されているように感じた銭湯だ。


大きな地図で見る

--.世田谷区用賀 栄湯

三連休の初日、用賀の栄湯に再び訪れた。

以前来たときは26湯達成時だった。浴室が少々カビ臭いイメージと、背景が夕焼けという事もあり、建物の迫力に感動したのとは裏腹にあまり良いイメージは抱かなかったが…今日はどうだろう。

訪れた時間は19時頃。
脱衣場は折上げ式の格天井だが白い紙が貼られておりしかも所々剥がれてきている。
パパッと服を脱ぎ浴室へ。

湯客は10人ほど。小さなお子さんをお連れのパパもいらっしゃり、賑やかな様子。
お子さんは楽しそうにしているが、浴室全体に湯の流れる音が響き、湯煙も濃いめに充満し雰囲気は良い。湯音は広い浴槽にある丸い噴出口から湧きだしている湯から出ている。

体をしっかりと洗う。
島カランの一つを確保。端に座った前回よりも居心地は良い。

浴槽は3つ。広い中央の主浴槽と女湯境側に深風呂、外壁側にはやや狭めの薬湯槽。
薬湯に入る事にする。
特に記載はないが本日は漢方系の薬湯である。
宝寿湯などと呼ばれるものだろう。香りもいいが体に良くなじむ湯で肌触りが良い。ぬるめの湯温もいいし、長湯を楽しむ。浴槽が狭く二人も入ると狭く感じるくらいなので、入りたそうなお客がいらっしゃったら早めに出るのがいいだろう。

続いて広い浴槽へ。
こちらにはジェットが壁から噴出している部分があるが、幅が広めで同時にニ穴浴びるのは難しい。それぞれは独立して背中に当てるものかもしれない。
先ほども書いたが浴室全体に響く湯温はこの広い浴槽にある噴出口のものだ。見た目にも楽しめるし、音もいい。時折噴出しなくなる時があるがおそらく浴槽の湯の量が減ると出たりするのだろう。

背景は夕景の海。夕焼けは【沈む】ということで銭湯としてはタブーの部類に入る背景なのだろうけど、そこがこの銭湯の挑戦的な姿勢と受け取れる。何も考えていなかったのかもしれないが。

続いて深湯へ。
こちらはやや湯温も熱く感じるが42℃ほど。
体もよく温まった所で湯から出る。
脱衣場で一休みしていると、端のソファスペースで喫煙をしているお客がいらっしゃる。窓も開いていないので煙が脱衣場に広がる。
テーブルには灰皿もあるので喫煙を許しているのだろうが、湯上がりに煙を浴びて喜ぶお客が一体何人入るだろうか。著しく不快な気分になってしまった。

こちらとしてはやめてくれという立場にもないので早めに退散。
公衆浴場は禁煙、という決まりが東京銭湯にはあるはずなのだけれどやはり世の中には愛煙者も当然いるわけで、ルールとして決めるには限界があるのかも。

それを除いては夕焼け、唐破風屋根の表向きの荘厳さ、浴槽の広さに薬湯も楽しめるし素晴らしい銭湯である。慌てて出たので体も火照ったままで汗も次から次へと吹き出してくる中、風邪を引かないように家路へと急いだ。


大きな地図で見る

2010年1月3日日曜日

142.練馬区桜台 久松湯

2010年、一つ目の銭湯は練馬区銭湯久松湯(久松湯のHPは>>>こちら)。

1月2日に練馬区銭湯に訪れると粗品を頂けるとの知らせが浴場組合のHPに掲載されていたが、何が貰えるんだろう。

久松湯の駐車場は入口の裏手に5台ある。屋根付きである。
駐車場からは迫力ある煙突の姿が拝める。



駐車場から玄関には行く事ができないようなので一旦道路に出て、正面へ。




コインランドリーがあり、久松湯の看板がある。


みどり湯と同じ経営者という事だが、こちらの看板を見ると共通した雰囲気はある。
看板手前の細い路地を入って玄関へ。



下足入れに靴を預けるが、空きがほとんどない。
新年早々、湯客が集中し混雑しているようである。

中に入るとフロントスペース。
テレビがあり、6人ほどが休める休憩所。漫画や小説、1010も置かれている。

湯賃をお渡しし、粗品を頂くがゴミ袋(45L)であった。どこでも買えるものなのでやや気を落とす。やはりタオルや石けんの方が嬉しいものだ。

右手の男湯へ。
脱衣場は天井高く、折上げ式の格天井、なのだけど新しいものなので昭和の香りを感じることは残念ながらできない。全体的にきれいな銭湯である。体重計はデジタルのもの。小さいながらも庭がある。

脱衣場は大変な混雑ぶり。
2日の11時頃という事であるが正月しかやっていない朝湯なので地元客が大勢利用されているようである。

ぱぱっと服を脱ぎ浴室へ。
こちらも混雑している。6-5-5-2-5と23あるカランのうち、空いていると思われるカランは一つだけであった。何とか体を洗う事ができたが、終始隣に墨の入ったお方がお座りになられており緊張してしまった。

天井は高く二段式。太陽の光が射し込み、開放感がある。銭湯といえば夜、もしくは西日を浴びながら入浴するイメージが強いので、たまには朝日の中湯に浸かるのも新鮮な気分を味わえていいものである。

さて浴槽へ。
ジェットエステの湯とボディジェットの湯が外壁側に設置され、そして電気風呂と広い浴槽。
女湯境側には南天の湯。水風呂は脱衣場の目の前にあり、サウナ室と露天風呂がある。設備としては十分に揃っている贅沢な銭湯だ。

まず電気風呂へ。湯温は41℃ほど。電気の力は強めで深く座る事ができない。しかし人も多いのでやせ我慢をしつつしばし電気を浴びる。
続いてボディジェットへ。こちらは深めになっている。円形の狭い浴槽に体をはめ込み、ジェットを全方位から浴びる。快適である。ジェットエステは強力なジェット。利用されているお客も多い。

水風呂でクールダウンし、続いて南天の湯へ。
ぬるめの湯であるが柔らかく心地が良い。
こちらから背景を仰ぎ見る。
ヨットのチップタイル画である。
これは新宿の大星湯江戸川区の吉野湯などで出会ったものとほぼ同じものだ。
銭湯にヨット、というのはあまりリンクしないものだがまぁいいだろう。
長湯ができるが狭い浴槽なのでほどほどにする。

露天は外壁側に引戸があり、そちらから行く事ができる。
岩風呂で4人ほどがゆったり足を伸ばし入る事ができるほどの大きさ。湯温はぬるめ、やや塩素の香も漂うが雰囲気も良く快適だ。

久松湯は設備も充実し、日常的に利用できる快適な銭湯。薬湯もあるし、サウナもあるのでまたぜひ訪れたいと思う銭湯であった。


大きな地図で見る