2009年2月15日日曜日

82.品川区西五反田 松の湯

休日。
夕方にもなると銭湯への想いが沸々と湧いてくる。
今日はどこヘ行こうか。

以前、クルマで目指すもいいコインパーキングが見つからずに諦めた不動浴場へ行こうと決めた。入口に飾られた鉢植えの美しさが脳裏に焼き付いている。

いざ目黒区へ。
目的地周辺を探るも、やはりいい駐車場は見つからず。
1km近く離れた辺りにあるにはあるが、この季節湯冷めが心配だ。
今度電車で来ることにしようか。

その後適当にクルマを走らせているとコインランドリーの灯りが見え、続いて唐破風の構えの銭湯が現れた。すぐに近くの駐車場を見つけ駐車(なんと一時間200円)。
住所を調べると西五反田である。屋号は東京で一番多い、「松の湯」。
品川区には中延にも松の湯があるが、こちらはどんな銭湯だろう。

暖簾を潜ると右手が男湯。
松竹錠がずらっと88。正面にはかさ入れもどんと設置されている。
女湯側にも松竹錠が88だ。巨大伝統銭湯である予感。
床はびっかびかにニスでキラビやか。すばらしくきれいに磨き込まれている。

引戸から中へ。
すると広大な空間が先に広がっていた。
天井は・・。
と観察する前に番台の女将さんへ湯賃をお支払いすることにする。

天井は高く格天井。
木材も飴色で格式の高さが伺える。しかも折上式だ。
女湯側の庭はコインランドリーがあるのでないと思われるものの、男湯側には庭があり、小さいながら池もある。その中には金魚が泳いでいる。ネコよけのネットもかかっている。
縁側の木材もピカピカ。つい先日仕立てたばかりの様に見えるが、実際はどうだろうか。

ロッカーの一つを確保。
なんと107までロッカーがあるではないか。空きロッカーを探し当てるのに、全く時間を要することがない。

体重計はアナログのもので「EIKO SCALE」と書かれている。
女湯境には柱時計。さほど古いようには見えないがよくメンテナンスされているのかもしれない。時間はずれていない。今の時間は17時。

休憩するベンチもあり、広々したスペースはどこにいても落ち着いて過ごすことができる。
柱時計の下にはテレビ。

パパッと服を脱ぎ浴室へ。
浴室の柱や梁によく木材が使われている。そのため趣きある雰囲気だ。
二段型の天井はペンキの剥げもなくきれい。
島カランは二列もあり、6-4-4-4-4-4。立ちシャワーは二基。
隣のカランとの感覚も広いので、混み合っているときも問題なさそうだ。
今日はお客は7人ほど。年配のお客が多いようである。

カランを確保し、体を洗う。
タイルや壁、カラン周りなどとにかく清潔。脱衣場の床のようにビッカビカである。
さて浴槽へ向かおう。
三槽式で底で皆つながっている浴槽。
今日は「よもぎ」の薬湯となっている。脱衣場に薬湯スケジュールが書かれていたが、他に「生薬」「ワイン」などがあった。

湯の色は緑で一件バスクリンのようだが、間違いなくよもぎの香。
向かって右手が浅い浴槽。中央に円形浴槽。女湯側には深い浴槽となっている。
まずは浅い浴槽から。
浅いながらも二段式となっていて、やや深め。湯温は43℃といったところ。
ジェットは全く出ていないので、静かな水面に体を預けることになる。
薬湯のおかげで肌への当たりも優しく、心地よい。

立ちシャワーでクールダウンし、続いて円形浴槽へ。
4カ所からジェットが出て右回りに湯が回転している。
ここで背景を仰ぎみる。
中島氏の作品と思われる水の流れと、控えめな天頂が槍状の山。
女湯側には荘厳な赤富士が見える。別に激しく覗き込んでいる訳でなく、女湯境の壁が低めで、さらに背景は高い位置にまで描かれているのでよく見えるのである。

つい先日書かれたような背景。
このような状態でいつも背景を拝めたら幸せだなと思う。

続いて深湯へ。
湯温はやはり変わらず。
正面には入浴心得と、埋め水のし過ぎはおやめ下さいの注意書き。
全体的に注意書きなどは少ない銭湯。マナーが悪いお客が少なく、常連さんの多い銭湯でないかと感じる。

湯から上がると牛乳の自販機で120円のフルーツ牛乳を購入。おつりで出て来た10円玉がこれまたビカビカで驚く。平成20年のものだ。
縁側の池を見ながら頂く。

表へ出ると静かな住宅街を進みコインパーキングへ。
品川の駅を想像するのが難しいほどの静かな街並。日曜の夜という事もあるかもしれない。明日からのまた一週間。街の人々は静かに仕事、学校までの時間を自宅で過ごしている。

西五反田「松の湯」。
素晴らしい屋号にぴったり符合する銭湯。
またぜひ訪れたい銭湯の一つと出会ってしまった。


大きな地図で見る

0 件のコメント: