2009年10月25日日曜日

128.西東京市ひばりが丘 みどり湯

秋も深まり肌寒さも徐々に増して来た10月下旬の日曜日。
愛車で西東京市のみどり湯を訪れた。

みどり湯には駐車場が3台分完備されている。
しかし1台分の駐車場は奥まったとこにあるため、前に1台駐車されている場合はそれを移動させる必要がある。

どうするのだろうとフロントの親父さんにお伺いすると車のキーを預かるとの事。なるほど、ホテルのバレーパーキングのように親父さんが移動させてくれるのだろう。

車を駐車するが付近に煙突が見当たらない。
奥に看板があり、「当湯(みどり湯)はガス燃料の為 薪(廃材)は一切燃せませんので絶対に置かないで下さい みどり湯」とのこと。



ガスなのでご安心くださいというのでなく、薪を置くなというのは意外である。どこかでできてしまった廃材を捨て置いて行ってしまう人間がいるということだろう。

みどり湯は千鳥破風が垣間見える建築。しかしフロント形式に改装されており、よく宮造り建築を拝めない。







そして看板は巨大。



「癒しの湯」「2倍楽しい週替わり銭湯」などなど。紫色の看板で少し怪しげである。
中に入り、下足を預け木札を手に取る。
自動ドアを潜るとフロントに親父さんがお座りになられている。
休憩スペースにはテレビがあり、畳の長腰掛けが一つ。江戸時代のお団子屋さんの表にあるようなものである。

湯賃をお渡しし、左手の男湯へ。
脱衣場入口の上には「雲海」と記されている。女湯側は「睡蓮」。男女が入れ替わる事もあるのかもしれない。

脱衣場は天井やや高く、折上げ式格天井。
レトロな体重計もあり、「ISHIDA」の股の高さくらいまでのもの。
厠はサッシから縁側に出ていくタイプ。洋式の新しいトイレで広く清潔だ。
庭もあり、池もある。水草がびっしり池に生えており、その隙間を気持ち良さそうに金魚が泳いでいる。この池はフロントの休憩スペースからも見る事ができる。



様々な種類の薬湯が計画されているのが貼り紙で知らされている。
さて緑色に塗装されたロッカーを確保。パパッと服を脱ぎ、浴室へ。

二段式の天井でかなり高い。上の天井はややかまぼこ型にカーブしている。
島カランは一列で外壁側には浴槽があるのでカランはない。外壁側から5-5-8。立ちシャワーは二基。お客は6人ほど。皆さん静かにお入りになられている。なぜか女湯境側のカランにお客が集中しているが、なにか湯の出がいいなど理由があるのかもしれない。

体をしっかりと洗いつつ、女湯境壁にあるタイルを眺める。
つい最近行ったINAXのタイル博物館にあるような西洋風のタイルが貼られている。
紺色で、模様がとてもモダン。それらは白い無地のタイルの中に、少なめに中央寄りに配置されている。

さて浴槽を巡ろう。
奥の壁、外壁に向かってL字型に配置されている。
女湯側には薬湯槽で「米ぬかオリーブ湯」。小さめの浴槽である。
隣は広い浴槽で、バイブラ・緑と赤の赤外線ライト・電気風呂・座ジェット・寝ジェット・スーパージェット(立って浴びる強力なジェット)が並んでいる。そして冷水風呂がある。
向かいにサウナ室があるが、こちらは有料。

外壁に引戸があり、外には露天がある。設備的には至れり尽くせりのフルコースだ。

まずは露天から。
岩風呂であり、かなり大きめの岩もある。ちょろちょろと小さい滝もある。湯温は40℃ほど。ぬるめであるが、外気を浴びながら長湯をじっくりと楽しむ。
4人はゆったり入れる大きめの浴槽だ。

続いてジェット等。
湯温はややぬるめの41℃ほど。バイブラを浴びつつ、赤外線ライトを背中に受ける。
赤外線が体にどう作用するのかは分からないが、何か浸透していくようなイメージを描きつつ湯を楽しむ。
電気風呂は自分にとっては強めである。端の方で控えめに電気を楽しむが、お客の中には深々と壁に背を付け電気を浴びているお方もいらっしゃる。

しっかり体も温まった所で冷水風呂で一度クールダウン。
水温は20℃ほど。体を冷やしながらも背景を眺める。
こちらの背景はペンキ絵。しかしよく銭湯で出会うペンキ絵師によるものではないように見える。富士があり、鶴がおり、今まさに羽ばたこうとしているものもいるが、いまいち迫力に欠けている。いわゆる何も描かれていない空白の部分においても、ただスペースがあるだけで、たとえば空を描くとか、地面を描くとかのベース部分の書き込みが足りないように見える。

どなたが書かれたものだろうか。迫力はないがとても繊細な筆致で他のペンキ絵があるならぜひ見てみたいものだ。

さて最後に米ぬかオリーブ湯へ。
とろみのある黄緑色の湯で、肌がすべすべになるようである。浴槽は狭めで一人か二人でもう次に入るのは勇気が必要といった感じである。

さて湯から上がり休憩スペースで一休み。
畳のイスは風流なもので、時折窓から庭を眺めつつ、火照った体を静かに冷ましていく、そんな贅沢な時間の過ごし方もまた楽しいものだ。

車のキーを受け取り駐車場を見ると、私の車の後ろに一台駐車されている。
すると親父さんがすぐに来てくれ、その車をバックで表通りまで出してくれた。私もバックで路地を抜け、表通りへ。
申し訳ない気分になりつつも、親父さんは笑顔で車の中から手を振って頂けた。一連の動きだけでも今振り返ってみると一つのエンターテイメントとして思い出される。駐車場の扱いづらさはマイナスかもしれないが、それにより一つ借りを作ったような、そんな気分である。

みどり湯は時代に逆らう事なく新しい設備を備え、湯客を迎えてくれる。控えめに物影に隠れている千鳥破風も自己主張はしないが何かを語りかけてくるようである。サウナもあるのでまた来る時はそちらを楽しむ事にしよう。


大きな地図で見る

0 件のコメント: