2008年9月13日土曜日

7.芝 万才湯

本日よりしばらく電車かもしくは自転車、徒歩での銭湯巡り。
会議が浜松町であり、そのあとふれあいの湯に行こうかと思うも、事前調査でそれほど魅力を感じなかったし、区営という事で廃湯になる危機度も少なそうなので見送った。

20分ほどスタコラ歩き、田町の方へ。
万才湯をひたすら目指す。

東京タワーを背に、慶應仲通りへ突入。
金曜の夜という事もあり、サラリーマンがうようよ。しかもまっすぐ歩けていないほろ酔いリーマンだ。
学生はさほど見受けられず。まだ9月上旬なので夏休みかな。

9時ちょい過ぎ、仲通りでお湯の香りが漂ってきた。この辺だ。
雰囲気のいい居酒屋がいくつもあり、仲のいい友と一緒なら一杯やりたいなと思いつつ、ふと左の路地を見ると「万才湯」の店先。

ひとかけらの迷いもなく店の中へ。
とても数の少ない下足入れ。30くらいかな(かなり目分量)。
テレビの音が耳に飛び込んでくる。
隣にフロントがあり、メガネのおじさんが座している。
これまでのフロントor番台平均年齢の中ではかなりお若い。40台後半かな。

ロビーにはベンチがあり、3人ほど腰掛けて休憩する事ができる。
ドリンクを売っていて、他にもお風呂グッズをいろいろ取り揃えている。

さっそく喉が渇いたので、乳酸菌飲料を購入。
脱衣場へ。

15畳ほどのスペース。
女湯との境がなぜかすりガラス!
やや向こうの動きが見える程度だ。張り付いたらけっこう見られるはず。張り付くやつはいないだろうが・・。
これは男のロマンだな〜。

まぁくだらない話はさておき、黒皮のレトロマッサージ機がすみっこにあり、脱衣場を見渡してのんびりとしている。ローラー二つがむき出しの角張ったマッサージチェアだ。

あと、KEIHOKUの体重計。昔から受け継いだものかな。
はだか泥棒の張り紙もある。
これ面白いな。





ロッカーは14個が貸し切りロッカーだ。500円/月。いいなぁ。地元の銭湯ならぜひお借りしたいとこだ。

さてドリンクを飲み干し、風呂へ。
と思いきやタオルを忘れた事に気がついた。
そんな時、タイミングよくフロントのおじさんが脱衣場のトイレを利用。
出てきたところに「タオルください」と一言。
いやぁ、また背広を着るのがめんどくさかったので助かった。

フロントは気軽に裸でものを買えないところが少々厄介だ。
そんな場面に遭遇する事は何回もないんだけれど。

おふろセットを持ってきてくれて、100円をお渡し。
お渡しするときにおじさんの手から100円がこぼれそうになるも、おじさん瞬発的に手をひるがえしそれをキャッチ。す、素早い。さすが若手の湯守だ。

さて入浴。
お客は8人ほど。かなり多い。
カランが10であるようなのでこりゃ大変。
すみっこでお湯を浴びる。

それぞれが常連さんのようだ。頻繁に会話を交わしている。

お風呂は三種。深い浴槽、ジェットが2カ所から噴出している大きめの浴槽。
手前窓際には「玉露カテキン」の湯。カテキンだけに緑色だ。

天井は高く、ペッタリとペンキで塗られている。
全体的にきれいであるけど、シンプルな浴室。タイルもきれい。鏡もカランもきれいだ。
女湯との境の壁に瓦が一列に敷き詰められている。なぜか中央やや脱衣場よりに小窓。
さきほどのすりガラスのようだけど、高い位置にあるので覗くとかそういうレベルではない。
飾りかな?

背景はない、かなと思いきや、脱衣場からの入口の真上におおきなレインボーブリッジ。右下に「SANUGA」と書かれている。
誰?
とネットで検索だ。

>>8 4歳になられる埼玉方面で9000枚のペンキ絵を手掛けられた大御所だ。意識して佐怒賀次男師のペンキ絵を見るのは初めてだ。
ナカムラ氏 風呂屋の煙突より

そうだったのか、迫力のある筆致ではあったけど、レインボーブリッジが題材という事で、ありがたみが薄かった。これはよくない、また行った時じっくり拝むとしよう。

まずはカテキン湯。
お茶の香りが強烈に漂ってくる。濃そうだ。
湯温は42℃ちょっとかな。ちょうど良い。
窓を背にして浴槽壁面に木板がはめ込んであり、そこは若干熱い。
二人が入るといっぱいの広さだが、入っているとすぐに他も入ってくる。
順番を待つほど空いていないのだ。

いそいそとそばのジェット付きの広めの浴槽へ。
人が入っているのでスローリィに脱出。
子供の頃はこんなマナー、まったく気にもしなかったな。

ジェットの湯船。
うむむ!これは熱い!
確かに先ほどから足だけ入れてすぐに出る人が多く、こりゃ熱そうだなとは思ってはいたもののこれほどとは!
46℃くらいあるだろうか。
前例がなく自信はないが、温度計を見ると45℃。しかし、もう少しありそうである。

足を入れ、ジェットの方へ。すると余計熱い。
まぁ慣れるかと思いきや、やはり熱い。
それでも腰を下ろし、ジェットの恩恵にあずかろうとする。
あぁ、これはきつい。修行だ。湯行だ。

レインボーブリッジを眺めつつ、熱い湯に身を投じる。
かなりストイックであるこちら側と裏腹に、レインボーは資本主義社会の戦後の日本経済の象徴として、また江戸時代は台場として防衛の拠点として位置づけられた街として、現在はお台場冒険王・・あぁ熱い!

とりあえず出て一つのみある全身シャワーへ。
水を出し、クールダウン。おぉ、オアシスだ。

少し頭がくらくらするのは血液が頭に上ってしまったからだろう。
いかんいかん。

もうひとつの深い浴槽はボイラーからぐつぐつとわき出しているのがよく見え、さらに熱そうだ。敬遠しておこう。

しかし、誰もが水を投じようとしないところに江戸っ子の心意気を感じる。
プライドの塊だ。

体を洗いつつ、鏡を見ていると、10ある丸鏡のうち二つだけ月蝕のように欠けているものがある。
割れている訳ではなさそうなので、なんでだろ。
その前には70歳くらいのおじいさん。
見ていると鏡に石けんをつけ泡立て始め、自分のタオルで鏡を洗い出した。
こ、これは。
店の人か?それとも常連さんは鏡を洗うのか?
その後、鏡下のタイルなども洗ったりしていた。
うむ、これくらいの銭湯愛を持って、銭湯を利用していけばいつまでも万歳湯は安泰なのだろう。地域密着型。スーパー銭湯なんかじゃこんな光景拝めないよな。

さっそく自分も誰かが放り出したままのシャンプーとリンスの袋をゴミ箱へ。
ケロリン桶を片したりした。

ん?なんか某Jリーグのサポーターが試合後にゴミを拾う、みたいだな。
ほどほどにしておこう。

それから今一度カテキン湯へ。
う〜む極楽。お茶の香りが体に染み付きそうだ。

そうこうしていると、照明が暗くなる。
ん?ブレーカーが落ちたかなと思っていると、天井のスプリンクラーのような噴出口からミストが出ている。
その下にあるベンチにお客が一人移動し、ミストを浴びている。
何だこりゃ。

時間は9時50分。
毎時間50分頃になるとミストタイムになるのだろうか。
ふむ、しばしそのお姿を拝見している。
とても気持ち良さそうだ。

3分ほど続き、シャワーは収まり、電気が点いた。
なんだったんでしょう今の。
何回かくれば何てことのないイベントになるのだろうけど、初めて見ると面白い。
シンプルな銭湯なだけにね。

お客の個性や、ミスト、お湯の熱さフロントのおじさん。
シンプルな形の銭湯だけにそれらの役者たちがとても際立って個性を発揮している。

これぞまさに銭湯エンターテイメント。
湯から上がり、店を出る。
街は活気を帯びている。
昭和の街にタイムスリップしたかのようだ。
とても楽しい銭湯。
来るたびに新しい発見がありそうだ。

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