2009年11月29日日曜日

138.豊島区西池袋 桃仙浴場

豊島区銭湯、桃仙浴場へ。

私の父は豊島区で幼少を過ごしたそうなので、ひょっとしたらこちらの銭湯に訪れた事があったかもしれない。

浴場へは池袋西口から10分ほど歩いた所。警察署を通り過ぎ、椎名町の方へ向かう住宅街の中途にある。



マンションの一階にある銭湯で、牛乳石鹸の暖簾がやや低めの位置に吊るされており、その先はまだ建物の中ではなく脇の通路なので何の為の暖簾かなとふと思う。



古めのサッシを開けると左右を下足入れに囲まれた幅1.5mほどの玄関。そして目の前にはまるで役所の受付のようにガラス戸の向こう側に女将さんがお座りになられている。
入ると同時にお孫さんだろうか、女の子が男湯、女湯構わず走り抜けていたりする。それを見て自然と女将さんも私も笑顔になる。

フロントとはいえ休憩スペースはなく、ドリンクの販売もない模様。
湯賃をお支払い右側の男湯へ。
脱衣場入口には洋式の扉があるが常に開いており、そして垂れの長い暖簾がかかっている。
女湯側は扉が閉まっている上に暖簾がかかっているようだ。

時間は16時頃、こちらの銭湯は16時より開店なのでまだ始まったばかりの様子。しかしながら脱衣場には4人ほど、浴室にも5人ほどの湯客。盛況であるようだ。
盛況と受け取れるものの、それ以前にこちらの銭湯は狭めである。脱衣場は8畳間ほどのスペースしかなく、さらに二階への階段もある為閉塞感がある。二階は休憩スペースでロッカーが3つあり、外窓が開いているが、その先はとなりのマンションなので視界は悪い。

一階のロッカーを確保し、パパッと服を脱ぐ。
浴室へ行くとこちらも脱衣場の1.5倍ほどと銭湯というよりは寮の浴場といった趣。
脱衣場二階分の高さが確保されている天井。フラットな天井で水滴が今にも垂れてきそうにいくつも大きくなっている。四角柱が浴槽の中から天井に伸びていてこちらも窮屈に感じるが、女湯境壁際、二階部分の高さにある裸婦のチップタイル画、そして外壁側にあるヴィーナス像と洋風な公園のチップタイル画がその狭さを帳消しにして脳内を解放してくれる。
裸婦のチップタイルはじっくり眺めるという訳にもいかないほどあからさまな表現である上に、その壁の向こうは女湯であるかと思うとさすがに照れくさくなる。

カランは外壁に沿う形で10。しかし一つは角にあり鏡もなく、もうひとつのカランが使用されていれば座る事もできないほどのもの。実質9しかないといえる。
カランを一つ確保し、体をしっかり洗う。
徐々に鏡が曇りだし、すぐに浴室内は湯煙でいっぱいになる。開店したてでまだ浴室内も温まっていなかったようだが、湯気抜きの設備も少なく、小さな換気扇二つほどで賄っているようなのでぽかぽかと居心地の良い温度になってくる。

女湯とはすっかり壁で分け隔てられているのも湯気で一杯になる原因の一つと考えられるが、タイルのデザインのせいか、想像も膨らむ効果があり、なにか独特の雰囲気が漂っている。

浴槽に向かう。
こちらの銭湯の浴槽は奥の壁沿いに二つ。
広い浴槽には丸形のボディマッサージと寝ジェット、あと大きな柱。まずは丸形から。
なんとか一人分入る事ができる筒の中に腰を入れ、ジェットを浴びる。
腰掛けて足を伸ばすと反対側のへりに足が届くが、右側面からもジェットが出ているのが見える。しかし足を伸ばすとこちらのジェットを利用する事ができなくなるので、足を縮めつつも湯を楽しむ。
湯温は41℃ほど。ややぬるめであるが、細かい泡が心地よく体を包み込む。

続いて柱の反対側、寝ジェットへ。
湯はやや固めながらも泡の細かさがあり気持ちのよい湯。
少し残念なのは柱があるので横になりながらもチップタイルを見る事ができない。見たくてもゆっくり見る事ができないのは、マイナスでもあり、またプラスでもあるかもしれない。

続いて鉄鉱泉の浴槽へ。
こちらは池袋の住宅街に湧いている温泉だ。黄土色の湯で肌触りはさらさらとしている。湯温は41℃。成分が体に染み込んでくるようだ。ぬるめの温度という事もあり、つい長湯をしてしまう。狭い浴槽なので、あまり独占するのもよくないので一度出て、水をかぶりクールダウンしたのち、他のお客が行かないようであれば再び湯を楽しむ。

湯から上がり、二階の休憩スペースで火照った体を落ち着ける。
宮造り銭湯とは趣が全く異なるが、違ったアプローチで昭和を掛け抜けて来た銭湯だ。私の亡き父も訪れていたかもしれないかと思うと、少々感慨深いものがある。近くに来た際はぜひまた立ち寄りたい貴重な温泉銭湯の一つである。


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