清瀬市銭湯、宝湯を訪れた。
ここには以前間近まで来たことがあるのだが、駐車場有りと謳いながら(銭湯マップにそう書かれている)どこにも見当たらないため諦め他に行くことにしたという経緯がある。
その後どこかのサイトで市役所の駐車場が利用可能と言うことを知ったので、再度来訪。
到着すれば確かに宝湯の目の前は広大な市役所の駐車場。昔から市役所と共にこの街の発展を見守って来たと言うことで駐車場も共同なのだろう。
時間は15時半過ぎ。
駐車場からは宝湯の煙突も望める。周りに高層建築が皆無なので煙突も我が物顔で居心地がよさそうだ。
ぐるりと一周巡ってみると廃材置き場があり、ペンキ絵のお試し?のような板も置かれたりしている。
そして広告板もある。
釣り宿・舟、とあるが柳瀬川で釣りでもしたのだろうか。
いや、隣の川島交通というタクシー会社は市外局番が04992である。長いなと思い検索を掛けてみるとこれが伊豆大島。なぜここに伊豆大島の看板が・・・。ご主人は伊豆のご出身だろうか。
煙突には郵便受けがくくりつけられている。清瀬の宝湯と書くだけで簡単に郵便が届けられるだろう。こんなに分かりやすいランドマークは他にない。
宝湯を囲むようにクリーニング屋、魚屋など銭湯街が小規模に展開されている。ひなびた感は拭えないがその昭和の埃っぽさが肌にビシビシ感じられてたまらない。
そしてネコも何匹かひなたぼっこをしている。警戒心が強いのでそこまでいい思いばかりをしている訳でもないらしい。なので離れた位置から写真を撮らせていただく。
さて銭湯へ。
千鳥破風がちらちらと壁上に見えるが基本的には改装され隠れてしまっている。改装といっても最近ではないようでそこかしこに朽ち始めが見てとれる。
中に入ろうかとしていると、ご主人だろうか、中に駆け込みながら「4時からだけど中に入って待っていていいから」とのこと。
今は15時40分くらい。
下足入れに靴を預け、鉄の札を手に取る。中は寂れた街のスナックのような、そんな内装。椅子が丸く腰当ての部分が少し高くなっているまさにスナックの椅子で、それと床や壁のカーペットや壁紙の暗い感じがそれなのである。
テレビを付けていただいたので眺めながらしばし開店までの時を待つ。
天井は低く、銭湯のフロントという感じはあまりない。ドリンクケースが二つ。1010の4月号が置かれているけど2月号まであるので地元の方々にはあまり銭湯情報を吸収しようという積極的なお方は少ないようだ。
ご主人は男湯に入り、女湯に入り、どたばたと開店準備をされている。そんな中、湯客(皆女性)が何人か訪れ、吸い込まれるように脱衣場に入っていく。時間はちょうど16時。ご主人もぴたりと準備を終えたようでその方々から湯賃を回収していく。
私も続いて脱衣場へ。
男湯は左手だ。男側では一番乗りで中に入る。
入ると同時にご主人が駆け込んでいきサウナ室に消えていく。床にはぞうきんがあったりする。とにかくどたばたしているご主人である。
男湯側はまだ開店準備が万全でないようだが 、気にせずロッカーを確保。
パパッと服を脱ぎ、脱衣場の観察をする。
天井は高い。しかし白い天井で味わいはない。体重計はアナログでTANAKA製。レトロ感というよりガムテープなどで補修されてボロボロ感がある。相当酷使されてきたようだ。
庭が壁までの1mほど、横に数メートル広がっている。苔むしているしそんなに見所はないけど明るいので若干気分も清々しい。
女湯境の壁上にテレビがおかれているが電源は入ってない。まだ開店したてなのだ。いろいろと電源は入ってなくてもおかしくはない。サウナ室やカランなど、まだ十分に熱くなっていないんじゃないだろうか。
さて浴室へ。
青い壁に天井に、そして富士のペンキ絵。まずこれは印象的だ。丸山氏の富士。湯につかるのも忘れて鑑賞気分となる。
天井は高く二段式。外壁側にはサウナ室があり、カランが4つ。島カランは一列なので外壁側から4-6□6-5(-は通路、□は島)。立ちシャワーは女湯境の壁に一基ある。
一番乗りなので余裕でカランを確保。案の定、湯はでない。まだ温まりが足りないようだ。しばし出し続けるもずっとぬる湯なので諦めてシャワーを出す。シャワーは適温である。
体をしっかりと洗い、浴槽へ。
こちらは奥の壁にずらっと浴槽が並ぶ形だ。外壁側に水風呂、中央にミクロバイブラと座ジェット二基、女湯境の壁際に森林浴ルームがある。
まずはミクロバイブラから。ここは半円型に洗い場側に浴槽の縁がせり出している。そちらに背を当てると背景をじっくり拝める。残念なのは森林浴の個室があるせいで座った状態では富士を見ることができないということ。
それはさておき、湯温は42℃ほど。ミクロバイブラ浴槽は座ジェットなども同じ広い浴槽なので 湯温はいずれも同じ。
壁に檻があり中に岩が二つ、ゴロンと置かれている。それに湯が当たり湯船に流れ込んでくる。ガリウム石などの張り紙はされていない。その湯が流れ込んでくる所のすぐ下に袋があり、中に備長炭が入っている模様。その張り紙はされており、備長炭風呂によりアルカリ性となった湯は心地よい、というようなことが書かれている。
湯は柔らかいが塩素臭が漂う。水風呂からだろうか、徐々に薄らいでいくようなので開店したてだからかもしれない。
丸山氏の背景は「西伊豆 22.2.9」と書かれている。今年に書き換えられたものでまだ状態はいい。岩の淵の優しい筆致がすっと瞼に入り込んでくる。心地よいひと時だ。
続いて座ジェットへ。二基あるが浅い座ジェットと深い座ジェットの二通りとなっている。水枕は共通でしっかりと冷たいが、残念なことに少し位置が高い。
十分温まったところで水風呂でクールダウン。水温は19℃ほど。キンキンに冷えている。
水風呂の栓を抜かないこと、という注意書きがあったが、そんなことをする方がいらっしゃったということか。
続いて森林浴の個室へ。
引き戸から中に入るとミストが噴出されていて、正方形の浴室は2人が入れるほど。湯温は同じ42℃ほど。フィトンチッドの香りは感じられないが、マイナスイオンが充満した個室で疲れを取ることができる。
丸山氏の背景を最後にまた眺め、湯から上がる。
気づくと湯客が増えて7人ほどになっている。
清瀬の市役所前にある銭湯。
昭和の香りを今でもほのかに残している銭湯だ。
帰りに清瀬駅前を過ぎ、清の湯の前を通り過ぎる。廃業となってしまったようだ。お気に入りの銭湯だったのでなくなってしまうのは寂しい。しかし時の流れはどうにも止められない。記憶の中にいつまでも残る銭湯であり、そこに銭湯がなくなる映像を見ないように、特にマンションなどになってしまったら悲しいのでいつまでもそこにあるのだと思い込んで過ごしていくことにしよう。
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2 件のコメント:
はじめまして突然お邪魔します。わたくしこの宝湯のプチ常連でございます。日曜日にだいたい行ってます。わたくしの東京銭湯は100軒以上入湯していますが、この宝湯のお湯は3本指にはいります。井戸水100パーセントで夏でも冷たく、サウナを出てはからん(浴槽の所)からがぶがぶ飲んでいる人もたくさんいます。そしてペットボトルで持ち買える人も。(わたくしも同じです。)この間の日曜は脱場の金魚の具合が悪くなって、ご主人はそのからんからバケツで水を汲むと水槽にじゃばじゃば入れていました。一ぴきは亡くなりましたが、他は元気になりました。とにかく良い湯です。文中の塩素集というのはおそらく最初だけだ、と思います。、
毎週行っておられるとなるといい所をたくさんご存知の事と思います。水の冷たさは大事ですね。時間帯を変えてまた訪れたいと思います。
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