2011年1月3日月曜日

171.杉並区井草 ゆたか湯

新年を迎え、今年も朝湯を目指して銭湯へ赴く。
井草のゆたか湯へ。
杉並の銭湯に向かうのは干支石鹸が頂けるという情報をサイトから得たからであるけど、実際にゆたか湯に着いた時間は12時45分、朝湯の仕舞いが13時ということもありすでに石鹸の配布は終わっていた。


ゆたか湯はマンション銭湯の一階部分。下足入れに靴を預けプラスチックの札を手に取る。

奥に進むとフロントと休憩スペースがあり、ローラーむき出しの茶色のクラシカルなマッサージチェアが見える
しかし全体的には近代的な設備優先の銭湯。
フロントの女将さんは13時で終わりですが構いませんか、と仰る。今さら他に行くわけにも行かないので了承するが、話しぶりから類推するにのんびりと浸かってくれるなというお気持ちのようである、と感じた。

しかし新年早々時間になってすぐに出ていけと言われるとも思わないので心にゆとりを勝手に抱きつつ脱衣場へ。

天井は低めで、外壁に沿ってロッカーがある。錠前はSAKURAIII。
3人ほどのお客。これから入る方は1名。急いで服を脱ぐ。

浴室はやはり天井低め。天井はヤマ形になっている。外壁に窓があり光が差し込んでいるので閉塞感はさほどない。

湯客は3人ほど。カランを一つ確保し体をしっかりと洗う。
浴槽は三つ。女湯境壁側に座ジェット、浅い中央浴槽にはミクロバイブラ、そして水風呂である。

まずは座ジェット。二基完備されており、広さもジェットの勢いも心地いい。湯温は41℃ほど。
続いてミクロバイブラへ。このバイブラの噴出量はなかなかのもの。水面15センチ程の高さに達している。あぐらをかき、その勢いに体を揺り動かされるも倒れないように保つ修行が可能である。

その時、浴室の電気が一部消された。時計を見ると朝湯が終わる時間、13時である。ほぼ時を同じくして今度はミクロバイブラ、座ジェットの動きも停止。賑やかなはずの浴室に違和感のある静寂が訪れる。

静かな浴室、家の風呂であればそれは快適な空間かもしれない、山奥の一人きりで浸かる温泉であればそれは楽しめるものであるかもしれない、しかしやはり銭湯では静寂ほど居心地の悪いものはない。

浴室の明かりが消え、ジェット設備の動きが止まり、追い出されようとしている。私は今まさにこの場所に不要な客とされているのだった。新年を迎え、初めての湯。昨年の葛飾区で味わわせて頂いた湯とは大違いの処遇だ。


銭湯であるからと言ってもちろんそれはボランティアではない。
私も仕舞いの時間寸前に行っているので偉そうな事は言えない。
しかしサービスの本質はその規定の範囲を超えたときに、真の姿を現すように思う。
何にせよ酷く扱われた時の失望は何にも代えがたい。寂しいものである。

干支石鹸がもらえなかった悔しさも関係しているだろう。いい銭湯に出会えるかどうかはタイミングによるところも大きい。自分の精神状態、幸福感、天気や温度、もちろん現場の親父さんや女将さんの気分にもよる。
今年もいくつもの銭湯を巡る旅が続くが、この銭湯の側に住みたいと思える一つに出会えるかどうか。真に楽しみである。

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