2009年6月13日土曜日

108.目黒区上目黒 大黒湯

目黒の銭湯、大黒湯を訪れた。

目黒テニスクラブの目の前にあるコインパーキングに車を停めて、歩くこと5分。



大黒湯に到着。コインランドリーを左手に従えて、表向きは改築されているが千鳥破風の屋根が垣間見える。下足入れは58あり、開くと鍵の部分に「用心」と書かれている。

中に入ると、フロントから女将さんのいらっしゃいのお声。笑顔が優しくこちらまで優しい気持ちになる。金魚の水槽があり、テレビ、入浴グッズなど販売されている。椅子は4脚しかなく狭いスペースだが、園芸に力が入っており鉢植えがいくつもあり手間をかけておられる様子。

右手の男湯へ。
天井が高く格天井で、濃い茶色がすばらしい。しかも端は折り上げられている。
体重計はYAMATOのアナログ式。比較的新しい体重計だ。液晶テレビが壁に下げられており、庭が一坪ある。そこには松の木がうねりつつ空へと伸び、その傾きを支えるためのつっかえ棒が据え付けられている。
トイレがあり、中に入るがこれが非常に綺麗だ。床は磨き上げられており、植物があり、小窓からは坪庭の静かな灯、風鈴も見える。広さも十分あり、トイレの数が一つしかないという状況でなければ、のんびりと文庫本でも読みながら過ごしたい、そんなトイレである。

さてパパっと服を脱ぎ浴室へ。
こちらも天井高く二段式。島カランが一列で、7-5-5-6の構成。島カランの脱衣場よりの一つのカランはシャワーがない。そして外壁よりのシャワーはTOTOの最新式で湯温の調整ができる。脱衣場のよりは立ちシャワーも兼用のカランだ。

お客は7人ほど。土曜の夜、時間は22時くらい。60代ほどのお客さんが多いようである。
しっかり体を洗い終えると浴槽へ。
深、浅の典型的二槽式東京銭湯。
浅い方から攻めるが湯温は43℃ほど。時間も遅いし湯は柔らかく心地の良い肌触りである。二穴のジェットが二カ所から噴出している。しばし至福の時を過ごす。
水を浴び、クールダウンし続いて深風呂へ。
「あつい浴槽、入れるようになったら止めてください」と書かれている。
あつい浴槽が赤字で書かれているのでよほど熱いかと身構えてしまうが、浴槽の下でつながっており、大きな湯温の差はない様子。
実際43℃ちょっとといったところ。泡がぼこぼこと噴出しており、体を撫でながら包み込んでくる。こちらで背景をじっくり鑑賞。

立派な富士山のペンキ絵である。中島氏のものである(後で奥さんに聞いたが女湯側に「19年、4月23日」と書かれていたとのこと)。
その下の、通常広告スペースとして使われている部分には、久々に出会うことが出来た章仙の鯉の滝登りを描いたタイル絵である。九尾描かれている鯉は先頭を行く4匹の目の色は白い。狂うような表情である。その一方で後を着いてくる4匹は黒めで意識は落ち着き、心は冷静に見える。中央の5匹目は少し白みがかった目の色。こちらはそろそろ気も狂わんばかりの表情である。それだけ滝登りは大変であるということか。

そんなことを考えつつ、水をかぶり、湯につかるという行為を何度か繰り返す。
そして湯から上がる。

なんとこちらの銭湯はドライヤーが無料である。
髪を乾かし、帰宅の途に着く。
上目黒とはいえコンビニもないような静かな住宅街が続く街並。大黒湯という銭湯が重要な立場を示しているように感じるここら一帯の様子である。いつまでもすばらしい湯を提供し続けてもらいたい立派な銭湯であった。


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