2008年9月9日火曜日

4.大岡山 大岡山浴場

仕事帰りで車なので駐車場付きを、という事で銭湯マップを見ると、大田区にはいくつかある。
そんな中で世田谷にほど近い大田区の隅にある八幡浴場を目指した。

だけど、大岡山を抜けて狭い路地を進み、ナビ上ではあるはずの場所にない。
うーむ、どうしようかと直進していると、通りの向こうに大岡山浴場のネオンサインが緑色に光っている。

目の前にちょうどコインパーキング。よし、ここにしよう。

T字路にぽつんと構える大岡山浴場。
どうみても中が広いようには見えない。
すぐそばに、コインランドリーがくっついている。これまた狭い。

とりあえず、暖簾をくぐり、靴を預ける。
ロッカーの上を見るといろいろお土産物みたいな品物が置いてある。
印籠とか。

後ろを振り向くとフロントがある。
ロビーらしきものはない。フロントのすぐ前にイスがあり、ジュースやら何やらのケース。フロントの前に親父さんが出て来ていてテレビを見たり、走り回っている4〜5歳の女の子の様子を眺めている。お孫さんかな?

その親父さんはいらっしゃいとフロントに収まる。お店の人であった訳だ。
銭湯料金を支払い、左手の男湯へ。

そこに広がる光景はまさに昭和モダン。
和の雰囲気はどこへやら、とても興味深い雰囲気だ。
先ほどの女の子は平気でこちらに入ってきて、じいさんと戯れている。
こちらのじいさんの方が、仲良さそうだ。こちらのじいさんのお孫さんかな。

入ってすぐに大きな横広の鏡があって、「贈」と書かれている。
「角の湯」、「賽の湯」、「富士見湯」
いまでもあるのだろうか。

なんか天井が低いな。
全体的にミニチュアみたいだ。
古いけど、汚いようでそうでもない。
くたびれているようで、そうでもない。

とても奇妙な雰囲気だ。
服を脱ぎ、さささっと浴場へ。

お客は二人。じいさんと年齢不詳の男。

カランが全部で10ちょっと。
ジェットバス2種、ミクロバイブラ、電気風呂、そして右奥に引き戸があり森林浴湯?がある。露天ではないけど造りものの植物がいくつも見える。

まずは体を簡単に荒い、ミクロバイブラへ。
端の方の壁下から緑の光が見えている。なんか、モダン。そこだけ見るとラブホテルみたいだ。

上の方に視線をやると壁にはモザイク画。
お花畑にシカと女性。なんか石像のような色をした女性だ。石像なのか?
となるとシカは魔女に魔法をかけられた王子様であろうか。
そんなに深くないかな。
いろいろ考えてしまう。

その答えを解く鍵は女風呂にあるのかとふとみると、虹のモザイク画が少し見える。なんの絵なのかな。

ジェットバスをしばし堪能。ここらはすべて浴槽がつながっており、42℃ほどかな。
電気風呂の方の湯は淀んでいて、アカなどが浮いているのがよく見える。
浴槽の色が濃い青なので余計強調されてしまうな。

まぁさほど気にせず電気風呂へ突入。
幅が広いので真ん中に居座るとさほど電気は感じられない。壁に少しよりつつ、ビリビリを感じてギブアップ。いやぁやはり無理だ。

次は森林浴湯へ。
引き戸を開けるとそこは森の香り。そしてスピーカーからはモダンな音楽が。
加山雄三あたりがバーへ行くと演奏されているような音楽である。
リアルタイムで聴いた事がないので具体的にはわからないけど。

昭和モダンここにありといわんばかりの空間エンターテイメントだ。
しばし、死んだ親父が駆け抜けた「昭和」という時代をを空想する。
白くかすんだガラスの向こうに石像の女性とシカ。

ふむ、時間が過ぎ行くのを忘れてしまうな。心地よい。不思議な空間。
ふと我に帰り、外に出る。
なんかにやけてしまう時間だった。まさにタイムスリップしたようだ。

脱衣場へ。
テレビでは鑑定団をやっている。
天井からぶら下がる扇風機の風が心地よい。ぶんぶん元気に回っている。
何十年もの間、この扇風機は元気に回転し続けているんだな。意味もなく感傷的になってくる。

フロント前に出ると、先ほどの親父さんから女性に変わっている。
先ほどの女の子が膝上に。
こりゃお母さんだな。
う〜ん、銭湯一家。美しい。
親父さんが亡くなっても、土地を売ってマンションなどにしたりせず維持し続けて行ってほしいなと密かに願う大岡山の夜なのでした。

表に出てポカリを一気飲み。
うーん、風呂上がりのポカリは最高。

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