2010年4月11日日曜日

156.新宿区神楽坂 熱海湯

新宿区神楽坂にある銭湯、熱海湯を訪れた。

今日の気温は20℃ほど。
街の桜の木も、花びらが舞い落ちて、葉の緑が濃くなってきている。
休日の今日は池袋で買い物をした後にぶらぶら湯を求めてさまよい歩いていると、なんとなく江戸川橋公園を過ぎ、 なんとなく神楽坂まできてしまった。
春は何ということもなくただ街を歩きたくなってしまう季節なのかもしれない。

 神楽坂上から早稲田通りを下って途中の路地裏へ。細くてくねくねと魅力あふれる小道が多い街だ。自転車も車もバイクも自由に出入りできない道が多いのは歩いている人間にとっては非常にうれしい。

そして熱海湯の入り口の前にきた。


手入れされた盆栽が飾られている。花をつけているものもあり美しい。
のれんはたれが短く、ほぼ中は丸見えと言っていい。けど、中は別に見えていいものだし(番台裏の壁)、たれの長さは京都など中が見えると困る地域と比べて短いものとなる。

靴を脱ぎ、下足入れに靴を入れる。錠前はカナリア。番台の女将さんの背中が窓から見えている。番台の窓を開け放っている。男湯は右側。引き戸を開け脱衣場に入る。
天井は高く、格天井。隅は折上げられてはいないけど、丸くなっていて白く塗り固められている。

女将さんに湯賃をお渡しし、ロッカーを確保。
常連さんが脱衣場に4人ほど。競馬の話や、野球の話で盛り上がっている。女将さんもそれらの話にうまく合わせており、会話がキャッチボールとなり途切れそうにもない。

島ロッカーが一つあり、外壁側にもずらっと並んでいる。膝の高さに月極ロッカー。
女湯側にはコインロッカーがあったが、男湯の手前壁側には池がある。あと木彫りの観音様が二体。池は二段式になっていて、金魚の池と鯉の池。水もきれいで音も楽しい。狭いが長く見ていても飽きない。

隣に厠があり、広さは畳半畳ほど。よく手入れされていてきれいで、小さな窓から池の音が聞こえてくる。

女湯境の壁上は地デジ対応の液晶テレビ。
このごろの銭湯も地デジ対応が進んできているようだ。
ロッカーの錠前は松竹錠。
パパッと服を脱ぐ。脱ぎながらもロッカーの上を何となく見ると、大きな戦艦の模型。詳しくないのでよくはわからないが大和か紀伊だろうか。特に名前は書かれていない。ご主人のご趣味なのかもしれない。

浴室へ入る前に体重計に。
アナログ体重計でメーカーはHOKUTOWのもの。
だいたい銭湯の体重計は浴室に向かって立つように設置されているものだけど、こちらの銭湯は番台の方に向かって立つようになっている。

引き戸を開けて浴室へ。
手動なのでしっかり閉める必要がある。
天井は二段式で開放感がある。最上部の天井はやや狭い気もするが、まだ時間は16時くらいで明るく、光が存分に差し込んでいて気持ちがいい。

島カランは一列。女湯境より6-6□6-6(□は島、-は通路)。島にはシャワーも鏡もなくカランのみ。鏡がないと言っても端の鏡も狭くよく映った自分を確認できないものなので、こちらの銭湯は入浴中にさほど鏡を必要としないスタンスである必要がある。

立ちシャワーは女湯境の壁、脱衣場寄りに一基。湯しかでないシャワーである。
湯客は5人ほど。終盤は私以外では一人となった。夕方の時分なのでもう少し遅くなるとまたピークがくるのかもしれない。
カランで体をしっかりと洗い浴槽へ。

浴槽は浅深二浴槽。
浅い方には赤い赤外線ライト一基と座ジェットが二基ある。
湯温は43℃ほどで、しっかり温まる。
他の湯客が浸かるたびによく水埋めされており、実際のところはもう少し高めになりそうだ。
カランで水を浴びクールダウンした後に深い方へ。
こちらは備長炭風呂になっていて、奥の壁にびっしり備長炭が並んでいる。それを見ているだけでも圧倒されるけど、湯にそれが染み込んでいると思うとありがたい気持ちになる。
香りはそれほどしないが、湯は柔らかく感じる。
深い方の湯温は44℃ほど。

こちらから背景を仰ぎ見るが、富士山の壮大なペンキ絵。
やや剥がれている部分が目立ってきている。今は亡き早川氏の作品であるので剥がれてもいいからいつまでもあり続けていただきたい。
「富士川 早川氏 平成19年6月2日」。と記されている。
川だけに早川氏ならではの波しぶきは見えないが、静かながらも迫力のある筆致だ。

ペンキ絵の下にはタイル画があり、鯉と金魚が泳いでいる。湯を楽しみながらも数を数えてみた。鯉8、金魚7だった。章仙だろうか、画銘は書かれていないようだ。
女湯境にもタイル画があり、繊細な描き方である鯉や金魚と違い、女湯境側のタイル画は壮大なアルプス・針葉樹林・浅く広い河川の迫力のある描写。

湯から上がり、最後に煙突を見てから帰宅することにした。
マンションの非常階段のすぐ前に煙突。階段から煙突を見てみたいと思った が、憶測にとどめておくことにして帰ることにした。


備長炭の湯も楽しめるし、ペンキ絵も貴重、狭いながらも印象的な庭の池(男湯だけだと思われるが)、それに合わせて銭湯を取り巻く街の雰囲気もいい。近くに住んで毎日のように通いたい銭湯に出会った一日だった。

 
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