2009年4月19日日曜日

95.港区白金 アクアガーデン三越湯

今日は港区の銭湯へ。

北里大学がすぐ側にある銭湯。北里大学前にはコインパーキング(リパーク港区白金4丁目)があり、夜の10時からは一時間100円なのでお得である。

そこから歩いて数分、 アクアガーデン三越湯はしゃれたスパ風の名前ではあるが、実際のところはどんな趣なのだろうと到着してからじっくりと観察する。
いやいやなかなか名前負けしないクールなファザード。
マンション銭湯であり、手前に半円形にせり出す形になっている。ここは浴室なのだろうか。

建物脇に入り口があり、奥にいくと下足入れがある。
靴を入れ、中に入るとこれがまた実に落ち着いた雰囲気のモダンな造。
流木の置物や、立派な彫り物がフロント上部に飾られ、真におしゃれな銭湯である。

血圧計や体重計があるのがかろうじて銭湯を思い起こさせてくれるアイテムである。
カウンター席もあり、コーヒーやらビールが注文できるようである。しかし夜中は営業していない模様。
さて、フロントで湯賃をお渡し。店番は茶髪ロンゲのお兄さん。しかし接客は至極丁寧ですばらしいものである。
左手が男湯で右手が女湯。
女湯側に露天があるようだが、男湯はそうではない方、鶺鴒の湯。女湯側は白鷺の湯、と入口上にかかれている。これらは一週間おきに交代となるようである。

さて、脱衣場は天井低く、少し窮屈ではあるけれど、坪庭が臨めて、雰囲気はいい。ロッカーは100円返却方式。端に松竹錠とかかれているのでこんな近代的なロッカーでも松竹錠だということで少しうれしくなってしまう。

パパっと服を脱ぎ浴室へ。
こちらも引き続き落ち着いた雰囲気の和風モダン。
サウナ室が奥の女湯境に設置されているが、瓦屋根で覆われている。
女湯境、といったがこちらの銭湯は完全に分離されていて女湯側と天井がつながっていない。すこし銭湯らしさに欠けてしまうだろうか。

さて、島カランは一列あり、7-6。奥の壁、サウナ室の横に3のカランがある。全部で16とカラン数が抑えられている分、浴槽が実に豊富である。
カランはwaguriのニュータイプで、シャワーのレバーがカランの位置にある。ひねるとシャワーが出てくるもの。しかもシャワーは口をひねることでうたせ湯のように太い湯を出すようにもミストのように細い湯を出すことも可能。

体をしっかり洗い浴槽群へ。
入口に掛湯スペース、すぐ側に深い浴槽、隣に広い浴槽があり電気風呂(電気の湯)、座ジェット、ハイパージェット、ボディジェット、一番奥に水風呂の構成。
あと島カランの背中側を使って湯が流れており、これを背もたれにして足湯を楽しむ浴槽もある。

まずは電気の湯。
お客は10人ほどもいるのだがまったく電気風呂は人気がない。慣れると非常に心地の良いものだが、初めのうちは敬遠してしまうものかもしれない。苦手でも我慢してしばらく体験してもらいたいものだ。いずれハマってしまい、銭湯に欠かせない設備の一つと思えてくるだろうから。
こちらの電気風呂は左手側の威力がなかなか強く、心の臓にビリビリ響いてくる。自然と右寄りになってしまうが体の疲れも電気力によりす〜っと抜けていくようだ。
湯温は41℃ほど。ややぬるめか。
すぐ隣は広く使えるスペースで、庭も眺めることができる。窓が曇りがちなのでよく見えないが枯山水の雰囲気。池はあるが白い砂で埋められている。非常に虚無な世界である。
すばらしく居心地がよい。

座ジェット、ハイパージェット、ボディジェットとも基本的にジェット力が強く、表情がこわばるほどだ。背もたれや手すりの位置など、実に計算された配置。よく銭湯のことを知り尽くした方が設計されたと思われる。

続いて深い浴槽へ。
全体的にジェットがぼこぼことなっており、黒めの壁により他の景色を遮り孤立した浴槽となっている。湯温はやや高めの42℃。まだぬるいが長く入ると芯から温まる。オーバーフローした湯は排水溝に流れていき、それを眺めているだけでも楽しめる。やはりオーバーフローは入浴における最高のエンターテイメントだ。

水風呂でクールダウン。
水温は18℃ほど。泡立つ水風呂だがキンキンに冷えており、また高めの壁で他から見られることもなくストイックに水風呂に集中することができる。
立ちシャワーも一基あるが、水風呂があれば重要度も少し低くなる。
サウナ室は別料金で700円。非常に高いようだがその分快適なのだろう。2~3人が頻繁に出入りしておりうらやましい限り。

続いて足湯へ。
背中を湯が流れ体も冷えることなく、またやや熱めの湯で足から全身へとぽかぽかとした血液が上昇していく。
つい眠気に誘われるが、そんなときは水風呂でクールダウン。一気に目も覚めるというものである。
じっくりと1時間は湯を楽しみ、ロビーにてしばし休憩。
女湯側を訪れていた奥さんと合流し、意見をお伺いする。
鏡はハート形。広めの露天があるが雰囲気や設備など、さほど感動も覚えなかったそうである。お客のマナーが悪かったとの意見。体も洗わずみな浴室にくるや否や浴槽に突入していくとのこと。若いお客が多かったとのことだが、銭湯の常識が通用しないのかもしれない。
小さい頃から親に連れられ銭湯に行き、常識を自然と享受していれば、そんな非常識な行動をさせることもなかったかもしれない。
ただその人間が悪いと一概に言えたものではないが・・。

しかし個人的には実にすばらしい銭湯。
また来ることがあるだろう。サウナを利用してみたいものだ。露天も気になるが、また鶺鴒の湯がいいかもしれない。
ロビーには昔の三越湯の写真が飾られていた。伝統的破風造の銭湯である。それはそれは迫力のある趣であり、今のようなマンション銭湯に改築するのは相当勇気が必要だったに違いない。その決断は決して間違いではなかったと思う。歴史を守ることはただ過去の形を守り続ければいいというものでもない。歴史を継承し、次の新しい形を目指すのも大事なことだと感じる。今日は家に帰り、実にうまいビールが飲めそうな夜である。


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