土曜日の夜、このところよく雨が降るが今日も霧雨のような小雨が降り続いている。
世田谷線の若林駅の目の前に天神湯はある。
今日は車なのでコインパーキングに駐車するが一番近いところでも260m離れている。少々道に迷いながらも天神湯の正面へ。
表向きはビル銭湯のようだが、裏手に回り全体を把握してみるとしっかりと一軒の銭湯である。
緑色をした透明の蓋である下足入れに靴を入れ、中へ。
フロントが左手にある。狭い休憩場があるが、奥にテレビがあり死角の向こうに休憩所が広がっているようだ。
フロントは番台を裏側にした位置。メガネの親父さんがにこやかにお仕事をされている。革張りの座り心地の良さそうなイス(社長イス)に腰掛けておられる。
左手の男湯へ。
脱衣場は天井低く、窮屈なイメージ。
HOKUTOWのアナログ体重計があり、どこからともなく演歌が聞こえてくる。
壁にはダンナーズという名前のグループが余興で歌を歌っている写真。ご老人がたくさん見ているので老人ホームとかだろうか。楽しそうである。ひょっとしたらこちらのご主人が参加されているのかもしれないが、識別不能。
さて、パパッと服を脱ぎ浴室へ。
浴槽は幅は狭いが奥行きがある。
天井は逆への字型で浴槽も外壁に沿ってL字型で配置されているので全体的に他と違った形。
島カランは1列だが、外壁から4-3-8-6。立ちシャワーは二基。
8もカランが並んでいる背中側はたった3つのカランしかない。これは浴槽が外壁にあるのでカランを置かずに通路にしている為だ。
WAGURIのカランで比較的新しい設備。お湯の方が少しふっくら大きい湯口でどことなく愛嬌がある。この丸みはとても親しみ深い。カランもいいが、浴槽に設置されている蛇口もいい。将来的には自宅の蛇口は同じものにしたいものだ。
シャワーは軟水感がある。肌触りがいい。
体をしっかり洗い、浴槽へ。
サウナ室は脱衣場にせり出す形で外壁側にあり、水風呂が4つのカランの隣にある。そして広い浴槽がL字型に配置され、女湯境に個室の浴槽。
まずは広い浴槽から。
こちらは端に寝ジェット。湯温は42℃ほど。奥行きがない浴槽なので足がつかえてしまうが、それでも座り心地はなかなか。残念ながら設置されている水枕はまったく冷たくない。
つづいてミクロバイブラ。泡のきめ細かさは本物で肌を撫でるように泡が全身を駆け巡っていく。こちらの広い浴槽は本日ラベンダー&カモミールの湯。うすい紫の色で香もほのかに漂い鼻をくすぐる。
続いて滝の湯がある。幅1mほどのもので落差は30分ほど。
下に腰掛け湯を浴びるがさほど気持ちよさはない。滝なら上半身は湯に浸からず、背を滝に浸す・・というイメージがあるがここはそうではない。落差もないし、物理的な心地よさもなかった。それよりも誰も利用しないこの滝を使っている自分が少々気恥ずかしい。
そういえばお客は10人弱。若者からお爺さままで、広い範囲でなかなか賑わっている様子だ。
さて広い浴槽の端はジェットの浴槽。
右から左から、背中から腰からジェットが出ている。こちらも奥行きが足りず完全に足が伸ばせないのが残念だが、ヘリから足を投げ出せば何とかなる。少し行儀が悪く見えてしまうのが難点だ。
さて、一旦水風呂でクールダウン。
こちらは2人入れるほどの正方形の浴槽で水温は20℃ほど。しっかりオーバーフローしてもいいような構造になっている。湯が流れ出す先の排水溝には小石が敷き詰められており、見栄えもいい。髪の毛などが詰まっているのが見えると興ざめであるので、とても粋な演出である。
続いて個室の方へ。
サッシを開けるとその先は照明のないやや薄暗い部屋。
ミストが噴出されており、室温が高い。
湯温も高めで座ジェットの浴槽になっているこちらにも機能していない水枕がある。
香はないがミストを浴びながらひたすらストイックに熱めの湯を楽しむ事ができる。
そして水風呂でクールダウン。この繰り返しはとても気持ちのよいひとときである。
さて湯から上がる。
伝統的なレトロ銭湯を期待しているファンには物足りないかもしれないが、ある程度次の世代に向けた楽しさのある銭湯。
そういえば浴室の壁面には4カ所ポスターが貼られており、小唄と景色がペンキ絵のようなタッチで描かれていた。それが少し銭湯という雰囲気を醸し出していただろうか。
表に出ると雨はやんでいる。
似たような住宅が並ぶ街並の、狭い道を抜け、何度か迷いながらもなんとかコインパーキングへたどり着く。今日は帰ってビールでも飲むとしよう。
また新しい銭湯との出会いがある。そんな喜びを胸に秘めつつ、帰宅の途に付く。
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